暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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去年の八幡。
雪ノ下との出会い。
この作品でなにげに平塚先生の初登場。


零一時間目(番外編)去年の時間 入部

俺は2年になり、クラス変えで浅野とは別クラスとなり、国語の授業で作文。

 

“中学生活を振り替えって”

 2年C組 比企谷 八幡

“青春とは嘘であり、悪である。

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺く。

自らを取り巻く環境の全てを肯定的に捉える。

何か致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、

思い出の1ページに刻むのだ。

例を挙げよう。彼らは万引きや集団暴走という犯罪行為に手を染めてはそれを「若気の至り」と呼ぶ。

試験で赤点を取れば、学校は勉強をするだけの場所ではないと言い出す。

彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。彼らにかかれば嘘も秘密も、罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

そして彼らは失敗を遍く青春の一部分であるが、他社の失敗は青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。

仮に失敗することが青春の証であるなら、友達作りに失敗した人間もまた青春のど真ん中でなければおかしいではないか。しかし、彼らはそれを認めないだろう。

なんのことはない。すべては彼らのご都合主義でしかない。

なら、それは欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も詐術も糾弾されるべきものだ。

彼らは悪だ。

ということは、逆説的に青春を謳歌していない者の方が正しく真の正義である。

結論を言おう。

リア充爆発しろ”

 

俺は2年になり、担任と国語教師の平塚静は職員室に呼び出し俺の作文を大声で読み上げた。

「比企谷。私が出した作文のテーマはなんだった?」

「はぁ、『中学生活を振り替えって』だったと思いますが……」

「君はそれでなぜこんなふざけた作文を書いている? この学園で、そんなようなふざけた生徒がどうなるのか、わかっているのか? 貴様はエンド落ちしたいのか?」

「俺は別にそれでもいいかなとは思ってます。E組に言ったところで変わるのは受験勉強するかしないかでしかないですから……」

「ふっ、甘いな。E組はそんな呑気な所ではない。校舎はボロいわ、トイレは汚いわ、学食は無いわで生徒は完全にクズ扱い。しかもそこの担任は一人で全科目を教えなければならない。少し前まで私も担任をやらされたが苦労が絶えない……あれは地獄だった!」

いやいや、途中から平塚先生の愚痴になってるぞ……

「君の目はあれだな、腐った魚の目のようだな」

「そんなにDHA豊富そうに見えますか。賢そうっすね」

俺がこれを言うと先生にギロリと睨まれた。

「君は部活やってなかったよな?」

「はい」

「……友達とかはいるか? 去年、浅野といるところを何度か見たが……」

「びょ、平等を重んじるのが俺のモットーなので、特に親しい人間は作らないことにしてるんですよ、あと浅野は誰でもよくて来ていただけというか……」

「つまり、いないということだな?」

「た、端的に言えば……」

「そうか! やはりいないか!」

友達がいない生徒を喜ぶ担任教師って……

俺はそのあと、プレートに何も書かれていない教室へ連れていかれた。

その教室に入ると……

本を読む黒髪ロングの女子がいた。

俺はこの女子を知っている。

2年A組、雪ノ下雪乃。この学園では浅野に続く才女だ。去年生徒会選挙前に浅野から何度か聞いたことがある。

そのあと、俺は雪ノ下が部長を勤める部活動に強制入部させられたのだった。




八幡のE組行きはまだ先になりそうです。
というか番外編が連載みたくなりそう……
本編と平行して進めていくのでよろしくお願いします。

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