色々なIF集   作:超人類DX

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短いと思ったのでタイトル変更と軽い追加をした結果、最低な展開に……。




破滅と書いて台無し

 これはきっと悪い夢に違いない。

 

 これはきっと何かの間違いの筈だ。

 

 

「地獄の九所封じその一、大雪山落としーっ!!」

 

 

 背中の感覚すら喪うこの痛みも。

 

 

「地獄の九所封じその二とその三! スピン・ダブルアーム・ソルトーっ!!」

 

 

 両肩を破壊されてしまうこの痛みも。

 

 

「地獄の九所封じその四、その五! ダブルニー・クラッシャー!!!」

 

 

 両足を砕かれる痛みも。

 

 

「地獄の九所封じその六! 兜割りーっ!

その七! ストマック・クラッシュ!!」

 

 

 丹念に己の全身を破壊されていく事への全てが。

 

 

「地獄の九所封じその八! おいおいおいおい、こんなにアッサリと勝手に折れるんじゃないぞ小僧? フィニッシュはこれからなんだぜ?」

 

 

 南雲ハジメは皮肉なことに――

 

 

「赤龍帝の鎧&硬度10#・ロンズデーライトパワー……!!」

 

 

 

 悪い夢であって欲しいと神に願ってしまいたくなるほど、憎んだ男の持つ力の前に折れてしまったのだ。

 

 

「地獄の九所封じのラストワン! じゃあな小僧! 完璧壱式奥義――――

 

 

 

 

 

 

 

――――――――神威の断頭台ーーっ!!!!

 

 

 

 神をも殺すかもしれない悪魔のような男の持つ理不尽さの前に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 強烈なギロチンドロップのような技を叩き込まれたことで、ハジメは首の骨を折って絶命した。

 

 

「な、南雲を殺したのか……?」

 

「ま、マジかよ……本当に殺しやがった……」

 

 

 クラスメート同士の殺し合いを間近で見せられてしまった天之河光輝達は、首の骨をへし折られて絶命しているハジメを、虫けらでも見るような目で見下ろすイッセーを見ながら戦慄する。

 

 

「は、ハジメくんが……あは、あははは! ハジメくんが死んじゃった……あはあはははあは……」

 

「「…………」」

 

 

 しかしそれ以上にショックが大きい香織、ユエ、シアといった者達は、あのハジメが呆気なく死んでしまったという現実をまだ上手く飲み込めておらず、軽く精神に異常をきたしている。

 

 

「ね、ねぇヴァーリ? あの男、本当に人間を殺しちゃったけど……」

 

「奴にとって彼等は仲間ではないという意味なのだろう。

奴は昔から誰かと組むといったことはしなかったからな」

 

 

 物言わぬ亡骸となったハジメを見下ろすイッセーが全身の鎧を脱ぐ姿をカトレアは若干ビビりながらヴァーリからその躊躇いの無さについて聞いている。

 

 

「香織……」

 

「あっちゃー……。ホントに殺しちゃったねー……」

 

「結局最初から最後まで何一つ学ばなかったね南雲も」

 

「ふむ、これからどうする?」

 

 

 完全にお通夜な状況に雰囲気が混沌とする中、不意にイッセーが鈴を呼ぶ。

 

 

「谷口」

 

「なーに?」

 

 

 イッセーに呼ばれた鈴が近寄ると、死体となったハジメを見下ろしていたイッセーが言う。

 

 

「こいつのこの今の様を『否定』できるか?」

 

『?』

 

 

 その言葉の意味をここに居るものの大半は知らない。

 しかし恵里、雫、ティオ達はその意味を知っているのか、少々驚いた。

 

 

「え、やるの? それ自体はできるけど……」

 

「そうか、それじゃあ頼むわ」

 

「え、うん……」

 

 

 言われた鈴自身も驚くものの、特に否定することでもないので、言われた通りハジメの亡骸の前に立つと、精神が崩壊寸前となっているユエ、シア、香織達と、恐怖で顔を歪めている光輝達に向かって天真爛漫な声でこう言い出す。

 

 

「いっちーからご指名入りました~! だから皆で一緒に言ってね~?

せーのっ――――

 

 

 

――――――――It's reality escape!!!

 

 

 イッセーを知り、自分を知り、そして受け入れた事で掴んだ己の精神を解放するのだ。

 

 

 

 

 

 谷口鈴は人懐っこいのかもしれない。

 友達を大切にしようとする良い子なのかもしれない。

 

 だがその想いが少々強すぎる傾向があることを誰も知らない。

 

 大切だからこそ壊れてしまうのを嫌う。

 大切だからこそ離したくないと思ってしまう。

 

 大切だからこそ誰かに取られる事を極端に恐れてしまう。

 

 

 幼少の頃から無自覚に好きになった相手を『囲い込む癖』があった鈴は決定的ではないものの、その精神を持つが故に、相手から無意識に拒絶されながら生きてきた。

 

 そんな鈴が出会った――いや、出会ってしまった二人の少年と少女はまさに鈴にとって『理想』だった。

 

 自分がどれだけ懐いても、逃げたりはしない。

 

 自分がどれだけ図々しくしてても二人は拒絶まではしない。

 

 自分と同等――いや、もしかしたら自分以上に壊れている人間と初めて出会ったその瞬間、鈴の中での優先順位は呆気なく両親をぶち抜き、その二人を頂点としてしまった。

 

 イッセーと恵里という――自分以上に壊れていて、それでいてなんだかんだ普通に接してくれる理想の親友と出会うことこそが自分の生まれた意味だったのだと簡単に決めてしまえてしまうほどに。

 

 

 そして異世界という場所で本格的にイッセーから『扉の開け方』を教わった時――

 

 

 谷口鈴はその天真爛漫さとは真逆の途方もない過負荷(マイナス)を――皮肉なことにもしものイッセーが発現させたそれに酷似したそれを掴んでしまうのだ。

 

 

「はっ……!?」

 

『!?!?』

 

 

 死という現実から生という幻想に簡単にねじ曲げることすら出来てしまう。

 それが谷口鈴の持つ異常――否、過負荷なのだ。

 

 

「オ、オレ……は……!?」

 

「ハジメくん!?」

 

「う、うそ……? ハジメさんが生き返った……?」

 

「それどころか傷も、壊れた義手も全部最初からなかったかのように治ってる……」

 

 

 

 神の所業すら笑って否定する――――世界そのものを壊せる程の。

 

 

 

「一体なにをしたんだ!? 完全に死んでいた筈の南雲が……」

 

「あー……説明しようにも難しくてさー」

 

「しかも私たちの傷すらも……」

 

「ついでだから否定しておいたんだー。

これでとりあえず皆歩いて地上に戻れるでしょ?」

 

「谷口……お前……」

 

 

 事と次第によってはイッセーに勝てはしないものの封じ込められるそのマイナスによってハジメの死を否定したばかりか、他の者の受けた傷をも否定してみせた鈴は挙ってクラスメート達から質問責めを受けるも、ヘラヘラと笑ってごまかしていると、無言で蘇生している自分に困惑しているハジメを見下ろしていたイッセーが口を開く。

 

 

「よーしよし――これでめでたく万全だな? そら立ちな小僧、今度は別の方法でぶち殺してやるからさぁ?」

 

『』

 

 

 ただ単に鈴に現実を否定させた訳ではないとばかりに、獰猛に笑って、左右の指をバキバキと鳴らしながら。

 

 

 

 

 

『Boost!』

 

「ッシャア!!!」

 

 

 鈴の助けありきだが、その気になれば無限に殺せる。

 鈴の持つ性質を知っていたイッセーが何故わざわざハジメの死を否定させたのかはそこにある。

 

 つまり――

 

 

「がはっ!? ごっ!? げばっ!?」

 

「クッハハハハァ!! 潰れたトマトみてーにしてやるぜテメー!!」

 

 

 文字通りハジメは死ぬ権利をも剥奪される形で何度も鈴によって死を否定されて蘇生させられてはイッセーに嬲殺しにされてしまうのだ。

 

 

「ごえっ!? ぁ……が……ぁ……ぁ……」

 

「おっと? うっかり心臓を引きずりだして潰してしまったか? かなり加減したつもりだけどつい殺してしまったぜ。

まぁ良いけどな? おーい谷口ィ~」

 

「はいはーい」

 

 

 頭を叩き割られても、内臓をぶちまけても、心臓を引き裂かれても、何度も無かったことにされ、そしてまた同じことの繰り返し。

 

 

「うっ!?」

 

「流石、現実と幻想の境界線をねじ曲げるスキル。

まるで大昔にあの人外女から聞いた負完全みたいだぜ」

 

 まさに無限地獄であり、殆どのクラスメート達は目の前で繰り広げられるリアル人間解体ショーに、吐くか気絶をするかだがイッセーは止まらない。

 

 

 

「はっ! はっ!! ひっ……!」

 

「ほら、さっさと構えろ。

俺を殺したいんだろう? そのチャンスを無限にくれてやってんだ……とっとと来いや?」

 

「ひ……ひっ……!?」

 

「おいおい、何度ぶち殺してもそうやって五体満足で復帰させてやったんだぞ? 俺の傲慢さが気にくわないんだと威勢良く吠えた通り殺してみろや? え? 俺を敵だと抜かしてたんだろうが?」

 

 

 当然だが、あらゆる手で殺されたハジメは記憶だけは鮮明に残されている為、既に戦意なんて消え失せている。

 しかしそんなハジメなぞお構いなしにイッセーはあらゆる方法でハジメを殺していく。

 

 

「もうやめ―――っ!?」

 

「ゆ、ユエさ―――ん゛!?」

 

「グベァ!?」

 

 

 そんなハジメの戦意を復活させるという為だけに、彼の仲間達すらも呼吸をするかのように腕の一振でバラバラにしてしまう。

 

 

「ゆ、ユエ、シア……し、白崎……!」

 

「そら、お前のせいで喧しいメス共がサイコロステーキになっちまったぞ? あーかわいそー……(棒)」

 

「ひぃっ!?」

 

 

 途中から完全に怯えてしまって戦う意思を示さなくなったハジメをその気にさせようと、ユエ、シア、香織をもバラバラに解体するイッセーは完全にタガが外れてしまった。

 

 

 

「…………撤退するぞカトレア。

完璧にスイッチが切り替わった以上、奴の近くに居るだけで巻き添えをくらう」

 

「そ、その方が良いみたいだね。

それにしてのあのチビ女、魔人族のアタシですらおぞましいと思ってしまうモノを持ってるなんて……」

 

「因果をねじ曲げている辺り、彼女のスキルは神の領域を平然と腐らせいく……。

どうやら以前と違って奴だけを警戒する訳にもいかなくなったな」

 

 

 

肉片となって地面にばら蒔かれている三人の亡骸を踏み潰しながら嗤うイッセーの『残虐スイッチ』を久方ぶりに見たヴァーリは、カトレアと共にこっそり撤退しても尚、イッセーの意識は『皮肉にも』怯えて後ずさりするだけで怒りすら向けてこないハジメにのみ向けられている。

 

 

「む、あの二人が去っていくが、見逃して良いのかの?」

 

「片方はともかくあの白龍皇と名乗った彼には私たちだけでどうにもならないわ」

 

「だね。

イッセーの反応からしてどうにも『本物』みたいだし」

 

「なによりさっきからいっちーは南雲を無限ループで殺すことにしか頭に無いしねぇ……」

 

 

 ヴァーリとカトレアが撤退していくことにすら気づかず、怯えるハジメの四肢を引きちぎり、叫び声をあげようとするのすら許可しないとばかりに下顎をもぎ取りながらケタケタと嗤うイッセーの残虐ショーを強制的に見せられているクラスメートのほぼ全員が吐くか気絶するかといった状況はまさに地獄である中、先程ハジメに不意に殴られて眼鏡を割られた恵里は、鈴の否定によりすっかり何事もなかったかのように元通りの状況へと戻っている。

 

 

「さっさと立てボケがァ!!」

 

「ごぼぇっ!?」

 

 

 恵里自身、ハジメの不意打ちによるダメージは多少の外傷を除けば殆ど0だ。

 しかしそうだとしてもイッセーの気は全く収まらないし、そもそもイッセーは恵里に対して少々過保護なところがある。

 

 

「テメーみたいな虫けら風情がよくも恵里の顔を……! あぁむかつく!! 何度殺しても気が収まらねぇ!!」

 

「ぇ゛、ぉ゛……ぁ゛…ぁ゛……」

 

 

 故にイッセーは200に届く回数の殺しをしては、否定して貰い、また殺すという自身のセオリーを完全に無視したやり方の報復を続ける。

 

 

 

「ねぇいっちー、もうダメだよ南雲は」

 

「完全に戦意どころか精神が壊れてるし」

 

「うむ、どっちにしろもう二度と主殿と旦那様に突っかかろうとはせんじゃろうな」

 

「かれこれ200回は同じことの繰り返しだものねぇ……」

 

 

 だがそんなハジメの『折れ』を感じ取った鈴、恵里、雫、ティオがこれ以上やっても多分なにも変わらないと、通算203回目となる屍と化したハジメの頭を踏み潰すイッセーを止めに入る。

 

 

「そこまでイッセーがやってくれたのは母親(アノオンナ)の時以来だったね。

でも良いよもう、そもそも一撃貰うだけぼくの方も油断してたんだしね?」

 

「ここまでの差があると今度こそ理解してるわよ。

その証拠に前と違って一切向かって来ようとはしていないじゃない」

 

「キレ過ぎて他の人達も巻き添えに何人かバラバラになってるし……。

否定して元には戻せるけど、多分もう二度とステーキとか食べられなくなるんじゃないかなー?」

 

「妾としては早くドライグ様と分離して欲しいのじゃよ。

ドライグ様とイチャイチャしたいし……」

 

 

 頭を踏み潰されて息絶えたハジメの現実を否定し、再び復活させるものの、皆の言うとおり少し前まであれだけ威勢の良かったのが嘘みたいに怯えているハジメ。

 

 

「チッ、はぁ……」

 

 

 そんな四人に対してイッセーが既に心が折れまくっている様子のハジメを塵でも見るような目で見据えつつため息をひとつ。

 

 

「それもそうだな。

結局、虫けらは単なる虫けらに過ぎなかったわけだ」

 

 

 暴れた余波で光輝達すらもバラバラ死体となって地面にばら蒔かれているという――まさに地獄絵図な状況にも飽きてきたのは確かだったイッセーは、急速に頭の中が冷えていく事で冷静さを取り戻すと最早人を人とも思わぬ冷めた目をしながら口を開く。

 

 

「この子等に精々感謝するんだな」

 

「ぅ……ぁ……」

 

「……けっ、ちっと脅しくれただけでそのザマかよ。

そんなんなら最初から絡んでくるなよな。

そもそも見下してるとか見下してねーとか意味がわからねぇんだよ」

 

「………」

 

 

 

 最早まともに言葉も発せられないハジメにそう吐き捨てたイッセーが両手を一度を大の時に広げる。

 

 

 

「ドライグ」

 

『おいおい……まあ良いが、本当に最後にしろよ?』

 

 

 そしてドライグの名を呼ぶと、呆れた様子の声を出すドライグが仕方ない奴だと言いつつもイッセーと力を合わせる切り札の片割れを解放する。

 

 

『Welsh Dragon Fusion mode!』

 

 

 その掛け声と共に全身が目映い光に包まれ、イッセーとドライグの精神が融合を遂げる事でイッセーでもなければドライグでもない龍と人の融合闘士が生まれる。

 

 

「おおっ!? あ、あれはなんなのじゃ!? 宿主殿の姿が変わったぞ!?」

 

「あ、そうか。

ティオは見たことなかったんだっけ?」

 

「本人曰く、イッセーくんとドライグが精神レベルで一つになった状態になるとあの姿に変わるらしいのよ」

 

「時間制限付きだけど、単にひとつになるだけじゃなくて、二人の強さが融合されて更に大幅にパワーアップするとか……。

実際ああなったらこの世界そのものを壊せるとかなんとか……」

 

 二度目となるお披露目に、初見のティオは大はしゃぎとなり、最早イッセーにトラウマしか残っていないクラスメート達はなんでもありなその説明に笑うこともできず、誰しもがハジメに同情――否、恨みに近い感情を抱いた。

 

 なんて化け物の尾を踏んで起こしてくれたのだ……という意味で。

 

 

 

「『これをぶちかますのはさっきまで居た白龍皇か白音以来だ。

精々光栄に思って――――死ね』」

 

「や、やめ――」

 

 

 迷宮を、地上を、空を、海を、そして星全土を震撼させる程の闘気を一切周りへの被害を考えず解放したイッセーでもドライグでもない融合闘士は広げた両手を前に突き出し、莫大なエネルギーを溜めると……。

 

 

 

『「これで最後にしてやるよ! ウルトラビッグバン―――――

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴン波ァァァァッーーー!!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして放たれる光線は呆気なくハジメを……そこに居た全ての生物を、迷宮を、地上を、空を、海を―――――世界全てを飲み込んで消滅させたのだ。

 

 

 

 

「もう! 流石にこの規模の否定は本気で疲れるんだからねいっちー!」

 

 

 その現実を否定されるその瞬間まで……。

 

 

 こうして長くもなければ別に短いこともないイッセーとハジメの因縁? は終わった。

 いや、終わらされた。

 

 そして世界は……神は知るのだ。

 

 取り込んだつもりだったイレギュラーの中に、災厄に最悪なイレギュラーが混ざってしまっていたことを。

 

 

 

「一応皆の受けた傷等々も否定しておくけど良いよねいっちー?」

 

「好きにしてくれ。

最早生きてようが死んでようがどうでも良いし」

 

「流石にもう二度とイッセーに絡みはしないと思うよ。

途中から完全に心折ってたし」

 

「今後は香織達と平穏に生きて欲しいわね……」

 

 

 この世の悪夢達が人の形となって集ってしまったチームの存在を。

 

 

 

「おっと、一応南雲に対して念には念を入れておこうかな?」

 

 

 人の世が生み出してしまった怪物(モンスター)達の悪夢のような戯れ――

 

 

「……」

 

「スズに精々感謝して今後はこっちに絡まずに生きてくれよ南雲?

といっても、ぼく個人としてはまったく信じてないから、手は打たせて貰ったけどね?」

 

「な、なん――――っ!?」

 

「あ、一応わかるんだ? そうだよ、南雲がこれまで積み重ねてきた力は『壊させて』貰ったよ。

だから南雲は昔の南雲と同じくらいの力になったし、『もう二度と鍛えても元には戻らない』」

 

「」

 

「ホント言えばお前なんて二度とイッセーに絡めないように殺してやりたいところだけどさぁ……? それじゃあ可哀想だから妥協してあげたんだよ。

後は精々そこにいる天之河達と……おっと、檜山がアンタを殺意増し増しな顔して見てるねぇ? でも大丈夫だろう? 南雲は『強い』んだから? 力が壊れて二度と戻せなくなっても問題ないよね? だから『ぼくは悪くない。』」

 

 

 異常も過負荷も関係ない。

 誰よりも好き勝手に、誰よりも狂った――神の許容を越えた悪意(シンカ)の塊達はもう誰にも止められないのだ。

 

 

「ぅ……ぐっ! ふ、ふざけるな! 戻せ! オレは―――」

 

「南雲ォ……!」

 

「っ!? お、お前は檜山……!?」

 

「て、テメーはなんて事をしやがった! テメーのせいで俺達まで何度もあの化け物に殺されたんだぞ!? テメーが余計な事をしたから!! 殺してやる! テメーは殺してやる!!」

 

「だってさー? まあでも大丈夫だよね南雲なら? イッセーに喧嘩売れるだけの自信はあるみたいだし? 今更檜山達くらいなんとでも出来るっしょ? お仲間さん達もいるみたいだしさぁ?」

 

「くっ! な、中村ァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「………。なんでわかってた癖に南雲を止めなかったの。

関係ない私達まで兵藤に何度も……うぅ……!」

 

「余計な真似さえしなければ、兵藤達と協力して元の世界に戻れたかもしれないのに……!」

 

「そ、そんなひどいよ! だって元はといえば兵藤君がハジメ君の事を……!」

 

「そんなの、南雲だけじゃなく私達全員に対しても同じだったなんて兵藤を見てればわかるじゃない。

香織が南雲の事を好きだからかなんだかしらないけど、最悪だよ……」

 

 

 

 

 

「あれれ~? おかしいぞぉ~? そのお仲間達が滅茶苦茶責められてるね~?」

 

「ふ、ふざけんな! オレのせいじゃねぇ! オレ達のせいじゃねぇ!!!」

 

「その台詞を今から全員に言って回った所で果たして納得してくれるのか、是非ぼくに見せて貰いたいな南雲? 今度は鈴もお前の死を否定しないつもりだしさ?

やったね南雲! わくわくドキドキの釈明タイムだぜ!☆」

 

「な、か……むらァァァァッ!!!」

 

 全ての結果を破壊か台無しにしか出来ない破綻者達の歩みは誰にも止められない。




補足

大体200回殺された挙げ句、二度と鍛えても強くなれないという破滅の道へと突き落とされるし、思いきり煽られる。

鈴ちゃまが戦闘タイプではない理由はこれだったが――勝てはしないものの引きずり落とせるという意味では一番厄介かもしれませんね。


この覚醒状態の少女達ですら白音たんは確実にシャクシャク出来てしまえるらしい。

ただ、もしかしたら女子達とは『馬は合うかも』しれませんね。
……主にチンピラ堕ちしっぱなしなイッセー関連で。

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