色々なIF集   作:超人類DX

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察しろ……タイトルで(迫真)


降臨・満を持して(ひんぬー)

 

 

 

 彼等はその力を『異常』と呼ぶ。

 何を以て異常なのかは私達にはわからないけど、その質の希少価値だけは理解している。

 

 だけどその異常を持つ者は例外無く制御不能であり、どうにかして取り込もうにも難しい。

 

 故に他人の力を引き上げるという力を持つ彼がその本質を忘れつつも無意識に醸し出していた時はチャンスだと思い、あの手この手を使って取り込んだ。

 

 お陰でかつての頃では手に入らなかったものや、我を通せる力を持つことができた。

 

 

 このまま記憶を失ったまま私達のモノになれば良い……そう思っていたのに、あの白龍皇が――この世界には存在しないと安堵したつもりだった白龍皇が現れたせいで彼は記憶を取り戻してしまった。

 

 またしても私達の未来を潰す悪夢のような奴等に……。

 

 

 

 

 

 

 

 記憶を取り戻したイッセーが制御不能となり始めても、女として生まれ変わった白龍皇がイッセーの傍に居ても尚、取り込む事を諦めないリアス達。

 

 そんなリアスにとってエレーナという名の少女として生まれ変わった白龍皇も目の上のたんこぶなのだが、それ以上に――否、立場だけなら同等であるからこそ嫉妬にすら近い感情を持つ者が居るわけで……。

 

 

「―――というわけで、プールの清掃を頼みたいのよ。

もしも清掃をしてくれたら、下校の時間まで自由に使ってくれても構わないわ」

 

 

 それこそがリアスにとっての幼馴染みという位置であり、リアスと同じく眷属の悪魔を持つシトリー家の子女ことソーナだ。

 部室にやって来た黒髪に眼鏡の奥にアメジスト色の瞳を持つ少女の『依頼』にリアスはどこか複雑な顔をするのだが、その理由は――

 

 

「うーむ、やっぱひんぬー会長はひんぬー会長だな。

エレーナよりひんぬーって辺り、ひんぬー界の王座は揺るがないぜ」

 

 

 何故か、どういう訳か前世の頃からイッセー達はソーナだけは例外とばかりな態度を見せるのだ。

 微妙な顔をするエレーナと、ひんぬー呼ばわりされて一瞬ぴくりと反応しかけつつも無視を決め込もうとしているソーナの胸元を見比べているイッセーの態度が証拠だ。

 

 

「おーい、無視すんなよひんぬーソーたーん?」

 

「……。で、では頼みましたよ?」

 

「ひんぬー! ひんぬー! そーれひんぬー!」

 

「あぁもうっ! ひんぬーひんぬーうっさい! そこまでひんぬーじゃないわよ!」

 

 

 今時の小学生でもやらなそうな煽りをこれでもかと楽しそうにするイッセーにとうとう我慢できなくなったのか、生徒会長としての立場を投げ捨てたソーナが怒りを露にイッセーに詰め寄る。

 

 

「やっと記憶を取り戻してくれたかと思えば会いにも来てくれないし、こっちから出向いてやれば開口一番の言葉がそれってなんなのよ!?」

 

 

 そのままリアス達を放置しながらうがーと吠えるソーナに、イッセーはへらへらと笑いながら、ソーナの頭を軽く叩く。

 

 

「そうやってひんぬー言われてムキになってくれるセンパイが好きだぜ俺は?」

 

「ま、まったくもう……! ヴァーリ君は女の子になっちゃってるし……。

うぐ……で、でも確かに私より大きいかも……」

 

「全く褒められてる気がしないぞ……」

 

 

 気付けばリアス達を蚊帳の外に盛り上がるイッセーとエレーナとソーナを前に、特にソーナに対して嫉妬心を抱くリアス。

 何故かイッセー達はソーナにだけは悪魔でありながら例外的に対等な扱いをするし、なんならその力を簡単に貸す。

 

 更に言えば前世の頃、ソーナの身に危険が迫った事があったのだが、その時どこで話を聞き付けたのか――檻をぶち抜いてバーサーカー化したイッセーが散々暴れ倒して敵を皆殺しにし、ソーナを助けた事もあった。

 

 

「悪魔には対応が塩なのに、あの人にだけはやっぱりああなんですね……」

 

「………」

 

「何故なのでしょう……? 私達とシトリーさんの何が違うのでしょうか……?」

 

「………知るもんですか」

 

 

 『相変わらずのA-だなぁ』とイッセーが平然とソーナの胸を揉み始め、数秒程呆然としてからカーッと顔を真っ赤にしてから横っ面にビンタされる様を呆れた顔で見ているエレーナという光景を見ながら、顔を歪めて爪を噛むリアス。

 

 こうしてイッセーが記憶を失っていたことで実に忠実だったことで薄れていたソーナへの妬みを再び蘇らせる事になり、プール掃除後のプール遊び等出来るメンタルも消え失せるのだった。

 

 

「おいイッセー……」

 

「あ? ………って、どちらさんでしたっけ?」

 

「こ、この前眷属になったゼノヴィアだ! それよりお前、記憶を戻してからの態度が少しあからさま過ぎやしないか……?」

 

「あからさま……? 俺はただ元に戻っただけだ」

 

「しかしだな……」

 

「興味が無いんだから仕方ないだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 べつに劇的な理由があった訳ではない。

 ただ初めて会った時から波長が合ったからとしか言えない。

 

 

「そう、後は神牙さんだけなのね」

 

「ええ、センパイは何か情報とか持ってません?」

 

「うーん……残念ながら私の所にも神牙さんらしき人の情報はないわね」

 

「そうか……」

 

「ごめんなさいね……」

 

「しゃーないっすよ。

まー、あの馬鹿みたいな前向き人間の事だし、ちゃんとどこかで生きてはいるっすよ」

 

 

 そんな私を何故かリアス達は恨めしい顔でよく睨んできたりするけど、睨まれても普通に困るわ。

 だって本当に特別な理由もなく気付いたら交流するようになっただけだもの。

 

 

「もしくはイッセー君やヴァーリ君――いえ、今はエレーナさんのように神牙さんは記憶を失っている上に女性として生まれ変わっていたりとか……」

 

「その可能性は高いな……」

 

「げー……それはウォーリーを探せより難しいな。

黄昏の聖槍を宿しているのが唯一見分けられる方法だとしてもなぁ……」

 

 

 特にこのイッセー君は私をしょっちゅう――全然そんな事なんて無いのにひんぬー――つまり貧乳だ貧乳だと小馬鹿にしてくる。

 全然そんな事無いので最初は本気で腹立たしかったけれど、今は――まあ、ある程度流せるようになってるわ。

 

 

「というより私とこんな所で喋ってて良いの? リアス達はプールのお掃除を早く終わらせて遊ぶ気のようだし、妙に張り切ってたわよ? アナタに色仕掛けするとかなんとか……」

 

「されたところで何とも思いませんし、エレーナとこうしてセンパイと駄弁ってる方が楽しいんでねぇ……」

 

「でもあの子達は貧乳じゃ―――あぁ、そういえば戦車の子は貧乳だったわね」

 

「いや、貧乳とか貧乳じゃないとか別に関係ないからね。

根から興味ない時点で」

 

 

 このように、興味が無い相手にはからかうことすらしない。

 その事を考えたら、おちょくられるだけの関心を彼から持たれている訳で。

 

 

「結局どこまで言ってもあの連中も俺――じゃなくて俺の異常にしか興味持たないんですから、それこそお互い様でしょう?」

 

「記憶を失っていた頃のアナタの扱いを見てたけど、露骨だったわね……。

なんでそういう所が下手なのかしらねー……?」

 

「その点センパイは違うでしょ? そういう訳ですわ」

 

「『持ってる』という違いもあるんじゃないかしら?」

 

「そういうサッパリした所がオレ達が信用する点なのさ」

 

 

 リアス達も下手というか、どうしてよりもよってな手ばかりなのかというべきなのか―――そこまで簡単に地雷を踏めるかと感心してしまうというべきか。

 

 

「虚しい気分で遊んでるんでしょうねぇ……今頃」

 

 

 異常性しか見えてない時点で終わってるのよ。

 まぁ? そもそもの話、リアス達と私では違うのよ。

 特にこのイッセー君は、口では私を貧乳呼ばわりして小馬鹿にするけど、実は結構慎ましい胸の方が好みだったりね……。

 

 

「いっそ、ライザー・フェニックスと結婚した方が悪魔人生としては幸せだったんじゃあないかしら」

 

「……意外とセンパイも酷な事言うね。

記憶が戻る前にそのやり取り見てましたけど、相当嫌がってましたよ?」

 

「記憶を取り戻す前のお前が無駄に頑張ってしまった事でその話も消えたようだがな」

 

「そこに関してはちょーっと後悔してるんだよねぇ……」

 

「ふーん? じゃあ実は記憶が無かったアナタが兵士としてレーティングゲームを頑張ってた頃、私にも似た話があったらと言ったらどうする?」

 

「……は?」

 

「……なんだと?」

 

 

 そこから考えるにイッセー君ってきっと……。

 

 

「これでも一応純血悪魔ですから。

そういうお話だって私にもあるわよ。

もっとも私は――」

 

「そいつ誰だよ? ツラさえ教えてくれたら暗殺しに行ってやるぜ?」

 

「ああ、一族もろとも今すぐにな」

 

「―――話を最後まで聞いて頂戴……。

ちゃんと白紙にしたわよ」

 

 

 うん。

 確実に私の事が好きで間違いないわ。

 

 

「あ、そう……」

 

「考えてみれば今のソーナなら簡単か……」

 

「誰かさん達に鍛えて貰ったお陰でね? ふふ、それよりイッセー君ったら、そんなに私が誰かと結婚するのが嫌だったの?」

 

 

 そう考えれば、しつこく私を貧乳呼ばわりしてからかうのも納得できるのよ。

 あれはきっと、好きな子を苛めたくなる男の子の心境なのだろうとね?

 

 

「嫌だっつーか、センパイがそれを望むそれなら別にですけど、そうじゃないんでしょう?」

 

「ええ……」

 

「? なんだよニヤニヤして?」

 

「べっつに~? ふふっ……♪」

 

 

 ほら、やっぱりそうだ。

 まあ? どーしてもとイッセー君が言うのなら結婚してあげないこともないけれど?

 

 

「大丈夫よ、アナタの馬鹿にしているひんぬーなお胸はアナタのだけだから?」

 

「は?」

 

「おい、ソーナの部下の一人……確か兵士のだったか? 奴が向こうの陰から凄い形相でイッセーを睨んでるぞ」

 

 結婚したら毎日私の胸とか凄い事されちゃうのかしら? 前世の頃は酔っ払ったイッセー君に純潔貰われちゃったこともあるし? ふふ……記憶を取り戻してくれて良かったわ。




簡易人物紹介


 ソーナ・シトリー

 永久不滅のひんぬー生徒会長にて、三馬鹿時代の三人から唯一対等に絡まれていた悪魔眼鏡娘。

 あまりにもひんぬー呼ばわりされすぎてるせいか、イッセーから好かれると解釈する辺りは若干ぽんこつ入ってるのだが、もしかしたら当たらずも遠からずなのかも。

彼女もまた三馬鹿側のものを持ち寄せており、本気で解放すると一番やばい気質だったり。

ちなみに、前世時代では泥酔したイッセーによって大人にされた経験がある。

 

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