色々なIF集   作:超人類DX

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これもネタ

タイトルでお察しかもだけど


マイナス一誠と……

 

 

 自分にとっての『当たり前』や『正常』が他の人達には『異常』に見え、それが恐ろしいと思われる。

 

 そのことを最初で――そして最後に肉親である両親から教えられた事で俺は他の人と比較したら異常なんだと一応自覚はした。

 それを教わって以降俺は両親とは会っていない。

 

 何故ならその両親は居なくなったから。

 俺の持つ異常さとやらが怖かったからなのか、それとも元から疎ましかったのかは知らないし、知りたいとも思わない。

 

 何故なら俺は、俺と同じものを持つとある二人と今をそれなりに楽しく生きているから。

 

 

 

 

 

 生き物が呼吸をして生きるのと同じで、物心がついた時から私は呼吸をするようにすることが出来た。

 けれどそれが異常なことであり、親を含めた周りの人達にはできないことだと知ったのは、私の事をその人達が化け物だと恐れるような顔で罵倒してきた時だった。

 

 当時の私はその言葉に結構傷ついたし、自分の持つ異常さを恨んだ事もあった。

 それでも私は今を生きている。

 

 今で言うボッチな幼少時代に出会った、同じくボッチな――されど唯一自分と同じものを抱えて生きている『男の子』と『女の子』と出会えたから。

 

 

 

 

 生まれた種族が偶々悪魔だったというだけだし、偶々その生まれた家がそれなりな名家で、身内が魔王の一人だけで、私自身は何もなかった。

 寧ろそんな家に生まれてしまった『空っぽ』な私には苦痛でしかなかった。

 

 名家の悪魔の子女としての外面という名の皮を被り続けなければならない。

 血の存続の為に知りもしない純血の男と結婚しなくてはならないだろう不自由な未来。

 

 どれもこれもくだらないく、それでいて絶望しかない――というのが過去の私であり、今の私はそうでもない。

 

 何故なら私は知ったのだから。

 他の悪魔の――それこそ肉親達にすら存在しないモノが私の中に存在していて、決して私は空っぽなんかではないことを教えてくれた人間の男の子と女の子と出会った事で、その二人の前では貴族悪魔の娘という皮を剥がせるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 全ての景色が白黒に見えていた頃に出会った二人の『同類』との邂逅により、これからの人生は少しだけ前向きに生きてみようと、そこそこなハード人生を送る少年の朝は、トモダチであり、センパイでもあるとある者からの支援で住むようになったワンルームアパートの自室で目覚める所から始まる。

 

 

「………………」

 

 

 寝起きでボーッとする意識の中、これまたトモダチでありながらセンパイでもある人から『一応持ってて』と言われて渡された携帯を使って時間を確認してみれば早朝の5時。

 

 

「……微妙な時間」

 

 

 このまま本格的に起きて朝食というには少々早く、かといって二度寝をするというのも微妙。

 どうしたものかと悩みつつふと視線を左右に落としてみれば……。

 

 

「すーすー……」

 

「すぴー……」

 

 

 見知らぬ女の子―――ではなく、知り合いどころか親友と呼べる女の子が自分を挟む形でスヤスヤと――何故か二人してサイズが一回りは大きいYシャツを羽織って眠っている。

 

 

「…………そういや泊まったんだっけ」

 

 

 そんな二人の寝顔を見て、少年は昨晩の出来事を思い返す。

 自分の家に集まり、特に目的は無いがダラダラしたりご飯を食べたりしていたことを。

 そしてそのまま泊まることになり、普通に一緒に寝たのを。

 その際、この女の子達が悪ノリして自分のYシャツを素っ裸の上に羽織始めた事を。

 

 

「………」

 

 そんな、他愛もない日常を思い返した少年は、眠る少女二人にフッと笑みを溢しながらその頭をそれぞれ撫でると、再び二人と一緒に二度寝をすることにした。

 どうせ学校も今日は休みだし……と。

 

 

「おやすみー」

 

 

 これが偶然出会った同類達の日常であり、結局お昼近くまで眠った後、今度は裸にダボダボなYシャツを着ていた女の子二人に起こされる事になるのであった。

 

 

 

 所謂同類三人組の仲は気持ちが悪いくらいに良かった。

 出会って友人関係を築き、今現在に至るまで喧嘩らしいことはひとつも無く、寧ろ二股野郎と少年が揶揄される程度には仲が良かった。

 

 

「そういえばセンパイ」

 

「ん、なぁに~?」

 

 

 結局盛大な二度寝とトモダチ二人からの優しい起こされ方により、目覚めもスッキリとなった深い茶髪の少年は、少し遅めの朝食を二人と一緒に居間で取りながら、思い出したように眼鏡をかけた黒髪のアメジストのような色の瞳をした――センパイと少年が呼ぶ少女に話しかける。

 

 

「昨日から普通にここに居るけど、悪魔としての仕事とかしなくて良いの?」

 

 

 悪魔と呼ばれた通り、この少女は実は正体が悪魔であり、しかも眷属をもつそこそこな地位すら個人で持つ名家のお嬢様だったりもする。

 しかしセンパイと呼ばれた少女はこんがり焼けたトーストを齧りながら少年の質問にたいしてこう答える。

 

 

「あっちの事は適当に五月蝿くいわれない程度にやってるわ。

眷属達にも適当にやっておけば良いって言ってあるし、私は放任主義なのよ」

 

「ふーん……? それなら良いけど、その眷属の人達にここに居るって知られたら結構面倒なんだよなぁ。

何でか知らんけど俺ってセンパイを悪い道に誘ってる不良みたいに思われてるし」

 

 

 簡単に言えば種族としての誇りも何も持ち合わせていません的な発言にたいして、少年はこの少女――というよりも少女が一応抱えているとされている眷属達からのクレームを面倒がっていると、目玉焼きを食べていた少年と比べると橙色に近い茶髪の少女が口を開く。

 

 

「ソーナの眷属達ってまだソーナが皮を被ってる事を見抜けないの? あんまり関わり無い私が言うのもなんだけど、ソーナの眷属って節穴なの?」

 

 

 そこそこ毒舌な少女の言葉に、ソーナと呼ばれた黒髪の少女悪魔は苦笑いを浮かべる。

 

 

「少し前からあの子達には皮を外して見せてるけど、皮を被ってる方が本物で、外してる方はイッセーのせいでそうなったと思い込んでるみたいなのよ」

 

「お陰で俺は戦犯扱いだぜ? どう思うよイリナ?」

 

「よっぽど皮を被ってるソーナがそいつ等にとっての理想的なソーナなんでしょうねー? けど私からしたらやっぱり節穴としか思えないし、仲良くもなれそうにないわ」

 

 

 イッセーと呼ばれた少年とソーナに、そうバッサリ斬るかのようにソーナの眷属達を節穴呼ばわりされるイリナと呼ばれし少女。

 

 

「つーかセンパイもそうだけど、イリナもイリナでここに居ても良いのか? 悪魔祓いの仕事とかあるんじゃあ……」

 

「あー良いの良いの。

一応の身内が偶々そっち系の事をやってて、流れでやらされてるだけで別に私自身神に対する信仰心なんて皆無だもの。

第一向こうの食事の味気なさったら無いし、周りは『主とやらへのお祈り』に命かけてるアホばっかだし、それに合わせてどうでも良いのにお祈りするなんてアホらしくてやってらんないわ」

 

「悪魔である私が言うと皮肉にしかならないけど、とんだ不良悪魔祓いねイリナは」

 

「そんな不良悪魔祓いとトモダチやってくれるソーナも不良悪魔じゃないー? 見た目は優等生ちゃんっぽいのに」

 

 

 悪魔と魔を滅する悪魔祓いという、本来ならこうしてテーブルを囲んで呑気にお喋りしながらご飯を食べるような立場はないのがソーナとイリナの一応の背景。

 

 

「それにソーナのお陰で何時でもここに転移できるから、こうしてても連中に怪しまれもしないわ。

精々またサボってるのかとしかね」

 

 

 だが、本人達は自分達の立場なぞくだらないものでしかないと断じていて、実に仲良さげに笑い合いながら冗談を飛ばし合っている。

 

 何故ならイリナもソーナも――そしてイッセーも種族や立場を超えた、『共通の繋がり』を持っているから。

 

 

「本当ならイッセーを眷属にしたかったのだけど、それだとイリナに対してフェアじゃないと思ったけど、これならイリナとイッセーを眷属に誘うべきだったかしら?」

 

「眷属を持てるようになった時点で誘ってくれたら普通になってたのに、変な所で気にしいよねソーナって?」

 

「お陰で、皮の方を見られて以降、センパイの悪魔としての幼馴染みの人からむっちゃ監視されちゃうしなぁ。

本人は『眷属になってくれたら監視はやめる』なんて言ってるけど……」

 

「ああ、リアスの事ね? 彼女は多分アナタの『力』を引き込みたいからそうしてるのよきっと」

 

「前も聞いたけど、悪魔祓いだからとか適当な理由でもでっち上げてその雌をぶちのめしてあげよっか? イッセー君に対して理由はどうであれ『色目』とか使う雌なんて見てるだけでぶち壊したくなるもの」

 

 

 独特な会話をしながら食後の一服をする三人。

 

 

 

「別に良いよ。

嫌がらせとかはされてないし。やんわりとセンパイ――てかソーナちゃんがカバーしてくれるし」

 

「イッセーは興味ゼロで無関心だから気付いてないけど、最近の彼女は自分や眷属達を使って色仕掛けめいた真似をしながらイッセー君を手元に引き寄せようとし始めてるのよ」

 

「やっぱり……。

ちょっとそいつ等の写真とかないの? 後で一人ずつ血祭りに――」

 

「大丈夫よ。

その前に私がそういった展開にならないように潰しているから。

それにイッセー自身彼女等が何してこようと無関心だから通用もしないでしょうしね?」

 

 

 クスクスと笑いながら熱いお茶をフーフーしていたイッセーを見るソーナ。

 

 

「任せろ。俺はトモダチを裏切らないことには定評がある」

 

 

 それに対して自信満々に返すイッセーにイリナもソーナのようにクスクスと笑う。

 

 

「私とソーナにあんな事やそんな事をしたんだもんね? 浮気したら許さないし、そうなったらソーナと二人で―――ね、ソーナ?」

 

「ええ……ふふふ♪」

 

「気付いたら仲良くなってたよな……ソーナちゃんとイリナって」

 

「喧嘩してる場合じゃないってわかったからよ」

 

「そうそう、喧嘩するより半分こした方が平和的だって」

 

「「ねー♪」」

 

「半分こ? ふーん?」

 

 

 声まで合わせる二人にイッセーは首を傾げる。

 これが『同類であり、親友であり、恐らくそれ以上の繋がり』を持つ三人の密かな日常だった。

 

 

 マイナス一誠とシトリーさんとイリナさん……始まらない。




補足
コンセプト・・勝てる癖に、それ以上に台無しにさせる方々。


違いはソーたんとイリナさんとイッセーが密かな幼馴染みであり、周囲に言わずに長いこと互いに切磋琢磨ならぬ酔生夢死して堕落しまくってた。

 三人とも過負荷と異常を持つせいで常時混神モード。

 ソーたんとイリナさんはイッセー関連で簡単に徒党を組んで色々やらかす。

 トモダチを裏切らないと自称する通り、ちょっとでも二人から引き離されそうになると、全力で潰しにかかる。

例えばソーたんに婚約話が出た際、それを聞いたその日の夜、その婚約者候補の謎の変死体が部屋で発見された等。

 なまじ勝てる事も可能なのでスイッチが入ると危険生物化しやすいし、なにより平気で相手を台無しに追い込む。



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