雪ノ下が部長を勤める部活動『奉仕部』。
雪ノ下は本を読むだけで俺も基本、読書をしていた。
すると……
「あの~、奉仕部ってここですか?」
お団子頭の女子が訪ねてきた。
「な、なんでヒッキーがここに!?」
ヒッキー? 誰だよヒッキー……俺の知る限り俺の事をヒッキーと呼ぶ奴はいない。というより本名をちゃんと呼んでくれる奴がいない。あ、平塚先生がいたか……
「いや、俺、ここの部員だし……」
というより、本当に誰? クラスメイトか?
「C組の由比ヶ浜結衣さんね。ようこそ、依頼かしら」
「あたしの事、知ってるんだ」
「全校生徒覚えてんじゃねえの?」
「そんな事ないわ。あなたの事なんて知らなかったもの」
さいですか……なにはともあれ、俺が入部して初の依頼人がきたのだった。
……。
…………。
………………。
初の依頼は、料理ベタな由比ヶ浜がクッキーを作ってあげたい人がいるのでうまくなるように手伝って欲しいとの事だ。
その結果、クッキーの材料で木炭が完成した。
その依頼に対して、俺は『由比ヶ浜が二度と料理をしないこと』という案を提案したが、却下されひたすら努力させたが、結局、旨いと思えるような物は作れなかった。そして、その依頼に対して、俺は『手作りクッキーと言うだけでもらった相手は喜ぶ』という解決策を提案して、その依頼は片付いた。
そして、その依頼以来、由比ヶ浜は部室に居着くようになった。
時は過ぎて、色々な依頼が来た。不破優月が自作のマンガのプロット?なるものを持ってきて感想が欲しいだの(解決策、罵倒)、岡島大河がエロ目的で雪ノ下と由比ヶ浜をモデルにした写真が欲しいだの(解決策、罵倒&打倒)、矢田桃花(女)が片岡メグ(女)に告白したいだの(解決策、保留)、妙な色々な依頼が来た。そして、なんと今度はあの浅野学秀から依頼がきた。
「どうやら我が校で校則違反でアルバイトをしている者がいるらしいんだ。その人物の特定を手伝って欲しい」
それが浅野の依頼だった。
俺らは、そのアルバイトをしている生徒が俺と由比ヶ浜のクラスの川崎沙希であることが判明したため、俺らは早急に説得した。偶然妹の小町が川崎の弟と知り合いだったお陰で滞りなく依頼は片付いた……と思われたが……
「今回の校則違反者、磯貝悠馬は、来年度E組行きで手を打つことになった。一応報告だ」
……どうやら、浅野の依頼の校則違反者は川崎の事ではなかったらしい……
そして小町が家で言った……
「お兄ちゃん、会えたんだね。入学式の犬の飼い主さんと」
小町から由比ヶ浜が入学式に助けた犬の飼い主だと教えられた。
そして、6月始めにあった職業体験、体験先が由比ヶ浜と同じになった。そして終わりごろに由比ヶ浜に俺は言った。
「あのさ、別に俺の事なら気にする必要ないぞ。お前ん家の犬、助けたのは偶然だし、それにあの事故がなくても俺、たぶんぼっちだったし。お前が気に病む必要はない。負い目に感じる必要も同情する必要もない。気にして優しくしてくんなら、そんなのはやめろ」
由比ヶ浜は少し色々言って……
「……バカ」
その日以来、由比ヶ浜は奉仕部の部室に来なくなった。
次回の番外編は由比ヶ浜の誕生日から宿泊学習(修学旅行編代用)まで……