色々なIF集   作:超人類DX

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これが最初のネタだったなぁ…


傲慢なる赤龍帝と異世界
All Must Dieルート・ぷちリメイク


 

 

『さあ、次はお前等の番だぞ――――畜生共ォ!!』

 

 

 その少年の心は殺意と憎悪で培われていた。

 人ならざる存在達への果てしなき憎しみ。

 その異常で異質な力を持って生まれてしまったが故に、人ならざる存在達から翻弄され続けた事への復讐が彼の原動力だ。

 

 

『人様の尊厳を踏みつけてきた分際で今更命乞いねぇ……?

今まで散々お前らを虫けらと思ってきたが、ひとつだけ認めてやれることがあったよ』

 

 

 ありえぬ人生を辿ってしまった彼が信じる者は居ない。

 唯一信じられるものは己の力と――生まれた時から傍に居て共に戦ってくれたドラゴンだけ。

 

 

『お前達は天才だ――――』

 

 

 その憎しみと憎悪だけで人ならざる者達を殺し尽くした最後の龍の帝王。

 

 

 

 

 

『――――そうやって、俺達をイラつかせる事にかけてはなァァァァッ!!!』

 

 

 

 

 

 それが彼という男である。

 

 

『お前達みたいな畜生共を許すと思うか? 一匹残らず皆殺しにしてやる!! 行くぞドライグ!!』

 

『光栄に思え、絶滅タイムだ』

 

 

 

 肩を並べる友等居ない。

 支えるヒロインも、そうなる筈だった者達は皆彼が殺した。

 覚醒した白い猫すらもその手で殺した。

 

 

『あの時を生き残って、俺達と同じ領域に到達したその執念だけは認めてやるさ。

けどな、お前が俺に何をどう思っていようとも、俺にとってお前はバラバラにしてぶち殺す対象でしかないのさ』

 

 

 人以外の生物を確実に殺す男の道は修羅の道そのものなのだ。

 

 

『だがな、たとえお前が全てを喰らい尽くす異常を持とうが、俺の――オレ達の『進化』は喰らうことなどできやしない……!』

 

 

 どこに居ても、何をしても。

 

 

 

『さぁてと、そろそろ終わりにしようぜ塔城……!』

 

 

 

 世界(バショ)が変わろうとも……。

 

 

 

『これであの世に送ってやるッッ!!』

 

 

 

 修羅を道を歩んだ男はそれでも尚止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の弱さを憎んだ。

 自分の無力さを呪った。

 

 抗えぬ力を欲した。

 

 腐りきったこの人生を変えたいと願った。

 

 けれど欲した所で誰も手を差しのべやしない。

 

 肉親にぶつけられる『地獄』から抜けられない幼き少女は、自分自身を含めた全てを呪い続けた。

 

 自由が――変化が欲しい。

 

 それも、全てをひっくり返して壊してしまう程の変化を。

 

 そんな屈折し続けた少女は本当ならば屈折したまま成長し、屈折した心のままある人物と出会い、屈折した独占欲を爆発させ、やがては死ぬ運命を辿る事になる。

 

 だが少女はその人物と出会う前に知ってしまった。

 

 

『ガキの頃――おっと、今もガキだったな。

とにかく前に言われた事があるんだよね。

お前達人間の精神(ココロ)の方が化け物だ……ってさ? まあ、そんな台詞を吐いた悪魔はその瞬間ぶち殺してやっちまったから、当時は深く考える事も無かったんだけど、なるほどね――こうして知ってしまうと強ちそういう見方もアリかもしんねーわなぁ?』

 

 

 理不尽や運命の全てをひっくり返す程の――真の人外。

 並の才能や努力では決して到達できぬ領域。

 

 まるで漫画やアニメの登場人物みたいな――――

 

 

『キミを助けた訳じゃあない。

単にうちの親父に言われて様子を確認しに来たら、キミがそんな事になってたと知っただけに過ぎないからな。

だが強いて言うならさ、蚊が人間の血を吸ってたら潰してぶっ殺すだろ? ……それと同じだ』

 

 

 自分以上に――終わった目をしている化け物を。

 

 

『おいーす親父、取り敢えずターゲットの女と間男は捻り潰したけど、その娘だと思う子が居るよ。

なんか胸くそ悪い事をされてたみたいだけど。

え? ああ、わかったよ……』

 

 

 異常でどす黒い殺意を持つ少年。

 自分と然程変わらぬ年の少年。

 

 

『ウチの親父が――ああ、キミの亡くなった父親の弟がキミを連れてこいって言うから、黙って騒がずに付いてきてくんね? 嫌なら別に断ってくれても構わないけど、ものの数分もしないうちに警察がここに来て、キミの母親はこのまま児童虐待と児ポ関係で逮捕されて、キミは施設行きになるぜ? 俺としてはそっちの方がお薦めできるけど……』

 

 

 そんな化け物が差し出した手を少女は、これが運命の別れ道であるとは知らずに――取った。

 

 

『あ、来るんだ? 一応、キミと俺は遠い親戚みたいなもんらしいんだよ。

んで、ウチの家って――ああ、背中にお絵描きしてる人達社員の会社でさぁ。

そこの社長――つまりキミにとっても親戚になる人が警察よりも早くキミを『保護』しろって言われたから来たんだ。

うんまあ――ゴキブリと間違えてキミの母親をひねり潰しちゃった事に関しては一応謝るぜ』

 

 

 これが少女の運命の別れ道。

 決してその屈折した心が直った訳ではないが、それ以上に『終わってしまっている』少年とのありえなかった出逢いが、少しずつ少女の常識を変えていく。

 

 

『うちの親父含めて顔は怖いけど、少なくともキミの親みたいな真似は絶対にしないと保証するよ。

取り敢えずキミが大人になるまではここに居てもらうけど』

 

 

 普段は隠れているが、何かにたいして強い憎しみを持つ少年。

 誰よりも化け物で、誰よりも強くて、誰よりも理解されない。

 

 

『畜生共が居ないとこんなに平和に暮らせるとはねぇ……。

ふふふ』

 

 

 そんな『自由』な生き方に少女は過ごしていく内に強く興味を抱く。

 その興味はやがて強い執着となって……。

 

 

 

『なんつーか、お前って昔うんざりする程追い回してきた白髪のチビ猫女にそこはかとなく内面が似てるよ。

え? そいつはどうなったかって? さぁ……? 不幸な事故によって永久に現れなくなってからは知らないし興味もないな』

 

 

 

 そして少女が真の意味で彼を知る事になるのは、高校生となった時。

 あまり行く気が無かった少年に少年の父親が『行けやアホ』と言うので渋々適当に選んだ学校と同じ学校に自分も受験し、そのまま揃って入学した。

 

 

『ありゃ? また同じクラスか? 腐れ縁ってやつもここまで続くと微妙になって来ないと思わね?

え、思わない? あっそ……』

 

 

 よくありがちなイジメだなんだが横行していたし、無意味で傍迷惑な正義感を自覚もせず振りかざす者が居たけど、少女にとってはどうでも良かった。

 

 

『あーぁ、またなんちゃってヤンキーの小僧に殴られてるのが居るじゃん。

よくもまあお互いに飽きないもんだね……』

 

 

 何よりも知りたかったのは、人でありながら人であることを終わらせている少年の全てであったから。

 

 

『なんだよ、ちょっと走っただけで誰も彼も化け物でも見るような顔しちゃってさぁ……』

 

 

 だからこそ少女にとって、クラス丸ごと妙な世界に飛ばされたのは僥倖だった。

 

 

「あはははは、まさかだなオイ? 平和な気分を噛みしめてたら、まーた人じゃねぇ畜生共のくだんねーやり取りに巻き込まれたってか? 最高だぜホント―――最高にぶっ殺してやりたくなるくらいにさ? なァドライグ?」

 

 

 人を超越したその理由を。

 その殺意と憎悪の核を。

 

 唯一自分のみが過去に知った龍の事も。

 

 

「一誠君」

 

「ああ、大丈夫だ。

今半殺しにしてやったジジイが言うには、悪魔だか何だかを絶滅させたら元の場所に戻してくれんだと? まあ、そんなの一切信じてねーけど」

 

 

 全てを破壊する龍の帝王を。

 

 

「心配するな。他の連中がのたれ死のうが知ったことじゃないが

お前は知らない仲じゃあないからな。

確実に元の世界に帰れるようにするさ」

 

 

 

 運命を変えた中村恵里は知る事になるのだ。

 

 

 

 

 

 

 この世で逆らってはいけない者と関わってはならない者。

 天之河光輝という、全てにおいて高水準の才能を持つ少年が知ったのは高校生になってからである。

 

 

『一人・ドライブタイガーツインシュート~!!』

 

 

 

 理屈がまず通じない。

 何をしても相手にすらならない。

 

 

『おいゴラ半チクコゾー共……? テメー等が昼飯喰ってる俺達の近くでくだんねー真似してくれたお陰で、エリに作らせた弁当がおしゃかになってしまったんだがよ? ……………なぁ殺すぞ? あ?』

 

 

 そしてどこまでも見下しきったあの目は、本能的に彼を悟らせたのだ。

『あれは関わってはならない人種だ』

 

 

 その察知は間違えてはいない。

 現に自分達やクラスメートでもある彼が、所謂異世界に召喚された事で、その本質を見てしまったのだから。

 

 

「つまり敵対種族をぶっ殺して絶滅させようとしてもテメー等の無能さで何にもできねーから、余所の世界の人間様に押し付けるってか?」

 

「そ、そういうつもりでは――グゲバッ!?」

 

「そういうつもりだろ? その神ってのも胡散臭せぇしよ? 取り敢えず今からここに居る奴等をまとめて血祭りに――」

 

「ストップ。久しぶりに殺気立ってる一誠君には悪いけど、ここで皆殺しにしたら情報が得られなくなるわよ?」

 

 

 普段は問題等起こす事もなく、されど周囲とのコミュニケーションをする訳でもなく、影の薄いクラスメートの一人となる兵藤一誠の残虐でいて躊躇いの欠片の無い行為に、同じように召喚された天之河光輝を含めたクラスの生徒達は顔を青くしながら震えており、偶々その時授業をしていた社会科教師の畑山愛子も、異質で殺意的な彼の迫力に声すらかけられない。

 

 

「他の人達も完全に引いてるしね」

 

「勝手に引かせりゃ良いだろ。

皆殺しは無しにするにせよ、見せしめに2・3人くらいは床の染みに――」

 

「染みにしちゃったら何も聞き出せなくなるってば。

ホント頭に血が昇ると見境なく噛みつく狂犬君だよね『イッチー』は?」

 

「チッ、うっせーのまで来たか……」

 

 

 そんな中を、恐らくは本当の意味で唯一『普通』に、そして『対等』に彼と話ができる女子生徒で、これまた普段は大人しい中村恵里とその親友を自称する谷口鈴が、顔の判別がつかなくなるほどに、自分達を召喚したと宣う者を殴り続ける一誠の肩に触れて止めに入る。

 

 

「話だけ聞いてからでも遅くはないでしょう?」

 

「そーそー」

 

「…………。チッ、言われてみりゃあ正論ではあるか」

 

 

 誰も止められそうになかった兵藤一誠が止まり、また止めた中村恵里と谷口鈴にクラスメート達は驚愕する。

 それ以降、中村恵里と谷口鈴に挟み込まれるように祭壇の隅に座り込んだ事で、やっと話が進められるとホッとしたのは、召喚した連中とクラスメート達両方の気持ちだった。

 

 

「まったく、本当に珍しくあそこまで殺気立ってたわね?

確かに意味不明な所にいきなり立ってたこの状況はアレだったし、召喚? ってのをしたのがあの連中だったからっていうのもあるんだろうけど……」

 

「色々あったんだよ。色々な……」

 

「その『色々』の詳細をそろそろ聞いてみたかったりするんだよね? 前々からイッチーって人間離れしてるところが多々あるしさー?」

 

「いい加減俺をイッチーと呼ぶのはやめろ……。馴れ馴れしい――」

 

「まあまあ鈴に当たっちゃあダメよ?

でもこの体験である程度確信したかも。

一誠くんってひょっとして、こういう感じの世界から――みたいな?」

 

「………。はん、想像に任せるわ」

 

 

 リーダー格と思われる老人から話を聞いているクラスメート達の輪から離れ、恵里は今まで抱いていた一誠への疑問を、今回の体験によってある種の確信に迫ることができた。

 

 

「チッ、手加減し過ぎたか? 拳にさっき殴ってへし折ってやった誰かの歯が刺さってやがるぜ、クソ汚ぇ……」

 

「既に何人かの人は一誠くんのせいで二度とステーキが食べられなくなっちゃってるわね?」

 

「げー……普段は植物みたいに大人しいと思われるせいもあって、完全に怯えられちゃってるよー……」

 

「けっ、知るか、勝手に怯えてろ」

 

 

 否定も肯定も一誠がしないということは、どうであれ一誠は似たような世界から自分達の世界に流れ着いたということを。

 そしてその偶然なのかは別としても、流れ着いてくれたおかげで今の自分があるということも。

 

 

「あーらら、天之河君がクラスを纏め始めてる。

ホント、ああいうのだけは得意みたいだよね?」

 

「…………くだらねぇ」

 

「逆にイッチーは全く集団行動に向かないし。ま、そんなイッチーと一緒にいる鈴とエリもなんだけどさ?」

 

「? 今日はずいぶんと二人してよく喋るな?」

 

「ん? だって楽しいからね? やっと一誠くんを本当の意味で知る事ができるチャンスが来たみたいだし?」

 

「そーいうことさー!」

 

 

 まるで自分達だけは別世界の人間ですとばかりに、クラスメート達の事を他人事のように見ている一誠と同じような目をしている恵里と鈴に、一誠は特に何も返さなかった。

 

 

「あーあ、天之河くんやそれに乗せられてる連中はわかってんのかな? 彼らに代わって殺しに行けって言われてるのに」

 

「普通に育ったんだから仕方ないだろ」

 

「相変わらず興味ゼロな発言だねー?」

 

「普通かぁ……。まあそうだね、あの人達は確かに普通かも。

それより、ここで魔人族的な存在と戦うみたいな流れにさせられてるけど、一誠くんはどうするの?」

 

「それはアレ等と行動をするのかって事か?」

 

「うん、一誠くんの判断によっては私もどうするか決めるからね」

 

「勿論スズもだぜー!」

 

「…………。だったらお前達は彼等と行動すべきだ――と忠告してやるよ。

多分だが、彼等の中に混ざっていれば元の世界に帰れる可能性が高いだろうしな」

 

 

 あれよあれよと天之河の言動で異世界で戦います的な流れになってしまっている状況で、恵里の質問に一誠は彼等に混ざれと言う。

 だが恵里と鈴はその言葉を浮けて軽く微笑むと『それが当たり前』かのように言った。

 

 

「つまり一誠くんは混ざらないんだね? わかった、じゃあ私も混ざらないわ」

 

「スズも同じく!」

 

 

 半ば恵里と鈴からしても予想していた言葉であり、一誠がそうするのならそれに付いていく。

 誰よりも理不尽で化け物であろうとも、恵里や鈴にとっては暗闇から救い上げてくれた英雄(ヒーロー)なのだから。

 

 

「私だけ元の世界に戻っても、意味なんて無いもの。

一誠くんが居ない世界なんて要らない――だから、一誠くんについていくわ」

 

「……………」

 

「鈴もだからね!? 忘れたら嫌だよ!?」

 

 

 この世界も、元の世界もどうでもいい。

 恵里にとっての『世界』とは、一誠そのもの。

 それ以外に生きる理由は無い。一誠が死ねば自分も死ぬ――ただそれだけの事。

 

 

「そういうの迷惑なんだけど」

 

「でも一誠くん……いや、イッセーだけは絶対に私を――ぼくのことは見捨てないでしょう?」

 

「………………」

 

「鈴も鈴も! そこ! 良い感じになんないで!?」

 

 

 その言葉に一誠は目を逸らし、恵里は満足そうに微笑み、鈴が自分の存在をアピールしまくる。

 

 そう、誰であろうが一誠の本質を知らせやしないし渡しもしない。

 彼を理解するのは自分だけで良い――その邪魔をする者は誰であろうと許さない。

 

 

「それでその―――そちらのお三方は我等にお力を貸して頂けるのでしょうか?」

 

「貸してくれるよな兵藤君、中村さん、谷口さん?

その、色々と誤解もあったが、こんな時だからこそ力を合わせて――」

 

「合わせる? それはお前等だけでやってろよ、俺は外れる」

 

「私も」

 

「以下同文」

 

「なっ!?」

 

 

 既にクラスの者達を纏めていた天之河光輝に声に対して、呆気なく『この世界の人間達の事情なんて知らないし、助けようとも思わない』と冷たく、そしてそこはかとなく『見下した目を』しながら吐き捨てた一誠とそれに追従する恵里と鈴。

 

 

「この世界の人間共がそこら辺の畜生共に絶滅されようが、俺の心は一切痛くも痒くもない」

 

「な、なにを馬鹿な事を!? この人達は俺達の助けが必要だからこの世界に召喚をしたんだぞ!? それなのに――」

 

「だったら天之河君と天之河君に賛同してくれる人達だけで助けてあげたら良いんじゃないかしら? 私も一誠君と同じ考えだし、他所様を助けられるだけの余裕も無いわ」

 

「っ……!」

 

「正直、カオリンやシズシズみたいな美少女にうへへな展開がありそうで魅力的ではあるけどねー?」

 

 

 

 これもまた何時も通りだった。

 

 

 そして、人外絶対殺すマンである一誠は再び破壊の龍帝として再起動する。

 

 

「ほー……? ものの見事に『別世界でございます』って風景してるな?」

 

『まさかここに来て再び厄介事に巻き込まれるとはな。

しかし良いのか小娘二人? 言っておくが、一誠についていくとなると、今まで以上に『見るに堪えないもの』を見なくてはならんのだぞ?』

 

「? 別に構わないよ? だって何時も通りでしょう?」

 

「いっちーやいっちーの実家の人達のおかげで色々と慣れちゃったし?」

 

『…………。だ、そうだぞ一誠?』

 

「ガキの頃から思ってたが、そこまで俺についてこようとする奴なんて居なかったのに……」

 

「例外くらいあっても良いでしょう? あはは♪」

 

 

 やがて人そのものからも拒絶された破壊の龍帝に救われた少女達の変質した運命と共に。

 

 

 そして『外』を知った少女は焦がれ続けた青年の姿を更に知る。

 

 

「さて、暫く殺しから離れてたからな。取り敢えず――」

 

 

 ドラゴン波&龍拳・爆撃

 

 

「わーぉ、大きな山脈が見事に荒野になっちゃったね」

 

「この世界に来る前から出来たって辺り、やっぱしイッチーだけ異世界人だったと話しても通用しそうだね」

 

 

 涼しい顔をしながら手からビーム出して、魔物みたいな連中をまとめて消し飛ばしたり。

 

 

「どこの世界も同じか……。散々見下しておきながらイザ殺されそうになると途端に命乞いをする。

なぁ、よーく見てなエリ、谷口――こういう奴等を畜生共ってんだ」

 

「うん、わかったよイッセー」

 

「むー……いい加減鈴って呼んで欲しいんだけどー?」

 

 

 英才教育を恵里に施しながら、我が道を行く。

 

 その頃クラスメート達がどうなっているのかなんて恵里や鈴には最早関係なかったが、出ていこうとした自分達を必死に呼び止めた社会科教師のおかげで、取り敢えずクラスメート達と行動をしていた。

 

 

「エリは降霊術師なんだ?」

 

「鈴は結界師か……。そして肝心のイッセーは――」

 

 

 兵藤一誠

 年齢・00000000000016

 天職・破壊者 

 

 

筋力・1~1000000(赤龍帝モード+∞)

 

体力・1~1000000(∞)

 

耐性・1~1000000(∞)

 

敏捷・1~1000000(∞)

 

魔力・0~0(0)

 

魔耐・1~10000000(∞)

 

 

「向こうでオール100だからで騒がられている天之河君達に知られたらまた五月蝿いことになりそうな数値だねこれは?」

 

「魔力だけ0だってのが却ってリアルというか、ドラちゃんの力を使っても魔力だけは不変なんだ?」

 

『0をどれだけ倍加させたところで0は0だからな。

というかオレをドラちゃん呼びするのを止めろ小娘二号。

オレはどこぞのタヌキ型ロボットではない』

 

 

 

 即刻世界征服でも可能なステータスに苦笑いされたり。

 

 ひょんな事からクラスの大半から何故か嫌われるかイジメられてすら居た男子と再会することになったり。

 

 

「ひょ、兵藤と中村と谷口か……?」

 

「あ? 誰だお前?」

 

「お、俺だよ! 同じクラスの南雲だ!」

 

「南雲……? そういえばよく檜山ってのに苛められてた人だよね? なんだか随分と見た目が変わった気がする……腕も片方無いし」

 

「ずいぶんと見た目もしゃべり方も変わったねー? 片腕無いし」

 

「い、色々あってちょっとな……。

そ、それより3人はここで何をしてるんだ? 他の奴等とは別行動をしてるみたいだが……」

 

「色々。それより今キミの傍にいるそれは……人間じゃねーな?」

 

「っ!?」

 

 

 そこそこ修羅場を生き抜いて、色々と変わったらしいクラスメートと何故か行動している人ならざる者に目付きが鋭くなってしまったり。

 

 

「へぇ? 仲間ねー?」

 

「な、なんだよその目は?」

 

「いーや別に。

俺が知ってる畜生生物共はことごとくそんな言葉を吐いておきながら、後で裏切るようなのばっかりだったもんでね」

 

「そ、そんな事ユエは――」

 

「まあ、キミがそれとどうしようが俺には関係ねーからどうでも良いから好きにしなよ。

ただよ…………俺かこの子等に余計な真似をしたら、その畜生をぶち殺すとだけ言っとくよ」

 

 

 あまりにも庇い立てするから、一応見逃してやったり。

 

 

「イッセーって、人間以外の種族に対しては物凄く攻撃的だけど、それってやっぱり昔の嫌な思い出のせい?」

 

「半分はな。

もう半分は単純に信用ならないってだけの話なんだけど」

 

「えー? あのユエって人スゴい美少女なのに? なんとなくお姉様とでも呼びたくなるくらいの――」

 

「人間が猿だゴリラだチンパンジーに欲情するのか?」

 

「つまり、イッセーから見た他種族ってそういう認識なんだって事?」

 

 

 結局、南雲ハジメからは完全に敵意を持たれたイッセーとエリとスズは、そんな事なぞお構いなしに元の世界に帰る方法を探し、やがて更に月日が流れていく内に、この茶番劇が『神』によるものだと知っていく。

 

 

「エヒトってのをぶち殺すのは確定した。

まあ、神なんて名乗る輩はそこそこ殺してやった事もあったし、何とかなるとは思うが、油断はしねぇ」

 

「今シレッととんでもないこと言ってたね……」

 

「実にイッセーらしいじゃない?」

 

 

 最早この時点で光輝達ともハジメ達ともの相容れることなど無かった一誠一行は、『こうなった原因』となる神を引きずり出す方法を模索しつつ、自分自身の自我そのものとも言える無限進化の異常性を全開にしていくことで、その性質そのものを共に居る恵里とスズにまで作用し始める。

 

 

「ねぇイッセー……聞いてもいいかな?」

 

「? なんだ」

 

「白音って人はイッチーの元カノなの?」

 

「……………………あ゛?」

 

 

 その過程でエリとスズがイッセーの根を知り始めてしまったり。

 

 

「だって、夢? みたいな場所でその白音って人が居て、元カノだって言い張ってたから……」

 

「へぇ? あのカス猫、この期に及んでまだそんな悪あがきしてたのか。

馬鹿馬鹿しいにも程があるね」

 

「そ、そうなんだ? うん、安心したよ……ホント」

 

「じゃあさ、一誠は私のモノだとか、身体も重ねたと宣っていたリアス・グレモリーなんて名乗ってた赤髪の美人さんの言葉も戯言―――」

 

「…………………………………………」

 

「お、おっふ、過去一嫌そうな顔……。

その顔で理解したよいっちー……」

 

 

 ウザい過去から干渉されたり……。

 

 

「せーのっ! これがスズの龍拳じゃー!!」

 

『それなりに形になってはきたか』

 

「意外と飲み込みが早いんだよな、谷口って」

 

 

 スズには培ってきた己の技を。

 

 

「気に入らないし、俺はお前とあの白ガキを同一視はしていない。

だが、お前は確かに気質があの白ガキに似てる――だからこそだ」

 

「食べ尽くす異常……これがボクの?」

 

「ああ、俺がもっとも恐怖し、勝てないと一度は思わされた白ガキと同じ異常性だ」

 

 

 恵里にはその心を。

 

 

 その結果、人からも魔人からも亜人からも――神をも恐怖させる凶悪なチームが完成してしまう。

 

 

「あー、もう良いわ。お前の茶番にはもう慣れたし、何より飽きたわ」

 

「ぐっ! 兵藤ォ……!!」

 

 

 

 そのチームはハジメ達に挫折を与え。

 

 

「うげげ、まっず……。

やっぱりイッセーの味を最初に知っちゃったせいで、全部が不味いや」

 

「お、オレの魔力を喰った……だと?」

 

「取り敢えず……ボク的にもそろそろ鬱陶しく感じてきたし、皆死んでよ?」

 

 

 光輝達には恐怖を。

 

 

「ごめんね~? カオリンやシズシズといった美少女と仲良くなるってのも悪くはないんだけどさぁ、やっぱり鈴が望むのっていっちーとエリなんだ?」

 

「た、谷口まで……!」

 

「知ってるよ南雲君? アナタって元の世界に居た時からイッチーの異常さに嫉妬していたことをさ? まー、イッチー自身あんな性格してるし、敵を作りやすいってのはわかるけど、そこそこ強くなった程度じゃあ届かないよ?」

 

 

 神に絶望を。

 

 

「どーもぉー? そこいらのチンケな赤龍帝でーっす。えーっと、あんたが神様? 取り敢えず――死ねや?」

 

『神ごときに絶滅タイムを与えてやる。光栄に思え』

 

 

 世界に後悔を。

 

 

「ま、まだだ……! 兵藤ォ……! まだ俺はっ……!!」

 

「しつこい奴だな。

この際だから言ってやろうか? 無駄なんだよ無駄。

そこの大事なお仲間は殺すつもりはねーし、好きなだけ仲良くヤってりゃあ良いだろ?」

 

「俺はっ……! お前だけは……!」

 

「うっせーな、お望み通りこの世界から出ていってやるってのに。

なんだ? そんなに自分を肯定してくれるこの世界が気に入ったのか? まあそりゃあ気に入るよなぁ? 女――まあ、畜生ばっかだけど女に囲まれて、強い力も手に入れられて振り回してキャーキャー言われりゃあそりゃあ気分も良いわなぁ? オメーは何時だかあの勇者に対して偉そうに講釈垂れてたけどよ、結局お前も――そして俺も奴と同じ穴の狢なんだっつーの」

 

「ぐ……ぇ……!?」

 

「自分だけは違うみたいな位置に居ようとしてんじゃねーよ? 俺やお前は、力を持っただけのチンケなチンピラだ」

 

 

 全てに破滅を。

 

 

 All Must Dieモードのぷちリメイク―――始まらない。

 

 

「そこまで俺に喰ってかかるんだったら教えてくれねーか? 俺が畜生共をぶち殺している事と、オメーが清水だったかを殺した事の違いをさぁ?」

 

「………」

 

「って、もう折れちまったのか? だったら最初から突っかかるなってんだよ。

おら、そこに居る仲間っぽい畜生共……。俺はこんなのを一々殺してやる程暇じゃあないし、邪魔だからさっさと片付けておけや? このボロクズを」

 

『………』

 

「おーおーおーおー、大事な大事な男が虚仮にされてムカつきますってか? ははは、そりゃあ『小さい男』だなんてほざいた相手に愛しの野郎がズタボロにされるのはムカつくよなぁ?」

 

「アナタみたいな化け物とハジメは違う……!」

 

「決して同じなんかではありません!!」

 

「兵藤君、アナタには人としての心が一切感じられないけど、南雲くんは違うわ!」

 

「ハジメ君は優しいの!」

 

「お主はあの勇者と同じく、違うのじゃ……!」

 

 

 

 

 

「戦争ってよ、こういう意見の違いから起こるもんなんだなと改めて思ったわ」

 

「どうする? 鬱陶しいし黙らせちゃう?」

 

「わかってるのかな彼女達って? 南雲って元々イッチーに対してかなりコンプレックスを抱いてて、それで突っ掛かろうとするってことに」

 




補足

簡易人物紹介

イッセー

人外絶対殺すマン――つまりD×Sルート史上、最も『壊れたまま突き抜けててしまった』一誠が生まれ変わったイッセー。

 相棒のドライグ以外には一切の心を許さず、イリナやゼノヴィアからの救いも繋がりも無いまま自力でなんとかしてしまった孤独ルート。


 過去の因縁を過去の時点で綺麗サッパリと破壊したので、ある程度精神に余裕はあるが、代わりに人間としての精神が完璧に終わってしまっている。

 それでもどちらかと言えば人間側の味方ではあるものの、その人間がただの他人であれば普通に助けもしなければ、普通に殺されそうになっている現場を前にしても平気でポップコーン喰いながら見てるだけの精神性。

 当然、そんな精神性なので、人外に対しては息をするように邪魔と認識すれば殺す。

 おおよそ本来の兵藤一誠が持っていた人間性の殆どを棄ててしまっている訳だが、中村恵里と谷口鈴に対してのみ僅かに残っている人間性や思いやりを見せる。

 特に恵里に関しては無意識に過保護な所があり。
 鈴に対してはうざったいと思いつつも、イカれている自分に対して怯えたりしないのもあるので、ある程度認めてる部分もある。


 つまるところ二人との関係性は、D×Sグッドエンドの要であるイリナとゼノヴィアとの繋がりに近いものがあるとかないとか。

 
中村恵里

 怪物により救われたものの、その怪物によってその後の人生をある意味大きくねじ曲げられてしまったヒロインその1

 元の世界から徹底的にイッセーに対して依存しまくっているので、イッセーの言うことしか聞かないし、イッセーの行動(殺戮行動やチンピラ的行動)にもなんの疑問すら抱かないで追従する。

 この異世界での生活において、イッセーによる本格的な『教育』により喰らう異常を発現させてしまうのは皮肉の中の皮肉。

 ちなみに、鈴とは一応普通に親友同士であり、ちょっとムカつくけどイッセーを前に怯えないその胆力だけは認めていたりする。

 

谷口鈴
 怪物とその怪物の傍にひっついている恵里の親友を堂々と自称できるおっさんを中に宿すヒロインその2

過去に劇的な何かがあってイッセーと恵里にこれでもかと懐いており、その懐きっぷりはやはり依存の領域に侵入している。

 3人の中ではまだまともな人間性なのだが、普通の者からすればやはりどこかのネジが外れてる。

 異世界に来た事でイッセーの異次元さをより正確に把握しても尚怯えもせず、むしろその異次元さの一部を学習してしまうことで、同じく怪物の領域に入り始めている。


 恵里とは確かに親友だが、イッセー関連では上を行かれてる感は否めず、軽く嫉妬してたりしてなかったり。


……このルートはある意味バッドエンド直行になるので、多分続けません。

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