色々なIF集   作:超人類DX

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ネタ。
ホントに単なるネタ


ネタ

 

 

 

 浮かれていた。

 馬鹿であった。

 あまりにも世間を知らなすぎた。

 

 その結果待ち受けていたのは自身の破滅。

 

 絶望。挫折。無力感といった現実を知った時からオレはオレである事を棄てた。

 

 棄てて、闇へと心を売り渡すしかこの地獄から抜け出せる方法はなかったから。

 

 それはオレと同じ経験をしたアイツも同じ。

 

 

 オレとアイツは誓った。

 奪い尽くされる前に破壊してやる。

 殺られる前に殺る。

 

 甘さと馬鹿な考えによって身を滅ぼした俺達が手を組む時に誓った不文律は今でも変わらない。

 全てを失った理由となるその全てを壊し尽くしてやった今でも……。

 

 

『オレは、匙元士郎でも、悪魔の兵士でもない……。

我が名は――』

 

 

 

 

 

 ある程度の嗜みがあったからこそ理解させられる。

 一見すれば我流で洗練さはあまりないように見えるその立ち振舞いは本物であることを。

 それを知ってしまった。

 本当ならば知る必要のない人という種の暗部を知ってしまったとある少女にとって、年の頃は近いその少年を密かに見てきたし、話してみれば結構ラフな少年から少しずつ学んでも来た。

 

 後にその力が人なざる存在を斬り伏せてきた暗黒の力であると知る事になるまで……。

 

 

 そしてその時は唐突に起こった。

 

 

 どこぞで聞いたような体験をする事で……。

 

 

 

 

 退屈だし、物足りなさも感じつつも普通の生活を送れていたとある二人の青年は、突如として感じた懐かしい感覚と共に、もう二度と感じることもないと思っていた気配に近いものを感じながら無言で互いの顔を見合せいた。

 

 

(やってくれちゃったな……)

 

(やっとこさ勝ち取った自由だと思ってたのに……)

 

 

 やるせない気分というのは今まさに自分が感じてるこれなのだろうと、二人の青年は、明らかに現代世界のものではない建物と、現代社会人がするような格好ではない人間らしき存在に、動揺をしている少年・少女達の中に紛れながら思う。

 

 

(なんだよ勇者って?)

 

(オレがわかる訳ないだろ。

ただ、胡散臭いのだけはわかるがな)

 

 

 

 よくわからん、胡散臭さしか感じない老人に召喚がどうとか説明された時は、思わず変な声で笑いそうになってしまうし、この世界とやらには最早二度と見ることもあるまいと思っていた生物達が闊歩していると聞いた時は割と全力で絶望しかけた。

 

 この世界の人間は自分達の知る悪魔に近しい生物と抗争中で、勝つために他所の世界の人間を了承もなしに呼び出したと宣った辺りでキレそうになる程度には、二人の若者はこの世界に長居はしたくないと思うのだ。

 

 

「ここでこの人達に文句を言っても意味がない。

彼にだってどうしようもないんだ。だから俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人たちが滅亡の危機にあるのは事実だし、それを知って放っておくなんて俺にはできない」

 

 

 そんな二人の若者の気分とは正反対に、目立つタイプのとある男子学生がそんな事を宣う。

 それが正義感からなのかは二人にとってその男子生徒ごと興味なんて無いのだが、無知から来るものならば真っ先に死ぬタイプだと寧ろ憐れにすら思う。

 

 

「全く違う世界の人間の為に殺し合いがしたいとはね……」

 

「後で後悔するタイプだなありゃあ……」

 

 

 その男子生徒の言葉に触発でもされたのか、クラスメートの者達も徐々にやる気になっていくのを……クラスどころか彼等より一学年上だったりする二人の少年は可哀想なものでも見るような目だった。

 

 

「で、どうするよ?」

 

「あのボケ老人曰く、この世界の神ってのが呼び出したから戻せないらしい。

……かといってこの世界の戦争なんぞに付き合う気にもなれないってのが本音だなオレは」

 

 

 そんな後輩達はさておき、彼等の先輩となる学年である少年二人は彼等には聞こえない声量で、これからどうするかを話し合っていると、二人に近づく一人の女子生徒が……。

 

 

「運が良かったですよ。

私があの時教室までお二人に来て頂いたお陰で、先輩達も召喚というものに巻き込まれてくれましたし」

 

 

 凛とした雰囲気を纏う女子生徒が、ボソボソと話し合う二人の先輩生徒にしてみれば皮肉にしか聞こえない事をわざわざ微笑みながら言ってくるので、それを聞いていた二人の先輩生徒の片割れ――具体的にはアイボリーの地毛を持つ少年が微笑みながら近寄ってきたその女子生徒の頭を軽くひっぱたいてやる。

 

 

「ああ、オメーのせいだ。

どうしてくれる?」

 

 

 スパーンと結構な良い音をさせながら叩くその先輩生徒の片割れの言葉に、茶髪の先輩生徒もうんうんと同意するように頷く。

 

 

「ただでさえ俺達はキミのクラスメート達に嫌われてるってのに、容赦なく呼びつけてくれたせいでこうなった。

だから金出せ金」

 

 

 まるで言動がチンピラのカツアゲにしか聞こえないのだが、言われた本人であるその女子生徒の表情は涼しげだ。

 

 

「別に払っても構いませんけど、この世界で私達の世界の通貨は使えないのでは?」

 

 

 このふたりの先輩の性格はほぼ把握している上で上手く後輩をやれているせいか、物怖じがまるで無く今の言葉も確かな正論のせいで、割と単純な性格でもある茶髪の先輩は『う、確かに……』と引き下がる。

 

 

「光輝達に関しては元々先輩達だって一切相手にしていなかったですし、ちょっとまだ状況もわからないにせよ何時もの通りですから」

 

「さっきのボケ老人がほざいた限りじゃ、奴等の代理戦争に駆り出されると思うが……」

 

「光輝は恐らくその事に気づかないまま言ってしまってますが、そこを指摘しても止まらないでしょうね。

となれば残された道はひとつ……なんとしてでも生き残るですよ。

ま、私は『元士郎先輩』と『一誠先輩』が一緒に来てくれた時点でなんとかなると思っていますけど?」

 

「「……………」」

 

 

 少女からの妙な高い信頼にアイボリー色の髪で、元士郎と呼ばれた少年と茶髪で一誠と呼ばれた少年は嫌そうな顔だ。

 

 

「今まで全力で一般人として生きてきたってのに、今更現役に戻りたくなんてないんだけど……」

 

「今お前が言ってたクラスメートの奴のような正義感なんてねーぞ?」

 

「知ってますよ? 特に元士郎先輩が他人の為に戦うタイプじゃないなんて……ね?」

 

「………………………」

 

 

 少女の笑みに元士郎と呼ばれた青年は目を逸らしながら軽く舌打ちをする。

 めんどくせぇ後輩だぜ……と。

 

 

 

 匙 元士郎

 

 

 備考・どこかの世界で転生悪魔になったのだが、ある事がきっかけで主に見捨てられ、深い絶望と燃えたぎる復讐心によって己の力そのものを変質させて進化した青年。

 

 

 兵藤一誠

 

 備考・同じく、元士郎と同じ絶望と復讐心の果てに別の進化をすることになった最後にて最悪の赤き龍帝。

 

 

「匙先輩と兵藤先輩、雫になにか?」

 

「俺達がこの犬みてーな後輩になんかしたのが前提なんかい……」

 

「心配しなくても何もしてねーよ小僧?」

 

「ちょっとした世間話をしていただけよ?」

 

『………』

 

 

 これは……復讐心を拗らせた事で覚醒した最強最悪コンビのお話。

 

 

 

 

「あ、あのー……」

 

「? なんだ、確か八重樫のダチだったか?」

 

「あ、は、はい! 白崎です……それでその、よくお二人の事は雫ちゃんから聞いてました」

 

「どうせ碌でもない事なんだろ?」

 

「いえいえ……! 寧ろ楽しそうに話しますよ?」

 

「……………」

 

「本当ですよ? だから変な目で私を見ないでくださいよ元士郎先輩」

 

 

 かなりの美少女に話しかけられても無反応だったりする凶悪コンビだったり。

 

 

「と、いう訳で迷宮というところに入るまでの間の訓練を一緒にお願いします」

 

「だ、そうだぜ元士郎? その子の面倒はお前がよく見てたろ?」

 

「しつこくて仕方なくだったんだよ……」

 

 

 クラスに混ざって訓練する事になれば、キラキラした顔で犬みたいに寄ってくる雫に苦い顔になったり。

 

 

「お前の行儀の良い剣術に一々付き合う気はねぇ」

 

「っ……!? わかっています。

それにしても相変わらず独特な剣の構え方をしますね元士郎先輩は……」

 

 

 進化の果てに剣を使い始めた元士郎が雫の相手をしてあげたり。

 

 

「一度だけ見せてくれたあの『鎧』のようなものはまだ見せてはくれませんか……?」

 

「そこまで追い込まれるような事がもうないんでね」

 

「それなら私が追い込んであげますよっ……!!」

 

 

 そして……。

 

 

「オイ一誠、この世界の生物が喰えるかどうか取り敢えず奴で試すからここはオレにやらせてくれ」

 

「ああ、アレか……久々だな見るのも」

 

 

 報復の果てに闇へと堕ち、力そのものを変質させた青年は再びその身に纏う。

 

 

『オレはもう転生悪魔でも、そして人間でもない。

我が名は呀――――――――――――暗黒騎士……!』

 

 

 全てを喰らう事で強くなり続ける漆黒の黒狼を…。

 

 

『滅せよ!! そして、我が血肉となれぇぇぇぇっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、魔物を鎧に喰わせた光景がおぞましいのと、俺達のパワーが危険すぎたから追放されてな。

呼びつけておきながらとことん勝手な連中だなオイ……」

 

「そ、そんな事が。

つまり今はニンゲンの味方ではないと……?」

 

「どっちでも無いが正解だな。

まあ、相応の対価を払えばその分の仕事くらいはしても良いけどね」

 

「で、ではその対価を支払いますからどうか私達を……!」

 

 

 

 異世界においてもおぞましい進化を遂げた二人の力は受け入れられず、はみ出し者として追い出されてしまうのだった。

 仕方なく二人は宛もない旅に出ていく事になり、その旅の道中に知り合った亜人の少女に仕事の依頼をされることになった。

 

 

「珍しいな、対価ありきとはいえお前が他人を助けるなんて?」

 

「暇だってのもあるんだが、妙に馬が合うんだよあの子とは」

 

「この世界の人間よりも別種族の方が先輩達の在り方を否定しないというもの皮肉なものですね」

 

 

 

 別になんでもない筈の後輩がさも当たり前な顔してついてくると言うオマケで。

 

 

 

「…………。てか八重樫はどこまでついてくる気だよ? 追放されてる俺達について来るとか正気じゃねーぞ?」

 

「え、だって私は後輩ですから? それに元士郎先輩の他の奥義も知りたいし」

 

「コイツもコイツでブレねーな……」

 

 

 こうして帰れと言っても帰らないので、仕方なく後輩を連れて亜人からの依頼を自分達なりのやり方で強引に解決するのだが。

 

 

「え……? 俺達に付いてくるの?」

 

「は、はい……! その、ダメですか……?」

 

「別にダメって事は無いけど、前にも言った通り八重樫は違うけど、俺と元士郎はかなり微妙な立場だし、下手に近くに居ると逆に危険だぜ?

それにキミはその予知の力で見えた二人を探すってのがあるんじゃないのか?」

 

「そのつもりでしたけど、予知に従うだけの生き方は嫌だといいますか……。

その……」

 

「?」

 

 

 他の世界と違って何故だか妙に馬が合う少女に懐かれても拒否感がない赤き龍の帝王。

 

 

「私が見ている限りでは一誠先輩に異性の影はないわね……。元士郎先輩もだけど」

 

「ほ、本当ですかっ!? と、ということはつまり……」

 

「元士郎先輩もだけど、イッセー先輩は一筋縄ではいかないと思うわよ?」

 

「わ、わかっています!」

 

 

 異世界で何故か指名手配されてしまった凶悪コンビ―――始まらない。

 

 

「元士郎が八重樫に稽古つけてる間暇だし、キミにある程度の戦い方を教えてみようと思う」

 

「え、私にイッセーさんが? い、良いんですか? 」

 

「タイプ的にキミは俺に近いしね」

 

「お、お願いします!」

 

 

 魔改造された少女達の奮闘記も始まらない。

 

 

「それで、居眠りをしていたイッセー先輩を起こそうと近付いたらそうなってしまったと……?」

 

「ひゃ、ひゃい……も、もう頭の中が滅茶苦茶で何も考えられません……」

 

「そうなったら自発的に起きでもしない限り中々起きないんだよなぁイッセーって……」

 

「私もこんなイッセー先輩を見るのは初めてですけど、その言い方から察するに、シアさんには起きるまで頑張って貰うしかないと?」

 

「まー……でもシア的に別に嫌ではないんだろ?」

 

「そ、それはまあ……」

 

「それなら起きるまでそうしててやれよ。

流石にそれ以上のことはしないだろうし……」

 

「そ、そう言う事なら仕方ありませんけど……それはそれで寂しいのですが……」

 

「本人は気持ちよさそうにシアさんを抱き枕にして寝てるわ……」

 

 

 




所詮はネタなんで特になし

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