色々なIF集   作:超人類DX

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没にしたまんま放置してたものを無理矢理……的な


ヤケクソ話
三馬鹿と執事の呉生活


 

 

 

 どうやって帰るかわからないままズルズルと時間だけが過ぎていくし、焦れば焦るほど余計帰れなくなる。

 

 そもそも何で俺達がパラレルワールドも甚だしい――それも過去的なこの世界に来ちゃったのかについてはよくわからない。

 そりゃあ確かに食い物ひとつでマジ喧嘩したら次元をぶち抜いてしまったからなのかもしれないが、それが原因とはどうにも思いにくい。

 

 腐れ縁であり、なんやかんやで親友であるヴァーリと神牙の二人と三分だけ真面目に考えたが、俺を含めて全員が能天気なものだから、その内なにかわかる――と思ってはいるけど。

 

 いやそんな事より今俺――いや、きっとヴァーリと神牙もそうなんだろうが、非常にマズイ状況だったりする。

 かの有名な曹操の子孫であるらしい神牙の説明で色々と知ったのだが、俺達が今居るこの世界は神牙のご先祖様が現役バリバリで生きている過去の世界であること。

 

 しかしそのご先祖様含めてどこかで聞いたことのある人物達が軒並み女の子であること。

 

 というか過去のアジア大陸の人達にしては髪の色が結構カラフルだし服装もなんか現代じみている気がしないでもない不可思議きわまりない世界であること。

 

 そしてそんな世界のとある勢力にお世話になってしまっている内に、当初はただ元の時代へと戻るまでの縁と割りきっていた筈が日を追うごとに縁が深まってしまっていること。

 

 仲良くなりすぎてしまえば、別れがとても辛くなってしまうので下手に仲良くはならないようにしようと思っていた俺達ので思惑が悉く変な方向に外れてしまっているせいで、俺達は今現在とても困っている。

 

 いや、そりゃあED疑惑のあるヴァーリだの神牙と違って俺はどうであれこんな美女揃いの方々にお近づきになれたのは悪くないとは思ってたよ? でもそれとこれとは別というか、俺の場合その美女さん達とはあまり仲良くなれてない訳で……。

 

 まあつまり何が言いたいのかというとだ……この世界の女性は皆結構アグレッシブなんだなー……と。

 

 

「お、俺は負けてないぞ! あんなのノーカンだ! ノーカン! ノーカン!!」

 

「その『のーかん』って言葉の意味はよくわからないけど、蓮華達と一夜を共にしたのは?」

 

「……………事実です、はい」

 

 

 アレだ。

 外堀を埋め尽くされていくというのはまさにこの事なんだろーなって。

 

 

 

 

 ヴァーリと神牙が言うように、一誠は言動や行動こそ軽薄そのものなのだけど、その実は相当なる『ヘタレ』というもので間違いない。

 奥手……というのとは少し違うのだけど、とにかく一誠はヘタレだ。

 

 

「『オレは一誠でも赤い龍でもない……! オレはお前等をぶちのめす者だ……!!」』

 

 

 未来という場所から偶然この地にやって来た異邦人。

 その力は三人共この世を壊してしまうほどに強いのだけど、三人共の性格が自由というか、好き勝手というか……ちょうど私の姉や妹に近いそれなせいか、恐怖というものが殆どない。

 

 

「『これであの世に送ってやる……!!」』

 

 

 私はそんな三人の男の一人であり、今ある程度力を取り戻した事で見せてくれる――確か『裏・禁手化』なる姿となった一誠と多くを共に過ごす事になった。

 

 

「『ウルトラビッグバン――――

 

 

 三人の中でも取り分け軽薄であり、質が悪い程に女に対してだらしがない。

 姉からの命令により、そんな男を自分の傍に置いて面倒を見なくてはならないと言われた時は、最早ただの嫌がらせにしか思えなかったし、私も私の右腕ともいえる者も当初は一誠の軽薄さに嫌悪感すら持っていた。

 

 年を重ねた女に対してどうしようもなく鼻の下を伸ばし、私達に対して小馬鹿にするような態度を一切崩さない不真面目の極致に君臨するような男を好くことなんてこの先に何があろうともありえないと思っていた。

 

 

 「『ドラゴン波ァァァァッ!!!』」

 

 

 でもそんな彼が居たからこそ私達は、知ることの無かったであろう『領域(ばしょ)』を知ることが出来た。

 それは他ならぬ一誠が教えてくれた可能性であり、導いてくれた道。

 自分の存在が不要となる為に一誠は教えたようだけど、私達は逆に知れば知るほど――厳しくも寄り添うようにその道の歩み方を教えてくれた一誠への嫌悪感が薄れていくようになってしまった。

 

 

「げげっ!? 嘘だろもう終わりかよ!?

ドライグ、今のでどれくらい維持できてた?」

 

『ざっと100秒弱だ。

やはりこの世界においての弱体化はかなり深刻なようだぞ』

 

「2分も持たなかったのかよ!? やっとドライグとの力を取り戻せたのに、これじゃあ文字通りの最後の手段にしかならないじゃん……」

 

『加えて体力の消耗も激しい。

一度融合が解かれた後の再融合は半日は不可能だろう』

 

「う、今試してるけど確かに出来ないかも」

 

 

 

 軽薄さは事実だけど、誰よりも繋がりを欲していて、それでいて繋がりを失うのを極度に恐れる。

 その理由も一誠自身の苦い過去にあることも。

 

 

 

「くそ、せめて3分の猶予があればヴァーリと神牙と力を合わせて無理矢理次元をぶち抜けるんだがな。

そうすりゃあ逆のパターンで元の時代に戻れる筈だし……」

 

『あまり推奨は出来んし、今そんな事をここで口に出すのはどうかと思うぞ?』

 

「え? なんでだよ……?」

 

『すぐそこで小娘達が普通に聞いてるだろうが』

 

「あ……」

 

「「「…………」」」

 

 

 下手に繋がりを持つ事を恐れるくせに、繋がりに餓えている面倒な人。

 一度繋がりを失った苦しみが傷となって残り続けるがゆえに、繋がりを奪う存在に対する攻撃性が強い。

 

 そして軽薄な言動も殆どが張りぼてでしかないのが一誠というのを少しずつ知ってしまった。

 

 

「いや違うぞ? た、例え話だからな?」

 

「私の事、重いって思ってる……?」

 

「い、いやいやそんな事は無いぜ!? 寧ろ俺の方が余程重いだろうし――」

 

「蓮華様を落ち込ませるんじゃない。

そもそもお前、三度に渡ってあんな不埒な真似を私達にした身でまだほざくつもりか? え?」

 

「ち、ちげーっての! そんなつもりじゃないから剣を向けるのは勘弁してくれって思春さん!」

 

「あーぁ、イッセーとの赤ちゃんができてたらなぁー?」

 

「や、やめろ小蓮……! そうなったら俺は間違いなく逮捕される……!」

 

 

 私達との本当の繋がりを持つことから逃げようとする彼のことを……。

 

 

 

 

 甘寧こと思春は、主である蓮華やその妹である小蓮――そして自分に対してこの期に及んでまだ逃げようとする一誠に対して、一誠の過去をある程度知っているとはいえヤキモキさせられっぱなしであった。

 

 なので最近は小蓮の悪乗りに乗る形で蓮華と一緒になって一誠を『縫い付ける』作戦ばかりやるようになったわけで。

 

 

「今からする問いに対して全て正直に答えろ」

 

「は、はい」

 

 

 こんか無責任が服を着て歩いているような男なぞとはあり得ぬと思っていたのも過去の話。

 簡単に自分を組伏せられる癖に、その気になれば簡単に殺せるくせに弱腰な面を持つ一誠との『夜』を経験してしまった今、意地でもこのまま黙って未来という場所に帰してたまるかと、実は態度こそつっけんどだが、誰よりもこだわっていたりする思春は、まだどこか煮え切らない一誠を縄で縛り付けてやると、オロオロしている蓮華や、小蓮を横に質問をする。

 

 

「お前は蓮華様や小蓮様――そして私とそうなった事への自覚はあるのか?」

 

「………あるよ」

 

 

 不真面目な癖に、やる時は本気になるし、その時の姿に限って言えば頼もしさを感じている――などとは口が裂けても本人には言うつもりのない思春の質問に一誠は縄でぐるぐるの簀巻きにされた状態で目を逸らしながら答える。

 

 

「蓮華様、一応この無責任男にも自覚はあるようです」

 

「わ、わかったけど、縄は解いてあげた方が……」

 

「駄目です。

解いたらコイツの事ですからこの場から逃げてしまいますから」

 

「逃げた所でここにしか戻ってくる場所なんてないと思うけど……」

 

「しかしこうでもしないとコイツの本音は聞き出せませんから」

 

「ふーん?」

 

 

 そう、如何にも主である蓮華の為だと主張する思春だが、蓮華と小蓮には思春こそが本音を一番聞きたいようにしか見えない。

 

 

「次だ……おい目を逸らすな」

 

「う……」

 

「単刀直入に聞くが、お前は私達に何か不満でもあるのか?」

 

「いや別に無いけど……」

 

「なら何故踏み込もうとしない? お前は誤魔化しているつもりだろうが私達にはわかるぞ? お前は本当の意味で私達を受け入れようとはしていないだろう?」

 

「……………」

 

 

 その言葉に対して完全に目を逸らし、答えようとしない一誠に思春は言い様の無い苛立ちと受け入れてもらえないという少しの寂しさを感じる。

 

 

「私から目を逸らすな、答えろ!」

 

「……………」

 

「思春……」

 

「やっぱり思春もそうなんだね……」

 

 

 こちらを見ずに簀巻きにされて地面を転がる一誠につい詰め寄る思春に、蓮華と小蓮は気持ちが痛い程わかるといった顔をするのだが。

 

 

「どうした! ちゃんとこっちを――」

 

「いや、む、無理だ……」

 

「何故だ!? お前はそこまで――」

 

「そうじゃなくて! だ、だって見えるし……」

 

「なにがだ!?」

 

「思春さんの……あれが」

 

「あれだと!? 何が―――あ……」

 

 

 それまで一誠が目を逸らしていた理由をボソボソとした声で話すのを聞いた思春は、ちょうど自分の立ち位置的に地面を転がる一誠からは自分の衣服の中身がモロに見えているのだと気がつく。

 それにより急激に気恥ずかしくなってしまった思春は裾を手で押さえながらキッと睨む。

 

 

「わ、わざとじゃないよ?」

 

「ぐ……わ、わかっている。

と、というより今更そんなことで目を逸らすな……全部見たくせに」

 

「そ、それとこれとは色々と違うんだよ。

それとキミの質問だけど……単純に君達が好きになっていってるせいで戸惑ってるだけだったり」

 

「…………は?」

 

「え……?」

 

「ほんとっ!?」

 

「ま、まあ……。

でもよ、俺って三人が思ってるより相当重いから、嫌がられやしないかと思って……」

 

 

 しかし一誠のこの言葉により、杞憂だったと思春は後になって恥ずかしくなっていくのであった。

 

 

 

 

 踏み込んだら最後、嫌だと言って逃げても追いかけ回して捕まえるし、二度と離さなくなる。

 

 人にとってはその気持ち自体面倒で重いと思うし、一度火が付いたら後戻りができなくなるぞ。

 

 そう言われた事で、実の所一誠は受け入れてないのではなく、受け入れた後に嫌がられる事を恐れているだけだったと思春によって知ることが出来た私は、それを聞いた途端に今度は思春の方が一誠を直視できずに俯き始め、ただ純粋に喜ぶ小蓮を苦笑いしながら見つめつつ私は簀巻きにされた一誠の縄をほどく。

 

 

「そ、そういう事なら先に言えば良いだろう!? これでは私の方がただの間抜けではないかっ!!」

 

「言ったらドン引きされると思っててね……。

まぁその、そこまで言ってくれるとは思わなかったし、さっきから思春さんが余計可愛く見えてくるぞ?」

 

「かわっ!? け、けけ、蹴るぞ!?」

 

「落ち着きなさいって思春……」

 

「そうだよ、誉めて貰ってるのに」

 

 

 確かに一誠と出会ってからの思春って前と違って感情を表に出すようになったし、私も私で死んだ母の後を引き継ぐ者の一人としての重圧をあまり感じなくなっていて、自分らしさを取り戻していっている。

 

 小蓮は――まあ、あまり変わらないわね。

 

 

「だ、だがお前はそれでも未来とやらに帰りたいのだろう?」

 

「まぁ……一応やり残してることもあるしね」

 

 

 一誠の言う重さの意味は既に神牙とヴァーリからある程度聞いているわ。

 きっと出会った当初の、軽薄な面しか見えていなかった頃の私なら信じもしなかったでしょうけど、一誠は受け入れた者への執着と愛情が凄まじく、それが重荷に感じる者も居るという意味なのだと。

 

 だから一誠の重さってものには何も感じないし、寧ろそうなってくれたら良いなー……なんて。

 

 ふふ……雪蓮姉様に指摘されたように、私も色々と変わったわね。

 良くも悪くも。

 

 

「でも一誠が帰ってしまったら二度と会えなくなるのでしょう?」

 

 

 だから私は一誠には帰ってほしくない。

 きっと他の者達が神牙やヴァーリに同じ事を思っているのと同じように、最早余所者でもなければ外様でもなくなってしまった一誠と離れ離れになるのは嫌だ。

 

 それが例え、未来の地でやり残した事があるから帰らないとならないと言われても……。

 そんな私の言葉に一誠は後ろ頭を掻くと、やがて観念したように口を開く。

 

 

「これも嫌がられるから言うのは止めようと――まー、小蓮が言い出した辺りからちょっと考えてたんだけど……」

 

「「「?」」」

 

「それをやったら色々とヤバい事になるのを承知の上で、俺達が元の時代に帰れるようになった時は、君達を連れていこうかなーって思ってるんだよね、最近は」

 

 

 何となくだけど、世の理に対して真正面から逆らうような事を少し照れながら話した瞬間、私達は一瞬だけ呼吸をするのを忘れてしまう。

 それはつまり、私達が一誠の生きていた世界に行くという意味であり、そこから共に未来を歩まないかという一誠なりの告白にも聞こえて……。

 

 

「わ、私達がお前の居た地に……?」

 

「ああ。

正直思ってはいけないことなんだろうけどよ、しょうがないだろ。

人妻やら年上好きだった俺の価値観ねじ曲げてくれちゃったんだから……」

 

「え、本当に連れていってくれるの?」

 

「嫌じゃなければ――――――あ、いや……もうこの際言うぞ? キミ等が例え嫌がってても無理矢理連れていくぞ。

マジでどうしてくれんの? ここまで好きになるとかキミ等のせいだからな?」

 

 

 今度は照れながら顔を背けた一誠の秘めた思いをやっと聞けた。

 その事実が、その現実が私達の心の中に火が灯ってしまう。

 

 

「俺並みに馬鹿なヴァーリと神牙も同じ結論になるだろうしな。

まあ、元の時代に戻ればドラえもんならぬアザえもんが居るし、あの人ならこの場所と俺達の時代を簡単に行き来可能などこでもドア的なものを開発してくれ―――」

 

「つまり?」

 

「………………………キミ達と会えなくなるのは俺だって嫌だよ」

 

 

 そう、真剣な表情で言った一誠は小蓮、思春……そして私の順に優しく抱き止め――

 

 

「今この場で『やっぱ止めた』なんて言っても遅いからな? 嫌気が刺して逃げても、必ず追いかけてやるし離してやるもんか……」

 

 

 絶対に破らぬと確信できる誓いを立ててくれた。

 

 

「実を言うと、最近は年上のおねーさん見てても何も思わなくなってきちゃってたんだよ。

主にキミ等のせいで」

 

「な、い、いいことだろそれは……」

 

「え、ええ……本当に」

 

「わーい! じゃあもうシャオ達以外に変な事しないよね!?」

 

「ああ、……したいとも思わないかな」

 

 

 

 永遠に忘れない誓いを立ててくれた。

 そしてこの瞬間から私達は決して切れない繋がりとなる。

 

 そしてこの日の夜の事も……。

 

 

 

 

パターン1・終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パターン2・執事の場合

 

 

 

 道をねじ曲げられた結果、悪魔の執事としてコミュ障化してしまった日之影一誠が呉である江東にて生活してからどれ程経過したのか、右を見ても左を見ても腕白な肉食系バリバリ女性等に振り回されてしまう辺りは、元の世界における悪魔達との関係に酷似しているのは果たして皮肉になるのだろうか。

 

 

 

「お前は雪蓮を詰る時は信じられない程に生き生きとするが、それはつまり雪蓮をそんな目で見ているのか?」

 

「なんだその質問は?」

 

「いや、毎度毎度訓練となるとお前は雪蓮の衣服だけを器用に消し飛ばしてはケタケタと笑うだろ? 悪ガキのように」

 

「ああ……」

 

「『ああ……』じゃないわよ……! 普通に恥ずかしいのよこっちは!?」

 

 

 そんな執事も現在は限られているもののある程度の言葉のやり取りが可能となっている者達も増えてきた。

 その内の一人が現在執務の仕事をしている周瑜こと冥琳とその横でご不満顔をしている孫策こと雪蓮であり、現在この執務室にて雑用仕事をしつつ冥琳の手伝いをしていた日之影一誠は、訓練の度に雪蓮の衣服だけを消し飛ばしてはゲラゲラと笑う理由を問われ、若干憤慨する雪蓮をチラリと一瞥しつつ理由を答えた。

 

 

「だってアホだから」

 

「あ、アホ?」

 

「お前、そんな理由で女の服を剥ぎ取るのか?」

 

 

 雪蓮の性格やら反応が元の時代におけるセラフォルーに近いせいなのか、詰る時の一誠はそれはそれは生き生きとしている。

 しかしアホだからという理由で毎度服を消し飛ばされてる雪蓮からしたら溜まったものではないわけで。

 

 

「だ、だったら母様にやりなさいよー……?」

 

「あのババァにやったらそのままニヤケながら襲いかかってくるだろうからやらない」

 

「だ、だったら蓮華とか……」

 

「関わりがない奴なんてどうでも良い」

 

「そ、それなら冥琳は……」

 

「冥琳にやるのは悪いだろ」

 

「私なら良いの!?」

 

「そう思われてたんだな私は……」

 

 

 呉の王である孫堅こと炎蓮や同世代の面々はあらゆる意味で日之影一誠の天敵である中、年の近いこの二人には割りと素に近くなっている自覚をしていない一誠。

 気を抜くと背後から襲われて裸にひんむかれるなんて事もこの二人ならしないので、この冥琳の執務室が最近の一誠の憩いの場と化していたりする。

 

 

「あんなことする癖に一誠は無責任だわ……」

 

「確かにな。

それに例の件はどうするつもりだ? 最近お前が雪蓮にやる行動のせいで、お前が雪蓮をそういう対象で見ていると思われてるが……」

 

「そういう? ………って、俺がか? 無い無い。間違ってもそれは無い」

 

「そこまで言われると傷つくわぁ……」

 

 

 鼻で笑う一誠に割りと傷つく雪蓮に、やれやれと首を横に振る冥琳。

 

 

「だが確かお前が酔った時は偶々だったのだろうが、最初に襲い掛かった相手は雪蓮だったぞ?」

 

「お、覚えてねーわそんなもん」

 

「一誠が覚えてなくても私は覚えてるわよ? …………多分もう一誠からされた色々のせいで他では満足不可能な身体にされちゃったわ」

 

「それに関しては私もだがな」

 

「……………」

 

「私としてはこのままではその内炎蓮様に喰われてしまうだろうから、前に話した通りの対策をするべきだと思うぞ?」

 

「お前らとどうこうって話かよ? そんなの――」

 

「はいはーい! 私は構わないわよー? 何せ一誠にはぜーんぶ見られちゃってるしー?」

 

「と、雪蓮は言っているし、私も構わんぞ?」

 

「……………」

 

 

 なにげに結託している二人から上手いこと外堀を埋められいる中、日之影一誠は微妙に困った顔をするのだった。

 

 そして、そんな外堀埋め埋めな状況の中、またしても酒を接種してしまった執事は――

 

 

 

「まさか本当にこうなるとはな……」

 

「いやー♪ まいったわー? でもしょうがないわよねぇ? 酔ってたし?」

 

「…………俺はお前らに何を―――いやその、お前らの格好を見たら嫌でも想像がつくが一応聞きたい」

 

「まずお前が炎蓮様からの挑発に乗って一口酒を飲んでひっくり返り、その後あきらかに泥酔して起き上がった。

その後水を飲ませようと近づいた私と雪蓮を抱えてそのまま………後はご覧の通りだ」

 

「泥酔してたけど優しかったわ」

 

「……………」

 

 

 

 友人感覚で話す知人二人と全裸で朝を迎えるという状況になってしまったとさ。

 

 

「母様に自慢しちゃおうかしら?」

 

「やめてやれ。もし言えば確実に一誠が危険だし、そのまま取られかねんぞ」

 

「む、確かにそれは嫌ね。

うーん、いっそのこと先に孕んでしまうべきかしら?」

 

「牽制という意味では有用だが……」

 

「お、俺を見ながら言うなよ……」

 

 

終了




補足

こうなってくると反転し始めるのが三馬鹿イッセー。


その2
逆に固まって動けなくなる執事。

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