色々なIF集   作:超人類DX

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これ今回は一誠も一夏も関係無いです。

とある下僕悪魔の……言ってしまえば成り上がりの半生。

※ちと直し


世紀の大恋愛

 言い訳とかじゃ無く、本当に只何となくだったんだ。

 こう、あの人を中心に歯痒い思いをしてた者同士だったというかさ……。

 あの人――いや、会長があの野郎を追い掛けるせいでどんどん強くなって、それに置いていかれてしまった者として顔を合わせる度、会長を変えた男をタネに愚痴り合ったり、会長の姉さんだからってんで、会長の気を引かせる方法とか教えて貰ってる内に……的な。

 

 勿論解ってるよ? どうせオレは直ぐに気が散っちゃう性格だってのもさ。

 でもよ……何かさ、似た者同士というか、性格は全然違うけど、悩みが一緒でしたというかさ。

 気付いたらあの人よりも彼女を気にするようになってて、気付いたら彼女を何時も目で追ってて……。

 

 気付いたら――

 

 

『俺は……! 俺はこの人のボディーガードだボケッ! 文句あっかこの野郎共!』

 

『げ、元士郎……くん……?』

 

 

 邪龍戦役と後に呼ばれる戦い、そして終結後に旅立とうとした彼女を追い掛けてたんだ。

 好きとか嫌いとかじゃくて、当時は只がむしゃらに恩返しがしたくてさ。

 

 そりゃあ勿論、好きだった会長の眷属としてでしか無い俺が、雑魚の癖して魔王の彼女のボディーガードなんて言ってる時点でチャンチャラ可笑しい話なのかもしれない。

 だけど、それでも俺はあの野郎を越えるために、彼女の教えを受けつつ鍛えた力を、先ずは彼女の為に使いたかったんだ。

 

 イザとなれば手足がもげようとも盾になるつもりで、応援してくれた彼女に恩返しがしたくてな。

 

 

『アンタに付き合わせて貰いますよ。

地獄の果てだろうが、何処だろうが……! その為に手に入れた力だ!』

 

 

 会長の為から、何時しか彼女自身の為に。

 あの野郎をぶっ飛ばすつもりで鍛え、そして至ったこの力の全てを彼女の為に。

 

 

『……。あ、あはは☆ 何だろう、率直な感想を言わせて貰うと、かなり嬉しいかな……? えへへ……』

 

 

 オレの言葉に目を丸くして、やがて子供のような顔で笑った彼女を死んでも守り通す為。

 それが俺の力の根元であり、理由。

 これこそが彼女の守るために至った超例外の変異。

 

 それこそが――

 

 

『いきなり俺の(キング)は取らせねぇよ!』

 

 

 

『さぁ、俺一人地獄には行かねぇ。

この人をを守る為に、テメー等を一人でも多く道連れにしてやる!』

 

 

 

『龍はもう要らない。龍をも越えて喰らい尽くすは暗黒の狼。

我が名は呀! 暗黒騎士だ!!』

 

 

 俺の夢の体現。

 

 

『さぁ行け元士郎よ……覇邪の道を!』

 

『そんなのに興味はねぇよメシア!

俺は、この力をあの人を守る為に使うんだ! その後テメーが俺を喰らいたきゃ好きにしやがれ!』

 

 

 そこからはもう、全てをがむしゃらに捧げた。

 鎧の力を覚醒させた時と同時に俺の中へ宿った――ヴリトラを喰らって乗っ取ったと自称するメシアと名乗る女の声の誘惑を消し飛ばし、屈服させたのも、強くなって彼女のボディーガードだともっと胸を張って言える為だった。

 

 

『我鱗防御……!』

 

『元士郎君……! あはは、何だか私達、良いコンビだねっ☆』

 

『これでもかなり必死なんすけどね!』

 

 

 傷ひとつとて彼女に付けさせない為に、時には彼女と一緒に、時には彼女の盾となり。

 会長はそんな俺に『姉をアナタに託すわ、だからアナタの思う通りに突き進みなさい!』と背中を押してくれた。

 

 初恋の人だった会長からの叱咤激励が、失恋と同じ意味を持つ事は既に解っていたが、俺は悲しくなんかなかった――てのは流石に盛ってるが、それでも俺は前向きに考えて進めた。

 

 

『業火炎破!』

 

『邪双交撃!』

 

『闇血邪剣!』

 

『邪霊幻身!』

 

『百刀剣乱!』

 

 

 誰も至らなかった、例外の力は彼女の為にだけしか使わなかった。

 彼女の害となるモノ全てを斬り伏せ、そして喰らう事で強くなっていく実感が沸く。

 

 

『最強の力……! 究極の力を――大魔獣陣!』

 

 

 ……。ぶっちゃけ、がむしゃらになり過ぎて、色々とハイテンションのまんまだった様な気が、今にして思えばしてなくも無い気がするが、まぁ、良い思い出だと思う。

 

 

『おいおい、ゴテゴテって感じだな』

 

『強い……! おい一誠、アイツと戦うのは俺で良いよな!?』

 

『むむ、彼も勧誘してみたいが――無理だよなぁ……』

 

『……。ヴリトラの力が感じない……?』

 

 

 結局、何処まで行ってもこの化け物四人には勝てなかったのもな……クソッタレ。

 現在じゃあんまり関わる事も減ったし、会長は相変わらずあの化け物四人組の中でもトップクラスの化け物男に拘ってて腹立つが、強さだけは本当に生身の人間という事すら忘れちまうレベルで可笑しい。

 

 

『剣術はかじった程度だが、この暗黒剣、そこら辺の小枝の錆びにしてやる』

 

『ふざけんなテメェ!! 人をおちょくるのも大概に―――ぐがっ!?』

 

『俺は至って真面目だぜ、最初っからな』

 

 

 

 鎧を平然と素手で砕くとか……酷い時はそこら辺で拾った小枝で切り刻んで来るわ……今思い出してもムカついてしょうがねぇ。

 

 

『ぐ……あぎぎぃ……! ま、待て、まだ終わってねーぞゴラ』

 

『ま、待って元士郎君! 今はまだ無理だからやめよう……ね?』

 

『…………。うわ、いーな……ひんぬー会長の姉ちゃんに介抱されるとか』

 

『う、うるせぇ……腕を折ったテメーがこれ以上この人に何かしたら殺すぞ……!』

 

『いや別にしねーよ。つーか腕折ったのは本当にすいません。

ああでもしないと、話しとか聞いてくれなさそうな気配だったのと……ま、何ですか、オーフィスの事になると案外頭に血が昇るというか……』

 

 

 彼女……セラはボロボロにされる度に俺を慰めるもんだから自分の情けなさに拍車が掛かるし、関わって良かった事なんて一個もありゃしねぇ。

 

 

『も、もう良いから……これ以上元士郎君を苛めるのはやめてよ……』

 

『え、あ……いや、苛めても無いし、喧嘩売られたから買っただけというか……あの、彼、さっきから貴女のおっぱいで羨ま窒息死しそうになってんですけど……。

あのーつかぬ事をお聞きしますけど、彼とは一体どんなご関係で?』

 

『…………。少なくとも、元士郎君だったらこうしてても良いと思える関係……かな? おっぱいだって元士郎君が元気になってくれるなら好きなだけあげちゃうよ……☆』

 

『………な、なんだって?』

 

 

 こっちはセラの腕をへし折った借りを返してやろうと躍起なのに、当の本人は会長を無視して負けてボロボロになった俺をセラが慰める為に抱き締めてくれたのを見て勝手に『ノォォォッ!?』と精神ダメージ受けた時以外は勝てた気もしやがれねぇ。

 

 

『クソー! 魔王少女レヴィアたんのおっぱい独り占めとか、実質俺の敗けかよ!? 覚えてろよ……えっと、匙元士郎! レヴィアたんのおっぱいゲットしたからっていい気にならない事だな!』

 

『……………』

 

『いや、元士郎くんは今気絶してるけど……』

 

『ちくしょぉぉぉぉー!!! 俺の知り合いにボインが居ねぇのにぃぃぃ!!』

 

 

 本当にどこまでもムカつくぜあの野郎、会長もずっと拘り続けてるしよ……ったく。

 

 

『貴公の実力は認める。そして功績も我が悪魔の中でも文句無しだ。

しかしそれでも認められんものは認められん』

 

 

 そんな訳であの四人組にコンプレックスを抱いたまま、数々の抗争をセラ共に、守ったり戦ったりして片付けて経験を積んでいく内に、俺の頭の中はセラしか考えられなくなっていた。

 それはまさしく彼女に惹かれた訳で、俺は……まあ、その……何だ、思いきってセラに告白したんだよ。

 

 

『あ、あの……その……会長が好きだった癖に何言ってんだお前? ってなるかもしれませんけど、聞いて貰えますか?』

 

『え? う、うん……何かな?』

 

『その、あの――お、俺――

 

 

 一生貴女の―――いや、もう良い。とにかく好きですみたいな事を言った。

 もう口から内蔵が出てきそうなくらいテンパりながらも、自分の想いをぶちまけた。

 

 

『……。私で、良いの?』

 

 そしたらセラは……オーケーしてくれた。

 

 

『う、うん……私なんかで良かったら』

 

『………………………。ふ、は……は、ははは! や、やった……! やったぁぁぁっ!!』

 

 

 そりゃもう飛び上がる程嬉しくて、そのまま勢い任せでキス的な事とかしちゃった訳なのよ。

 

 

『元士郎くん……あはは、嬉しいな☆』

 

 

 でも、添い遂げるにはまた別の意味で壁が多くてな。

 最初はその事を報告しようとセラの両親とか、上層部の前で頭を下げながら言ったんだよ、一緒になる事を許してくださいと。

 

 でも、いくら名を上げた所で俺は所詮人間から駒を使って転生した下僕悪魔だ。

 純血で魔王のセラとの仲はキッパリ駄目だと言われてしまってな。

 

 セラは激昂して『どうして!? 私が純血だからなの!?』と食って掛かってくれたりもしたけど、結局は認められなかった。

 あれはぶっちゃけ、抗争だ戦役よりも高い壁を感じたな……。

 何せ、生まれの差だけばどう頑張っても無理なんだぜ? ぶっちゃけ落ち込んだわ。

 

 

『ちょっと調子に乗り過ぎたんですかね……俺』

 

『そんな事無い!

生まれなんて関係無いし、私は元士郎君の言葉が嬉しかった! だから……私と一緒に認めまれるまで頑張ろう ? そうしたらきっと……ね?』

 

『……。はい!』

 

 

 この言葉をセラから貰わなければ、多分俺は諦めていただろう。

 俺の心はへし折れる事も無く、またがむしゃらにさせてくれたセラに感謝しながら、とにかく名を上げまくってやろうと、背中を押してくれた会長の尽力も手伝い、色々な事をして悪魔社会に貢献しまくった。

 

 だけどやっぱり、世代を経る毎に減っている純血の血は惜しかったんだろうな、上層部の奴等が提示したのは――

 

 

『そこまで言うのなら認めよう。

但し、レヴィアタン殿は貴公の他に純血の悪魔の男との間に子を生んで貰うことが条件だ』

 

『―――――は?』

 

 

 完全に……線がブチ切れるありがたーいお言葉を貰った。

 そこからの記憶は正直無い。

 激怒するセラを後ろに下がらせてからの記憶は消えており――

 

 

 

 

 

『訊け、闇の咆哮を――――――牙皇降臨!!!!』

 

 

 

 

 

 気付いた時は、大雨が降り頻る冥界の都市に聳え立つ、グチャグチャに破壊された悪魔の聖堂の瓦礫の山のてっぺんで呀の鎧を身にままセラに抱き締められてた。

 

 邪龍だったかを大量に喰らい、得られた力を奥義として放って建物を全壊させた。

 都市全体……いや、冥界全土が消えなかったのは、さっさと逃げた上層部すらも守るようにセラが必死になって冥界を守ったからであり、この程度の破壊ですんだのは奇跡だよ……とボロボロの姿で笑っていたのを見て、自分がやってしまった事に気付いた俺は、子供のようにセラにすがりながら謝った。

 

 

『大丈夫……何時だって私を守ってくれたんだもんね? 守られてばかりじゃ魔王じゃないもん……だから、大丈夫だよ……』

 

 

 積み重ねてきた全てをたった一度にして壊してしまった俺を抱き締めながら許してくれたセラに、俺はますます申し訳無く、ごめんなさいと何度も何度も震える身体を抑えられずに口にした。

 幸い、俺が鎧召喚し、邪龍等の力を喰らう事で作り出した牙皇という巨大な龍を召喚してそのまま一体化したのを見て悲鳴を挙げながら逃げ、更にセラが全力で守ったお陰で、上層部達や都市の関係無い悪魔達は無事だったので、処罰は軽くで済んだ。

 

 済んだが……結局根本的な解決にはならず、俺はセラとの接触も禁じられてしまった。

 

 

『………』

 

 

 何時も一緒に、気付いたら一緒にだったお陰で初めて気付かされた虚無感。

 副会長や皆はそんな俺に気を使ってそっとしててくれたが、それが却って寂しさを助長させ、全てにやる気が無くなっていく。

 

 けど……はは、皮肉だよな。

 そんな俺に決意の炎を灯してくれたのが、あの野郎だったなんてよ。

 

 

『おいおい、接触禁止食らったからって何を素直に聞いちゃってんのよキミは? 認められないんだったら誰の指図も受けない場所に拐えば良いだろ?』

 

 

 会長が連れてきたムカつく野郎が、傍にくっつく無限の龍神の頭を撫でながら呆れた様に俺に言った。

 

 

『もう少し根性あるかなと思ってたんだがな。

権力なんてクソの役にも立たねぇもんに屈しちゃうのかー……ガッカリだわ』

 

『る……せ……』

 

『あ?』

 

 

 心の底から興味が無くなったと見下すような顔の……兵藤一誠に俺は、燃えカスになりかけていた火が自分の中で再び大きくなるのを感じた。

 

 

『るっせぇよこのロリコン野郎! テメーに言われなくても今から拐いに行くんじゃバーカ!』

 

 

 気に食わない奴からの気に食わない言葉が燃料となり、俺は殴ってやりたいソイツに向かって大きく啖呵を切った。

 今にして思えば、会長に頼まれてわざと煽るような言葉を向けてきたんだろうが、元々気に食わないと思ってた俺には充分だった。

 

 

『見てろこのロリコン野郎! お前より子宝に恵まれた無敵の家庭でも築いてやらぁ!!』

 

『いや俺ロリコンじゃねーんだけど……って聞けよ!?』

 

 

 迷いは無くなった。

 ロリコン野郎と俺に言われて若干凹んだ顔の兵藤に大きく啖呵を切った俺は、首に掛けていたペンダントを外して息を吹き掛けて頭上で回し、浮かび上がった光を放つ円陣から、守ると誓って手にした鎧を召喚すると、シトリー家の地下から外へと飛び出した。

 

 

雷剛(ライゴウ)!』

 

 

 権力なんざクソ食らえ。

 最早自分勝手とすら思える気位で、黒の全身にに金色の装飾が施された巨馬を呼び出した俺は、それに跨がり冥界を駆けた。

 

 目指すは彼女。

 ほんの小さな同類意識から、何時しか惹かれた女を拐う為。

 

 

『セラフォルー、アンタを拐いに来たぜ!!!』

 

『げ、元士郎くん……!』

 

 

 俺は冥界――いや、俺達を否定する全てに喧嘩を売る覚悟を決めた。

 

 

『貴様! 自分が何をやっているのか――』

 

『知っててやってんだ! 俺はな、身分も弁えない下僕で間違いない。だがそれでもこの人が好きなんだよ! だから拐いに来た! 止められるもんなら止めてみやがれぇぇぇっ!!』

 

 

 レヴィアタン領に乗り込み、城を真正面からぶっ壊し、驚いてるけど嬉しそうに笑った好きな女を抱えて逃げた。

 

 

『…………。あーぁ、やっちゃった。あの……その……セラフォルー様は――っ!?』

 

『もう様要らない。もう魔王じゃないもん……だから、セラって呼んで?』

 

 

 雷剛で駆け抜け、追っ手を振り切った先は今までと違う生活になる。

 それを自分の都合で巻き込んでしまったのに、セラは笑いながら俺の事を抱き締めてくれた。

 

 

『は、ハイ……えっと……セ、セラ……』

 

『ん……ふふ、元士郎ちゃん』

 

 

 もうそこからは互いに言葉は要らなかった。

 抱き合い、見つめ合い……やがて顔は近付き――

 

 

 

 

 と、こんな経緯があり、よくは知らんが、後に冥界最高の身分を越えた大恋愛なんてキャッチフレーズで映画化までされるこの話は――

 

 

 

「と、いう訳なの。

お父さんは凄くて格好いい、お母さんの永遠のヒーローなのだー☆」

 

 

 次世代まで語り伝えられるのが確定したらしい……。

 最近生まれた6人目の子供を抱きながら、長女、次女、三女、四女、五女……と、見事にセラそっくりな娘達に自慢気に話す嫁さんことセラに、子供達は無駄に目を輝かせながら聞いてないフリして新聞読んでた俺を見てくる。

 

 

「お父様格好いい!」

 

「いーなー……私もお父様に拐われたい……」

 

「お母様ばっかりずるい~」

 

「……。大きくなったらお父様に拐って貰うとか?」

 

「それ賛成!」

 

「だぁだぁ……♪」

 

 

 冥界、レヴィアタン城。

 結局拐って暫くしたら、上層部の方から土下座されて『もう何も言いません、言いませんから魔王職に復帰してくだされ!』と言われたお陰で、嫁さんは現役バリバリで魔王をやっており、俺はそんな嫁さんのアシストと6人目もやっぱり女の子だった我が子のお守り兼ボディーガードを続けてる。

 

 

「思い返すとすっごい恥ずかしいんだけど……」

 

「私はそうは思わないけどな? 元士郎君が白馬ならぬ黒馬でお迎えに来てくれた時なんか、もう……ね?」

 

 

 拐った後、互いの想いを改めてぶつけ合ってから、そのまま堪らずにインして、できちゃった婚よろしくに一発で子供が出来た辺りから、もはや誰にも文句言われなくなった。

 というか、会長が鬼のように強くなりすぎたのと後ろ盾のお陰で言えないといった方が正しいのか。

 現役でアイドル活動みたいなものも続けて、人気の衰えも無い妻が、俺達家族の為に作った部屋のソファに座る俺の隣に座り、甘えた声と表情をしながら手を握ってくる。

 

 

「ん~♪ 元士郎ちゃん……☆」

 

 

 うん……これのせいなんだよね。

 

 

「子供達が寝たら……ね?☆」

 

「……。喜んで」

 

 

 冥界ギネス更新・子供が七人目になっちまう可能性が高いのって。

 

 

「あー! またお父さんとお母さんってば、裸でプロレスごっこするのー? ずるーい! 私もお父さんとプロレスごっこしたい!」

 

「…………。思うに、どうして俺の子供は俺に懐きまくるんだ? 何か、言ってることもモラルとかすっ飛んでるし」

 

「私の子だからだよ☆」

 

 

 そう言いながら肩に頭を乗せて来たセラに、俺は苦笑いしながらもセラの頭を撫で、そのまま六人目の子を片手にキスをする。

 

 

「んっ……はむ……ちゅ……はぁ……! 好き、大好き……♪」

 

「その台詞が一番弱いのに……セラは狡いぜ」

 

「それなら、このズルい私の事をちゃんと『お仕置き』してね……ア・ナ・タ☆」

 

 

 ……………。ふ、ザマァ見ろイッセー

 俺はこの通り幸せだぜ? テメーは世界から居なくなっちまったみてーで、会長も後を追った様だが、帰ってくる頃には俺達の家族写真を嫌味な程送りつけてやる。

 

 

「はい、私達はさっさと退散しましょうね~」

 

「お母様は良いな~ お父様とラブラブできるなんてさ」

「たーよたーよ!」

 

 

 だから精々早く帰ってくるんだな……。

 

 

「あ、ちょっと待って……その前にお風呂に入りたいかも、さっきの収録て汗かいちゃったから――きゃん!?」

 

「大丈夫……変な臭いはしない。何時ものセラの匂いだぜ」

 

「あ……も、もう……! 元士郎ちゃんのケダモノぉ……❤」 

 

終われ




補足

会長じゃないけど、できちゃった婚を達成した匙きゅん。

実力と名も、生まれ以外は文句無く最強で、セラフォルーさんを守護する最強の暗黒騎士。

子宝に恵まれまくっても、冥界兵士最強を現役で維持しております。

ちなみに、時間さえあればすぐイチャコラするので……子供の数も冥界ギネスブックを更新してる勢い……。


つーかもう、結婚してからずっとこんな調子を維持し続けてるせいで、とある冥界雑誌には

『見たら壁を破壊したくなるカップル〇〇年連続ナンバーワン』という不名誉なのか何なのかよく分からない称号をブッチギリで戴き続けてる程ですかね。

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