これからも頑張ります!
殺せんせーが千葉と速水の射撃で弾けとんだ?
手応えはあったが安心は出来ない。殺せんせーには再生能力もある。
片岡を中心に水中に向かうが……殺せんせーがいたところ近くからブクブクッ!と泡がでてきた?
全員、警戒して銃を構える。出てきたのは――
プカッ!
――殺せんせーの顔が入った、透明とオレンジの球体だった……なんだアレ?
「ヌルフフフ。これぞ先生の奥の手中の奥の手。完全防御形態!」
か、完全防御形態!?
「外側の部分は高密度に凝縮されたエネルギーの結晶体です。肉体を思いきり小さく縮め、その分余分になったエネルギーで肉体をガッチリ固める」
殺せんせーは説明する。
「この形態になった先生はまさに無敵! 水も対先生物質もあらゆる攻撃を結晶の壁が跳ね返します」
なんだと!?
「それじゃあ、ずっとその形態でいられたら殺せないじゃん」
矢田が言う。その通りだ! しかし――
「いままで使わなかったと言うことは何かリスクがあるハズですよね?」
「その通りです、比企谷君。このエネルギー結晶は24時間ほどで自然崩壊します。その瞬間先生は肉体を膨らませてエネルギーを吸収してもとに戻るわけですが、裏を返せば結晶が崩壊するまで先生は全く身動きがとれないのです。比企谷君の言う通り、様々なリスクがあります。最も恐れるのはこの形態の間にロケットに詰め込まれ遥か遠くの宇宙空間に捨てられることです。しかし、24時間いないにそれが可能なロケットなど今世界のどこにもありませんねぇ」
なるほど。動けないなら自慢のマッハ20も使えない。しかし、宇宙空間に捨てる必要まではないのではないか?
「チッ、なにが無敵だよ。なんとかすりゃ壊せんだろこんなもん」
寺坂が殺せんせーと手に取り叩いたりするが殺せんせー曰く核爆弾でも傷一つつけられないらしい。しかし――
「寺坂の言うとおりだ! 遥か遠くの宇宙空間じゃなくても海底の奥底に対先生物質と重りを付けて沈めちまえばいいだけじゃねえか!」
俺が言うと、おお! とクラスの連中の声が上がるが……
「ヌルフフフ。確かにその手もありますが無駄ですよ。その場合はエネルギーの一部を爆散させてさっきのように爆風で周囲を吹き飛ばしてしまいますから」
クソッ! ダメなのか……
つまりこの暗殺作戦は失敗だ……すると今度は赤羽が……
「そっか~、弱点ないんじゃ打つ手ないね」
そう言って携帯の画面にエロ本をトンボの格好をして拾い読みする殺せんせーの写真が写った状態で殺せんせーの前におく。
「にゅにゃーッ! やめてーッ、手がないから顔も覆えないんです!」
「ごめんごめん。じゃ、とりあえず至近距離で固定して、そこで拾ったウミウシを引っ付けて、ああ、誰か不潔なオッサン探してきてー、これパンツの中にねじ込むから」
「ふんにゅああああッ。助けてー!!」
なるほど。動けないと言うことは殺せはしなくともいじり放題と言うことか……?
「とりあえず解散だ。ダメもとでも上層部とこいつの処分法を検討する」
そう言って烏間先生は赤羽から殺せんせーをとって袋にいれる。そして殺せんせーは言う。
「皆さんは誇ってよい。世界中の軍隊でも先生をここまで追い込めなかった。ひとえに皆さんの計画の素晴らしさです」
確かに今回をのぞいて殺せんせーを一番追い込んだのは堀部、シロだから俺らはそれよりも追い込んだと言える。しかし……落胆は隠せねぇ……
俺らはホテルに戻った。
「しっかし、疲れたわ~」
「自室帰って休もうか。もうなにもする気力ねぇ」
なんだ? 皆、疲れすぎじゃねぇか?
「ンだよテメーら、一回外したぐらいでダレやがって。もー殺ること殺ったんだから明日一日遊べんだろーが」
「そーそー、明日こそ水着ギャルをじっくり見んだ。どんなに疲れてても全力で鼻血出すぜ」
「ぐ、ぐ腐腐腐腐、ほかにも色々と……ああ、妄想するだけでフラフラしてきた~」
なんだ? 岡島と海老名さん。言ってることはいつも通りだが顔色がおかしい?
「渚君よ、肩貸しちゃくれんかね……部屋戻ってとっとと着替えたいんだけどさ、ちぃ~とも体が動かんのよ……」
中村がそう言って倒れる。なんだなんだ?
さらには岡島と海老名さんが血を噴き、三村と前原と狭間が息を荒げて倒れる。神崎と原と倉橋、杉野と村松もだ!
「フロント! この島の病院はどこだ!」
烏間先生も気づいたのか、フロントに訪ねるが、この島には小さな診療所はあるが医者は夜になるとよその島へ帰ってしまうらしい。しかも船は明日の10時まで来ない。
すると、烏間先生の携帯が鳴る。そして電話が終わると俺らに説明する。
どうやらこれは殺せんせーを狙っていた奴等が俺らに人工的に作ったウイルスを感染させたらしい。治療薬も奴等の持っているものしかなく、治療薬が欲しければ一時間以内に殺せんせーを持って動ける生徒の中で最も背の低い男女二人に一時間以内に山頂の『普久間殿上ホテル』に持ってこいとのことだ。しかも、外部と連絡をとったり、一時間を過ぎたり、相手の機嫌を損ねたりすればスイッチ一つで治療薬を爆発するといってきた。
「ダメです! 政府としてホテルの宿泊客を問い合わせてもプライバシーを繰り返すばかりで……」
「テロリストが宿泊してる可能性があってもですか?」
「く、警視庁から聞いた話だが、この小さなリゾート島「普久間島」は別名「伏魔島」と言われ、あの山頂のホテルだけは国内外のマフィアや財界人らが出入りしているらしい。違法なドラッグパーティや商談が連夜開いていて政府のお偉いさんともパイプがあり警察もうかつに手が出せん」
なるほど、ならホテルが見方になるのはありえんな……
要求通りにするならば動ける生徒の中で最も背の低い男女といえば潮田と茅野だ。潮田はともかく、茅野は危険すぎる。
「要求なんざ全シカトだ! 今すぐ全員都会の病院に運ぶぞ!」
寺坂が言う。それが俺もいいと思うが……
「賛成はしないな」
竹林が言う。理由は本当に人工的に作ったウィルスならどんな大病院にも治療薬がおいてある可能性は低いらしい。医者の家系の竹林が言うならそうなのだろう。
しかし、取引におとなしくいったとしても最悪の場合、潮田と茅野を人質にとって薬も渡さずとんずらされたら俺らには打つ出がない。
すると……
「いい方法がありますよ」
殺せんせーが言う。
殺せんせーは汚れても良く、私服で動ける人は来いと言う。殺せんせーは烏間先生に運んでもらって……
俺らが来たのはホテルの裏の崖。
律がホテルの内部図面を入手し、ホテルの裏の崖を登ったところに通用口があるらしい。警備も配置されていない。
「敵の意のままになりたくないなら手段は一つ。患者十一人と看病に残した二人を除き動ける生徒の全員でここから侵入し最上階を奇襲して治療薬を奪い取る!」
全員驚く。確かに利にかなっているが、危険だ。
烏間先生は考えるが――、仕方ない。
「磯貝、岡野。行くぞ!」
「へ? ひ、比企谷!?」
俺は崖を登る。この崖を登るくらいは烏間先生の訓練でやっている。しかし――
「未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから、烏間先生。難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」
俺らは殺し屋。標的は担任教師。だが、今回の標的は未知の敵。目的も暗殺ではなく奇襲と略奪。だが俺らならやれる!
沖縄離島ホテル奇襲編。原作七巻終了です。
オリジナル暗殺者を出そうと考えています。
期待はほどほどに。