普久間島です。
「にゅにゃァ……」
東京から6時間かけて船で移動。殺せんせーは乗り物酔いでぐったりしている。
そして到着した。殺せんせーを暗殺する島。
普久間島に!
「ようこそ。普久間島リゾートホテルへ。サービスのトロピカルジュースでございます」
ホテルに着き、荷物を部屋において、ビーチに直行するとホテルの人からドリンクのサービス。いいね!
しかし、遊んでいる暇は今はない。暗殺作戦の準備だ。本格的に暗殺作戦を実行するのは夕飯のあとだから今は殺せんせーを誘導だ。
俺たちは修学旅行の時と同じ班に別れて別々に殺せんせーと遊びと言う名の誘導を行う。
今は一班がエアリゾートで殺せんせーと空の暗殺中。
その隙に俺ら四班は海の中を暗殺に使えるかチェック。
それが終わると今度は俺らの班が殺せんせーの誘導係だ。船の上で野生のイルカを見て殺せんせーをたっぷり酔わせる作戦だったが、殺せんせーが自前の特殊水着を使ってイルカと共に泳いだせいで失敗。
そして日が落ちる頃になると……
「いやぁ、遊んだ遊んだ。おかげで真っ黒に焼けました」
『黒すぎだろ!!』
殺せんせーは表情がわからないほど真っ黒になっていた。
俺はこのとき思った。これはある意味のチャンスだと。タイミングを見て言おう。
そして夕飯。貸し切り船上レストランで殺せんせーをたっぷり酔わせる。
「ヌルフフフ。たっぷり酔わせて戦力を削ごうと言うわけですか。実に正しい。ですが暗殺を前に気合いの乗った先生にとって船酔いなど恐れるに…『黒いわ!!』…そんなに黒いですか?」
殺せんせーの台詞に俺らは言葉を挟む。
「表情どころか前と後ろもわかんないわ」
「脱皮で皮を脱いだらどうっすか?」
俺は狙い通りに言う。すると殺せんせーは……
「おお! なるほど! では……」
ピリピリッ! しゅぱ!
――脱皮で元通り。ただし……
「おし! 殺せんせーの奥の手を一つ潰した!」
俺の発言に殺せんせーとクラスの連中は気がついたのか――
「にゅにゃぁぁ!? しまったぁ!?」
「おお! ナイスだ! 比企谷!」
「よくやったわ! 比企谷君! 脱皮封じ見事よ!」
「暗殺前にこれは大きいかも!」
――クラスのみんなから誉められた。ここまで誉められたのは、はじめてかもしれん。
……しかし、殺せんせーにはほかにも奥の手があるかもしれないが、それでも脱皮封じは大きいかもしれん。
このあとはいよいよ暗殺作戦実行だ。仕込みも万全。
この船上レストランでのディナーが殺せんせーの最後の晩餐だ!
次回、暗殺作戦編です。