暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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球技大会編です。
八幡はどうするか……


二十二時間目 球技の時間

球技大会が近づいてきた。

といってもE組は本戦トーナメントにはエントリーされない。一チーム余ると言う素敵な理由で。その代わりに男子は野球部と、女子は女子バスとエキシビションに出なければならないという。

要するにいつものように見世物だ。E組がフルボッコにされる姿を見せてE組に落ちたらこうなりますよと警告になるのだ。

だが、今年は違う。女子には片岡。男子には杉野がいる上に暗殺技術で運動能力も高くなっているから例年のようにはならない。と思う。

「いい試合して全校生徒を盛り下げるよ。ねーみんな!」

おーう。と女子一同が言うと……

『お任せを片岡さん。ゴール率100パーセントのボール射出機を製作しました』

「あ……いや、律はコートに出るにはちょーっと四角いかな……」

というか、出る気だったのだろうか?

まあいい、俺らも野球の準備だ。しかし、一番便りにされている杉野に元気がない。

当然か。元野球部エース投手にとっては強さを一番知っていて勝てないこともわかりきっている。しかも運動能力の高そうな寺坂たちは逃げたし……

しかも今のエースの進藤とか言うやつはプロ並みの球を投げる上に成績も優等生。不公平だな……勝てないのは見えているが……

「だけど勝ちたいんだ殺せんせー。善戦じゃなくて勝ちたい」

この一言で殺せんせーにも火をつけた。

殺せんせーは野球ボールの模様になり、葉っぱをくわえ、各触手にバット、グローブ、ボール、野球盤、竹刀が握られていた。

……なんで竹刀?

そしてちゃぶ台返しのためのちゃぶ台まで用意していた。

こうして、殺せんせーもとい殺監督による勝利のためのトレーニングが始まったのだった。

 

球技大会当日。

『それでは最後にE組対野球部選抜のエキシビションマッチを行います』

放送が行われ、全校生徒がグラウンドに集まる。

野球部は野球部で全校生徒にいいところを見せるチャンスなわけでやるきマンマンだった。

そして試合が始まる。

 

『E組の攻撃、一番センター木村君』

放送がかかり、木村が打席に入る。説明すると、E組のスタメンオーダーは以下の通りだ。

 

一番 木村 センター クラス1の俊足。

二番 潮田 キャッチャー 杉野とよくキャッチボールやってるから。

三番 磯貝 サード 運動能力的に。

四番 杉野 ピッチャー 当然だわな。

五番 前原 ショート 磯貝と同じく。

六番 岡島 セカンド 理由は特にない。

七番 菅谷 ファースト 背が高いから。

八番 赤羽 レフト 何となく。

九番 俺  ライト 数合わせ。

 

となっている。そして3イニングしかない上に10点差でコールドゲームで問答無用でE組が先攻。

一回表で無得点で裏に10点取ってコールド勝ちが当たり前だと向こうは思っているだろうが、そうはいかない。

 

コォン!

 

木村、バント。俊足を生かしてセーフ。

そして次の潮田もバント。三塁線に強いプッシュ。

続いて磯貝もバント。またもやセーフ。

いきなりノーアウト満塁で杉野になった。

 

カキィン!

 

走者一掃のスリーベース。三点先制。俺らが殺投手の300キロのストレートをひたすらバントし続けてみがいたバントだ。140キロなんて半分以下のスピード、もろともしない。

よし、このまま……と思った瞬間、野球部側のベンチに理事長登場。

そして放送がかかる。

『今入った情報によりますと、野球部顧問の寺井先生は試合前から重病で野球部全員も先生が心配で野球どころではなかったとの事、それを見かねた理事長先生が急きょ指揮をとられるそうです‼』

おいこら、絶対に顧問重病とか嘘だろ! くそ、理事長が出てくるとは……

試合が再開すると、野球部の守備は超前進守備。杉野以外バントしかないことがバレている。

本来、あんな前進守備なら審判が注意して却下されるが審判は理事長のいいなりだ。期待できない。

結局、E組の攻撃は三点しかとれずに終わってしまった。

一回裏、杉野が三者連続三振。守備中に殺監督が地面から出てきて俺に言う。

「比企谷君、次の回の君の打席であることをしてください」

あること?

 

二回表、相変わらず野球部は前進守備。打順は赤羽から。

「ねーえ、これズルくない、理事長せんせー? こんだけジャマな位置で守ってんのにさ、審判の先生何にも注意しないの、一般生徒もおかしいと思わないの? あー、そっかぁ、おまえらバカだから守備位置とか理解してないんだね」

赤羽の挑発。観客の反応は……

『小さいことでガタガタ言うなE組が!』

『文句あるならバットで結果出してみろや!』

とクレーム。

それでいい、ハッキリいっておくことに意味がある。

赤羽はそのあと三振。そして俺の打順。すると……

『ヒッキーかっ飛ばせ!』

『お兄ちゃんファイト!』

と観客席から聞こえた気がするがまあいい。俺は俺の仕事をする。

第一球、空振り。そして俺はバットがサードの目の前に飛んだ。

「おわぁ!?」

「あ、すみません」

「おいこら! あぶねえだろ!?」

「いやあ、でもそんなところで守ってるそっちも悪いですよね? そんな前進守備じゃなかったらただのすっぽぬけの珍プレーなわけですし、次は打球が当たる可能性もあるわけですし、そういうことで怪我する覚悟がないならそんなところで守るのはやめるべきだと思いますがね?」

すると、客席から。

『すっぽぬけるのが悪いだろうが!?』

『勝てないからって、乱闘にする気か!?』

そんな声が響く。俺はそのあとおとなしく三振した。

 

二回裏。野球部がバカスカ打って3対2になってしまったが逆転されなかっただけマシだ。

三回表の攻撃は三者凡退。そして三回裏の最終回。野球部がバント攻撃でノーアウト満塁でバッター四番進藤。最悪だな。

そして俺と赤羽の出番だ。

「赤羽!」

「んじゃいきますか比企谷」

俺と赤羽は野球の真似の前進守備。

「明らかにバッターの集中を乱す位置で守ってるけど、さっきそっちがやった時は審判は何も言わなかった。文句ないよね?」

「勿論、打球やバットにぶつかって怪我する覚悟もあるのでご心配なく」

そう、さっきの俺らの挑発はこの作戦で文句を言わせないため。さっき俺らのクレームやプレーを却下した以上、審判も観客も黙認するしかないわけだ。

「ご自由に、選ばれたものは守備位置位で心を乱さない」

なるほど、では遠慮なく。

俺らはさらに前進する。前進どころかゼロ距離と言えるくらいまで……

「…………は?」

進藤は間抜けな声をもらす。こんな奇妙な守備ならどんな集中力も冷める。

第一球、進藤は大きくバットを振るが俺らは容易にかわす。

マッハ20の殺せんせーの暗殺で鍛えた動体視力だ。練習しなくてもこれくらいは普通に避けられる。

第二球、進藤は腰砕けのスイングで打つがワンバウンドで赤羽がキャッチ。潮田に投げてワンアウト、サードの磯貝に投げてツーアウト、ファーストの菅谷に投げてスリーアウト……つまりはトリプルプレーだ。

『げ、ゲームセット! なんとE組が野球部に勝ってしまった!』

こうして俺らは野球部に勝利した。

余談だが、このあと俺は小町に危ないプレーをした事で怒られた。




八幡に危ない役をやらせてしまいました。
次は鷹岡の登場。
渚覚醒の序章。

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