暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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九十五時間目 解雇の時間

最後のテストが終わり、殺せんせーは俺らに言う。

「さて、皆さん。晴れてE組をぬける資格を得たわけですが……この山から出たい人はまだいますか?」

それを聞きますか?

「いないに決まってんだろ」

「二本目の刃はちゃんと持てたし」

「こっからが本番でしょ。この教室は」

ま、そうだよな。こんなに殺しやすい環境はない。

「ヌルフフフ、あくまでいばらのみちを選びますか……いいでしょう。ごほうびに君たちに先生の弱点を――」

殺せんせーが言いかけた瞬間――

 

ドッ! ガシャアッン!

 

そんな大音と揺れが校舎に起こった!?

窓の外を見ると、二台の重機が校舎を解体作業していた。

近くに理事長まで居るぞ!?

「退出の準備をしてください。今朝の理事会で決定しました。この校舎は今日を以て取り壊します」

なんだと!? じゃあ俺らはどこで授業受けろって言うんだ!

「君たちには来年開校する系列学校の新校舎に移ってもらい、卒業まで校舎の性能試験に協力してもらいます」

新校舎?

「そこは監視システムや脱出防止システムなど、刑務所を参考により洗礼された新しいE組です。牢獄のような環境で勉強できる。私の教育理論の完成形です」

なんだと!? ふざけんな!

「今さら移れって……」

「嫌だよ! この校舎で卒業してぇよ!」

全くだ!

「どこまでも……自分の教育を貫くつもりですね」

殺せんせーが言うと、理事長は……

「……ああ、勘違いなさらず」

懐からなにかを出した――あれは!?

「私の教育にもうあなたは用済みだ。いまここで、私があなたを殺します」

殺せんせーの解雇通知だった!?

「こ、殺せんせーの解雇通知!?」

つ、ついに禁断の伝家の宝刀……もとい最強のジョーカーを出してきやがった……!?

――しかも……

 

「はわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」

 

『『『そんでこれ面白いほど効くんだよ、このタコには!』』』

……超生物がデモに訴えていた……

くそ、ここで殺せんせーをクビにされたら俺たちはせっかく得た本校舎復帰の権利を棄てた意味がなくなっちまう……

すると理事長は……

「早合点なさらぬよう!これは標的を操る道具に過ぎない」

操る道具? 理事長は解雇通知を懐に戻して言う。

「あくまで私は、殺せんせー。あなたを暗殺に来たのです。私の教育に不要となったのでね」

そのあと、理事長は取り壊しを中断の指示をだし、俺らを全員校舎の外に出させた。

現在、校舎内には理事長と殺せんせーのみ。

理事長は机を5つ並べ五教科の参考書を置いた。

「……さて殺せんせー。もしも解雇が嫌ならば、この教室を守りたければ、私とギャンブルをしてもらいます」

……ギャンブル? 理事長はさらに手榴弾を5つ出した。

「この手榴弾の内、四つには対先生弾が、残り一つには火薬が入った対人用。どれも見た目や臭いでは区別がつかないようにできています。ピンを抜いてレバーを起こせば爆発します」

理事長はピンを抜いてレバーが起きないように参考書に挟んだ。

「これを開き、ページの右上の問題を一問解いてください」

なんだと!?

「そんなの、開いた瞬間レバーが起きて……」

「そう、ほぼ確実に爆発を食らいます。しかし、殺せんせーはマッハ20ですから爆発前に解いて閉じる事も不可能ではない。もちろん、解けるまで一切動いてはいけませんよ。順番はあなたが先に4冊解き、残った一冊を私が解きます」

はぁ!?

「このギャンブルで私を殺すかギブアップさせれれば、あなたとE組がここに残るのを認めましょう」

待て待て待て!?

「殺せんせーが勝てる確率がいくつあると思ってんだ!?」

「では、寺坂くん。式から答えて見てください」

寺坂は考える。

「対先生弾が爆発してもあんたは死なねえから4/5×3/4×2/3×1/2=1/5 つまりは20%だ」

「正解」

そう、つまりは殺せんせーが勝てる確率は僅かそれだけしかも……

「もし、殺せんせーが対先生弾の手榴弾が残ってそれを理事長がくらっても怪我はするが死なない上に降参する気も理事長にはないから圧倒的に理事長が有利! その上殺せんせーが解雇通知で逆らえない。不公平過ぎじゃね?」

俺が言うと、理事長は……

「君には去年も教えたはずだがね、比企谷君。社会に出たらこんな理不尽は連続だとね。だから私は君たちには強者になれと教えているんだよ」

殺せんせーは解雇に怯えながらも机に向かう。

「さあ、チャレンジしますか?」

殺せんせーは……

「……もちろん、やりましょう」

殺せんせーは、数学の参考書の前に座る。

……殺せんせーのスピードなら出来るハズだ……

と、思ったが……

 

ばっ! バァァンッ!

 

一問目、爆発。そんな……殺せんせーは触手が溶け、頭が洋なしみたいになった。

理事長は再生する前に次をやれと解雇通知を出して指示……

「弱者は暗殺でしか強者を殺せないが、強者は好きなときに好きなように弱者を殺せる」

くそ、やっぱりテンパりやすい殺せんせーじゃ、このギャンブルは無理なのか……

殺せんせーは社会の参考書に手をつけた。

 

ピシッ!

 

ん? 何が起こった?

参考書の上に紙が置かれた。

「はい。開いて、解いて、閉じました」

なんだと!?

「この問題集シリーズ……ほぼほぼどのページにどの問題があるか覚えています。数学だけ難関でしたね、矢田さんと比企谷君に長く貸していたので……」

あ、そういえば、借りてた……てかたまたま理事長が持ってきた参考書を殺せんせーが?

「教師になると決めてから日本全国全ての問題集を覚えました」

マジか!? 流石マッハ20の殺せんせー……

殺せんせーは国語と理科の参考書も一瞬で終わられた……

理事長の目の前には死が……

どうする理事長……




次回は理事長視点から。

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