暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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百三時間目 意見の時間

冬休み……

「お兄ちゃん、どうしたの? 冬休み入ってからなんか去年のごみぃちゃんに戻ったみたいだよ?」

家でゴロゴロ過ごしていると、小町から言われた。

「……あー、なんだ。高校受験のノイローゼでな……」

嘘だ。本当は殺せんせーの事で悩んでいる。

殺せんせーの真実を知ったことで、俺らは誰一人、暗殺作戦を口に出せなくなった。

「ふーん、なら、本校舎に戻ってくれば? それなら高校受験しなくていいでしょ?」

「もう間に合わねぇよ。それに志望校も滑り止めももうほぼ決まってるのに戻れるか。高等部いくには赤羽みたいに最終試験枠だろが」

すると小町は……

 

「じゃあ、本当の悩みを受験を言い訳に誤魔化すのはやめなさい」

 

……と。

「な、にゃんのことだ?」

「ごみぃちゃんが何に悩んでるのかは小町は聞かないよ。でもそれが受験の事じゃないってのはわかるよ。でも去年の雪乃さんや由依さん、浅野さんとの揉め事見たいに拗れてそのまま終わってほしくないよ」

「ああ、そうだな……」

去年の宿泊研修の戸部と海老名さんの二つの依頼、俺は『海老名さんに嘘告白』という方法で丸く納めた。が、その嘘告白は思っていたよりも大きな亀裂となった。

その事が切っ掛けにその後あったとある後輩の依頼でも生徒会選挙で『浅野を生徒会長にする』という俺の勝手な方法で奉仕部はほぼ崩壊した。そして、俺は数学で最下位を取りE組行きの決定打となった。

「まあ、なんだ。2月までには何とかする」

俺はそう言って、話を濁した。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

3学期開始。クラスの空気はE組に来たばかりの3月よりも重い。殺せんせーはいつも通りだが、烏間先生やビッチ先生ですら少しナィーブな雰囲気だ。

クラスがしぃぃん……となっていると、ビッチ先生は俺らに言う。

「一番愚かな殺し方は……感情や欲望で無計画に殺すこと。これはもう動物以下。そして次に愚かなのは……自分の気持ちを殺しながら相手を殺すこと。私のような殺し方をしてはダメ、金の代わりに沢山のものを失うわ。散々に悩みなさいガキ共、あんた達の中の……一番大切な気持ちを殺さないために」

ビッチ先生はそう言って、教室を出ていった。

そして放課後。なんと、潮田がクラス全員に集合をかけた。

「ごめん、みんな……でもどうしても提案したくて」

提案? まあ大体は予想つくが……

 

「できるかどうかわかんないけど、殺せんせーの命を……助ける方法を探したいんだ」

 

やっぱりか……潮田なら言うと思った。

助ける……つまりは3月に爆発しない方法を探すと言うことだ。しかし……

「もちろん、アテも無いけど……あの過去を聞いちゃったら……もう今までと同じ暗殺対象としては見れない。皆もそうなんじゃないかな」

確かにそうだ。だが……

「3月に地球を爆破するのも先生本人の意思じゃない。もともとは僕らと大して変わらないんだ。僕らと同じように失敗して悔いて、生まれ変わって僕らの前に来た。僕らが同じ失敗をしないようにいろんな事を教えてもらった。なにより一緒にいてすごく楽しかった。そんな先生を殺すより先に助けたいと思うのは自然だと思う」

潮田が言い終わると――

「わたし、さんせい~~! 殺せんせーとまだまだたくさんいきもの探したい!」

「渚が言わなきゃ私が言おうと思ってた。恩返し、したいもん」

倉橋と片岡が賛成する。続けて原、杉野、不破、海老名さんと賛成組が増えていく……俺は……

「俺は――「こんな空気の中言うのはなんだけど……私は反対」反対だ」

中村が、俺の台詞に被せてきた。俺が言おうと思ったのに……こういう空気読めよ発言の役目は俺の役目だろ……

「中村さん……比企谷君……」

すると寺坂、吉田、村松、堀部と反対組に来る。

「助けるって言うけどよ、具体的にどーすんだ? あのタコを一から作れる知識が俺等にあるならまだしも、奥田や竹林の科学知識でさえ、せいぜい大学生レベルだろ」

「ただでさえ、冬休みっつー、最大のチャンス逃してんだ。それで探すだけ探して時間切れになったら一貫の終わりだ」

「俺らだって考えなかったわけじゃねえよ。だけどよ、つけた力を使わずタイムリミット迎えるなんてそんな半端な結末で、半端な生徒であのタコが喜ぶと思うか?」

そして続けて言い出したのは……

「才能のある奴ってさ、なんでも自分の思い通りになるって勘違いするよね」

赤羽だ。

「ねえ、渚君。ずいぶん調子に乗ってない?」

潮田は戸惑っている。思っても見ない事を言われたからだろう。

「E組で一番暗殺力があるの渚君だよ? その自分が暗殺やめようとか言い出すの? 才能が無いなりに必死に殺そうと頑張ってきた奴等の事も考えず。それって例えるならモテる女がブスの女達に合コンで『たかが男探しに必死になるのやめようよ~』とかいってる感じ?」

なんだ? そのビッチ先生のような例えは……言いたいことはわかるが……

「そ、そんなつもりじゃ……第一、暗殺力なら、僕なんかよりカルマ君や比企谷君の方がずっと……」

この潮田の発言には、俺も少しカチンと来た。謙遜はいきすぎると嫌みと同等の言葉になる。潮田はわかってないな。

「そういうこと言うからイラつくんだよ。実は自分が一番……力が弱い人間の感情理解してないんじゃないの?」

「違うよ! そーいうんじゃなくてもっと正直な気持ち! カルマ君は殺せんせーの事嫌いなの? 映画一緒に見に行ったり……色々楽しかったじゃん!」

「だぁから! そのタコが頑張って、渚君みたいなヘタレ出さないために楽しい教室にしてきたんだろ! 殺意が鈍ったらこの教室成り立たないからさぁ! その努力もわかんねーのかよ! 体だけじゃなく頭まで小学生か!?」

潮田はこの発言でカチンと来たみたいだが……潮田には赤羽や寺坂のような怒りを暴発するようなことはない。潮田は殺意を表情だけに集中する。

だが、赤羽は殺意を理解してしまっている。

「え、なに、その目。小動物のメスの分際で人間様に逆らうの?」

赤羽は潮田をどつく。

「文句があるなら一度でもケンカに勝ってから言えば? ほら、受けてやるから来いって。ホラ、ホラ」

ドン、ドンと赤羽は潮田をどつく。そして、赤羽が潮田のネクタイをつかんだのを見越してその掴んだ腕を潮田は自身の小柄な対格と軽い体重をいかして、首と腕を絞めた。

「と……飛びつき三角絞め!」

寺坂が驚いている。なるほど、そういう技なのか……

潮田の奴……烏間先生から護身術を習っていたが、ここまで上手く決めるとは……

「僕だって……半端な気持ちで言ってない! 力ずくで言うこと聞かせって言うなら……」

潮田の絞めは上手く決まっていたが……所詮はその程度。暗殺ならともかく、E組の中でもトップクラスの戦闘力の赤羽にかなうわけがねぇ……

赤羽も怒りが増したか、赤羽からも殺意が暴発してきた。

それに気がついた磯貝、前原、杉野が止めに入る。

磯貝と前原は赤羽を押さえるが、バカ力で二人係でも押さえるには一苦労だ。かたや、潮田はジタバタ暴れてはいるが、杉野一人で十分に押さえられている。

すると……

「中学生のケンカ、大いに結構! でも暗殺で始まったクラスです。武器で決めてはどうでしょう?」

 

…………………………

 

『『『事の張本人が仲裁案を出してきた!』』』

 

何となく、そうなるそうな気はしていたが……本当にそうなるとは……

「なんで最高司令官のコスプレなのよ」

「ヌルフフフ、これに似合う格好をと思いまして」

殺せんせーは赤と青箱とそれに入った銃やナイフ。あと、色のついたBB弾が……

「二色に分けたペイント弾とインクを仕込んだ対先生ナイフ。チームわけの腕章と旗を用意しました」

そうか、そういうことか。殺せんせーは言い放つ。

「先生を殺すべき派は赤。殺すべきでない派は青。まずは全員がしっかり自分の意思をのべて、どちらかの武器を手にとって下さい」

つまりは殺せんせーは俺らに殺し合い(疑似)をさせようって事か……

「この山を戦場に赤チーム対青チームで戦い、相手のインクをつけられた人は死亡退場。相手チームを全滅か降伏させるか、敵陣の旗を奪ったチームの意見を……クラス全員の総意とする! 勝っても負けても恨みっこなし! どうです?」

どうですって……殺せんせーは俺らがモメている理由がわかってるのか?

「楽しそうだな殺せんせー、自分の生死に関わる問題なのに……」

「ここに来て力技で決めるのかよ……」

「多数決でも良いんですが、それも一種の力技です。この方式でも多人数有利は変わりませんが、この教室での一年の経験をフルにいかせば人数や戦力で劣るチームにも勝ち目がある」

確かにな……

「先生はね、大事な生徒達が全力で決めた意見ならそれを尊重します。もっとも嫌なのは、クラスが分裂したまま終わってしまうこと、先生の事を思ってくれるなら、それだけはしないと約束してください」

磯貝が全員の確認を取り。クラス戦争を行うことが決定した。




次回はいよいよクラス対決編。
頑張って投稿します。

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