やったねたっちゃん! ルートみたいな
もしもベリーハードからの精々シリーズ。
転生者云々はあれど一夏や箒達が転生者を知らずに育ち、また出会いもなかったら。
そして……少年の運命を変える出会いがなかったら。
復讐を果たす為に親代わりでもあった相棒の龍と共に地獄のような世界を爪を研ぎながら生き抜いてきた少年は、自分の運命すらも変える出会いがなかったせいか、戦いに敗れて死ぬ定めのはずであった。
しかしその尽きる筈だった命運は奇跡と共に拾われたのだ。
とある世界のとあるご自宅の中庭に文字通りボロボロの状態で降るという形で。
此れはそんなもしもの話。
薄汚い人間一人が救われたあの日、少女の運命が変わった。
「えっとだな、悪いけどもう一度言ってくれるとひじょーに助かるんだがね」
異界にて龍を宿す『少年』との出会いが、少女の生き方を変えた。
「だから、今年からアナタは『転校生』という形で私と同じ学校に通って貰うのよ。おわかりかしら?」
「ちっともおわかりになれないんだけど……」
どす黒い怒りに燃えた瞳を持つ少年の強すぎる執念。
それは敷かれたレールを歩むために生きてきた少女にとってはなによりも自由に見えた。
だからこそ少女は、少年を傍に置くことを決めた。
善や悪など関係なく、誰かの決めた正しさ等も無関係に己の道を歩こうとするその少年を。
「そもそもキミ達が通う学校って、間違いなく女子高じゃないのかよ?」
「別に女子高ではないわよ? ただ、通う条件を果たせるのが女性しか今のところ出てこないだけだし」
「だとしても女子高じゃんか。
そもそも俺の最終学歴なんて幼稚園中退なんだぞ?」
その異質さにシンパシーを感じた少女は、隙あらば自分のもとから去ろうとする少年を口八丁で引き留めるようになった。
そんな少女を従者や妹や両親は『とても生暖かい目』で見守る訳で……。
「そこは抜かりないわ。
条件さえ整えば頭の良し悪し関係なく入学できるしね――男子の場合は」
「抜かりだらけじゃんか。
だって俺はその条件に入らんし……」
そんな少女と少年の日常は唐突に学校に通うことなく日々を生きている少年に学校への入学させる話で盛り上がっていた。
「アナタの異常性を駆使したらできるでしょ? ドライグ君はそう言ってたけど……?」
「また余計な事をドライグは……」
少女が呼ぶドライグなる名前に少年は苦い表情を浮かべながら自身の左腕を見つめる。
こうして少しずつ『借り』がある同年代の少女に追い込まれていった少年は、結局少女の言うとおりになるのだった。
突拍子の無い話を結局うなずいてしまった少年は、世話になっている少女の実家にある縁側に腰掛けながら盛大なため息を吐いていると、先程まで話をしていた少女に似た髪の色をしたメガネを掛けた少女が現れ、座っていた少年の横に腰かける。
「さっきお姉ちゃんに会ったら、かなり嬉しそうにスキップしてたけど、何かあったの?」
「急に学校案内のパンフ渡されながら転校しろ言われたんだよ」
「あ、だからか……。
私と本音もこの学校に入学するからだってのもあるんじゃないの?」
「だからといって無理矢理すぎないか? 俺男だぜ? このIS学園ってのはISってのを動かせなきゃ無理なんだろ? しかも動かせるのは女の人だけらしいじゃんか」
「うん。
でも今年に入って一人現れたってニュースになってたでしょ? それを見てお姉ちゃんが便乗させることを思い付いたんだと思う」
「そんな簡単に便乗できる話じゃないだろ……」
呑気にお茶を飲む少女の妹に少年は呆れた顔をする。
「大丈夫だよきっと。
手からビーム出せるアナタならISだって余裕で動かせると思う」
「ビーム出せるからって動かせるわけではないだろ」
「正直言って私たち的には同じ学校に通って欲しいんだよね。
あそこって寮生活だし、虚さんから聞いた話じゃ学校生活中のお姉ちゃんって、アナタが居ないせいか常に捨てられた子犬みたいに寂しそうにしてたって……」
「それは俺も聞かされたけどさ……」
「お姉ちゃんを変えたのはアナタだし、そのお陰で前よりは私もお姉ちゃんと上手くやれてる。
だから……お願い」
「………」
少年の存在により、色々な問題が少しずつ良い方向に進められたと話す少女の妹はぺこりんと頭を下げるとそのまま部屋へと戻ってしまった。
「お願い言われても、動かせなかったら入学もクソも無いんだけど……」
そんな少女の妹に少年はぽつりと呟くのと同時に今現在住まわせて貰っている自分の部屋へと戻るのだが……。
「~♪」
「…………なにしてんの?」
自分の部屋に敷かれた布団を陣取り、ゴロゴロしながら漫画を読む少女がそこには居た。
「なにって、漫画読んでるのよ?」
少年の質問に空色の髪と赤い瞳を持つ少女は一切悪びれもせず漫画を読みながら答える。
「読むなら全部持ってって良いから自分の部屋で読めよ?」
「持ってくのが面倒なんだもーん♪」
「……」
自分も今まで相当身勝手に生きてきたつもりだが、この少女の奔放さには負けると思う少年は仕方なく少女が飽きて出ていくまで部屋の隅っこに設置してある勉強机の椅子に座ることに。
「さてと……」
約1時間後、ゴロゴロしながら漫画を読んでいた少女がそう呟くと同時に漫画本を閉じる。
それを見た少年は『お、やっと飽きたか?』と思うのだが……。
「よいしょ」
さも当たり前のように、そのまま布団の中に入り始めた少女。
「……いや自分の部屋で寝ろや?」
「え、なんで? そのまま一緒に寝れば良いじゃない。
別にこれが初めてって訳じゃないし?」
「…………」
少年の突っ込みにきょとんとなる少女。
確かにそうなのだけど、この家の家主というか、少女の両親――特に父親に知られたら八つ裂きにされても文句も言えなくなるので出来れば遠慮して貰いたいのが少年の本音な訳で。
「ふふーん、今までは生身の女の子と接する事すらなく生きてきたイッセー君はもっと喜ぶべきだと思うけど? こんな美少女と添い寝できるんだって?」
「自分でいうなよな――否定はできねぇのが悔しいけどよ」
けれど少女はドヤ顔をするだけで退くこともなければ自分の部屋に戻る気配もない。
「………。キミが俺を発見して助けてくれなかったら、俺は今頃くたばってた。
だからキミには――『刀奈』には感謝してる」
「?? なによ突然改まっちゃって?」
「………。前に事故って全裸の俺を見たときの初な反応をしてた刀奈はどこへ行ってしまったんだと俺は言いたいの。
あのな? 正直言えば俺はキミが見たこと無い美人さんだって思ってるから、そういう真似されるとどうして良いのかわかんないだよ……」
「見たままよ? あのね、私も正直言えばかなり緊張してるのよ? イッセー君ってあまりにも欲が薄いというか、私に興味無いのかなって心配になるときもあるし……」
刀奈と呼ばれた少女の言葉にイッセーは回転する椅子を左右に揺らしながら『あー……』という声を出す。
「キミが俺の世界の人間でなくて心底良かったって思うかな。
じゃないとあのクソ野郎になにされるかわかんねーしよ」
「あんまり褒められてる気がしないわねー……」
「あのクソ野郎はしょちゅう違う女と寝てたからな……」
「そのクソ野郎とやらのお眼鏡に私は叶うと?」
「ああ、少なくとも俺はそう思ってる。だから良かったと思うんだよ」
「……」
そう言いながら椅子から立とうとしないイッセーをじーっと布団の中から見つめる刀奈がぽつりと問う。
「じゃあもしそのクソ野郎が居たとして、私に何かしようとしたらどうしてくれるの?」
「死んでもキミを触れさせない。
それこそ奴を道連れにしてでもな」
質問に対し一瞬で答えてくれたイッセーに刀奈は満足そうな笑みと共に、心の中が満たされていく。
「はぁ、やっぱりアナタとはお別れしたくないわ」
「……………」
「私の我が儘ですらイッセー君は受け止めてくれるし、知らない世界も教えてくれた。
だから、離したくない」
奇跡の出会いにより運命を少しだけ変えた少女にとって彼の存在は最早小さなものではなかった。
「ほら、一緒に寝ましょう?」
「いやでもよ……」
「私はイッセー君のこと好きよ? 全部あげちゃっても良いくらいに……」
だから、この想いにだけは嘘をつきたくはない。
更識ではなく、ただの『刀奈』として。
「…………」
「もー、なに緊張してるのよー?」
「しない方がおかしいだろそんなもん……」
「初めてじゃあるまいし……。
ま、まあ実は私もイッセー君の事なんて言えなかったりはするのだけどね? あはは……」
「ちょ、お、お前やめろ。 それは不意打ちだし反則だっての……!」
飛翔するのだ。
飛翔せし少女(更識刀奈)
パッシブスキル『霧纒の淑女』
自身のATK,DEF150%UP
超高確率で敵の攻撃を回避し、回避する度に自身の気力+1(最大7)、ATK,DEF20%UP(最大100%)
アクティブ・スキル『恋心』
同チームにイッセーが居る場合のみ発動可能
効果・進化の扉を開け放ち、イッセーが参戦する。
運命を変えし楯無と赤龍帝(更識刀奈&イッセー)
パッシブスキル『霧纒の赤龍帝』
自身のATK,DEF300%upし全属性効果抜群で攻撃
登場から3ターン敵の攻撃を必ず回避する。
敵の攻撃を受ける度にDEF5%、攻撃をする度にATKを5%UP(無限)、気力+2(最大8)し、受けるダメージを50%カット。
敵の必殺技を見極め、超高確率で無効化し、超極大ダメージで反撃する。
必ず4回攻撃を行い、気力18以上で必殺技が追加発動する。
一度だけ戦闘不能になった場合、体力を全快させて復帰する。
必殺技『シンデレラ&ドラゴンタイム』
1ターンATK,DEFを超大幅上昇させ、敵に超極大ダメージを与える
超必殺技『清き情熱&龍拳・爆撃』
1ターンATK,DEFを超大幅上昇させ、敵に壊滅的ダメージを与える
アクティブ・スキル『ミストルテイン・ビッグバンドラゴン波』
一時的にATKを急上昇させ、敵に究極大ダメージを与える。
「イッセー君よ、キミがこの家に来た事で娘達の関係が良好になれたし、無理をしなくなってくれた。
だが正直おじさんは迷っているのだよ……キミをぶん殴るべきなのかとね」
「………………………はい」
「いや勘違いはしないでくれよ? おじさん個人としてはキミを好いているし、娘達もそうだ。
だがね……ちと早すぎやしないかなと思うのだよ? ん?」
「おっしゃる通りです……はい」
「またですかお嬢さま……」
「お姉ちゃんのせいで何時もイッセーが怒られてる」
「いやー、わかりますよー? 実は初なお嬢さま的には一世一代の勇気を毎回出してるってのは?」
「だ、だって……一緒の学校に通わせたいのもあるけど、通うことになったら他の女に取られそうな気がするし……」
「誰も取りませんよ。
彼、ああ見えて相当生真面目ですからね……」
「うん、浮気とかしない主義だね」
ベリーハード(孤独からの精々シリーズ)
始まりません
補足
孤独なので前提としてリアスちゃんにすら出会えず、そのままドライグと二人三脚で奮闘し続けてたとこからのバトルでズタボロにされてからの精々シリーズに移行。
なので年齢もたっちゃんと同じだし、女性経験皆無なせいか互いに態度とは裏腹に案外初なやり取りばっかりする的な話。
………な、没だろ?