色々なIF集   作:超人類DX

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前回の続き。

災厄の三竦みの中でも最強に危険な猫さんとのやり取り


南雲ハジメと白い猫

 

 

 何の前触れも無くオレ達の前に現れ、飯を平らげてしまった小猫のお陰でオレは元の力を取り戻せた。

 

 そう、つまり小猫はオレの恩人だ。

 

 無能へと戻されたオレを救ってくれた……。

 

 

「天職? ステータス? ……なんだかド◯クエみたいなシステムですね」

 

「知ってるのかド◯クエ?」

 

「ええまあ……あまり詳しくはありませんがね」

 

 

 しかもこの小猫、よくよく話をしてみたらどうやらオレが住んでた世界のサブカルチャーを知ってるみたいだった。

 

 

「へぇ、南雲さんの天職は錬成師なんですか。

いきなり目の前に車が現れたのもその錬成師のスキルって奴ですか。

中々器用ですね?」

 

「お、おう……!」

 

 

 力を取り戻せたオレ達は一刻も早く残りの神代魔法と迷宮の制覇を目標に次の迷宮を目指すことになった。

 その旅には新たに白崎と―――そして小猫が加わってくれたのは僥倖だったかもな。

 

 何故ならこの小猫は――ハッキリ言って強い。

 それこそあの白龍皇の男とクサレ兵藤並に――

 

 

「助手席には私が座る」

 

「え? ああ、そうだな……」

 

「…………」

 

「?? なんですかえーとユエさん……でしたっけ?」

 

「アナタには負けない……」

 

「は??」

 

 

 そうだ。小猫はもしかしなくてもオレの希望そのものなのかもしれない。

 手も足も出せなかったあの野郎をオレが超えてぶちのめす希望。

 

 

「はいはーい、小猫さんは一番後ろの席ですよー?」

 

「新人だからね!」

 

「………? 別にどこでも構いませんが……」

 

「お、お前ら……」

 

 

 本当の意味での再起と為には小猫が必要なんだとオレは確信できるんだ。

 

 

 

 

 

 

 かつての世界で生きとし生きる全てを――それこそ星のエネルギーをも喰らい尽くした白音からすれば、異世界であるとはいえ『自然』を目にすることは久しぶりのことであった。

 

 

「…………」

 

 

 復帰したハジメの力により出現したジープの窓から覗く『自然の景色』を眺めている白音は神を自称していたナニかによって得た自分の肉体を改めて確認する。

 

 

(やっぱり最後に先輩と殺し合って(アイシアッテ)殺されたあの瞬間と比べたら幾らかは弱くなっているかな。

と言っても私を起こしたあのウザい神を喰い殺せるだけのパワーはあるみたいだから大丈夫そうだけど)

 

 

 イッセーの手により引導を渡され、そこで全てが終わっていた筈の白音が神により再び異世界にて復活を遂げたのは紛れもない現実であり、どうやら夢でも無さそうだと自身の内に宿すパワーを感じながら白音は流れで共に行動をすることになったグループの少年少女へと視線を移す。

 

 

(あの金髪赤目は吸血鬼で、あっちの無駄肉搭載したのは――兎人族と名乗ってた。

で、あっちの子供が海人族で、残りは人間。

随分と妙な集まりだけど、何で先輩はコイツ等を皆殺しにしていないのか不思議だ……。

あの白髪男子さんの話によれば、間違いなくイッセー先輩だし、あの先輩が非人間族を見逃すだなんて思えないんだけど……)

 

 

 半分は非人間で構成されているチームの一人一人を観察しつつ白音はかつてのイッセーの行動原理を考えるだけに不可思議に思うが、それを聞いた所で彼等が答えを知るとは思えない。

 

 

(まあ、そんな事なんてどうでも良いか。

こうして復活できた今、やることなんて決まっている。

……どうやら私が居ない間に先輩の周りに蝿が飛び交ってるみたいだし、ふふ……取り敢えずそのカス雌共を先輩の目の前でシャクシャクしてやったら―――ふ、ふふふふふ♪ きっと先輩は昔のように私だけを憎悪(アイシテ)してくれるようになる。

けど今度は簡単には殺されないようにしないとなぁ……永遠に愛して貰う為に)

 

 

 自分が死んだ後、イッセーの中で何かが変わったからだとしても関係ないし、やることは一つしかないと密かに笑みを溢す白音は、何やら運転席側で揉めているハジメ達の声をBGMに、久しぶりの景色を楽しむのだった。

 

 

 

 

 

 力を取り戻せた事で、ある程度精神を持ち直せたハジメは結構な大所帯と化したチームのメンバー達に今日は野宿になると告げる。

 そして錬成師のスキルを駆使して作り上げたキャンプ用品で夕飯を振る舞うことになったのだが……。

 

 

「久しぶりにまともな『料理』を食べましたよ」

 

「あ、お、おう……」

 

『………………』

 

 

 その小柄な体型が嘘みたいに白音はハジメ達が備蓄していた一週間分の量の食料をぺろりと平らげてしまったのだ。

 

 

「まあ、腹五分目ですが、これ以上食べるのは悪いので残りは適当にそこら辺の生物でも食べて満たしますね」

 

 

 しかもそれでも腹五分目言い切る白音に女性陣は既に引いているのだが……。

 

 

(く、食いしん坊キャラだったのか……。

なんだか良い意味でのギャップを……)

 

 

 ハジメだけは自身の力を復活させてくれた恩というフィルターが掛かってしまっているせいなのか、白音のやることなすことが全て好意的に感じてしまう。

 

 

「今後はもっと用意しないとな……」

 

「? 別に今まで通りで構いませんよ? 足りなければそこら辺と――」

 

「ダメだ! 恩人のお前には返しきれない借りがあるんだ!」

「?? 変にこだわる人ですね」

 

 

 端から見たら、気になる女子を前に一人勝手に張り切る思春期男子のように見えなくもないやり取りを前に、当然香織やユエといった女子達はいい気分ではない。

 

 

「毎回小猫の食べる量の食料を用意していたら破綻する」

 

「だがな……」

 

「ほ、本人は自分でなんとかするって言ってるんだし、ね?」

 

「そうそう!」

 

 

 すかさず割って入ろうとするユエ達にハジメは納得いかない渋い顔をするが、結局本人が自分でなんとかすると言う以上、これ以上は言えなかったので渋々納得することに。

 

 こうして発覚した食料問題は一応の落とし所で解決することになりつつ、ハジメは早速とばかりに白音の強さを知ろうと、軽く手合わせを申し込み―――

 

 

「こんな所ですかね」

 

「……………………」

 

 

 触れる事すら叶わずに完封負けを喫するのだった。

 

 

 

 

 

 

 ハジメどころか、後から挑んだシアやユエですら白音に傷ひとつ付けられずに完封されたその日の夜。

 全員が寝静まった頃を見計らってテントから抜け出した白音は、これまた久しぶりの月明かりを眺めながら、自身の現状の力を再確認する。

 

 

(この連中の強さがこの世界でどれ程かはわからないにせよ、一応勘以外の力はほぼほぼ死ぬ前と変わらなかったか……)

 

 

 この分ならイッセーと再会してもすぐに殺される心配は無さそうだと判断する白音は久しく使わなかった『仙術・白音モード』を解放してみるが、特に違和感無く扱えている。

 

 

「この世界の生物をシャクシャクした所でどれだけ糧に出きるかはわからないけど、取り敢えず適当な生物を食べて――」

 

 

 『切り札』を解放することにも支障は無さそうだが、やはり死ぬ寸前に到達できた領域の感覚は感じない。

 とはいえ自分の死後どれだけの時間が経っているのかはわからないし、その間にイッセーがどれだけの進化をしているかわからない以上は、やはり今は地道にこの世界の生物を喰らってみるしかないと考えながら白音モードを解除すると、白音が寝ていたテントとは別のテントからのそのそとハジメが出てくる。

 

 

「あ、悪い。誰かが居る気配がしたものでよ……」

 

「起こしてしまいましたか、失礼しました」

 

「い、いや良いんだ。

さっきお前との実力差を痛感させられたせいか全然寝れなくてよ……」

 

 

 若干挙動不審気味に話すハジメは、月明かりに輝く白音の姿がその白髪と金眼と相俟ってとても幻想的に見えた。

 

 

「あまり悲観するものでもありませんよ。

私の場合、色々と特殊な事が重なってこうなっただけですから」

 

「そうだとしてもよ……やっぱスゲーよ小猫は」

 

 

 何故か素直に、心の底からそう思えてしまうハジメの言葉に白音は苦笑い混じりに『それはどうも……』と返すと、再び月を見上げる。

 

 

「月が好きなのか?」

 

 

 そんな白音ともう少し話がしたかったハジメは、然り気無く彼女の傍まで近づき、共に月を見上げながら訊ねる。

 

 

「いえ、好きでも無ければ嫌いでもありませんよ。

ただ……月を見たのは久しぶりだったので」

 

 

 そう返す白音にハジメは『そうか……』とだけ言い、暫く互いに無言で月を眺めると、やがて意を決したハジメが口を開く。

 

 

「なぁ小猫。

改めて言わせてくれ――――ありがとう」

 

「はい? なんですか急に?」

 

「お前が居なかったら、オレは無能に戻されたままだった。

奴等にやられたままの負け犬だった」

 

「……」

 

「だから……ありがとう」

 

 

 恐らく白音を知るものが今のハジメの発言を聞いたら『真性のバカか間抜けだ』と言うだろう。

 しかし今はこの場の誰もが白音を知らないし、ハジメにとって白音はまさに自分を掬い上げてくれたヒーローであり、ヒロインのようなものだった。

 

 

「私に恩か何かを感じてるのなら別に気にしなくて良いですよ。

それよりアナタのお仲間の女性達を気にかけてやってくださいよ。

誰がどう見てもあの人達はアナタが大好きのようですしね」

 

「……………。わかってる。

アイツ等も大切な仲間だ。だがお前も―――

 

 

 だからこそハジメは皮肉にも惹かれしまったのかもしれない。

 白い猫に……。

 

 

 

 

 

 

「あー! ハジメさんに小猫さん! 二人でこそこそ何をしてるんですかー!?」

 

「げっ!? し、シア!? そ、それにユエに白崎まで……」

 

「……。またハジメが浮気した」

 

「酷いよハジメ君。

私のことは苗字呼びなのに、小猫ちゃんのことはすぐ名前で呼ぶなんて……」

 

「待て! 完全に誤解だ!」

 

「さてと、私はそろそろ眠りますので後はごゆっくり……」

 

「ちょ、待ってくれ小猫! オレは――のわっ!?」

 

「っ!?」

 

 

 

「……………………………」

 

『………………』

 

「う……ぁ……や、やっぱり安心する……なんだこの安心感は? それに良い匂いも……」

 

 

 

 

 そんな白い猫にのめり込む事で訪れる未来は果たして希望なのか絶望なのか。

 

 

「私はそこら辺の安い女じゃありませんし、本当なら今すぐアナタを半殺しにしてやりたいくらいです。

しかし、気を抜いていたのは私の落ち度ですからね……ええ、後の事はユエさん達に任せるで勘弁してあげますよ」

 

「す、すいませんでした……」

 

 

 

 それは誰にもわからない。

 

 

「ハジメ、申し開きがあるなら聞いてあげる」

 

「ええ、聞くだけ聞いてあげます」

 

「なんで小猫ちゃんにあんな事したのかな?」

 

「だ、だからアレは事故だ!」

 

「へぇ? 事故? 押し倒して、胸触って? すぐ離れれば良いのに抱き締めたことが事故なんだ?」

 

「それは事故とは言わない」

 

「だ、だってよ……小猫ってスゲー安心するっつーか……ちゃんとフニフニしてたっつーか―――あだぁっ!?」

 

「変態です! ハジメさんのスケベー!!」

 

「いでででで!?」

 

 

 

終わり

 

 

「な、何で喧嘩をしてるのでしょうか?」

 

「さぁ? 私に事故セクハラを南雲さんがしたせいなんじゃありませんか?」

 

「じ、事故セクハラ?」

 

「ええ……さぁミュウちゃん? 良い子なら今のあの人達を見てはいけませんよー?」

 

「お、お姉ちゃん達がハジメパパをいじめてる……?」

 

 

 




補足

ネオ白音たんの力の紹介。


暴因暴喰(ネオ)

物理や概念関わらず、あらゆるモノを喰らって糧とするスキル。


仙術・第一形態(白音モード)
大体原作の白音モード。
しかし胸はぺたんこ

仙術・第二形態(ネオ白音モード)
単純にパワーが増す。

仙術・第三形態(六道・白音モード)
意外とファンキーな喋り方も出きる宙に常に浮いてるお爺さんから半ば脅して奪い取った別系統の仙術を組み合わせたモード。

六道の術とかここら辺から行使し始める。


仙術・第四形態(ネオ六道・白音モード)
詳細不明・基本の姿の白音たんのようだが、ちょっと胸が大きくなるとかならないとか。

仙術・第五形態
詳細不明・金ぴかっぽくになるとかならないとか

最終形態・神術モード
不明・なんか黒っぽくなるとかならないとか。



……ほぼ嘘です

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