色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

緩めかね


ピクニック感覚な奴ら

 

 

 

 そもそもの話、何で俺ってこの世界に居るんだろうか―――と、この世界に寄生してから三年くらい経ってから考えるのは今更なのかもしれないけど、ふと疑問に思う。

 

 

「南雲君達はお仕事でここに来たのですよね? それなら人数は多い方が良いでしょう? ですので私達も同行します」

 

 

 

 はっつぁん事ハジメ君と、学校のクラスメートさん達はこの世界の怪しい人間によって召喚をされたという形でこの世界に来たらしいので、凄く大雑把に言えばこの世界の人間――と、その背後? いや上か? そんな奴に一応は『招かれた』という形で来たが、ハッキリ言えば俺とドライグは全く違う。

 

 単に俺達は元の世界であまりにも好き勝手やり過ぎた結果、『害虫』と見なされて世界から弾き飛ばされた――いや排除された筈だったんだ。

 

 つまるところ、俺は15になった時点で死んでいた筈。

 

 なのに俺は――いや俺達は今を別世界で生きている。

 

 召喚でも無く、単に偶然という形で。

 

 それが正直俺とドライグには解せない。

 

 

「未だに清水の行方はわからないままだし、その情報もこれ以上はこの町だけでは得られそうにもない」

 

「だからオレ達にとっても都合が良いんだよ」

 

「何を言ってるんだか。

お前達の都合とやらに――」

 

 

 

 俺とシアが出会う前に、はっつぁんとユエっちはオルクスって迷宮の最終地点でこの世界についての一部を知り、その後まあ色々とあって二人の旅の御供をすることになった後に入ったライセン大迷宮の奥地で知った話とはっつぁんが考察した話が真面目にマジだとするなら、俺とドライグは『神』にとっては想定外――イレギュラーな存在な筈。

 

 この世界そのものがその神の遊び場だとするなら、ルール外となる存在である俺とドライグは不都合な存在である筈。

 

 

「お願いです南雲君。今更私が教師面するのは烏滸がましいのかもしれませんが、それでも教師として――大人として貴方達を元の世界に帰す責任があります。

これだけは譲れません」

 

 

 だがこの世界で三年生きた今現在、俺達はまだなにもされていない。

 ……いや、生きては居るという意味では何もされていないというべきか。

 

 

「……チッ、わかった。同行を許す」

 

「ハジメ、連れていくの?」

 

「珍しいですね、この手の話にハジメさんが折れるなんて?」

 

「仕方ないだろう。

仮にダメだと言った所で、この先生が大人しくしているわけがないのは元の世界で知っているからな。

此方が振り切ったところで勝手に探し始めるだろう」

 

 

 単に手出し出来ない理由が神の方にあるのか。

 それとも俺達がいくら暴れた処で『何時でも消せる』という自信のようなものがあるのか。

 今のところ俺達が知るよしは無いにせよ、ちと不気味にも思えるんだよなぁ。

 

 

「昨日イッセーが半殺しにしちまった時点で半ば覚悟はしているが、先生の方から教会の力を使って追われたり指名手配された方が面倒だからな―――そうと決まればさっさと出るぞ」

 

 

 ドライグも同じ疑問を持っていて、考えてもわからないままなら暫く気儘に過ごしてみろだなんて言うから、自分なりに好き勝手やってるが……。

 

 

「おいイッセー、なにボーッとしてる? お前も早く乗れよ?」

 

「んぇ? おうわかった。

あれ? 何でこの人達が乗ってんだ?」

 

「やけに大人しいと思ったら全然聞いてなかったのかよ……。

大雑把に言えばコイツ等も捜索に同行すんだとよ」

 

「捜索? ああ、この前頼まれた貴族のボンボンのアレにか? なんでだ?」

 

「こいつ等も探してる奴が居て、情報の網を広げたいんだとよ……良いから早く乗れよ?」

 

「へーい」

 

「…………」

 

「? なんすか?」

 

 

 俺達ってなんでこの世界に来たんだろうな?

 

 

「…………………ぷいっ!」

 

「は……?」

 

 

 で、何で俺はこのチビ教師にメンチ切られた挙げ句顔逸らされたんだ? 俺何か気に触った事―――――あ、言ってたな。

 

 

 

 

 

 

 ここまで割りと好き勝手生きてたイッセーが、今更になって何故この世界に居るのかを考えている間に話が進み、商業都市に居るギルド長からの依頼となる捜索人の捜索の為に、ハジメが錬成師のスキルによって作成した車に乗って山道を走っていた。

 

 

「あれ? 昨日俺が口裂の刑にして500万ルタ払わせた神殿騎士は居ないの?」

 

「デビッドさんなら、昨日アンタにああされたせいで再起不能よ」

 

「へー? あっそ」

 

 

 その車中、これまた今更ながらに昨日イッセーが再起不能にした挙げ句カツアゲまでしたデビッドが完全に心が折れて治療中でこの場に同行していないと、ハジメのクラスメートである宮崎奈々に教えて貰っていた。

 

 

「今のアンタと昨日のアンタがとても同一人物には思えないわ……」

 

「ほー、そう見えるのか?」

 

「なんというか、昨日のアンタは暴力を思いきり楽しんでるように見えたわ」

 

「あー……。そう言われてみれば、殴る殴られるの喧嘩が割りと嫌いじゃないのは否定できないわなぁ」

 

 

 

 ハジメが運転する席の隣からユエと愛子が何やら話をしているのを他所に、後ろの席に座っているイッセーはシアを挟んで座るハジメのクラスメート達と割りと普通に雑談をしている。

 

 

「見たところ、私達とそんなに年とか変わらなそうだけど……」

 

「んぁ? ああ、多分今18になったくらいじゃね?」

 

「ふーん、じゃあ一応私達より少し年上なんだね?」

 

「まーね……って、年下なら敬語使えよ? 先輩だぜ俺は?」

 

「「…………」」

 

「なーんてな! 冗談だよ冗談。

別に俺はキミ達の世界の学校に通ってたわけじゃないしな! なっはっはっ!」

 

「ぷっ……なによそれ?」

 

「変な人だけど、会ったこと無いタイプね」

 

 

 

 

 好みとしても対象外なせいか、そして年も近いせいか思いの外普通に会話が出来ている状況に、助手席から然り気無く聞き耳を立てていた愛子がソワソワしていている。

 

 

「なんだ、イッセーが気になるのか?」

 

 

 そんな愛子に気付いたハジメが何気なく訊ねると、ぎくっとした愛子があたふたとテンパる。

 

 

「べ、別に気にはなりませけど!? 生徒達に変な事とかしないか心配してるだけなんですけどっ!?」

 

 

 下手に程があるツンな態度に、ハジメとユエはちょっと笑いそうになりつつ深く突っ込むような無粋な真似はしないと敢えてそういう事にしておくことにする。

 なにせ、ここで変に煽ると、先程から園部や宮崎と言った女子とヘラヘラと笑いながら談笑をしている姿を警戒しているよなジト目で見ているシアが怒るので。

 

 

「イッセー、はいどうぞ」

 

「んぁ? なんだよシア?」

 

「何時ものおっぱいタイムですけど?」

 

「「は?」」

 

「??? なんだそれ、聞いた事ない――もぶっ!?」

 

「もうイッセーったら~! そんなにがっつくなんてホント獣も良いところですよ~?」

 

「ぶは!? な、なんだ急に―――やめろっ……ももももっ!?」

 

「「おおぅ……」」

 

 

 案の定、荷台に乗る男子達とはともかく、割りと受けの良さそうな反応をしていた女子と談笑しているのに我慢ならなくなったシアが一気に攻勢に走る形でイッセーを窒息させようとする。

 

 

「ちょ、ちょっと!? 車内でなんて事を……!?」

 

「お気になさらず、これは私とイッセーの間にある何時ものコミュニケーションですから~?」

 

「そ、そんなハレンチなコミュニケーションなんて許しませんよ!?」

 

「何でですか? 私とイッセーは別にアナタの生徒ではありません」

 

「そ、その生徒達が見てるのでやめてください!」

 

 

 そんな行動を愛子が身を乗り出す勢いで止めようとするせいで、結局車内は目的地に到着するまでの間、中々にカオスな事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、文句を言ってやりたいけど、全く以て悪い気はしなかったのもまた事実だぜ……」

 

「「「「…………」」」」

 

「おう、言いたいことはわかるが、俺をそんな目で見るんじゃないぞ若人達よ。

てか、そこの男子諸君ならわかるだろうが? なぁ?」

 

「ま、まあ……ちょっとは」

 

「米粒くらいは……うん」

 

「「…………」」

 

「うぇーい……引き続き女子二人からの視線が痛いや」

 

 

 シアの攻勢に文句が言いたいけど言えず、鼻にティッシュを詰めながら車から降りたイッセーは、その間抜けな顔もあってからすっかり女子二人から冷めた顔をされてしまう。

 

 

「おいシア、お前が急におっぱいアタックぶちかましてくれたお陰で、俺はすっかりはっつぁんのクラスメートの女子二人から冷めた目されちゃってんだけど?」

 

「遅かれ早かれですよイッセーは。

まったく、早く鼻血を止めてください」

 

「うっせー、俺は意外と純情ボーイなんだい」

 

「イッセーが純情なら、世の中の男性全員がもれなく純情ですよ」

 

「ぐっ……! 普通に言い返せねぇ……」

 

 

 ツーンとした言い方の割りには、何故か勝ち誇りながらハジメの方へと行ってしまうシアの背中を見ながら、ぐぬぬと悔しがるイッセーは同行者の男子二人から割りと優しめに肩を叩かれながら鼻紙を貰う。

 

 

「なんつーか、ヤベー奴だと思ってたってか、今も普通に思ってはいるけど、少しだけ怖くなくなったよアンタの事」

 

「ほら、拭けよ。

その子の言う通り、間抜けに見えるぞ?」

 

「ぐっ……やはり男子だけあって優しくしてくれるなキミ達は。

はっつぁんって割りとノリ悪いからこの手の話にノッてくんなくてよ……」

 

 

 同行者で男子の玉井と相川に鼻紙を貰い、それを鼻に詰め直している頃、ハジメの方はと言えば錬成師でこれまた作成し、ライセン大迷宮にて培った経験を元に精度をあげた無人偵察機を駆使して周辺を探っている。

 

 

「む、怪しい場所があるぞ。

山頂付近…およそ八合目と九合目の合間だな。急ぐぞ」

 

 

 割りと緩い空気を出しているイッセーとは反対に、ハジメは真面目な空気を醸し出しながら無人偵察機で観た場所を目指し、皆に声を掛けてから歩き始める。

 

 

「どうやらここで戦闘があったらしいな……」

 

 

 そしてハジメ達の体力ならば然程苦労せずその付近まで到着し、戦闘の跡のような痕跡を調べていると、息を切らしながらもなんとか付いてきていたクラスメート達が声をかけてくる。

 

 

「ま、待ってくれ南雲。

お前等、速すぎだって……!」

 

「わ、私達だってこの世界じゃ数倍の力があるのに……」

 

「ちょっと休憩しよーよ……」

 

 

 どうやら召喚者である彼等をしてかなりの疲労があるらしく、仕方なく休憩をすることにしたハジメは、引き続き疲労ゼロのユエ、シア、イッセー達と付近の痕跡を調べる。

 

 

「よーはっつぁん、シアがなんかの足跡見つけたみたいだぞ」

 

「足跡?」

 

「はい、こちらですハジメさん。

多分ですけどこの足跡は……」

 

「ああ、魔物だろうな」

 

 

 調べている内にシアとイッセーが痕跡を発見し、それを調べるハジメだが、すぐ目の前に広がる光景には少し驚く。

 

 

「この足跡から推測しても、然程大きな魔物ではないが……それがこの規模の破壊跡を残せるか? まるでレーザー――それこそイッセーの『ドラゴン波』のような……」

 

 

 地面と木々を抉り抜くような破壊跡を、何度か目にしたイッセーの『必殺技』を思わせると言うハジメだが、イッセーは微妙に困った顔だ。

 

 

「あー、どうだろうな。

()の俺のフルパワーならこれくらいは出来るだろうけど、蓋を返せば今の俺と同等のパワーをぶっぱなせるのが居るってことになるな……」

 

 

 イッセー自身が言うには、この破壊跡はフルパワーで放ったそれと同等だろうとの事であり、ハジメは驚きつつも厳しい表情をする。

 

 

「厄介な予感がしてきたな……って、そういや先生達はどこだ?」

 

「向こうに滝があって、あの近くで休んでるみたい……」

 

 

 とにもかくにも近くにこれだけの規模のパワーを出せる魔物が居るかもしれないと頭に置いておきつつ、ユエに愛子達が居る場所を教えて貰ったハジメが何抜きなしにその方向――というよりは滝の方へと視線を向けると、なにかに気付く。

 

 

「マジか、あの滝の向こうから気配感知に反応があるぞ……」

 

「え? マジで? ……………やべぇ、なんもわかんねー」

 

「イッセーは脳筋ですからねー……」

 

「フルパワー状態なら多分わかるわい!」

 

「そのフルパワー状態って前に一回しか見たこと無いんですけどねー」

 

 

 

 ハジメに倣ってイッセーも感知してみようとするも、一切なにも感じずにぼやくのをシアがニヤニヤとからかう中、ハジメは同じく気付いたらしいユエに声をかける。

 

 

「頼めるかユエ」

 

「任せて」

 

「イッセーハドンカンデヘタレデスモンネー?」

 

「ナンダトコンニャロー!」

 

「ヒャッ!? ソ,ソンナキュウニ………アハハハハハ!! ヤメテクダサイイッセー! クスグルノハハンソクデスゥ!!」

 

「ウルセー! オシオキジャー!!」

 

 

 その内、からかうシアに仕返しのつもりか、後ろからくみついて擽り始めるという―――端から見たら空気読まずにイチャつき始めた二人の頭に拳を落として静かにさせつつ、ハジメは滝の前に立って魔法を発動して文字通り落ちる滝の水を割る姿を見守る。

 

 

「見つけた」

 

 

 その魔法には近くで見ていた愛子や生徒達も驚くわけだが、割れた滝の奥にあった暗い洞穴に目を凝らしていたユエは、人が倒れているのを発見するのだった。

 

 

「うー……イッセーのせいで怒られたじゃないですかぁ?」

 

「ちげーし、シアが俺を煽るからだし、俺のせいじゃねーし」

 

「おい、もう一発ずついっとくか? そこのバカップル二人?」

 

「は? バカップルじゃねーし、どこを見てるんだはっつぁん――もぶぶぶぶ!?!!」

 

「はーい♪ 世界に優しいバカップルになるので静かにしまーす!」

 

 

 人が倒れているのを発見したハジメは、後ろでまだ小競り合いをしようとする頭にたん瘤をつけたイッセーとシアをきちんと黙らせた後、意識の無い少年が取り敢えず生きていることを確認しつつ、額にデコピンをして無理矢理たたき起こした。

 

 

「おごっ!?」

 

「よし、この手に限る」

 

「ヒデェ……」

 

 

 一瞬で飛び起きた少年だが、くっきりとした痣が残っているなを見てクラスメートは軽く引く中、意識を覚醒させた少年は目の前の目付きの悪い白髪の少年の姿に気付く。

 

 

「き、キミ達は?」

 

「お前がウィル・クデタか?」

 

 

 見知らぬ少年に突然名前を聞かれたウィルは、何故かズキズキと痛む額を抑えながらうなずく。

 

 

「あ、ああその名は確かに僕の名だけど……はっ!?」

 

 

 だがその痛みのお陰もあったのだろう、突然思い出すようにハッとしたウィルが釣り上げられた魚のように威勢よく騒ぎ出す。

 

 

「そ、そうだ! 奴は!? 奴はもういないのか!?」

 

「なんだ奴って?」

 

「早くここから逃げるんだ! 僕も一緒に連れていってくれ!」

 

 

 いまいちわからない事を騒ぎ立てるように捲し立ててくるウィルを冷静に見たハジメが、落ち着かせようと先ほどイッセーとシアに落とした時よりはかなり優しめに、ウィルの脳天に拳を落とす。

 

 

「おぉぅ!?」

 

「落ち着け。お前の言う奴とやらは二~三メートル級の魔物のことか?」

 

「ち、違う! 確かにそれくらいの魔物もいたが……」

 

 

 黙らせたウィルに話を聞こうとするハジメだが、どうやらそうではないらしい。

 その証拠にウィルが何かを口に出そうとしたその瞬間……。

 

 

「はっつぁん! お客さんだ!!」

 

「しかもどう見ても友好的ではないお客さんです!!」

 

 

 まだ頭にコブが残っていたイッセーとシアの声と共にハジメは見るのだ。

 確かに、どう見ても友好的ではないお客さんが上空から此方を見下ろし……口から巨大な光線を撃ち下ろしてきたのだから。

 

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 唐突に謎のドラゴンとバトルする事になったハジメチーム。

 

 

「んなろ! ドラゴン波ァァァァッ!!」

 

 

 竜のブレスをなんとか防ぎ、開戦と同時にお返しのドラゴン波を放ったのだが……。

 

 

「マジか!? 全然効いて――」

 

「グォォォォッ!!」

 

 

 その一撃は竜の硬度を貫けず、驚愕するイッセーに向かって思いの外速い爪が襲いかかる。

 

 

「させません!!」

 

「ぎっ!?」

 

 

 間一髪でシアが竜の頭部に拳を叩き込むことで軌道が逸れて致命傷には至らなかったが、イッセーの肩からは血が流れている。

 

 

「悪い、助かったわシア」

 

「油断しないでください。

()のイッセーでは、このレベルのドラゴンは……!」

 

「わかってる……。

はっつぁん! ユエっち! 先生さんとクラスメートさん達と行き倒れ君は!?」

 

「とっくに退避させた……!」

 

「私達も思う存分やれる……!」

 

 

 愛子達を避難させたハジメとユエも合流したことで本格的な戦いが始まる。

 

 だがイッセーは苦戦する。

 

 何故ならフルパワーになれないから。

 

 この世界に来て一年程が過ぎたある『出来事』を境に……。

 

 

「俺と……」

 

「私の……」

 

 

 

 

「「龍兎・爆裂キーック!!」」

 

 

 

 

 

「……………………………ガァァァッ!!!」

 

「げげっ!? お、俺とシアの無敵コンビネーションキックが……」

 

「効いてない……ですって……?」

 

 

 

「おいこら、アホカップル!! こんな状況で見映えなんて気にしてんじゃねーよ!!?」

 

「「ギエピー!?」」

 

「仲良く吹き飛んでる……」

 

 

 

 現状イッセーの力は、魔力を除いて今現在のハジメと同等のステータス――だからこそ思わぬ苦戦を強いられてきた。

 

 

「ヤロー」

 

「ぐぬぬ、折角イッセーに買って貰ったおニューの衣装が台無しです!」

 

「この能天気バカップル! アホな真似して無駄な体力使ってんじゃねーよ!」

 

「二人とも先行し過ぎ。前の時と同じく私とハジメと一緒に戦って……!」

 

 

 もっとも、耐久性だけはどこぞのギャグマンガ並に無駄に高かったりはするし、まともに竜のブレスを仲良く直撃して地面に叩き落とされても、ちょっと全身が煤だらけで済んでいる訳だが……。

 

 

「イッセー、シア、ユエ……プランBで行く」

 

 

 

 だからこそ、皮肉な事に元の世界では経験することがなかった……仲間と共に肩を並べて戦うことができているわけだが。

 

 

 

「今だ全員合わせろ!」

 

「おっしゃあ!」

 

「待ってました!!」

 

「決める……!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「Jackpot!(大当たりだ!)」」」」

 

 

 

 力を失ったからこそ得たモノもあるからこそ、イッセーは力を失っても尚進むことをやめないのだ。

 だからこそ――

 

 

『待たせたな坊主共』

 

 

 龍は見守り――そして時には盾となるのだ。

 

 

「こ、これがドライグの真の姿か……」

 

「あの竜よりも更に大きい……」

 

「わぁ、二年振りに見たけどやっぱり凄い迫力……」

 

「自分に近めの種族相手だからか、張り切ってんなぁドライグも……」

 

 

 龍の帝王として。

 

 

【その程度か? 小竜?】

 

【ギャン!? ひっ!?】

 

【くくく、制限時間付きではあるが、久々に本来のパワーを解放したのだ。

もう少し遊んで貰うぞ……!! ハーッハハハハハ!!】

 

 

 

 

 

「あちゃー 珍しくドライグの方がスイッチ入ってらぁ……」

 

「お肉焼けましたよイッセー」

 

「んぐんぐ……やっぱり生より調理して食う方が良いわな」

 

「ハジメ、そっちも焼けてる」

 

 

 その帝王に運悪く捕まった可哀想な竜に祝福を……。

 

 

 

 

  嘘です




補足

基本的には好みから外れてる相手にはこんな調子です。

だからこそスイッチ入った際の狂暴性とギャップが激しくて怖がられるんですけどね。


その2
現在訳あってフルパワーが条件――というか憎悪を含めた負の感情によるスイッチの切り替えが無いと解放不可能になってます。

 イッセーがあまりドライグを使わないのはそれが理由であり使うと反動で筋肉痛になるとかならないとか。


なので割りとシアさんに力負けしたりもするし、なんなら下手しなくても現状の戦闘力は現状のハジメきゅんと大体互角ですが、ハジメきゅんの場合はイッセーにはまるでない『応用力』があるのでちょっと下かもしれません。


逆にシアさんの素の戦闘力は、フルパワー状態を維持してたイッセーに直で鍛えられてたので、ガチるとハジメ達より上の可能性があるとかないとか。


その3
逆にハジメきゅんはほぼ同等の戦闘力であるイッセーやシアさんとトレーニングしてたりするので、結構経験値おいしい状態。






その4
ヒャッハーモードのドライグ(本体)にボコられるドラゴンさんは泣いて良いと思う。
……いや、逆に喜ぶのか?

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