暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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カルマ対おじさんぬ。
八幡が『おじさんぬ』と呼ぶのはただ単にコードネームを知らないからです。


四十四時間目 『ぬ』の時間

「柔い、もっといい武器を探すべきだぬ」

「必要ないね」

笑顔で赤羽は言うが、実際余裕はない。

捕まれたら潰されてゲームオーバー。ムリゲーにも程がある。まあ、ムリゲーならE組でいつもやっているが、今回は立場が完全に逆だ。だが、赤羽はおじさんぬの攻撃をかわすか弾くかして防御している。

その動きは少し、烏間先生に似ている。

(赤羽のやつ、サボってばっかかと思ったら、烏間先生を観察してたのか……)

烏間先生は防御技術は暗殺に優先度が低いからと俺らには教えてないが見て盗むとは、やはり赤羽のやつはクラスで戦闘技術はトップクラスだ。

しかし、防戦一方では勝てない。俺は小声で――

(おい、潮田、寺坂。今のうちにあいつらの後ろへ行くぞ!)

――潮田たちに言う。

(え? でも……)

(べつに赤羽を置いていくわけじゃねえよ。ただ赤羽は明らかに時間稼ぎなやり方だ。今のうちに先に行って、後ろにまわってから援護だ!)

(ケッ、確かにな)

寺坂は納得して行こうとするが――

 

シュッ!

 

――おじさんぬが道をふさぐ。

「この少年と闘っている間に進ませるなんてミスはしないぬ。それに邪魔もしてはもらいたくないぬ」

「そーだよ、比企谷。援護も進行もしなくていいよ。俺がこのおじさんぬを倒すから」

赤羽も言う。しかし、表情にはなにかを狙っている様子がある。

……なるほど、そういうことか。

俺が理解したのに気がついたのか、赤羽は攻撃に入った。ハイキックからパンチと足蹴り。おじさんぬはバランスを崩して背中を見せる。

チャンスだ!

と思ったら……

 

ブシュッ!

 

おじさんぬは“スモッグ”のオッサンが使っていたガス装置を繰り出した!?

「長引きそうだったんで、使ってみたぬ」

「き、汚ねぇ、そんなもん隠し持ってたのかよ」

確かにおじさんぬは素手だけだとはいっていない。素手と言う武器は身体検査に引っ掛からないための布石に過ぎない。

「至近距離のガス噴射。予期してなければ絶対に防げ――」

「……じゃあ、問題ねぇな」

「――ぬ?」

 

ブシュッ!

 

俺が言った瞬間、赤羽がおじさんぬが使ったものと同じガス装置で、おじさんぬにガスを浴びせた。

「奇遇だね、二人とも同じこと考えてた」

……あの“スモッグ”?のオッサンから未使用のガス装置奪っといて良かったな。出来ればもっと先に取っておきたかったが、仕方ない。

そのあと、おじさんぬは毒で弱り、ナイフを出してきたが、もう赤羽の敵じゃない。

「おし、寺坂。ガムテ持ってスマキにするぞ!」

「おぅ!」

俺らはおじさんぬに乗っかり、スマキにしたのだった。

「くっ、なぜだ。俺のガス攻撃、お前は読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに……」

「とーぜんっしょ、素手以外の全部を警戒してたよ、あんたが素手の闘いしたかったのは本トだろうけど、この状況で素手に固執し続けるようじゃプロじゃない。あんたのプロ意識を信じたんだよ。信じたから警戒してた」

赤羽は期末で大きな敗北を経験した。それで変わった。敗者の気を知ったからこそ、色々と考えて視野が広がるわけだ。

「大した奴だ少年戦士よ。負けはしたが楽しい時間を過ごせたぬ」

そんないい感じで終わろうとしていたところに――

「え、何言ってんの? 楽しいのこれからじゃん」

――赤羽はねりからしとねりわさびを構えて言う。

おいこら、待て!

「……なんだぬそれは?」

おじさんぬも少し慌てた表情になる。当然だよな。

「わさび&からし。おじさんぬの鼻の穴にねじこむの」

「なにぬ!?」

「それだけじゃないよ、これ入れたら専用クリップで鼻ふさいで、口のなかに唐辛子の千倍辛いプート・ジョロキアぶちこんで、その上からさるぐつわして処置完了」

完了。じゃねえよ! 鬼だな赤羽! 赤鬼赤羽ってか?

赤羽はものすごい笑顔でおじさんぬの鼻にからしとわさびをねじこんだ。

「ぬぅぅぅぅ!?」

おじさんぬさん。

ご愁傷さまです。




次回はオリジナル暗殺者登場です。
都合上、渚くん女装回はカットになるかもです。
ユージ君出したいけどどうすれば……

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