集会があった日の放課後。クラスの比企谷君が殺せんせーを引き留めた。
「殺せんせー、悪いんですけど、ちょっと来てもらえませんか?」
「ニュ? 比企谷君。君が話しかけてくるなんて珍しいですね? わかりました」
殺せんせーと比企谷君は教室を出ていった。
「へえ、彼、殺るきみたいだね」
カルマ君が言う。
「ケッ、どうせ失敗するっつの」
寺坂君も言う。確かに比企谷君が暗殺を成功するとは思えないのは事実だ。すると……
「ん? なんだこりゃ?」
前原君が机からなにかを出した。
「えっと……『わたくし、比企谷八幡は地球破壊生物(殺せんせー)の暗殺に成功し命を落とした場合、前原陽斗に賞金の内、3億円を寄付します』? なんだこりゃ?」
すると他の人の机からもつぎつぎと出てくる。僕の机からも……比企谷君の机からは妹さんに寄付すると書かれた紙があった。
「おい見ろ! 教卓に烏間先生とビッチ先生の分もあるぞ!」
ここにも同じような紙が置いてある。比企谷君が置いていったものだろう。
「まさか比企谷君。カルマ君みたいに心中覚悟で暗殺する気じゃ……」
「いや、多分マジで死ぬ気だね」
「ど、どうして?」
「だって彼、制服中に対先生用BB弾はっつけまくってたし、あれじゃ殺せんせーは比企谷を助けられないね」
そ、そんな……
僕らは全員、教室を出て比企谷君と殺せんせーのもとへ向かう。
ドガァ!
前にカルマ君が暗殺に使った崖の方からそんな音が聞こえて僕らは向かう。すると、殺せんせーの触手に包まれた比企谷君がいた。
「ヌフフ、比企谷はさすがですね。先生が脱皮を使えないこともわかってこんな作戦を実行するなんて……」
殺せんせーも降りてくると比企谷君が目を覚ます。
「あれ? 俺、どうやって?」
「ヌフフ、君の暗殺は見事でした」
殺せんせーが言うには比企谷君の暗殺はカルマ君の作戦と僕と寺坂君の作戦の合わせ技の用なものだったらしい。殺せんせーはダメージを受けることを覚悟で比企谷君を助けたらしい。
「クラスのやつらはなんでここに?」
「理由はこ、れ!」
そう言ってカルマ君が比企谷君にメモを見せる。
「『わたくし比企谷八幡は地球破壊生物(殺せんせー)の暗殺に成功し命を落とした場合、赤羽業に賞金の内3億円を寄付します』だって、つまり死ぬ気だったわけ? 遺産分配かっつの!」
「比企谷。なんでこんな方法とったんだ」
磯貝君も比企谷君に聞く。
「別に、ダメ元だったが万が一の可能性を考えて賞金を分配しておいただけだ」
万が一でも死ぬ気だったわけにはかわりない。そして比企谷君は言う。
「問題を解決するにはなにかが犠牲にならなければいけない。犠牲になれば誰かが悲しむことになるが、俺が犠牲になっても誰も傷つかない。実質ノーリスクだ」
その言葉に片岡さんは「なんでそういえるのよ」と反論する。
「誰も悲しまねえよ。エンド落ちで家族からも見放されて、友達も一切居ない。本校舎の平塚先生は心配くらいはしてくれるかと思ったがもういない。なら、誰がいる?」
僕は最初、言葉がでなかった。僕にも覚えがある。E組に落ちて、本校舎の友達には見放され、親も期待を失っている。僕らはE組で友達になるけど、だけど比企谷君は違う。本校舎でもE組でも比企谷君は基本的に一人だ。すると殺せんせーは言う。
「ヌフフ、比企谷君。君はまず人との繋がり方から教える必要がありそうですねぇ~」
そして先生はいい放つ。
「比企谷君。君は友達が要らないと言うなら、作らなくてもいいのです」
「「「え!?」」」
殺せんせーの台詞にみんなが驚く。
「不思議に思うかもしれませんが、別に驚くことではありません。何故なら先生も友達はいませんからね」
殺せんせーの顔が真っ白になった。
「よく考えてみてください。先生には本当に友達はいません。烏間先生とイリーナ先生は教師としての同僚。君たちは教え子ですからね、先生に友達はいません。しかし、比企谷君には先生が孤独に見えますか?」
比企谷君は言葉につまる。確かに殺せんせーは友達はいないかもしれないけど……
「比企谷君。友達はいなくてもいい、ですが人と人との繋がりかたは『友達』だけではない。『仲間』『同士』他にもいろいろな言い方があります。そして君たちは『暗殺者』という共通点があります。友達という言い方にこだわる必要はありません。でもね一人では先生は殺せません。だから見つけて下さい、君なりの人との繋がりかたを」
すると比企谷君は、何かちからが抜けたように倒れ混む。
「参ったよ殺せんせー。しかし、俺が言い負かされる先生は平塚先生だけだと思ってたのに……なんか悔しいな」
カルマ君も言う。
「アハハ、殺せんせー。面白いこというね、てか比企谷君酷いなぁ~、俺は君のこと友達だと思ってたんだけど……」
「そうだよ! 確かに比企谷君はクラスの何人かにヒキタニ君って間違われてるけど、比企谷君が犠牲になったらクラスメイト全員が悲しむよ! だからもう絶対にこんな遺言みたいなことは辞めてよ!」
比企谷君はしかたなさそうに答える。
「わかったよ、善処する」
ぼっちな彼も、ここでは立派な暗殺者。
この日を境に比企谷君はクラスで「ヒキタニ君」と呼ばれることがなくなった。
ほとんど同じ内容で投稿してしまいました。
手抜きですみません。でも渚目線って難しいですね……
次はテスト編です。