色々なIF集   作:超人類DX

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前回のその後話
既に『戦闘一族』なので、追われても問題なし。




国境無き戦闘民族・ハウリア

 

 

 南雲ハジメは若干疑っていた。

 

 それは、亜人でありながら魔力を行使できるシアなるハウリア族の少女――ではなく、そんな少女がどう見ても全幅の信頼を向ける『人間』の男を。

 

 

 曰く、別の世界で生まれ、色々と自由にやらかしまくっていたらその世界そのものから追い出されてこの世界へとやって来たらしい。

 

 そのやらかしの内容が、この世界同様に自分が元居た世界ではあまりにも『非現実的』過ぎたこと。

 

 人間を自称している割りには謎のドラゴンを身に宿していること。

 

 以上を踏まえてハジメは微妙にこの男を――イッセーを疑っていた。

 

 

「へー? キミからはなんとなく人間ではない気配を感じてたけど、吸血鬼なんだ」

 

「……。驚かないの?」

 

「驚く? 驚く要素がどこかにあるのか?

あ、もしかしてこの世界は吸血鬼種族は希少なのか? 一応元居た世界にも吸血鬼は居たし会ったこともあるから俺は特には驚かんぞ? しかも俺は人間とのハーフの半吸血鬼の奴と昔遊んでたこともあったし」

 

「人間と吸血鬼のハーフ……?」

 

「おう、ちょうどキミ――あ、実年齢的に今みたいな呼び方は失礼だったか?」

 

「別に構わない……それで?」

 

「ちょうどキミみたいに金髪で赤い目をしてたんだけどさぁ、それがそいつったら超の付く程のビビりでさぁ? 血を見ると気絶しちまうわ、そもそも『血は生臭くて嫌ですぅ』なんて言ってたっけか」

 

「私を見ても悪意を感じなかったのはそれが理由……?」

 

「え? あー……そうか、キミ達から見た人間のイメージってそうなんだっけ? それから心配ご無用だぜユエっち。

俺は割りと『グローバルな人間』のつもりだからな!」

 

「ユ、ユエっち?」

 

「あはは、あまり気にしないでくださいね? イッセーっておおよその方々からは基本的に『ウザッ』って思われる程度には今のように馴れ馴れしいといいますか……」

 

「馴れ馴れしいというよりは軽いというべきかも。

色々と正反対だけどハジメ並に変わってる……」

 

 

 

 といっても、あまりにも性格も言動も行動も軽すぎるせいで、深く疑うだけアホらしくもなるわけで。

 

 

 

「うーん、話してたら懐かしくなってきたぞ」

 

「そのハーフの吸血鬼はアナタの世界に居るの?」

 

「居たけど殺されたよ。

俺の目の前でな」

 

「………え」

 

 

 それでいてその軽さの中から時折うかがえる、聞くのも躊躇してしまう重さ。

 

 

「人間である俺と関わってしまったばっかりに、人間を下に見てた連中にな……。

いや、もっと正確に言うと、俺を殺しに来た奴等から俺を庇って死んじまったんだよ。流石にあの時はメンタルが殺られちまって暫く立ち直れなかったな! がっはははは!」

 

「…………………」

 

「言いたいことはわかりますよユエさん。

『なんでそんな話をヘラヘラ笑いながらできるのか』って思いますよね? 私達も最初はそう思ってましたし」

 

「やっぱ引くよな? でもあの世界で生きてた頃、まともに俺と関わってくれた人達との思い出話はこうやって笑って話すって決めてるんだよ。

アイツを――ギャスパーを殺した奴等をこの手で皆殺しにしてやった時からな」

 

「……………………」

 

 

 どこか、なにかが――イッセーという男の精神はおかしい。

 人間であり、元は一般人であった南雲ハジメだからこそ感じるイッセーの壊れかけているようにすら感じる精神。

 

 

「だからなんだろね。

ハウリア族の人達って元は温厚過ぎて若干ビビりな所がギャスパーみたいだったってのもあってか微妙に波長が合うんだよ」

 

「そっか……」

 

 

 だからハジメはイッセーが気になるのだ。

 

 

 

 

 

 未来視の通り、自分達を襲う敵ではなかった事に安心するシアだったがユエがなにやらハジメに話をした事で、どういう訳か樹海の案内を頼まれた。

 

 

「樹海ですか~

折角の良さそうな出会いという事で構いませんと言いたいのですが、先程もお話した通り、ちょうど我々の一族は亜人の国――フェアゲルベンを追放されている上に、少しでも国境内に入ると大騒ぎになると言いますかー……」

 

「それはさっきの話でわかっているつもりだ。

案内さえしてくれればもし他の亜人達が何か言ってもオレが話を付けることを約束する」

 

「うーん……。

それならば先ずは一度私達が今現在根城にしている所に一旦戻って父達にも話をしないと」

 

「それは当然だな。

えーと、イッセーだったか? お前はどうだ? お前もある程度樹海の中の地理には詳しいんだろう?」

 

「うーん……それなりのマネーか、キミの知り合いのお色気ムンムンなお姉さんを紹介してくれるってなら喜んで――むぷぷぷ!?」

 

「『ここで会ったのも何かの縁だし、タダで良いぜ!(キリッ)』ってイッセーは言ってますよー?」

 

「お、おう……」

 

「早くイッセーを放さないと、イッセーが窒息しちゃうと思う……」

 

「大丈夫ですよ! イッセーは頑丈ですし、なによりおっぱいが大好きなんで!」

 

 

 そんな緩いやり取りを挟みながらも、取り敢えずシアの一族が今現在根城にしている場所に行くことになってハジメとユエ。

 天然の迷路のような狭谷を一切の迷いも無く進んでいくシアとイッセーの案内が無ければ、少々面倒だったかもしれないとハジメは思いながらユエと共に進んでいくと、この狭谷に生息する魔物のハイベリア達の群れの死骸を発見する。

 

 

「さっきオレ達も見た魔物の群れが死んでる……?」

 

「それもどの死骸も一撃で頭を潰されている……」

 

 

 文字通り屍の山と化した道を気にせず進んでいくイッセーとシアの無関心な態度に違和感を感じながらもよくよくハイベリアの死骸を観察するハジメは、一体一体が確実に一撃での致命傷で絶命していることにユエと共に確認していると、死骸の山を抜けて少しした岩影が多めな場所へと抜けると、シアと同じ特徴を持つ人型の集団が見えた。

 

 

「みんな~ただいま~!」

 

 

 その集団に向かって手を振りながら声をあげるシアとイッセーに気づいたハウリア族達。

 

 

「シアとイッセーが戻ってきたみたいだ」

 

「しかしちょっと早くないか? シアがイッセーをデートだといって連れ出したにしては……」

 

「たしかに、けどあの様子ではイッセーがやらかしたって感じでも無いし―――ん? 後ろに居るのは誰だ?」

 

 

 一族の間ではある意味で『名物コンビ』となっているシアとイッセーの帰還に首を傾げる一族達がその後ろを付いてくる謎の二人組に気付くと、ゾロゾロとシアの声に気づいた他の一族達と共にシアとイッセーを出迎えると、何があったのかの説明を聞くのだった。

 

 

 

「ハジメ殿でよろしいでしょうか?

私はシアの実父でありイッセーの義父で族長をしておりますカム・ハウリアです」

 

 

 早速イッセーとシアから事情の説明を受けた一族達は、長であるカム・ハウリアに伝え、族長としてハジメとユエを歓迎する。

 

 

「先程二人から話は伺っております、樹海の中の案内して貰いたいと……?」

 

「ああ、二人と会ったのは偶然で、一応アンタ達の現状についても聞いた上で頼みたいんだが……」

 

 

 ずいぶんと腰の低いカムだが、ハジメはカムのみならずハウリア族全体を見て、全員が一見して無害に見えるが一切の『隙』がないことに気付く。

 

 元来のその穏やかな気性でフィジカルはあるくせに戦う術を持たない種族だったと事前に聞いていたのもあり、ハジメは実際こうして対面するハウリア族の『底が伺えないもの』を肌で感じ取りつつ樹海内の案内の交渉をする。

 

 

「一応我々は亜人国から追放された一族ですが、樹海内にある亜人国の国境近くまでは案内ができます。

ですがその先は――」

 

「わかっている。

案内はそこまでで構わない」

 

「わかりました。

ではお引き受け致しましょう」

 

 

 特にシアや一族に貸しを作った訳ではないハジメは、内心断られると思ったが、割りとすんなり国境近くまでならと引き受けて貰えたことに少し安心しつつハウリア族の子供達と遊んでいるイッセーとシアを見る。

 

 

「………」

 

「不思議ですか? 何故『人間』であるイッセーが我々と共に居るのかが?」

 

「まぁ……な。

アンタ等からしたら人間は自分達を奴隷にしたり売り飛ばしたりする種族として恐れていると思ったからな」

 

「あー……そうですね、正直言えば今でもその認識はあまり変わりませんよ。

三年前に娘のシアがイッセーを連れて帰ってきた時は、我々も大層困りましたよ。

当時は追放される前でしたからね」

 

 人間であるイッセーがハウリア族の子供達からは親戚の兄ちゃん的な感じで懐かれ、大人達からイッセーと身内のように呼ばれている。

 ハジメ自身も完全に把握はしていないが、この世界の人間と他種族達との関係性を考えれば、イッセーのあの立ち位置はかなりの違和感があるし、話を聞いている限りでは最初の頃はカム達大人の一族もイッセーの扱いにかなり困ったらしい。

 

 

「でもイッセーは一度たりとも私達を傷つけることはしませんでしたよ。

娘の特異性により国を追放されて右も左もわからなかった私達を外敵から守ってくれたのもイッセーですし、抗う術を教えてくれたもの……我ながら不甲斐ない話ですが、イッセーでした」

 

「……。なるほど、一見すれば無害そうに見えるアンタ達に『隙』が無いのはアイツが……? さっきここに来る少し前に魔物達の死骸もあったが」

 

「ええ……。

お陰で国を追われた今でも放浪者(ノーマッド)として生きてこれましたからね。

何時までも我々大人がいくら強くてもまだ子供であるイッセーのおんぶに抱っこになる訳にもいきませんからね……ははは」

 

 

 少々困った性癖があるとはいえ、その性癖で結構なトラブルを発生させてきたとはいえ、何の見返りも無く自分達をずっと守ってくれたからこそ、イッセーを一族同然と語るカムに、ハジメは納得と理解をしていく。

 

 

「それに国を追われた事で私達はある意味自由になれました。

亜人である我々がイッセーを迎え入れていることに異議を唱えられる事もない、魔力を持つシアに対してあれこれ言われる事もない……。

まあ、魔物や帝国の兵といった者達とのイザコザはありますが、割りと今の生活も悪くはありませんよ」

 

「まさに故郷無き民の放浪者……か」

 

 

 イッセーがハウリア族の子供の母親達をだらしない顔で口説こうとするのをシアと子供達に全力で阻止され、そんな子供達を見て笑っている大人の一族達。

 

 

「さて、そろそろ行きましょうかハジメ殿、ユエ殿」

 

 

 ハジメ――ではなくイッセーにより戦う術を獲たハウリア族達を知ったハジメは、イッセーの危うい精神性をなんとなく察知しつつも、イッセーという男に興味を抱くのだった。

 

 

「んで? 結局案内はするんだなおっちゃんよ?」

 

「うむ、折角イッセーとシアが連れてきたお友達だからね。

無下にはできないだろう?」

 

「お友達て……さっき偶々会っただけなんだがな」

 

「けれどこの二人なのだろう? シアが『観た』二人組というのは?」

 

「らしいな。そうなんだろシア?」

 

「うん、間違いないよお父さん」

 

 

 そろそろ新たな居住へと移る予定でもあったカムは一族達全員達に声を掛けると、ハジメとユエを加えて狭谷を抜ける道を歩いていた。

 その道中、これまで何度と無くイッセーか一族達に返り討ちにされてきた帝国の兵が数の暴力で襲いかかってきたが、一族の男達とイッセーに加えてハジメまで参戦したことで呆気なく殲滅する。

 

 

「申し訳ありません、客人のお手を煩わせてしまいまして……」

 

「いや……どうやらオレが居ても居なくても問題なさそうだったし、オレもオレで奴等に言われた事にカチンときたからな」

 

 

 一族の男達とイッセーとハジメによって帝国の兵だったもの達のパーツがそこら辺に散らばるという、まさに地獄絵図である状況となる現場を後にし樹海への道を歩く。

 

 

「テメーの手足を切り落とした後に連れの姉ちゃんが目の前で犯される光景を見せてやる――だっけか? そりゃあのバカ共がぶち殺されても仕方ないだろうよ。

ありがとうな……ええと、南雲君だっけ?」

 

「……ハジメで良い。

それにお前だって奴等からシアの事を言われた瞬間、一気にスイッチを切り替えただろ?」

 

「そりゃあなー……? 妹分みたいな子をあんな言われたらぶち殺し確定だべ」

 

 

 似たような挑発をされたハジメとイッセーの無双っぷりにより、帝国の兵達の運命は死肉を求める魔物達の餌となっている事への罪悪感などこの場にいる全員が皆無だった。

 

 

「今わかった。イッセーはハジメにちょっと似てる」

 

「えー? イッセーがハジメさんに似てるのではなくて、ハジメさんがイッセーに似てると思うんですけど?」

 

「私にとってはそう。

そしてシアにとってはそれで良いと思う。

つまり二人は似たもの同士」

 

「えぇ……? ということはハジメさんももしかして所構わず下手くそな口説き文句を言いながら迫る困った癖を……?」

 

「それは無い。そこに関しては全く違う。イッセーと違ってハジメは硬派な男」

 

「でっすよねー? はぁ……イッセーにも困ったものですよホント」

 

 

 気づけばユエとシアが根がちょっと似てるイッセーとハジメについて語り合ったことで少しだけ仲良くなっている。

 

 

「でも好きなんでしょう? イッセーが」

 

「う……ええ、困ったことに。

ナンパもそうですけど、イッセーって子供受けが抜群に良すぎるんですよ。

だから小さな女の子の中には本気でイッセーを狙おうとする子も……」

 

「それは……」

 

「本人はそういう子には優しく笑いながら頭なんて撫でちゃって『20年経ってそれでも俺が好きだったら考えてやるよ』なんて言うから……」

 

「割りとどころじゃなくイッセーって別の意味で悪い男かも」

 

「でしょう!? 私の事は妹みたいな扱いをしてきますし! これでも結構ストレートに好きだなんだって言ってるのに流されるし!」

 

 

 話の流れによってシアのイッセーに対する不満の数々の愚痴へと変わっていけば、聞いていた一族の大人達は苦笑いを浮かべているし、聞かされているユエは内心『やっぱりあんまり似てないかも』と、イッセーとハジメの類似性を訂正する。

 

 

「おい、言われまくってんぞ?」

 

「ふっ、人気者は辛いね」

 

「その内シアに後ろから刺されても文句言えんぞ」

 

「年上お姉さんハーレム王になる男はそんな事は気にしない! ナッハッハッハッ!」

 

「………」

 

 

 皮肉を言っても通じないイッセーにハジメは『こんな男にはなるまい』と固く誓う事にしていると、それまで黙って聞いていたカムがニヤリとしながら口を開く。

 

 

「奔放なのは構わないけど、今までシアに『やってしまった事』への責任はちゃんと果たしてくれよ義子(むすこ)よ?」

 

「ぶっ……!」

 

「やってしまった事だって? なんだそれは?」

 

「さ、さぁ? なんことだか俺にはさっぱりわからん――」

 

「襲いかかってきた帝国の兵から物資や食料をよく奪うのですが、以前その食料の中にお酒がありましてね。

そのお酒をイッセーがお酒と知らずに飲んだことで、見たこともない程に泥酔をしましてね……」

 

「ほうほう……」

 

「ちょ、やめろおっちゃん……!」

 

「泥酔したイッセーは、心配して駆け寄ってきたシアを抱えて一晩どこかに連れ去り、そのまま明け方まで戻ってこなかったのですよ」

 

「まさか……」

 

「詳しくは敢えて聞いてないので私達はわかりません。

ですが、くたくたでイッセーに背負われながらも幸せそうな顔をしていた娘と、真っ青な顔をしていたイッセーを見れば――まあ、大体はねぇ?」

 

「お前……」

 

「い、いやそこんところは真面目に覚えてないんだってば! 本人に聞いても――な、なんでか若干エロイ声で俺の名前しか言わんし……」

 

 

 カムからの暴露辺りから一気に目を泳がせるイッセー自身も本気で当時の事が酒のせいで記憶から抜け落ちているのだが、あの時のシアの様子を思い出せば、何もなかった事はまずあり得ないということだけはわかっているらしい。

 しかしその話だけを聞けば、経験の無いハジメですら『そうなったのではないか』と思う訳で……。

 

 

「真相の程はシアと――そしてイッセーに宿るドライグ殿にしかわかりませんがね……ふふふ」

 

「ドライグ? あの渋い声の事か……」

 

「あ、ああ……俺も何度も聞いたんだけど、ドライグは『話しても良いが、真相がどうであれお前がシアから逃げないという保証がないから言わん』って……」

 

「それって最早確定なんじゃ……」

 

「そ、そんな事は無い!! もしかしたらただ朝まで五目並べしてただけだったかもしれないし!」

 

 

 イッセーは往生際悪く五目並べをしてただけだと言い張るようだが、他の者――それこそ出会ってまだ間もないハジメ達ですら五目並べな訳がないと思う。

 

 

「……。なるほど、イッセーのナンパに怒りはするもののなんとなくシアには余裕を感じてた。

それはつまり……」

 

「えー? そんな事ないですよ~? 五目並べじゃなくて、酔っ払ったイッセーに開けた草原にまで連れていかれたかと思ったら押し倒されて、赤い痕だらけになるまでなにかされちゃったとかそんなことは別にございませんって~? 特に胸とかすごいチューってされたとかも全然ありませんよー? へへへ~」

 

 

 ニヘラニヘラとしながら当時の事を話すシアも惚けてはいるものの、殆ど言ってしまっているようなものだ。

 

 

「お前、ある程度は自覚しているんだろう? それなのに……」

 

「だ、だってシアは年上じゃないし……」

 

「父親としては多少思うところはあるが、そこに関してはシアの頑張りに期待するしかないと思うよ私は……」

 

「………」

 

「ぐ、ぅ……だってよ、ちょっと前まで妹みたいな子だと俺は思ってたってか今も思ってるような子なんだぞ? 接し方がわけわかんなくなるっていうか……」

 

 

 基本的に口だけでイザとなると途端にヘタレることを知っているからこそカムも一族達も生暖かい目で見守っている事をイッセーだけが解ってないし、微妙に外堀を一族全員から囲まれている事にもあまり気づいていない。

 

 

「もしかしたらハジメもお酒に弱かったら……」

 

「あ、十分にあり得ますね。

試しに飲ませてみたらどうでしょう? もしイッセーみたいな酔い方をすれば――ふふふ、立てなくなる事を覚悟しておくべきですよユエさん?」

 

 

 そんな要らぬ入れ知恵をユエが仕込まれ始めているので、ハジメももしかしたら他人事では済まされなくなるかもしれないのだが。




補足

非人間への嫌悪が無い理由のひとつに、前の世界で既に非人間の血を持つ者の友達が居たから。

………しかしその子が目の前で殺されたこともあり、それ以降は進化への欲求を押さえなくなった。
 つまり、ハジメが見抜いてる通り、切っ掛けがあれば『壊れる』可能性はある。




酒にべらぼうに弱いのとやらかしたのは大体共通。

だから基本的にシアさんの尻に敷かれ気味だったりする。


 ……それでもナンパやめないのだけど。

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