色々なIF集   作:超人類DX

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598話から600話までのネタの没データが出てきたのでぶちこんでみた


垂れ流し話
哀しき現実


 

 

 人と関わる事を極端に嫌い、そして他人とまともに話ができない。

 

 執事としては致命的な欠点なのかもしれないけど、その欠点を塗りつぶすだけの腕っぷしの強さが彼にはあるし、加えて執事としての技術だけは私自身も学ぶべきものが多く感じるだけの技量がある。

 

 雪の振るクリスマスの夜、積もる雪を真っ赤に染め上げながら、傷だらけで倒れていた彼を偶々見つけたあの日より始まった奇妙な縁。

 

 世界を揺るがす資金を持つ者だろうと、大国の長ですら縛れぬ――私と同い年の少年。

 話すのが苦手で、口は悪いけど、人から借りたものだけは何をしてでも返そうとする律儀な彼。

 

 

 彼がもし私への貸しを全て清算した時、きっと彼は彼を執事として立派に育て上げた本当の主の元へと去っていく。

 だからその日が来るまで、私は彼との時間を暫し楽しむつもりである。

 

 

 

 

 

 

 

 人という種の限界を超越し、最強の悪魔に食らい付くだけの領域へと到達した事は確かな事実だ。

 個を奪い取られ、本来持つ潜在能力の全てをも失った筈の少年が、絶望を糧に力を追い求めた事で本来持つ潜在能力とは違う領域の力へとたどり着けたのは簡単な事ではなかった。

 

 だからこそ彼を知るものはきっと彼を強いと言うのかもしれない。

 けれど本人は決して自分を強いと思えたことなんてなかった。

 

 故に狂気とも言うべき壮絶な鍛練を続けるのだから。

 

「あ? 出席日数が足りないから登校しろだ?」

 

 

 

 そんなあくまで悪魔の執事である日之影一誠は、とある理由によりパラレルワールドの若干過去にて、悪魔ではない金持ちの執事をしていた。

 死ぬかもしれない怪我を負った状態でパラレルワールドに放り込まれ、偶々とある女性――いや、一応年齢的には少女ではある者に助けられた借りと、意識を取り戻した際の誤解により周辺を破壊してしまった賠償の為に、癖のある少女の執事の真似事を、少女のメイドでもあった自分を救出した女性の下でやりつつ、元の時代へと戻る方法を密かに探し続けている日之影一誠。

 

 そんな状況が続いているある日の事。

 最近少女の執事として働くようになった、借金1億5千万の少年の指導をしながらの生活に少しだけ慣れ始めたこの日、同僚ともいうべきメイドの女性――いや少女からいきなり言われた一言から始まる。

 

 

「ナギも漸く再び学校に通うようになってくれた訳だけど……。

アナタも一応ナギと同じ学校に籍が残っているというのはちゃんと把握しているわよね?」

 

「……」

 

「加えて最近ハヤテ君も学校に通うことになった事で、籍が残っているアナタへ登校要請が学院から送られてくるのよ毎日」

 

「登校要請? ちょっと待て、お前から聞いた話じゃ、あの学校とやらは出席日数が足りなくてもそれに準ずるなにか――例えばテストとかで高得点叩き出せば自動的に進級可能じゃなかったか? だから去年そこそこ勉強までして……」

 

「学院側としてはそうね。

だからこの登校要請を出してるのは学園自体ではないのよ」

 

「は?」

 

 

 お喋りをしてでも屋敷の清掃の手は一切止めず、なんならリアルに分身しながら作業をこなす日之影一誠の表情が訝しげなものへと変わる。

 そんな一誠が何人も分身している光景を前に、既に慣れきってしまったメイドのマリアは訝しげな顔をしている一誠にここ最近毎日のように送られてくる手紙の封筒の束を一誠に渡すので、一旦作業の手を止めた一誠は分身を消しつつ、ささ100万円の札束が5束分はありそうな手紙の束のひとつを開けて読んでみることに。

 

 

 

「………………………」

 

「アナタ宛だから私も中身までは確認してないけど、なんて書いてあるの?」

 

「『登校して勝負しろ。勝ち逃げなんて許さない』―――だ、そうだ」

 

「勝ち逃げ……? あぁ、つまり差出人は――」

 

「知らん。俺は雑魚の名前と顔をいちいち覚えない主義なんだ。

くだらん、今度来たら燃やしとけ」

 

「…………」

 

 

 読み終えた一誠は心底馬鹿馬鹿しいと言わんばかりな顔と辛辣な台詞と共にマリアに手紙を押し付けるように返す。

 

 

「去年一ヶ月だけナギと無理矢理登校させたっきり行かなくなったのに、その一ヶ月の間に相当な事をやらかしたとはナギから聞いたけど……」

 

「なにもしちゃいねぇよ。

三千院のガキの執事って体だからか、喧嘩を吹っ掛けられたから買ってやっただけだ」

 

「この前まだ編入前のハヤテくんがナギに忘れ物を届けに行った際は、アナタの名前を出しただけで全員が黙りこんだと言ってたわねぇ」

 

「テメーの力量も図れずに喧嘩なんぞ吹っ掛けたらどうなるかを教えたまでだ。俺は悪くねぇ」

 

 

 ナギが漸く学院に登校を再開し始めたというのに、一誠は相変わらず行く気が無い様子にマリアは困った表情だ。

 確かに一誠個人を見ていても集団行動といったものにはまるで向かないし、なにより本人の気質や感性が一般人から逸脱したものなのだ。

 とはいえ一誠はあくまでまだ17の子供であり、本来なら学生の年齢だ。

 

 飛び級で学校を卒業して今に至る自分とは違うし、出きることなら少しくらい年相応の事をして欲しいと思うわけで。

 

 

「まあ、アナタがそのつもりなら仕方ないわね。

処で話は変わるのだけど……」

 

「あ?」

 

 

 仕方ない。学校に通わせるのはもう少し時間を置かせるにせよ、取り敢えず学校に顔を見せるのだけはさせようとマリアは今朝学校に行ったハヤテとナギの二人と話を合わせて考えた作戦を決行する為、マリアはちょっと目を丸くしている一誠にニコニコと微笑むのだった。

 

 

「…………………」

 

「まさかそんなに嫌そうな顔をされるとは思わなかったわ

 

 

 言った途端、登校を再開する前のナギのような嫌そうな顔をされてしまうものの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 国内有数の進学校かつ、国内でも類を見ない規模を誇るマンモス学校こと白皇学院は、通う生徒も所々癖のある者が居るものの、基本的には中流階級から上の子が多い。

 

 そんなエリートにも近い学校にナギの執事となることで通える事になった元一般校出身の綾崎ハヤテは、主である三千院ナギと一緒に連絡を貰い受ける。

 

 

「マリアさんから連絡が来ましたねお嬢様」

 

「ああ、ある意味私よりも学校嫌いのアイツの説得に成功したようだ」

 

 

 この時代当時の最新機種の携帯を操作しながら話すナギに、ハヤテは『確かに……』と苦笑いを浮かべる。

 

 

「?? どうかされたのですか?」

 

 

 そんなハヤテとナギの向かい側に座ってのほほんとしていた鷺ノ宮伊澄が首を傾げるので、眠たそうな眼差しをしていたナギがこの当時はまだ二つ折りが主流であった携帯を畳んでしまいながら話す。

 

 

「極度のコミュ障と、たった一ヶ月である意味アイツを見た者の脳髄に存在を刻みつけまくったイッセーが今日こっちに来るんだ」

 

「といっても、マリアさんと話を合わせてわざと忘れておいたお昼のお弁当をこちらに届けに来るだけですけどね」

 

「え……イッセー様が……」

 

 

 ただわざと忘れ物をしておいた二人にその忘れ物を届ける為にイッセーがやってくると聞いた途端、伊澄の表情があからさまに明るいものに変わった。

 去年突然ナギの執事として働き始めたイッセーにあっという間に懐いた伊澄にしてみればイッセーが単に忘れ物を届けに来るという話だけでもとんだサプライズなのだ。

 

 

 

「イッセー様が来る……」

 

 

 本人が集団を苦手にしていると聞いたので、学校に来て会うのは殆ど諦めていた伊澄は、いそいそと髪が乱れていないかを確認しながらソワソワとし始める。

 

「イッセーは戦闘力は凄まじいが、対人能力は底辺以下だからなぁ……」

 

「ある意味致命的な弱点だとマリアさんも言っている程ですし、僕も先輩は見てましたが、殆ど知り合い以外とは目すら合わせませんからね…」

 

 

 ナギとハヤテがイッセーについて話している間もソワソワとしっぱなしであった伊澄。

 すると連絡を受けて約5分後……なにやら表が騒がしい。

 

 

「む、来たな」

 

「そのようですね……」

 

 

 まるで戦中に呂布でも現れたかのような騒ぎの声が聞こえたナギとハヤテと伊澄が騒ぎのある方向を見ていると、二人分の昼食のお弁当を片手に、何故か斜め下を向いたまま歩く顔色が死人のように真っ青な少年の姿が……。

 

 

『あ、アイツは日之影……』

 

『三千院ナギの執事が変わったからてっきり辞めたと思ったのに……』

 

 

 既に日之影一誠の存在をトラウマ混じりで知っている生徒達は、近づくことも話しかける事も許さないオーラを撒き散らしながら歩く一誠に恐れおののきながら道を譲ったり退散したりと、まるで怪物でも見ているような様子。

 

 

「聞いてた通り、本当にああいうリアクションしかされないんですね先輩は……」

 

「あまりに喧嘩を売られるものだから、一度まとめて徹底的に叩きのめしてやったらああなってしまったのだ」

 

「イッセー様……」

 

 

 テクテクと下を向きながら歩いてくるイッセーを見る周りの反応になんともいえない気分となるハヤテは、やがて自分達を見つけたイッセーが少し不機嫌な顔をしながら近づいてくるので、ナギと一緒に手を振ってここだと伝える。

 

 

「お疲れさまです先輩」

 

「マリアに頼まれて来たんだろう? ご苦労だったな」

 

「……ほらよ」

 

 

 ぶっきらぼうな態度で持ってきた弁当を二人に手渡すイッセーの顔色はやはりよくはない。

 

 

「? もう帰るのか? ついでだし午後の授業だけでも受けてから帰れば良いんじゃないか?」

 

「俺が? 嫌なこった」

 

「けど勿体無いですよ先輩? こんなに良い学校の授業を放棄するなんて……」

 

「元々マリアに世間体の問題で編入試験を受けさせられただけなんだよ。

こんなジロジロジロジロと見てくる雑魚共に混ざるなんて嫌だ」

 

「雑魚って……」

 

 

 今にも吐いてしまいそうな顔色で色々と酷い言動をしているイッセーにハヤテはなんともいえない顔をする中、イッセーがそわそわとしつつ目をキラキラさせながら見てくる伊澄に気づく。

 

 

「お前か……」

 

「本当にイッセー様が来てくれました……」

 

「あ? 勘違いするな、単にこの二人の忘れ物を届けに来ただけだ。

もう用もないしさっさと帰らせて貰う――」

 

「え……」

 

 

 一応知り合いなので会話は成立する伊澄に対してぶっきらぼうに帰ると宣言する一誠だが、その瞬間伊澄の表情がしかられた犬のようにしょんぼりとしたものへと変わる。

 

 

「今、お昼休みだからイッセー様もご一緒に……」

 

「あ? 俺は二人の昼飯を届けただけで、自分の飯なんて持ってないっての」

 

「で、でしたら私の分をイッセー様と分けて食べましょう? 少々多いですし……」

 

 

 せっかく会えたのにもうお別れは嫌だと、伊澄らしからぬ言葉に事情を把握するナギとハヤテは微妙な視線を一誠に向けつつ、伊澄への助け船のつもりで話しかける。

 

 

「一応お前も生徒ととしての籍は残っているし、伊澄に付き合ってやったらどうだ?」

 

「あ? 高々飯食うだけにここに居る意味なんてねーだろ。

それに俺は別に腹なんぞ減っちゃいないし、戻って仕事も――」

 

「マリアさんには僕から話しておきますから……ね?」

 

「ね? の意味がわからんのだが……」

 

「イッセー様……」

 

「ぐっ、なんだそのツラは……」

 

 

 段々目がうるうるとし始めていく伊澄にイッセーも少し圧されていき、やがて根負けと子供には甘い部分が多いイッセーは仕方なく言うとおりにしてやることに。

 

 

「飯だけ食ったら俺は帰るからな……。

それとナギ、帰ったらムシ○ングのリベンジするから逃げんじゃねーぞ」

 

「わかったわかった……。

まったく、私も大概だが、お前は私以上に負けず嫌いだな?」

 

「それと綾崎君もだ……。あの時キミから受けた完封を取り返すからな」

 

「はは、わかってますよ先輩」

 

「は、はいイッセー様……どうぞ!」

 

 

 いそいそと用意する伊澄の隣に座る一誠に、持ってきて貰った弁当を広げるナギとハヤテは石像のような冷たい顔に似合わない灼熱のような負けず嫌いさに苦笑しつつ、マリアとの共同作戦の第一段階が成功させる。

 

 

 

「あ、お箸が一膳しかございません」

 

「あ? ちっ、だったら別に俺は食わな――」

 

「お箸! 二人で使いましょう! こ、交代しながら……!」

 

「………。どんだけ自分が食えないからって俺に押し付けたいんだお前」

 

 

 

 

 

「伊澄がああも主張するとはな……」

 

「でも良いのですか? 先輩は気づいていないようですけど……」

 

「まー、伊澄も思春期なんだろう……」

 

 

 

 伊澄と一膳の箸をシェアしながらという、行儀こそ悪い行為ながらも伊澄本人は自分の番となる度に頬を染めながら食べている光景に、そこはかとない犯罪臭が漂うのをハヤテは感じつつも口に出すことなく呆れ顔のナギと一緒に食べていると……。

 

 

「日之影君!!」

 

 

 凄まじい勢いで四人の席に突撃してくる一人の生徒により食事は中断させられる。

 その人物は少なくともナギ、ハヤテ、伊澄知っている人物だった。

 

 

「なんだ騒がしいぞヒナギク?」

 

「えーっと、どうかされましたか?」

 

「…………」

 

「……………………」

 

 

 ナギからヒナギクと呼ばれた目立つピンクの頭髪と色々と残念な気がする体型の少女は実はこの学院の生徒会長であり、何を隠そう一誠宛に毎日いやがらせのように登校しろといった旨の手紙を寄越しまくっていた者だ。

 

 今日もどうせ来ないと思っていた矢先に一誠が学院に姿を現したと聞き付けた桂ヒナギクは、友人の二人が一誠を化け物でも見るような顔で遠くから様子を伺っているのを背に、勢いよく接触を試みたようだ。

 

 

「やっと来たわね日之影君。

早速だけど今日の放課後私に付き合ってちょうだい」

 

「…………」

 

「む……」

 

 

 来るなり早速一誠にそう告げるヒナギクに、一誠の隣に座っていた伊澄の表情がムッとなる。

 

 

「? そういえば僕がナギお嬢様の執事と言った時からしきりに先輩の事を聞いてきた桂さんは先輩とお知り合いなのですか?」

 

「知り合いというよりは因縁のある者同士というべきかしら?」

 

「因縁……?」

 

「ヒナギクが一方的に言ってるだけの事だ。

確かに去年一誠にボロカスに負けたがな」

 

「なるほど、そういう……」

 

 

 呆れた顔をするナギの説明に、ハヤテは納得する。

 まだ知り合って日も浅いがこの桂ヒナギクなる人物も相当な負けず嫌いな性格をしているし、先日の剣道部の件の際もしきりに一誠の動向を気にしていた。

 

 

「とにかくこれでやっと日之影君にリベンジが果たせるわ……!」

 

 

 そうヒナギクは言いつつじーっと下を見ていた一誠に挑戦的な視線を向けるのだが……。

 

 

「…………………………」

 

「え、耳を貸せ? ふむふむ――――――――――は?」

 

「………………………」

 

 

 

 唐突に席を立った一誠が対面に座っていたナギの元へと行くなり、ひそひそと耳打ちをし始めるので、ハヤテや伊澄やヒナギクといった面々ははてと首を傾げるのだが、何を言われたのかナギが信じられないものでも見るような顔をするではないか。

 

 

 

「お、お前それはいくらなんでも……そ、それを私がヒナギクに言うのか? さすがにちょっと……」

 

「………………」

 

「? なによ? 日之影くんが私になにか言うことでもあるのかしら?」

 

「ま、まあ……」

 

「?? なんで直接私に言わないのかは疑問だけど、なにかしら?」

 

「いやその……」

 

「ナギお嬢様……?」

 

 

 ナギにしては言いづらそうな態度をしている中、一誠の視線に根負けするようにナギはヒナギクに対して今一誠に言われた事を代弁する。

 

 

「私が言った訳じゃないと理解した上で聞けよ?」

 

「ええ」

 

「…………『さっきからうるさいが、そもそもお前は誰だ?』―――と一誠は言ってるぞ」

 

「…………え」

 

『……………………………』

 

 

 

 ナギの発言により、本人も周辺でなんとなく気になって聞いていた生徒達の全員の声がやみ、一分間は無音と化した。

 

 

「お、おいイッセー! ヒナギクが固まってしまったではないか!?」

 

「知るか。さっきから横でギャーギャーギャーギャーと知らねぇ他人が騒ぎゃ耳障りだろうが」

 

「え、えぇ? ほ、本当に桂さんをご存じないんですか?」

 

「全然知らん」

 

「う、うっそーん……?」

 

 

 きっぱりとヒナギクのことは知らない――というか記憶していないと言い切る一誠にハヤテは以前マリアの言っていた一誠の中での線引きの極端さを思い出すと同時に、今さっきまで一誠の出現に待ってましたとばかりにテンションが上がっていたヒナギクに心底同情してしまう。

 

 

「イッセー様が去年ぼこぼこにした方で、今は生徒会長ですが……」

 

「そんな有象無象なんぞ一々覚えてる訳ねーだろ。

つーかコイツだったのか? 最近嫌がらせの手紙を送りつけてきやがる生徒会長ってのは……」

 

 

 真っ白な灰となっていくヒナギクに一瞥だけくれつつ鼻を鳴らすイッセーのあんまりな態度に、伊澄もまたヒナギクに同情しつつも少しだけホッとした。

 少なくともヒナギクと比べるまでもなく自分はイッセーにちゃんと個として認識されているのだと。

 

 

「……………」

 

「ヒナギクも憐れな……」

 

「宿命のライバルと思ってた相手に記憶すらとれてないなんて、僕だったら立ち直れる自信なんてありませんよ……」

 

「話にならないな、こんなただの普通(ノーマル)程度の雑魚なんぞ」

 

 

 徹底的な見下し発言もここまで来ると最早清々しさすら感じる程であり、学院では完璧生徒会長で通っていた桂ヒナギクはこの時を持って人生で最悪の挫折を叩き込まれる事になるのだった。

 

 

「お、覚えてないって……記憶すらないって……。

私って一体……」

 

 

 ある意味ひとりの少女を拗らせた瞬間だったのかもしれない。

 

 

「あら……生徒会長が桂さんだとは知らなかったばかりか、桂さんの事は記憶すらしていなかったと」

 

「一々覚える程の印象もなかったしな」

 

「せっせと登校しなさいと手紙を書いていたのに、報われないわねこれでは……。

ところでナギとハヤテ君から聞きましたよ? 伊澄さんと一膳のお箸をシェアしてお弁当を食べたと」

 

「? ああ、多すぎて一人で食えないからと無理矢理食わされてな」

 

「へぇ? 二人で一膳のお箸でねぇ?」

 

「あ?」

 

 

終わり




補足

悪魔の執事のこの世界での人間関係


マリア→借りのある相手にて、恐らくもっとも素で話せる相手。
同い年なのにあまり同い年感を感じない……と言うと怒るので言わないようなはしている。
 最近異性となにかあると不機嫌になる。


三千院ナギ→死にかけた自分を拾ったマリアの主。
負けず嫌い、学校嫌いの面で微妙に気が合うので関係性はそこそこ悪くはない。
 一誠のキャラがあまりにも逸脱しているせいか、ツンデレお嬢様というよりは突っ込みお嬢様化している


綾崎ハヤテ→天然のマイナス気質をそこはかとなく感じ、自分を先輩と呼ぶ。
あまりの不幸体質を見ていて同情が勝ってナチュラルに話せる。

 必殺技をナチュラルに放てる一誠を見て必殺技を開発中。


タマ(ホワイトタイガー)→喋るオッサン虎。最初偉そうにしてこられたのでぶん殴って(古牧流虎落とし)やったら二度と近寄られなくなった。

クラウス→ただのオッサン。


鷺ノ宮伊澄→ド天然チビ娘。天然過ぎるせいか自然と会話可能。
 一誠との関節キスを夜な夜な思い出しては眠れない日々が続く。


愛沢咲夜→うるさい、騒がしい、苦手……なのに絡まれる。

 ボケ殺しをしてくる一誠をどうにかしてお笑いキャラにしてコンビを組もうと奮闘中


橘ワタル→子供の頃の自分のような気がするので、なんとなく喧嘩を買ってしまう。

 なにがなんでも一誠に勝ちたいと鬼のような特訓をしているので、実は既に学院生徒会長と剣道やったら普通に勝てるまでになってたりする主人公キャラ。


桂ヒナギク→まったく記憶されなかった悲劇の生徒会長。
 見下される以前の問題だったと知って本気で凹む。

桂雪路→ウザ絡みしたらマジで殺されかけたので、唯一一誠を目の前にすると借りてきた猫のように大人しくなる。


三千院帝→持ちうる手段を使って一誠を屈服させてみようとしたところ、完全に負けを悟らされる程に徹底的な報復を喰らった。
結果、火がついて現役復帰を果たしたとかなんとか。


 とまあ、現在はこんな感じ。


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