暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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修学旅行編、続行。
新幹線からはじまります。
八幡、ボッチ化発動!?


十四時間目 拉致の時間

いよいよ修学旅行だ。ここでひとつ各班の面子を確認しておこう。

 

第一班 磯貝、木村、前原、岡野、矢田、片岡、倉橋。

第二班 三村、岡島、千葉、菅谷、速水、不破、中村。

第三班 寺坂、吉田、村松、竹林、狭間、海老名、原。

第四班 潮田、赤羽、茅野、奥田、神崎、杉野、俺。

 

という七人四班に分かれている。そして今は駅で新幹線に乗り込んでいる。

エンドのE組待遇はここでもあり、A組からD組はグリーン車。俺らE組は普通車だ。

本当にこの学園は底辺待遇が酷い。

そんなことを思いながら、俺らは新幹線に乗り込むのだった。

 

電車が出発し、派手すぎる格好をしたビッチ先生が烏間先生に着替えさせられたが、それ以外は問題なく――

「うわっ!」

潮田が叫ぶ。新幹線の窓の外に殺せんせーが張り付いていたのだ。

……金欠で切符が買えなかったのか?

なんて失礼なことを考えたが、どうやら駅中スウィーツを買ってたら乗り遅れてしまったらしい……あ、アホすぎる。張り付いたりせずに次の駅まで先にマッハでいって待ってりゃいいだろ……

 

「いやぁ、疲れました。目立たないよう旅をするのも大変ですねぇ」

「つーか、新幹線に張り付いたりせずに、いっそ次の駅までマッハで行って待ってりゃ、そこまで疲れなかっただろ」

殺せんせーは今気がついたのか絶句した。

……俺らなんでこんな間抜け生物を殺せないのだろうか?

「てか外で国家機密がこんなに目立っちゃヤバくない?」

「その変装も近くで見るとバレバレだし」

ヅラと付け鼻で変装しているがすぐに鼻は取れる。すると菅谷が新しい付け鼻を殺せんせーに渡す。

「おお! すごいフィット感‼」

顔に似合うだんご鼻になり、焼け石に水くらいには自然になった。

俺は飲み物を買いに行くとなにやら黒学ランの高校生がいた。

「どけ!」

そう言って高校生は行く。俺も関わったら不味いと思い、俺も自分の席に戻ろうとすると……

「あ、ヒッキー」

由比ヶ浜がいた。

「由比ヶ浜。お前はグリーン車だろなんでここに?」

「いやあ、ヒッキー班行動の予定を聞こうかと思って」

「あ? 別に?」

「教えてくれてもいいじゃん!」

そうはいっても、今回の班行動には殺せんせー暗殺のためのプランがあるから一般生徒の由比ヶ浜には教えることができない。すると……

「あれっ? なにしてるの? 比企谷君」

「……神崎」

俺と同じように飲み物を買いに来たのか神崎、茅野、奥田が来た。

「あ! まさか、一般生徒にE組を理由にバカにされてたの!? 相手にする必要ないよ、比企谷君!」

「な!? ち、違うし!? ヒッキーもなんとか言ってよ!?」

「なんとか」

「そういう意味じゃないし!?」

女子は複数集めると面倒だ。

「まあいいか、さっき目付きの悪い他校の不良生徒が乗ってたから気を付けろ。じゃあな由比ヶ浜」

「あ!? ちょ、ヒッキー!?」

俺はその場を後にした。

 

京都に到着し、旅館。殺せんせーはグロッキー。乗り物酔いのようだ。

「どう神崎さん? 日程表見つかった?」

「ううん、どこかに落としたみたい」

「神崎、新幹線でバッグから制服に入れてただろ?」

「探したけどないの、新幹線に落としたのかな?」

日程表を落とすとは面倒な。それじゃあの電話帳のようなしおりを持たなければいけないではないか。

ちなみに俺は他に持ち物が財布くらいしかないので、持ち歩いている。

「……ところで比企谷くーん。新幹線で会ってた女子はまさか彼女?」

茅野ににやにや笑いながら言われる。なにを言うのやら……

「阿呆か? 俺に彼女がいるように思うか? ただの去年のクラスメイトだよ」

「へえ、ただの……ねぇ……」

なんだよその顔……めんどくせぇ。

そうして、修学旅行一日目は過ぎて行くのだった。

 

班行動。ボッチである俺はさりげなく最後尾を歩く。それでこそボッチ。

歩いて行くと『京都暗殺名所』を回る。京都は日本史をよくよく読んでみると暗殺の聖地だったようだ。

そして、殺せんせー狙撃地点に入ると……

「なんでこんな拉致やすい場所歩くかねぇ」

……!? コイツらは新幹線にいた不良高校生!?

赤羽はコイツらを挑発するように言う。

「……何お兄さん等?」

「観光目的には見えんが?」

俺も言う。すると不良共は言う。

「男に用はねー、女置いておうち帰んな」

そう不良共が言うと赤羽は不良の頭を掴みぶっ飛ばす。

俺はその隙に奥田を隅に隠して、杉野と潮田も逃がそうとするが……その間に赤羽がやられて、俺もやられた。

 

やられてから数分。茅野と神崎が拉致された。奥田は無事だったが、潮田も杉野もダメージを受けている。

「……車のナンバー隠してやがった、多分盗車だしどこにでもある車種だし、犯罪慣れしてやがるよ、あいつ等」

「なら、警察に通報してもすぐ解決はできねえな」

「……ていうか、俺に直接処刑させてほしいんだけど」

なら、どう解決する? 俺は閃いた。

「そういや、あの過剰しおり誰か持ってないか? 確か『班員が拉致されたときの対処方法』が乗ってたはずだ!」

「え? マジ?」

杉野が疑うが潮田の持っていたしおりを読むとあった。その対処方法が……

「普通ここまで想定したしおりなんて見たことねーよ」

改めてみると本当になんでも書いてある。『鴨川の縁でイチャつくカップルを見たときの淋しい自分の慰め方』に『八つ橋がノドにつまった時』など余計なお世話的なものまである。

だが、これでやることが絞れた。俺らは茅野と神崎を助かるべく向かう。

 

俺らはしおりにあった『拉致実行犯潜伏対策マップ』を元に茅野と神崎の居場所を突き止めた。

外の見張りを赤羽が殴り飛ばし、潮田がここを特定できた理由をしおりを読みながら説明する。

俺は殺せんせーに連絡だ。テスト後登録した殺せんせーの携帯番号に……

「すごいなこの修学旅行のしおり!」

「ああ、完璧な拉致対策だな」

「いやー、やっぱ修学旅行のしおりは持っておくべきだわ」

『『『ねーよ、そんなしおり!!』』』

不良さん、ごもっともです。

すると後ろから人の気配が……まさか援軍か!?

見てみると、入ってきたのは丸刈りのぐるぐる眼鏡のボロボロ男共と黒子みたいに顔を隠した殺せんせー。

聞くところによると殺せんせーは他の場所を探していたらしい。

不良共は殺せんせーに立ち向かう。

……知らないって罪だな……

殺せんせーは一瞬で全員に一撃を入れた。よし、この隙に……

「潮田、杉野、赤羽、奥田。しおりを持って来い」

俺はそいつ等にいい、不良共の後ろを取る。そして不良共を俺らは――

 

ゴッ!

 

――しおりでためらいもなく殴った。

コイツらは狙う相手を間違えたようだな……

なんにせよ、俺らは拉致された班員を救出できたのだった。

「あ! 俺のしおり、置いてきちまった!」

再来年、小町に絶対に持たせないとな……

「おや、では先生の予備を差し上げますよ!」

そして来年、不良共が『修学旅行の神』として京都の街に降臨する。

……かもしれない。




前書き、後書きで書くことがなくなってきました。
次は旅館でのお話です。

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