【完結】京‐kyo‐ ~咲の剣~   作:でらべっぴ

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決着は実際に作者がアガった手筋です。


「開眼」

南一局1本場 親美穂子 ドラ{⑤}

 

 

読みで長野個人一位を上回ると改めて決意した京太郎、その配牌。

 

{四九九①②④⑥36南北白発}

 

目を覆いたくなるようなボロボロの五シャンテン。

対して親の美穂子の配牌。

 

{二三赤⑤赤⑤⑤⑥⑦1378東西白}

 

なんとドラ爆の配牌リャンシャンテンである。

下手すると序盤で親倍をアガリそうな手牌だった。

 

(配牌ドラ5。これは、決定打になるわ……)

 

そんな確信の元、美穂子の第一打は{西}。

 

{二三赤⑤赤⑤⑤⑥⑦1378東白} 打{西}

 

そして西家京太郎の第一ツモ。

 

{四九九①②④⑥36南北白発} ツモ{⑧}

 

嵌張受けが増えただけでシャンテン数の変わらぬ{⑧}だ。

 

(これはきつい……)

(役牌重ねるくらいしかする事ないなー)

(私ならチートイ考えながらオリってとこっすね)

(さて、何を切る? どれを切っても正解で、どれを切っても不正解になりそうだが……)

 

背後でギャラリーが好き勝手な事を考えてる中、両目に碧の炎を宿した京太郎は、

 

{四九①②④⑥⑧36南北白発} 打{九}

 

でスタートした。

 

({九}だと!?)

(いきなりシャンテン数落とすっすか!?)

(それは一番ないと思ってたなー)

(なんだぁ……? 配牌オリにしちゃまずはドラ傍周りからの筈……)

 

ゆみ、桃子、智美、貴子が首を傾げつつ、五順経過。

六順目の美穂子手牌。

 

{二三四五赤⑤赤⑤⑤⑥⑦⑧78白} ツモ{④}

 

{④}をツモり、{白}を切れば八面受けのイーシャンテンになる。

 

(思ったより時間がかかる。でも三順以内には必ず張るわ)

 

当然の打{白}だ。

瞬間、京太郎の両目が火力を増した。

 

(手の内の孤立した役牌を切ってきた。おそらく多面受けの好形イーシャンテン。ドラもごっそり持ってやがる。そろそろ限界だな)

 

六順目のツモは{北}。

 

(よし、絶好!)

 

京太郎は自身の運が切れてない事に安堵する。

 

{四七九②③④⑥⑧56北白発} 打{北}

 

そしてそのままツモ切り。

 

(なぜテンパイへ向かわない!?)

 

と、ゆみだけでなく他の三人が思った瞬間、

 

「ポン」

 

下家の未春が発声した。

当然、美穂子の読みが加速する。

 

(これで下家はイーシャンテン。対面の手は、左三枚が配牌から動く気配のない字牌、多分{発}が配牌暗刻。右三枚の萬子も完成してる)

 

しかし、京太郎の牌姿だけおかしな読み方をしていたが。

 

(須賀君もイーシャンテンだとは思うけど、張っていれば本命は{47}ね)

 

京太郎は美穂子の脅威的な読みを逆手に取り、第一打から必死になって幻想を植え付けていた。

間違いなく美穂子だからこそ通用したブラフであろう。

そして七順目、美穂子が無駄牌をツモ切り。

偶然ではあろうが、この時、絶好のテンパイ牌である{6}が華菜へと食い流れていた。

そんな必死な京太郎の七順目のツモ。

 

{四七九②③④⑥⑧56北白発} ツモ{②}

 

引いてきた{②}を手の内に入れ、

 

{四七九②③④⑥⑧56北白発} 打{②}

 

手牌にあった{②}を切る。

つまり空切りだ。

 

(筒子が整理された。間違いなく張ったわね。でもその{②}は……)

 

美穂子が僅かに顔をしかめた。

 

「チー」

 

なぜならこれで、未春もテンパイを入れてしまったからだ。

未春手牌。

 

{二三四五六⑨⑨} {横②③④} {横北北北}

 

本来薄い筈のドラスジを処理して、{一四七}の三面待ちテンパイ。

 

(まさかこの手で先制されるとは思わなかったわ。しかも二人も……)

 

それはそうだろう。

まだ七順目だ。

それで二人もテンパイされたら親は不運を嘆くしかない。まあ片方はブラフなのだが。

そんな溜息を吐きそうになる美穂子の八順目ツモ。

 

{二三四五④赤⑤赤⑤⑤⑥⑦⑧78} ツモ{③}

 

{③}引きでテンパイした。

 

(なんとか追いついたわね)

 

ホッと安堵し、打{二}。

 

{三四五③④赤⑤赤⑤⑤⑥⑦⑧78}

 

{69}待ち。出アガリダマ跳。{6}をツモれば親倍の超巨大手だ。

しかし、

 

「ロン」

 

京太郎がツモ切った{一}に未春が発声。

その声に京太郎はヘラリと苦笑いする。

手の内から{四}を差しこもうと思っていたが、ちょうどいい牌がきたのでそのままツモ切ったのだ。

 

「1000の一本場は1300です」

「あ、はい」

 

美穂子に意図を気付かれないようにする為とはいえ、引きつった困り顔は恐ろしく下手くそだった。

 

「なにがキャプテンに勝つだし。いきなり負けてるし」

「あはは……」

 

華菜の揶揄にも乾いた声をだすのだが、美穂子の顔がポカンとなっている。

そんな顔を見ながら『”ハア?顔”のおもちは愛らしいな』と、新たな発見に頬が緩んだ。

 

(そうか、元々差しこんで親を蹴るつもりだったのか……)

(手筋が変だったのはミッポを騙す為かー)

(うわ、下家さんの手牌にもドラがないっす。どう考えても対面に固まってたっすね)

(オイオイ、マジでこのガキの師匠ってのはナニモンだあ? こんなの初心者に仕込むには時間が足りねえだろが、時間がよぉ)

 

後ろで納得する面々を余所に、美穂子が声をかけた。

 

「大丈夫、須賀君? もしかして疲れたのかしら?」

 

これは別に大物手を蹴られた嫌みとかではなく、心優しき清き少女は本心から京太郎を心配しているのだ。

 

「いえいえいえ! 師匠の教えを自分なりに解釈したら振り込んだだけですから! 全然元気ですんで!」

「そ、そう? それならいいのだけれど……、何かあったら遠慮なく言ってちょうだい」

「う、うすっ、ありがとうございます」

 

あまりに心が清過ぎて、恐縮してしまったのはご愛嬌だろう。

 

”いいか、テンパイした者を注視するのではなく卓全体を掌握しろ”

”……さ、三人の手を同時に読めって事っすか?”

”状況も流れも心理も思惑も情報も運も、卓上に渦巻いているもの全てだ”

 

京太郎はこの教えに従い、状況や情報を掌握し、相手の読みをズラせないか試してみたのだ。

 

(きれいなおもちに嘘吐いたみたいで気分良くないけど、だいたいの感じは掴めたな。相手をうまくミスリードできれば操れる)

 

現時点での地力が及ばない以上、『福路美穂子』へ直撃かますには総力戦にもっていくしかない。

師から教わった『読み』が、ただ情報だけを読むのではない事を思い出し、京太郎は次のステージへと上がる。

長野一位の脅威的な力が押し上げてくれたとも言えるだろう。

 

「じゃ、次は池田さんの親ですね。サイコロどうぞ」

 

南一局1本場。この時、京太郎は確かに美穂子の上をいった。

それに気付いているのは自身と後ろの四人のみ。

 

「よーし、この親でお前を吹っ飛ばしてやるし」

「いえ、アガらせませんから」

「生意気言うなし!」

 

京太郎は確かな手ごたえを感じ、場は南二局へと進む。

 

 

南二局0本場 親華菜 ドラ{北}

 

 

「あら、ごめんなさい。仮テンをツモってしまったわ。ツモドラドラ。1000・2000」

「早っや!? 読みとかまるで関係ねえ!」

「早過ぎて何もできません……」

「うえぇぇ、華菜ちゃんの親が四順で終わったしぃ」

 

華菜の親番は光の速さで過ぎ去った。

長野個人一位の運は凄いのだ。

 

 

南三局0本場 親京太郎 ドラ{南}

 

 

そして、いろいろと試しながら直撃を奪おうとする京太郎の南三局、九順目。

 

(マズイな……、多分福路美穂子はもうテンパッてる。待ちは{2}か{3}で三色。しかも左二枚の字牌、あれドラだわ……)

 

ドラの{南}を頭に、勝負手を張っていると予測した。

そんな美穂子の手牌はこれ。

 

{三四五③④⑤13345南南}

 

集中力が高まりまくっている京太郎の読み通り、{2}で三色のテンパイ。

{南}引きか、もしくは索子の形を変化させる為にダマテンである。

{2}は場に一枚見えていた。

 

(なんとか索子の下に照準を合わせたいんだけど……下手すると俺が打ちこんじまう)

 

と考える京太郎の手はこうだ。

 

{七八九①②③11399東東}

 

チャンタイーシャンテン。

しかし美穂子の待ちを読み切れず、{3}の処理で苦しんでいた。

 

(ふふ。困っているわね、須賀君。ならその{3}、通してあげる)

 

京太郎同様、完全に集中している美穂子の九順目のツモ、なんと三枚目の{南}。

 

{三四五③④⑤1345南南南} 打{3}

 

そして{1}単騎待ちに切り変えた。

 

({3}!? つまり今は{1}単騎!? なんだそれ!?)

 

こちらが楽になるだけの打牌に意図が読めず、京太郎が驚く。

が、次の華菜の凄まじい鬼引きにもびっくりだ。

 

{①①①赤⑤赤⑤⑥⑥⑥⑧⑧北北南} ツモ{⑤}

 

メンホンのツモリ四暗刻テンパイ。

 

(きたし! {北}は枯れちゃってるからリーチはしないけど、出アガリでも倍満! というかツモってコイツに親被らせるし!)

 

意地悪な事を考えつつも、当然{南}を切る。

 

{①①①赤⑤赤⑤⑤⑥⑥⑥⑧⑧北北} 打{南}

 

{⑧北}待ちだが、{北}は場に二枚でているのでダマに受けた。

というか、こんな手をもらったら待ちが丸生きでも普通はダマだろう。

華菜ちゃんはちょっとオツムが足りないので、もしかしたらダマ数え役満でもリーチするか悩んでしまうのかもしれない。

 

(おいおい、池田華菜まで張っちまった。しかもまたクソデケェ手……多分待ちは筒子の上。{⑧⑨}辺り掴んだら死ぬな……)

 

とかなんとかうんざりしてると、京太郎もテンパッた。

 

{七八九①②③11399東東} ツモ{東}

 

十順目のツモは{東}。

 

{七八九①②③1199東東東} 打{3}

 

{1}は美穂子に打ち込んでしまうので、もちろん{3}を切る。

 

(けど福路美穂子は何考えてんだ? その{1}単騎、下家が一枚持ってるから純カラだぞ……?)

 

その通り。京太郎が二枚、美穂子が一枚、未春が一枚使っているので、もう{1}はないのだ。

 

(しかも俺のアタリ牌だから動かせねえし……、なんで俺のアタリ牌を残したんだ?)

 

まるでわざとこちらの待ち牌に合わせたようで、なんだか気持ち悪い。

 

(吉留未春は三色とイッツーの両テンビン……あっ!?)

 

と、ここでようやく気がついた。

 

(まさか俺にも{3}を切らせたかったのか!?)

(麻雀は二人の勝負ではないわ。四人でやるものよ、須賀君)

 

美穂子が{3}を切り、それに合わせて京太郎も同じく{3}切り。

連続で捨てられる{3}を見た未春の思考はこうだ。

 

(多分キャプテンの手の中にもう一枚{3}がある。イッツーは待ちが薄い)

 

十順目の未春の手牌。

 

{七八九⑦⑧1224赤5679} ツモ{⑦}

 

なんという不運な少女か。

イッツーを選択するといつかは打{⑧}で死ぬ。

三色を選択しても打{1}で死ぬとは、かわいそうにも程があるだろう。

 

({3}がないし、華菜ちゃんにも筒子が打ちにくいしね)

 

場に連続で{3}が出てきた為にイッツーを諦め、三色固定の五面受けイーシャンテンを選択してしまった。

 

{七八九⑦⑦⑧224赤5679} 打{1}

 

「ロン」

「あうっ」

 

美穂子の注文通りだ。

 

「役牌三色ドラ3で、12000ね」

「{1}単騎ッ!? さ、さすがキャプテンです……」

 

アタリ牌を引きずり出された未春はうな垂れるしかない。

 

「ギリギリまでイッツーの可能性を残したかったのは分かるけれど、少し欲張りすぎたわね」

 

そんな彼女に美穂子は元キャプテンとして指導する。

もちろんニッコリと優しく、諭すようにだ。

きっと他人を不快にさせる機能をお母さんのお腹に置いてきてしまったのだろう。

 

「ハイ……。私からは{2}が三枚見えているので壁を過信しすぎてしまいました……」

「ええ。それが分かっているなら、吉留さんはまだまだ強くなれるわ」

「はい、キャプテン」

「……あ、あのね? 私じゃなくて、今は華菜がキャプテンよ?」

 

美穂子はちょっと困った顔で訂正する。

 

「そ、そうでしたね、そういえば」

「全然いいんですよ! キャプテンはずーっとキャプテンです! 一生キャプテンでいてください!」

「な、何を言ってるのかわからないわ、華菜……」

 

華菜は美穂子が大好きなので、特に脳を使う事なく、隙あらば会話に混ざろうとするのだ。

そんな仲良し風越部員達のやりとりを聞きながら、京太郎は歯を食いしばっていた。

 

(くそっ、まんまと利用された……。あの打{3}、あれで俺の打牌を操作して吉留未春の思考を誘導したんだ)

 

そう、これこそが福路美穂子の真骨頂だろう。

凄まじい読みを元に、他者の打牌を誘導して自身のアガリへと結びつける。

気付けば、卓上の全員美穂子の掌の上だ。

 

(読みの深度では負けてないのに、どうしても一手負けちまう……)

 

京太郎は視線を落とし、頭ハネで上家取りされた同テンの手牌を僅かに見た後、牌を伏せた。

 

(さすが長野個人一位。南一局1本場で須賀君が上かと思ったんだが、やはり強い……)

(これは須賀少年悔しいだろうなー)

(やりたい放題は向こうも一緒っすね)

(経験の差がでちまったな。こればっかりは数こなすしかねえ)

 

と背後の面々が改めて美穂子の力を再確認していると、またも華菜の揶揄が飛んだ。

 

「やっぱりキャプテンの勝ちだし。身の程知らずもほどほどにするんだな」

 

美穂子の手柄を我が物顔で偉ぶる華菜は、やはりうざかった。

これにはさすがの京太郎もイラッとする。

 

「はい。池田さんみたいに簡単には倒せません」

「なあっ!?」

 

だからニッコリ言ってやった。

 

「い、一年のくせに本気で生意気だし! というか倒されてないし! まだ終わってないのにもう勝ったつもりか!」

「それ、そのまんま俺が言いたい事っすよ」

「華菜ちゃんはいいんだし!」

 

しかし華菜ちゃんはお馬鹿なので打てば響く。

 

「キャプテンがお前なんかに振り込むわけないだろ!」

「もう、華菜。須賀君に酷い事言っちゃ駄目よ」

「華菜ちゃんが悪かったし。お前も最後まで頑張って打つし」

「ほんとに何なのこの人!?」

 

恐ろしく響くのだ。

美穂子が諭せばこの通りである。

京太郎が華菜の恐ろしさに戦慄しつつ、越えるべき壁へと宣言する。

 

「これで17900点差ですね。でも跳満程度の直撃で逆転できますから、正直ホッとしてます」

「まあ。あくまで直撃狙いなのね?」

 

その宣言はやはり美穂子の笑みを呼んだ。

きっと楽しくて仕方ないのだろう。

 

「もちろんです。あなたの読みの上をいく算段もつきました。必ず直撃で俺が勝ちますよ?」

 

名門風越とはいえ、美穂子の読みは他の部員とは次元が違う。

こうやって同レベルでの読み合戦など早々できないに違いない。

 

「なら私は絶対に振り込まないわ」

 

美穂子もまた、麻雀が好きで好きでしょうがないのだ。

 

「次はオーラス。最後の勝負です」

「ええ。全力でやらせてもらうわね」

「はい。皆さんもよろしくおねがいします」

「「「おねがいします」」」

 

泣いても笑っても最後の一局。

京太郎は卓を掌握する事を心に決めた。

 

 

南四局0本場 親未春 ドラ{八}

 

 

京太郎、風越戦最後の配牌。

 

{一一一八八①②89東南北発}

 

七種九牌。しかし、ドラ{八}対子の三シャンテン。

 

(化けそうな手ではあるが、重いな……)

(字牌とドラの対子がどうなるかだなー)

(跳満が必要っすからね。萬子の染め手かチャンタにするしかないっす)

(だがそれだと読まれやすくなっちまう。いい配牌だとはとても言えねえ……)

 

ゆみ、智美、桃子、貴子が見守る中、京太郎の第一ツモ。

 

{一一一八八①②89東南北発} ツモ{八}

 

強烈なドラ引き。これで二シャンテンだ。

 

((((ッ!?))))

 

背後の四人が息を呑む。

これでいきなり三飜クリア。跳満までもう三飜。いや、リーチを数に入れるなら残り二飜だ。

少し長考した京太郎の第一打、

 

{一一八八八①②89東南北発} 打{一}

 

なんと暗刻外しの打{一}。

 

(((ッ!?)))

 

ゆみ、智美、桃子の三人が驚愕する。

 

(そうか、狙いはチートイ。チートイの単騎待ちなんぞ、さすがに読み切れるもんじゃねえからな)

 

貴子だけは京太郎の狙いに気付いたようだ。

しかし、京太郎の次順第二打。

 

{一一}

 

またも{一}。

河に{一}が二枚並んだ。

そして三順目の第三打。

 

{一一一}

 

一体何が起こっているのか、京太郎は河へ{一}を三枚並べるではないか。

 

(なんだそれ!? いきなり手出しで{一}三枚とか何考えてんだし!?)

(ん~? 無理矢理染めてるのかなあ?)

 

華菜が驚き、未春が頭を捻る。

 

(なるほどね。『決め打ち』で河を作って、読み難くするつもりなんだわ)

 

美穂子は瞬時に京太郎の意図を看破した。

しかし、その三順後。

 

{一一一八八八}

 

なんとドラまで三枚河へ並ぶ始末。

 

「「「……………………」」」

 

全員唖然である。

 

(馬鹿だしコイツ。その二面子もって萬子に染めてれば跳満なんてすぐだったし)

(う、う~ん……、でもとりあえず萬子しか出てないわけだし、字牌は簡単に切れないなぁ……)

 

華菜と未春は頭を捻るが、美穂子は必死になって京太郎の意図を探っていた。

 

(極端な捨て牌だけど、間違いなく萬子以外の染め手。{赤⑤}か{赤5}の対子があるチートイツが本命ね。ツモが乗れば高速で張れるわ)

 

最後の読み勝負で読みを放棄するわけにはいかない。

絶対に読み切ってみせると、京太郎が作ろうとしている跳満手を推測する。

 

(私達に字牌を絞らせて時間を作り、メンホンチートイ赤1。もしくはリーチメンホンチートイでこちらの溢れ牌を捕まえるつもりなんだわ)

 

チートイツが跳満に直結しやすい事、そして待ちが読み難い事を考え、京太郎の意図を絞り込んだ。

そして二順後。

 

{一一一八八八}

{二④}

 

七順目に{二}をツモ切りした後の、八順目{④}ツモ切り。

この瞬間、美穂子の目が鋭さを増す。

 

(あの{④}はきっと罠。索子染めじゃなくて筒子のメンホンチートイ)

 

京太郎の思惑を一点読みした。

 

(正体現したし。華菜ちゃんの下家で筒子と字牌が鳴けると思うなよ)

 

ニヤリとほくそ笑む華菜はほんとうざかった。

 

{12233444789南西} ツモ{赤⑤}

 

{赤⑤}を引き、

 

{赤⑤1223444789南西} 打{3}

 

{3}を捨てる。

筒子で一面子作るつもりだ。

さらに二順後。

 

{一一一八八八}

{二④8北}

 

京太郎は手の内から{8}と{北}を切った。

 

(うわ、どうしよう。索子染めか筒子染めか分からないけど、どっちも出た上に字牌まで出てきちゃった)

 

と未春が困る。

 

{三四五五③④⑤2345白中} ツモ{①}

 

しかし、

 

(でも、彼は跳直倍満ツモ条件だから私からはアガらないよね? 三元牌は小三元があるから切れないけど、これくらいなら……)

 

{三四五五③④⑤2345白中} {①}ツモ切り

 

なんとなく押してみた。

親なので、{白中}のどちらかを重ねて三色とかアガってみたいのだ。オーラスで早々オリるわけにもいかないわけだし。

そして十一順目の美穂子。

 

{六七八九九⑦⑧⑨6789発} ツモ{発}

 

{発}を重ねる。

 

(上家と下家の手を読んでもやっぱり本命は筒子の数牌。みんなが絞ってるから読みにくいけど、彼が持ってる字牌は六枚で完成してる)

 

そして{6}を切ってテンパイ。

 

{六七八九九⑦⑧⑨789発発}

 

おそらく{発}は持ち持ちと読み、未春の溢れそうな{五}に狙いを定め、{四七}引きに期待する。

シャボである{九}の方は場に二枚切れな事もあり、筒子の数牌を持ってきたら{六九}切りで回るつもりでもいた。

京太郎の十一順目は{5}ツモ切り。

十二順目の美穂子も{7}ツモ切り。

そして京太郎の十二順目。

 

「リーチ!」

 

ツモ牌を中に入れ、手牌から{②}を叩き切ってリーチ。

 

{一一一八八八}

{二④8北5横②}

 

さあ読んでみろと言わんばかりに、美穂子へ碧炎の視線を飛ばす。

親の未春が『(あ~、結局{白}と{中}切れなかった~)』と内心ガックリしつつ打{五}。

次の美穂子のツモは、{⑥}だった。

 

(これだわ……。{⑥}は華菜の手牌に一枚あるだけ。待ち頃の牌ね)

 

上家の華菜と下家の未春の手牌へチラリと目を向け読みを確認。

さらに捨て牌から完全安牌を探す。

 

({発}は万が一があるけど{六九}は絶対に通る。{八}は純カラ、{九}は場に二枚。完全安牌)

 

読みを終了させ、あとは{⑥}周りを引くだけである。

 

{六七八九⑥⑦⑧⑨789発発} 打{九}

 

美穂子は{九}を切った。

 

「ロン」

 

そして一発で振り込んでしまった。

 

「えっ!?」

 

驚愕が全身を駆け抜ける。

 

「そんな! だってそれじゃ……ッ!」

「俺、初めてなんですよ」

 

驚愕する美穂子に、京太郎はうれしそうに手牌を倒す。

 

「役満アガったの」

「国士……」

「はい。国士無双、32000です」

 

倒された京太郎の手牌。

 

{一①⑨19東東南西北白発中} ロン{九}

 

京太郎が引いてきた牌は順に、{八一白西⑨東二④1北5中}。

 

「跳満作ると思ったでしょう?」

「…………」

 

とても人の悪い笑みを浮かべながら京太郎が言う。

 

「当たり前の条件だとどうしても上いかれちゃうんで、わざと条件不利にして福路さんの読みをズラしてみました」

「…………」

 

美穂子は驚きすぎてあいた口が塞がらないようだ。

一打目からの{一}三連打とリーチで、国士無双が完全に頭から消えていた。

 

「お、お前! 卑怯だぞ! 跳満直撃するって言ってたし! シャミセンだ!」

「言いがかりっすよ。跳直程度で逆転できるからホッとしたって言ったんです。俺別に跳満でアガるなんて言ってませんもん」

「そ、それをシャミセンって言うんだ!」

 

まあ確かに卑怯臭い会話だったので、華菜の怒りも理解できる。

しかし、

 

「あ~ん、もう! 悔しい~!」

 

振り込んだ本人の叫びに遮られた。

 

「なんで跳満に限定したのかしら! 変な読み方しちゃったわ!」

 

美穂子が両手で頭を抱えながら悶絶する。

 

「こ、こいつですよキャプテン! このシャミセン野郎が嘘吐いたんです!」

「? 何を言っているの、華菜? どんな手を作るのかは自由でしょう?」

 

そんな華菜の言いがかりなど、心の綺麗な美穂子に届く筈もない。

 

「こんなに凄い捨て牌を作った須賀君を嘘吐きなんて言っては駄目。怒るわよ、華菜」

「心から悪かったし。華菜ちゃんちょっと勘違いしちゃったし」

「ほんとどうなってんの、この人……」

 

逆に改心させてしまう始末だ。

 

「あの点差でまさか役満を狙ってくるなんて思わなかったわ。完敗よ、須賀君」

 

まさに『そんなん考慮しとらんよ』状態だろう。

 

「ですよねー。まあ、俺も一か八かだったんで、読み勝負に勝ったとも言えないんですが……」

「そんな事ないわ。私は読み切ったと思ってたのに、全然見当違いな読みをさせられてたんですもの。ひどいわよ」

「でもアガれたのは完全に運ですよ? 最終形が{九}待ちでなければ直撃できませんでしたから」

「それも違うわ。確かに麻雀は運の要素が重要ではあるけれど、あなたは確実に私の読みの上をいった」

 

美穂子はとても良い子だ。

だから負けたら負けたと言うし、相手が素晴らしければ素晴らしいと言う。

 

「このオーラス。運も含めて、須賀君は読みでも私に勝ちました」

「ありがとうございます。そう言ってくれるとうれしいです」

「いいのよ。とても素晴らしい麻雀だったもの」

「ちょっ、キャプテンに近づくなし!」

 

相当悔しいが、それでも納得はしているのだ。

そんなニコニコとしている聖母を、京太郎は更に悔しがらせたくなった。

 

「あ、そうだ。南一局1本場の事覚えてます?」

「え……? ええ、もちろん。須賀君が振り込んだ局ね」

「あの時実は、俺の手ボロボロだったんすよ。テンパイと勘違いしたでしょ?」

「嘘!? じゃああれって差し込みだったの!?」

「そっす」

「あ~ん、もう! ひどいわ! 二回も騙したのね!」

「ほんとにヒドイ奴だし! だからキャプテンから5メートル以上離れろし!」

 

『悔しがるおもちも微笑ましいなぁ』と、京太郎のホッコリが止まらない。

 

「第一打{一}の後は、見ていてずっとハラハラだった」

「いきなりドラ3の二シャンテン崩すとかビックリしたよー。ワハハー」

「結果的に、たとえ{北}が鳴けてもテンパイどまりだったすね」

 

終局したので、ゆみ、智美、桃子も話に加わる。

 

「南場はずっと福路さんが場を支配してましたんで、多分真っ直ぐいっても勝てないって思いました」

「なるほどな。それで周りを縛りつつ、福路の読みの土台を壊しにいったのか」

「それでも{一}とドラの暗刻落としって凄いなー。私には絶対できないよ」

「誰にもできないっすよ。できた京さんが変態ってだけっす」

「誰が変態だ!」

 

対局の緊張感が欠片もなくなり、そんなグッドコミュニケーションを展開していると、貴子が口を開いた。

 

「おい、須賀。お前の師匠ってのは誰だ?」

「……え?」

 

腕を組みつつ、鬼コーチはとても恐ろしい眼光を向ける。

 

「たった十日で初心者にここまで仕込むなんざ、一体どこのバケモンなんだって聞いてんだよ」

「うっ……」

 

チビリそうになりつつも、京太郎は口を割らなかった。

 

「い、今はまだ言えません」

「ああん?」

 

が、鬼コーチの前では黙秘権などない。

貴子はどんな手を使ってでも聞き出すつもりなのだ。

 

「おい須賀。テメエ、何でもするって言ったよなあ?」

「うっ……」

「口だけか?」

「そ、そうじゃなくってですね……ッ」

 

進退極まるとはこの事だろう。

京太郎に逃げ場なし。

 

「さ、咲達と互角に打てるようになるまでは、誰にも言いたくないっす」

 

しかしがんばった。

 

「あ? ウチの福路に勝ったってのにそんな口叩くのか? 福路の方が劣るって言いたいんだな?」

「いやいやいやいや! 違います違います! 全然違います!」

「ならどういう意味だ?」

 

慌てて両手を振り否定するも、貴子の目がまたも危険域に突入しようとしている。

 

「し、師匠には、もう咲達とも戦えるって言われました」

「だろうな」

「でも、俺……クリアできなかったんです……」

「あ? クリア?」

 

京太郎は俯きながら言うが、貴子には言ってる意味が分からない。

 

「師匠は最初からクリアできるとは思ってなかったって言ってましたけど、最後の課題を俺、半分しかクリアできませんでした……」

「…………」

 

師が三人分打ち、親連荘なしで京太郎が八回アガリきる。

この特訓、京太郎は二時間で四回アガるのが精いっぱいだったのだ。

 

「今の俺の実力は、きっと師匠が想定してたのより弱いんです」

「…………」

「だからまだ咲達とは打ちませんし、残りの半分を埋めるまでは恥ずかしくって師匠の名前出せませんよ」

「…………」

 

これは京太郎の心残りである。

 

「でも今週中に必ず埋めますから、来週まで待ってください」

 

『The Gunpowder』大沼秋一郎の弟子だと胸を張って言うのは、師の課題をクリアしたと思えてからだ。

 

「……なるほどな」

 

どうしても譲れない事だと分かり、貴子は別の事を聞く。

 

「なら、どんな指導をしたのか教えろ。それで龍門渕と話つけてやる」

「はい? 指導っすか?」

 

京太郎は目をパチクリさせるが、貴子がもっとも興味あったのはそれだ。

もちろん、美穂子達風越部員だけでなく、鶴賀メンバーの三人も興味津々だった。

 

「コーチって立場上業腹だが、さすがに形振り構ってられねえ。清澄の女子部員が全員その『読み』を身に付けたらシャレじゃすまん」

 

なにせ初心者が十日で長野個人一位を上回るのだ。

そんなお手軽特訓があるなら知りたいに決まっている。

 

「ん、ん~、まあそれくらい別にいいっすよ」

 

ちょっと迷ったが、京太郎は了承した。

別段おかしな事をしていた記憶はない。

手積みの牌を使い、二人で四人打ちをしていただけだ。

普通の麻雀だったかと言われると自信はないが、それは師匠がおかしなほどアガリ続けるのでそう感じただけだろう。

 

「まず最初は、牌を手で積むところから始まりました」

「自動卓を使わず手積みという事か?」

「そうです。師匠が九州へ帰るまでの九日間、ずっと手積みで練習してましたね」

「そりゃまた随分とアナログだな」

 

そんな感じで、京太郎は九日間の特訓内容を話す。

しかし、やった事は初日が確認の二人麻雀。

その後から四日間自身が三人分の手牌を見て打ち、残りの四日は師が三人分の手牌を見て打っただけ。

説明するのに五分もかからなかった。

 

「……それだけか?」

「ええ、そうです」

「本当にそれだけなのか?」

「はい。誓ってそれだけです」

 

貴子は京太郎の説明に考え込む。

理屈はなんとなく分かるが、それだけではやはり時間が圧倒的に足りないだろう。

 

「……どういう事だ? 須賀が常識外れの天才だったってオチか?」

「まさか。師匠には一回褒められた事があったって程度です。最後もショボイって酷い事言われましたし」

 

貴子がなにやら勘違いしだしたので慌てて否定する。

そんな天才であるなら、咲達に延々ボコボコにされ続けてはいないだろう。

 

「……駄目だ、分からん」

 

こめかみを押さえて悩み続けるも、そりゃ当然分からないだろう。

分かったところで大沼にしかできない指導なので意味もない。

実は大沼、毎回京太郎が最善の一手を打たなければ、打ち込んだりアガれなかったりするようにしていたのだ。

更に前日よりも確実に強くなるよう、徐々に脳へとかかる負荷を増やしていった。

どこまで打ち込んだら壊れないかをギリギリで見極め、無理矢理牌を導く。

指導ではなく、強制的にそう思考できるように仕向ける。気付いたらそういう風に打牌しているようにだ。

つまり、特訓中の京太郎はただの操り人形。

壊れたりしないように大沼が細心の注意で操った、マリオネット京ちゃんだったのだ。

『頭がおかしくなりそうです、師匠!』という京太郎の言葉は、師の思考に汚染されてまさにおかしくなっていただけ。

教えると見せかけて洗脳していたとは、本当に恐ろしい爺様である。

 

「まあ、いいだろう。その指導法は後でじっくり考察してみる」

 

といいつつ、貴子は携帯を取り出した。

時計を見ると20:00前。

 

「龍門渕にはたしか監督はいなかったが、さすがに顧問の方はいる筈だ」

 

連絡してアポを取る、と早速龍門渕へと電話した。

 

「夜分にすみません。風越女子麻雀部のコーチで久保と言います。そちらの麻雀部顧問の方はまだ学校にいらっしゃるでしょうか?」

 

などとちゃんと敬語も使える事をアピール。

教師が定時で帰れる事など滅多にないので普通に取り次いでもらう。

そしてしばらく話していると、なにやら不穏な会話が流れてきた。

 

「そうなんですか? ……いえ、明日明後日にでも練習試合をと思ったんですが、それでは無理そうですね」

「ッ!?」

 

京太郎が目を見開いて貴子を凝視した。

無理ってなんだ無理って。

どうやら風越へ連絡した時と同様、またも問題が発生したらしい。

 

「ど、どういう事っすか!」

 

貴子が電話を切った瞬間、京太郎が慌てて聞く。

 

「あーそのな、スマン須賀……」

「なにが!? どうしたんですか!?」

 

とても言い難そうな顔で貴子が言う。

 

「社会科見学で二年生は全員いないらしい」

「社会科見学ぅ!?」

 

これもまた『そんなん考慮しとらんよ』だろう。

 

「パリだそうだ」

「……へ?」

「さすが金持ち学校は違うな……、たかが社会科見学でフランスへ行くとは……」

 

龍門渕マネーはグローバルに使用されるのだ。

 

「パリイイイイイイイイ!?」

 

なにはともあれ風越を撃破。

師の教えをようやく血肉にする事ができた京太郎は、ほぼ完成の域にある。

しかし、魔物と戦う事はできても勝つにはまだ何かが足りない。

怪物『天江衣』と戦えなかった事が吉と出るか凶と出るか。

それは旅の終わりに分かるのだろう。

ちなみに、フランス編は始まりません。

 

最終収支

美穂子 12100

華菜  21100

京太郎 58200

未春   8600

 

嫁にするなら美穂子だよな編 カン

 

 

 

 

 

「だいぶ落ち込んでたなー、須賀少年」

「そうだな。だが、さすがに海外では手も足も出ん」

「お嬢様は信じられない世界に住んでるっす」

「それにしてもあんな理由で旅打ちに出るって、やっぱ男の子は違うなー。ワハハ」

「まだ全部話したわけじゃなさそうっすけどね」

「しかし、師匠とやらの輪郭は見えてきたな」

「そうなのか、ゆみちん?」

「さすが先輩っす」

「『弱いままでは恥ずかしくて弟子だと言えない』という事は、おそらく誰でも知っている有名なプロなのだろう」

「おーなるほどー」

「しかも、初心者を十日で全国レベルにできる程麻雀に造詣があり、手積みでの古風な指導から、師匠はかなり年配な方だと予想される」

「そこまで読むっすか! さすが先輩!」

「長野で該当するなら南浦プロだと思ったんだが、今はシーズン中。さらに須賀君は、師匠は九州に帰ったと言っていた」

「ん~? 九州って言っても広いぞー?」

「シニアリーグで一人、開幕出場を逃したトッププロがいる」

「まじっすか!?」

「ああ。須賀君のあの読みと防御力。大沼秋一郎プロは雀界でも指折りの防御の名手であり、読みの達人だ。怪しいだろう?」

「すすす、すげーっす! 先輩凄すぎっす!」

「ゆみちんの洞察力もミッポに負けてないなー」

「須賀君には月に何度か鶴賀にきてもらおう。トッププロの指導をもっと詳しく聞きたいしな」

「そう言えば何でもするって言ってたなー。ならかおり達も強くしてもらおう。ワハハー」

「……ま、まあ鶴賀麻雀部の為には仕方ないっすし。二年後のインハイまでは月二、いや週一ペースで利用してやるっすし」

「「…………」」

「…………他意ないっすし」

 

 

もいっこ カン

 

 

 

 

 

「おそらく須賀の師匠は延岡スパングールズの大沼プロだな」

「そうなんですか、コーチ?」

「短期間であれだけ仕込むのは普通のプロじゃ無理だ。雀力だけの問題じゃねえから、小鍛治健夜あたりのトッププロでも無理だ」

「あれで初心者とか反則だし」

「どんな妖術使ったか知らねえが、何十年も馬鹿みたいに牌握ってきた妖怪だからこそだろうよ。私みたいな小娘にできる事じゃねえ」

「「「「「小……娘……?」」」」

「ああ! なんか言ったかテメエら!」

「「「「「な、なんでもありません!」」」」」

「あらあら。でも須賀君の番号はげっとできたので、次は私が勝ちます。スカウトしていただいた大学の為にも、もっと強くならないと」

「おう。たまに連れてこい。いい練習台になる」

「ちょ、キャプテンいつのまに!? あれに近づいちゃ駄目だし!?」

「はぁ……早くまた打ちたいわ……」

「ひぃぃ! 殺すし! 須賀ぶっ殺してやるしー!」

 

 

さらに カン

 


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