中間テストが近づいてきた。
殺せんせーは分身して個人的に授業をする。ちなみに教える教科に合わせてその教科の字の入ったハチマキをしている。俺のところには『数』のハチマキ。俺の苦手科目は数学だ。寺坂の所だけは『NARUTO(ナルト)』の額宛をしている。ちなみに木の葉。
わかりやすくはあるが出たり消えたりと正直、気色悪い。するといきなり、殺せんせーの顔が東京バナナみたいに歪んだ。
「急に暗殺しないで下さいカルマ君‼ それ避けると残像が全部乱れるのです‼」
繊細なんだな……しかも外を見てみると分身のうち一体は外で休憩しているし……
殺せんせーは早くなり続ける。それは先生が成長していると言うことだ。逆に言えば俺たちはどんどん殺せんせーを殺せる可能性が低くなるに等しい。テスト勉強よりも暗殺訓練の方が大事なのではないか? そんなことを考えていると授業の時間が終わった。
放課後。俺は帰ろうとしているとE組校舎で浅野理事長にあった。
「おや? 比企谷君」
「あ、っと、ど、どうもっす」
すると理事長は俺にルービックキューブを投げつける。
「それを即座に六面揃えてみてください」
「は?」
俺は『カチカチカチ』っと、六面揃える。
「ほう比企谷君。君は相変わらず上手いですね」
「これ、俺、得意なんで」
ずっと友達がいなくて、一人でできる遊びを探してパズルやなぞなぞ、勉強をしていたからな。
「先生方から聞きましたが、自己犠牲で暗殺をしたそうですね? わたしは君がここに落ちたことを少し、残念に思ってますよ」
「そすか」
俺はキューブを理事長に返して行く。相変わらず理事長の思ってもいないことを真顔で言えることはすごいとこだ。そして理事長は校舎を出ていく寸前で潮田とあった。
「やあ、中間テスト期待していますよ」
全くそんなことを考えていない笑顔で潮田に言う理事長。俺はあの人が嫌いだ。
翌日。中間テスト前日。殺せんせーはさらに増えていた。昨日は一人苦手科目一教科だけだったが、今日は一人三人はついて教えられている。
なにやら、殺せんせーから対抗心のようなものを感じるが、理事長となにかあったのだろうか?
時間が過ぎ、休み時間になると殺せんせーは疲れきっていた。今がチャンスかと思いナイフを突くが避けられる。
どうやら殺せんせーは俺らのテストの点を上げて俺らに「先生の授業無しではいられない」と思わせて暗殺を断念させる作戦らしいが、俺らには関係ない。
「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな」
「…うん、なんたって暗殺すれば賞金百億だし」
「「「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」」」
クラスのやつら、俺も含めてみんなおんなじ考えだ。すると殺せんせーは校庭へ出ろと俺らに言う。
俺らは校庭へ行く。
「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺います。あなたはいつも仕事をする時…用意するプランは一つですか?」
「…いいえ本命のプランなんて思った通り行くことの方が少ないわ」
不足の事態に対処できるように何通りもプランは用意するものらしい。
「烏間先生、ナイフ術を生徒に教える時…重要なのは第一撃だけですか?」
「……第一撃はもちろん最重要だが次の動きも大切だ」
強敵では第一撃は高確率でかわされるからだそうだ。
「先生方のおっしゃるように自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる」
殺せんせーは校庭で回転しながら言う。
「対して君たちはどうでしょう? 『俺らには暗殺があるからそれでいいや』と考えて勉強の目標を低くしている。それは劣等感の原因から目を背けているだけです」
さらに殺せんせーは回転の速度を上げて言う。
「もし先生がこの教室から逃げ去ったら? もし他の殺し屋に先に先生を殺したら?」
考えていなかった。確かにそうなれば俺らは防波堤を失う。すると、殺せんせーは言う。
「暗殺という拠り所を失った君たちにはE組の劣等感しかのこらない。そんな危うい君たちに先生から警告と言う名のアドバイスです」
そして、殺せんせーは竜巻を起こしながらいい放つ。
「第二の刃を持たざるものは…暗殺者を名乗る資格なし‼」
殺せんせーは校庭をまっ平らにして、俺らにいい放つ。
「明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい」
クラス全員驚いた。しかも殺せんせーはできなければE組を出ていくと言う。
かくして俺らは自らの暗殺を守るためにテストに挑むことになったのだった。
自宅の自分の部屋。テスト勉強をしていると、由比ヶ浜からメールが届く。
件名 頑張ってる?
本文 ヒッキー、勉強頑張ってる? (^ー゜)ノ
テスト範囲が昨日、いきなり変わったから今回、大変じゃない?(´д`|||)
なんだと? テスト範囲が変わった? 俺は即座に返信を送る。
件名 どういうことだ?
本文 テスト範囲が変わったなんて聞いてねえぞ?
すると由比ヶ浜からメールが届く。
件名 え?(・_・)
本文 知らないの?(´・ω・`)
なんか直前の詰め込みにも対処できるか試すために今回の範囲、変わったんだって!(*´ω`*)
A組では理事長自らの教えたらしいよ?( ☆∀☆)
マジかよ……俺は由比ヶ浜に『変わった範囲を教えてくれ』とメールをした。
俺は勉強をやり直すのだった。
テスト返却日。俺らはほとんどが50位に届かなかった。原因は由比ヶ浜から聞いたテスト範囲の急激変更だ。
「先生の責任です。君たちに顔向けできません――にゅにゃ!?」
殺せんせーがシリアスな空気を作るなか、赤羽と俺が殺せんせーにナイフを投げる。
「いいの~? 顔向け出来なかったら、俺が殺しに君のも見えないよ?」
「全くだ、ただでさえ人様に見せられるような顔つきしてないんだからな」
「カルマ君‼ 比企谷君‼ 今、先生は落ち込んで……」
殺せんせーがそういうなか、赤羽はテストを出す。
その結果は――
赤羽業 合計点 494点 186人中4位
「あんたが俺の成績に合わせて余計な範囲まで教えたから」
ついでに俺もテストを出す。俺は今回――
比企谷八幡 合計点 457点 186人中19位
「ひ、比企谷君は何故!? 先生、君は報告された範囲しか教えていないはずですよ!?」
「テスト前夜にテスト範囲が変わったことを教えてくれたやつがいたんすよ。一夜漬けでなんとかなりました」
「ちょっと待て!? テスト範囲が変わったことを知ってたんなら、なんでみんなに連絡しなかったんだよ!?」
磯貝に言われた。とはいっても……
「俺、クラスで電話番号知ってるやついないし」
みんながかわいそうなものを見る目になった。おいこら、やめろその目。
「ま、俺と比企谷はE組出る権利得たけど出るきないよな?」
「ああ、今さら元のクラスに戻ってまた、ボッチ化するよりここの方がいい。だが、殺せんせーはどうする? 逃げんのか?」
「言ってやるなよ。比企谷ぁ~、先生。殺されるのが怖くて仕方ないんだから」
するとクラスのやつらが「なーんだ、殺せんせー怖かったんだぁ~」と怒らせる。いいぞ~。
「にゅにゃー‼ 逃げるわけありません‼ 期末テストでリベンジです‼」
こうして、期末テストでのリベンジを掲げて殺せんせーは残留となった。
そのあと、俺の携帯の登録番号が一気に増えたのだった。
テスト編でした。
カルマ君とヒッキーのひねくれ&いたずらコンビ。以外と行けるかも!
次は修学旅行編へ行きまーす。