色々なIF集   作:超人類DX

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覚えてないけど、何時か前にふざけて書いた話。

当然没


悪役令嬢ちゃんとチンピラ赤龍帝
超没にしてた話


 

 

 意思を無視したからムカついた。

 自分のアイデンティティをあたかも自分達のものだと抜かしたからムカついた。

 

 ムカついたから全部をぶち壊してやった。

 

 そのままムカついた奴等の周りも全部ぶっ壊した。

 

 なんなら人間ではない生物も全て破壊してやった。

 

 

 壊して壊して、餌として糧にして進化を続けた俺達は無敵になった。

 

 

 そして――目の前には何もなくなった。

 

 

 全てを壊してやったから。

 

 邪魔する奴等も、否定する奴等も、なにもかもをぶっ壊してやった事で何も壊すものはなくなった。

 

 残っているのは俺という進化の果てに到達した怪物と、共に戦ってくれた相棒の龍――そして自由。

 

 

 殺して、殺して、壊して壊し尽くした果てにやっとつかみとった自由は何もない景色だったけど後悔なんてない。

 

 これまでも、そしてこれからも――朽ち果てるその瞬間まで

 

 

「この世で俺達に敵うものは居ないっっ! 俺達が宇宙最強だっ!!! ふっはっはっはっ!!」

 

『………おい、虚しくならんのか?』

 

「一度くらい言ってみたかった台詞だったものでつい。

……ドライグくらいしか聞いてくれないけど」

 

『文字通り『何もかもが死に絶えて』しまったからなぁ』

 

 

 

 全てが朽ち果てた世界で……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近よくありがちな話に『転生』等という概念があるが、よもや自分がその転生をリアルに体験するとは思わなかった―――と、転生前はただの女子大生だった少女は、転生前に画面の前でなら見覚えのある『キャラクター』と同じ容姿であることを鏡でしげしげと確認しながら思う。

 

 

「しかもよりにもよってこの顔……というかキャラって」

 

 

 生前の記憶はあれど名前を忘れてしまった少女は、かなり豪華なベッドに寝そべりながら現状を確認する。

 

 

(ここ……というかこの世界って多分前世でプレイしていた乙女ゲーの世界だ)

 

 

 前世の記憶を頼りにこの世界が何なのかを理解していく少女だけど、同時に割りと絶望もする。

 何故なら今の自分の姿と名前は――

 

 

(所謂悪役令嬢的なキャラなんだよなぁ……)

 

 

 そう所謂主人公によって破滅させられる未来が確定してしまっているキャラとして転生してしまっていた。

 恐らくこのままこのキャラの人生をそっくりそのまま歩めば主人公の少女を虐めるよくありがちなキャラ――からまさかの裏ボス化してオワタとなる。

 

 だが彼女は転生した記憶を持つ故に考えた結果……

 

 

(なら関わらなければ良いだけだ。

別に主人公に恨みなんてないし、虐めなんてしたくもないし……。

ただ、主人公がラスボスを倒すのを遠くからみているだけ……無理なら私がさっさと瞬殺してしまえば良い。

このキャラは裏ボス化可能なポテンシャルがあるし、鍛えれば不可能ではない)

 

 

 彼女は取り敢えず普通に生きる為の人生プランを考える事にした。

 そうすることで主人公達に破滅させられる未来を回避する為に。

 

(よーし……)

 

 

 幸い訳ありキャラであり、今居るこの実家もお金には困らない程度の貴族の家であり、ある程度の自由がある。

 そうと決まればと考えた少女はこの世界に存在する魔物と退治してみて今の自分がどれだけの力を持っているのかを確認する。

 

 

(おおっ……魔法が使えた。

闇属性の……!)

 

 

 狩ることで力を扱える事を知り、狩ることでこの世界に存在する概念であるレベルが上がり、少しずつ自信を付け始めていく少女は来る日までのノルマを達成する為に、割りと強力なモンスターが蔓延る『ダンジョン』という場所へと入り込む。

 

 その中に蔓延る魔物を狩ることでこれまたメキメキとパワーアップを果たしていく少女。

 

 だが少女は少女が前世の記憶には存在しない者を知ってしまう。

 

 

「な、本当に人間だと……?」

 

『驚いた。あの胡散臭い神を八つ裂きにしていたら妙な場所に飛ばされたとは思っていたがまさか人間と会うとは……』

 

 

 見ただけで、感じただけで何をどうしても『勝てない』と一瞬で悟らされる程の凶悪な『オーラ』を垂れ流しにする今の自分とそう変わらぬ年齢の少年……。

 

 

 

(い、いやいやいや!? だ、誰!? 子供!? 驚いた顔してるけど驚きたいのこっちなんだけど!? ここダンジョンだけど!?)

 

 

 

 当然少女は驚いた。

 外見がポーカーフェイス気味なので顔には出してなかったものの、全くの想定外の遭遇に少女も驚いたし、なにより少女の前世の記憶には目の前の少年がキャラとして登場している記憶はなかった。

 

 

「だ、誰……?」

 

「言葉は通じるのか……。

いや、寧ろ俺の方こそキミが誰なのか聞きたいっつーか、そもそもここどこよ?」

 

 

 そんな互いの挨拶から始まった想定外イベント。

 当初はただの迷子だと思っていた少女だったが、遅い来る巨大な魔物を文字通り指一本で叩きのめす姿を見たことで只者ではないと理解し、少女はこの目の前の少年の正体を知るつもりである程度の情報を与えつつ名前を尋ねた。

 

 そして――

 

 

「名前? ああ、イッセー……兵藤イッセー」

 

「……………はぁっ!?」

 

 

 

 少女は目の前の少年がこの世界とは全く無関係のアニメの主人公と全く同じ名前であることに面を喰らった。

 何故なら少女はその名前を……そしてその物語を知っていたから。

 なんなら異性への欲に100%正直なそのキャラがツボでちょっとしたファンですらあったから。

 

 

「と、ということはまさか……! あの、アナタはその……ドラゴンを宿してい――ぎっ!?」

 

「おいガキ。

お前の説明に嘘がないのならここは俺を知らない世界な筈だよな? なのに何故俺の事を知っている? 」

 

 

 だがその性格はあまりも違って――いや、あらんでいて。

 

 

「答えろよ? え? 俺は人間様には優しくをモットーに生きているが、敵と断定した人間にまで優しくできるほどデキてねーぞ?」

 

 

 完全なる殺意を剥き出しに、既に30レベルは越え始めた少女を締め上げる少年に、少女は少しのショックを受けつつも説明した。

 

 自分が前世の記憶を持っていて、この世界がゲームの世界であること、そして少年自身はこの世界に存在する筈のない世界の主人公であったことを。

 

 

「つまり、オメーは元は違う人間だったと?」

 

「え、ええ……まさか全く関係ないラノベの主人公と会うなんて思わなかったけど」

 

「俺が――俺達が創作物の存在ね……」

 

『気に食わんな』

 

 

 

 下手の事を言えば殺される。

 それ程までの差を感じた少女は何もかも正直に話した。

 心の奥底で、自分の事を知って貰いたいという気持ちを僅かに抱きながら。

 

 

「一応オメーの話の半分は納得してやる。

んで? お前はここで何してたんだ?」

 

「いやあの、私のこの姿の人って後々主人公と敵対する裏ボス敵なキャラだから……」

 

「ほほー? 殺されたくないから逆に殺してやろうってか?」

 

「そ、そうじゃなくて、関わらない為に力を持とうかなって……」

 

 

 口調からなにから自分の記憶する彼とは思えない程にあらんでいるなと思いつつ、自分の目的を話す。

 

 

「そうかい、じゃあ精々死なないように頑張るんだね」

 

 

 しかし途中で興味を失ったのか、イッセーは少女に背を向けて去ろうとするので少女は思わず呼び止めた。

 

 

「ま、待って!

本当にアナタがあの兵藤イッセーだとしたら、行く宛とかあるの? ここは別世界だし……」

 

「そんなものあるわけないだろ。

お前の話がマジだとしたら、この世界とやらに戸籍なんてありゃしないんだし」

 

 

 

 まあ、適当に悪どいことやってそうな奴でも襲撃してカツアゲしてりゃあ生活できんだろ……と、これまたあのイッセーとは思えない事を言いながらダンジョンの奥へと戻ろうとするので、少女は再び呼び止める。

 

 

「せ、生活の保証をするから、私を鍛えてくれたりして欲しい……かも」

 

「は?」

 

『アホなのかこの小娘は?』

 

 

 

 何故こんな事を言ったのかは自分でもわからない。

 最終的にハーレム王になる主人公とは思えない程にあらんでいた理由をまだ聞けていなかったからなのもあるが、なにより目の前の少年のパワーはこの世界に存在するレベルと言う概念を遥かに超越していそうな気がしたから。

 

 

「俺は魔法なんぞ使えないぞ?」

 

「し、知ってる。

イッセーは赤龍帝の籠手をメインに戦うんでしょう?」

 

『本当に色々と知ってるなこの小娘は……』

 

 

 そんな……別世界の主人公によって鍛えられたら、もしかしたら確実に死なないで済むかもしれない。

 そんな打算も少しあった転生者の少女だけど、なにより――

 

 

(ちょ、ちょっとチンピラ入ってるイッセーって結構ツボかも……)

 

 

 前世の記憶がフィーバーしてミーハーしてしまっていたからこそ、ここでお別れはあまりにも惜しかったと少女は思ったのだ。

 

 

 

「………」

 

『どうする? この小娘は魔法とやらを扱うにせよ、一応カテゴリ的には人間ではあるぞ』

 

「わっ……この立○ボイスはまさか赤い龍?」

 

『それに……不気味な程俺達を知っているようだしな』

 

 

 主人公の相棒の渋い声に感激する少女を明らかに不審がるイッセーだが、その相棒の龍の指摘通り、確かにこの世界ではなんのコネも無い。

 ましてやこの少女は訳ありの少女で、何故か自分の事を知っている。

 

 となれば……

 

 

「少しでも嘗めた真似したら、テメーだけじゃなくテメーの身内からテメーの地元ごと叩き潰す」

 

「げ、原作イッセーとは思えないチンピラっぷり。

で、でもなんか良い……!」

 

「な、なんだコイツ? キモいんだが」

 

『無表情なのに目がイッてるな……』

 

 

 暫くこの少女の財力とやらに寄生しよう。

 

 

「い、一応このダンジョンの魔物は倒せる」

 

「ほーん……なら試すか。

ビッグバン・ドラゴン――」

 

「え、そっち!? その技ってドラゴソボールってドラゴンボールのパチもんみたいな――」

 

「…………なんだろ、ストーカー被害にでも逢ってる気分だな」

 

 

 こうしてあり得ぬ出会いとなった二人の『外からの迷い人』は、密かに世界の片隅で手を取り合うことになるのだった。

 

 

 

「ぎょへ!?」

 

「言ったろ? その闇魔法ってのには慣れたって。

魔法ばかりじゃなくて生身も鍛えろ」

 

「ギエピー!?」

 

『見たままに通りに貧弱だな』

 

 

 少女はまだ知らぬ、ある事が理由で人外絶対殺すマン赤龍帝と成り果てた少年の鬼畜トレーニングによってメリメリとカンストしまくる日々。

 

 

「確かに約束通り食うには困らなくはなった………が、俺が何故お前の専属の使用人なんだ? あ?」

 

「いだだだだぁ!? だ、だってそういう体にすれば何時でも傍に居られるし、違和感だって持たれないでしょう!?」

 

「それは良いとしてもオメーごときに頭を垂れるなんぞ吐き気がする」

 

「うう、せ、性癖はノーマルな筈なのにチンピラ化してるイッセーにそんな目で見られるとドキドキする……」

 

 

 密かな推しだった(性格が違いすぎるが)主人公との生活に楽しさを感じる日々。

 

 

「てかお前、他の使用人っつーかここら一帯の人間に怖がられてるのはなんでだよ?」

 

「こ、この国って魔王を倒した勇者と聖女によって興された国で、その倒された魔王が黒髪だったらしくて……」

 

「ああ、だから黒髪のオメーは魔王みたいだと? くだらねぇ」

 

「よくある話でしょう? ま、まあイッセーが怖がらないから別に良いんだけど」

 

「怖がる要素ゼロだからな。

そもそも魔王なんぞガキの頃にぶち殺してるし」

 

「え!? よ、四大魔王の事だよね……? イッセーってその……悪魔の眷属じゃあ……」

 

「どうやらオメーの記憶とやらの俺と俺は違う人生らしいな。

眷属だぁ? 一時期無理矢理眷属にさせられたが、あんなクサレ共の下僕なんぞとっくに主共をぶち殺して解消してやったわ」

 

「……へ、へぇ。(つ、つまり原作女キャラとは誰とも関係がないのか……)」

 

 

 こうして外様同士は少しずつ少しずつ……。

 

 

「おい、明日から学校だからかなんだか知らんが、一度もツラ寄越さねぇ親からの手紙だ」

 

「ええ、ありがとう……。

………………。今読んだけど、怒らないで聞いてくれない?」

 

「あ?」

 

「………その学校にはイッセーが私の専属として付いていけって書いてあるわ」

 

「………………………………めんどくせっ!」

 

 

 破滅を回避する為に歩んでいく。

 

 

 

「入学式のレベル鑑定で99だったわ。

そしたら凄く騒がれちゃって……」

 

「寧ろまだ99程度なのか?」

 

「99が上限なんだから仕方ないでしょ? ………って、もしイッセーが鑑定したらあの鑑定の水晶玉は粉砕しちゃいそう」

 

 

 

 バグの塊化しながら……。

 

 

 

 没話、悪役令嬢キャラと人外絶対殺すマン赤龍帝。

 

 

「あ、あのっ!」

 

「……なにか?」

 

「こ、この前助けてくれてありがとうございます!」

 

「…………………」

 

「ああ、いえいえ……当然の事をしたまでですよ(外面営業スマイル)」

 

「そ、それでその、お、お礼を―――」

 

「行くわよイッセー……」

 

「あ? なんで――」

 

「良いからっ!!」

 

 

 外面営業スマイル状態のイッセーに何故か嵌まったこの世界の主人公のせいでうっかり裏ボス化になろうか悩む悪役令嬢キャラを添えて………。

 

 

「か、彼女となにが?」

 

「なにが? 何もねーよ。ただちょっと前に一人でトレーニングかなんかしててへばってるのを見たから水と持ってた菓子をくれてやっただけだ。

てかあの子なんだろ? 例の主人公……」

 

(う、チンピラキャラがデフォで慣れてたから忘れてた! い、イッセーはラノベ主人公だったことを! こ、このままでは推しが……と、というか何年も一緒に居たせいで寧ろ好きになっちゃってるのに、関わりを避けてる主人公に取られたら――死んでしまいたくなる!)

 

「あーいうキラキラしてんの苦手なんだよなぁ……」

 

『嫌味とかあんまり通用しない奴は総じて苦手だろお前は』

 

 

 続かない(需要の問題で)

 

 

 

「あ、あの……夜になると何時もヒョウドウさんと……な、なにを?」

 

「え、い、いえトレーニングを……。(が、ガッツリ向こうから絡まれてる……!?)」

 

「と、トレーニングとは?」

 

「い、色々……。(うぐ、い、イッセーは攻略対象じゃないのに……!)」




備考
一口メモ

世界線
乙女ゲーらしき世界らしい。


登場人物

悪役令嬢キャラに転生した少女

 乙女ゲーの悪役令嬢(ルートによっては裏ボス化)キャラに転生した元女子大生。

 よくある悪役キャラ回避の為に計画を立てたまでは良かったけど、その過程でよりもよってな世界線の赤龍帝と出会した――けど、前世の記憶で彼がラノベ主人公であること、実は密かな推しだったのもあるので、真逆過ぎるチンピラタイプだろうが無問題とばかりに、彼からこの世界にはない戦いかたを叩き込んでもらうことで、寧ろ裏ボスを越えたなにかと化していることには気付かない。

 口調こそチンピラだけど、受けた恩や借りは律儀に返そうとしてくれるせいか実は好きになったクチらしい。


 実力はレベル換算で99


イッセー

 D×S世界を生きたイッセー

 つまり完全なる人外絶対殺すマンであり、白い猫とは因縁になる前に消したのでムテキングの領域らしい。
 原作の面影があまりにもゼロ過ぎて当初悪役令嬢ちゃんに驚かれたが、逆にそのツンデレさに嵌まられたことを本人は知らない。

 ちなみに一応本来のように美女には反応するようだが、同世代にはあまり関心がないらしい。
乙女ゲーの世界には存在しない、裏ボスを越えた負けバトル確定イベントキャラ的な位置かはまだ誰もわからない。

この世界の概念たるレベルで換算するとするなら多分レベル2000くらい。


主人公
この乙女ゲー世界の主人公。
実に主人公らしい主人公であり、青春しながら魔王を倒す運命を持つのだけど………よりにもよって外面営業スマイル使用人イッセーに――――一目惚れしたことで色々と歯車が狂い始めたらしい。

具体的にはそんなイッセーの主という体である悪役令嬢さんに自分から絡み始める的な。



とまぁ……一応元ネタ作品はあったり。



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