色々なIF集   作:超人類DX

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総督なんてやめたい……byアザえもん


最盛期真っ只中な神の子を見張るもの

 

 

 

 通称・三馬鹿達は、保護者であるアザゼルがリーダーをやっている組織とは違う立ち位置に居るので厳密には組織に所属をしている訳ではない。

 

 つまり毎日を好き勝手に過ごしていて、基本的にアザゼルからの頼まれ事しか引き受けない。

 誰よりも自由に、誰よりも狂った生き方こそが三馬鹿達の信条なのだ。

 

 

「サーゼクスの事は知ってるな?」

 

「何かチラッとは聞いた事があるような……」

 

「現悪魔政府の四大魔王の一人だろう? 当然知ってるぞ」

 

「俺はアザゼルにウザ絡みする悪魔男という認識しかないがね」

 

 

 そんな三馬鹿達はアザゼルが個人的に所有する家に住んでいて、大体はその家でダラダラするか殺し合いに近いトレーニングに勤しむか、食っちゃ寝をするかである。

 

 その中によくミッテルトがやって来ては一誠とあれこれして遊んでたりすることもあるわけで―――

 

 

「この前レイナーレさんを始末してたリアス・グレモリーの兄ッスよ」

 

「へー? 意外と物知りだなミッテルト?」

 

「ウチ等の界隈じゃあそこそこ有名な話ッス」

 

 

 というより今現在普通にその自宅に入り浸っていて、当たり前のようにソファーに座ってるイッセーの膝の上に座っていたりする。

 

 

「それで? そのサーゼクス某が何だって?」

 

「ついに戦争でも仕掛けられたのか!? それなら俺はいつでも戦う準備ができてるぞアザゼル!」

「今の時代に戦争なんて非合理的な真似なんてしねーよ戦闘馬鹿。

まあ、確かに顔合わす度に奴には目の敵にされてるけど」

 

「目の敵にされるだけの覚えはあるのだろう?」

 

「一応な……」

 

 

 若干苦い表情をするアザゼルは、顔を合わす度にウザ絡みをしてくる赤髪の妻子持ち悪魔の男を思い返す。

 

 

「ウチはしたっぱもしたっぱなのでよくは知らないっすけど、なんでアザゼル様はサーゼクス・ルシファーに目の敵にされてるんすか?」

 

 

 そんなアザゼルに、イッセーの膝の上に座っていたミッテルトが疑問を口にすると、答えようとしないアザゼルの代わりにヴァーリと神牙が交互に説明をする。

 

 

「大分昔の話で、当時サーゼクス・グレモリーが狙ってた女を、アザゼルが知らないで寝取ったらしいんだ」

 

「へ?」

 

「お陰でお互いの種族を巻き込んだ一大戦争が勃発したとか」

 

「へー……?」

 

「俺は誤解だと何度も言ってるし、そもそもあの馬鹿は嫁も子供も居る癖に未だに言ってきやがる」

 

 

 苦虫を噛み潰したような顔で話すアザゼルにしてみればとっくの昔の過去の話だというのに、未だに根に持たれているのが鬱陶しく思うようであり、話を聞いたミッテルトは、そういえば若い頃のアザゼルはかなりのプレイボーイであったという話を聞いた事があると思い出しつつコップに入っているオレンジジュースをストローでちびちびと飲む。

 

 

「取り合いになる程なんて、一体どんな女だったんすかねー?」

 

 

 四大魔王の一人にて妻子持ちなのに未だに根に持つほどなのだから、よほどの女性なのだろうと少し気になるミッテルトに、後ろから抱き込むように座っていたイッセーが言う。

 

 

「あれ? 何回かミッテルトも会った事あるだろ?」

 

「え? ウチが?」

 

「そうそう、名前も聞いてるはずだぜ? ほら、安心院なじみって名前」

 

「ああ……堕天使じゃないしちょっとよくわからない―――――ええっ!? あ、あの人なんすか!?」

 

 

 イッセーの補足説明に驚愕するミッテルトは、確かにあの同性からみても人外めいた可愛さの女性なら微妙に納得できてしまう。

 

 

「えー、あの人そんな昔から生きてたんすねー…?」

 

「平等なだけだったただの人外だからなアイツは……。

俺はただアイツとビジネス提携をしてただけだっつーのに、何でかそんな事になってるし……」

 

 

 困ったような顔をするアザゼルを見てなんだか大変そうなんだなと、自分達の長の抱える苦労のひとつを知ったミッテルトだったが、ふとその人外女性と会った時の事を思い出す。

 

 

「あれ? でも前に会った時はそのままアザゼル様のお部屋に入っていったような。

そしてなんかエロい声が部屋から聞こえたよーな……?」

 

「………………………………………………」

 

 

 ミッテルトの言葉にサッと目を逸らすアザゼル。

 

 

「そりゃあネチネチ言われるわな……」

 

「どうしてくれるアザゼル。ちょっと気まずいぞ」

 

「というかよくあんな人外女を落とせたな……?」

 

「違う! 部屋で話があるって言われて入れたら急に襲われたんだよ! あ、あの女は昔っからそうだ!」

 

 

 それはそれでどうなんだ? という言い訳を並べるアザゼルに、血の繋がらない子供達の生暖かい視線はしばらく続いたのだという。

 そして大分話は逸れたが、どうやらアザゼルの話によればそのサーゼクス某の妹がどこぞの純血悪魔との悪魔ゲームに負けてめでたく婚約をすることになったとかそんな話だった。

 

 

「アザえもんがヤられた話の裏ではそんな事になってたなんてね。

もっとも、俺あんま顔とか覚えてませんけど」

 

「サーゼクスの妹の事自体は俺たちには無関係だから横に置いても構わん。問題はその小娘の女王だ」

 

「? 何か問題でもあるのか?」

 

「そいつはな、バラキエルの娘なんだよ。

訳あってバラキエルとは現在疎遠状態だがな」

 

 

 リアス・グレモリーの女王が組織の幹部クラスの堕天使の娘だとここで初めて知るイッセー、ヴァーリ、神牙。

 

 

「?? この前ミッテルトを回収しに行った時は、あのおっさんの娘らしき人なんて見なかったぞ?」

 

「人間の母親似だからな、バラキエルとはまるで似ちゃいない」

 

「父親に似てたら悲惨なことになっていただろうなそれは……」

 

「で、話をまた戻すとだ。

そのサーゼクスの妹の婚約者となった悪魔のガキはどうにも女癖が悪いみたいでな。

もしかしたらバラキエルの娘にもやらかしてしまう可能性が高いんだよ。

そんな事になったら、バラキエルがキレて単身で乗り込んでそのガキを殺しかねん。そうなりゃ果てしなく厄介で面倒でうざったいことになるだろう?」

 

「あー……」

 

「それは確かに面倒な話だが、俺達に話した所でどうにもならんだろ」

 

「ああ、別に俺達はバラキエルとそこまで仲が深い訳でもなければ、娘なんぞ存在すら知らんかった他人だしな」

 

「だよなー……。

あーめんどくせー! 次から次へと厄介事ばかりだし、とっとと他の誰かに総督押し付けて引退したいっつーに」

 

「アザゼル様の素がこれだったなんて知ったら、レイナーレさんも報われませんね」

 

 

 好きな研究に没頭出きればそれで満足なアザゼルは、元々自分が上に立つ器ではないと自覚しているのもあるせいか、ただただ面倒だと頭を抱える。

 

 

「一応お前らにバラキエルの娘の写真を見せておく。こいつだ」

 

「うげっ!? めちゃくちゃ美少女じゃん!?」

 

「これがあのゴリマッチョの娘だと……?」

 

「ほぼ母親の遺伝子で構成されてるとしか思えんぞ……」

 

「しかもおっぱいも特盛―――いででで!? や、やめろミッテルト!? そ、そんなとこ掴むな!?」

 

「ウチのちっぱいをちゅーちゅーするくせに、こんな無駄乳なんて必要ねーっす」

 

 

 誰しもがバラキエルの娘こと姫島朱乃があのバラキエルの娘とは思えないと驚く中、イッセーは目敏くその胸の戦闘力の強大さに戦慄し、それを聞いたミッテルトが一誠の膝の上からムッとした顔で何かを強く掴んで悶絶させつつ、普段していることをぶちまける。

 

 

「お前やっぱりロリコンだな……」

 

「ミッテルトだからギリギリセーフだと思ってるようだが、余裕のアウトだぞ?」

 

「ロリコンじゃねーよ! 仲の良い友達の見た目がロリロリなだけだい!」

 

「それでもアウトはアウトだろ……」

 

 

 こうして、本人達は知らないが、本来はリアスの兵士として生きる筈だったイッセーが堕天使側に居ることで、ただでさえフルメンバーではないリアス眷属は大敗北を喫し、めでたく自由を失う事になるのだが、接点どころかほぼ興味もない一誠はミッテルトとの日々によってロリコン呼ばわりされるのだった。

 

 

「まったく。ミッテルトが好きってだけで別にロリコンじゃねーちゅーに」

 

「見た目も強さもどんどん釣り合わなくなってるからしゃーないっすよ……」

 

「ミッテルトが気にする必要はないし、何言われても俺は変わらない。

強くなったのだって、お前を失いたくないからだしな」

 

 

 結局どこぞの悪魔がゲームに負けた結婚する話も、その悪魔の眷属にグリゴリの幹部の娘が居て、ひょっとしたら身の危険の可能性があるという話を聞いた所で、所詮ただの『他人』なので興味なんて持たなかったというオチで話は終わった。

 

 基本的に好き勝手に生きてる三馬鹿だが、そういった面は割りとシビアであり、困った人のお助けになりたいといった思考は一切持ち合わせていない。

 あくまで彼等が強くなろうとする理由は身内と断定した者達と為だけであり、例えこの世が滅びようが他人同士が目の前で殺し合いを繰り広げようが知ったことではないし、いっそポップコーン片手に映画でも見ているような感覚で見てケタケタと笑って済ませるぐらいである。

 

 本来ならば堕天使レイナーレによって内に宿す神器を理由に殺されたことでリアス・グレモリーの兵士としての人生を踏み出し、例の婚約話による悪魔のゲーム等にも参戦したりしてなんやかんやで婚約話を消したりといった冒険があるのだが、残念ながらこの世界に置ける一誠少年は幼き頃からその力を自覚し、そして人格に宿す異常性故に肉親と袂を別った経緯があり、その後同じような境遇の友人二人と共に堕天使のアザゼルに引き取られるという道へと進んでいっている為、殆どリアス・グレモリー達のとの接点は存在せず、また既にその堕天使側で生きている内に知り合った堕天使の少女との繋がりもあるせいか、存在を知った現在においても特に興味も関心も同情心も持たない。

 

 

「んん……」

 

「んぅ……もう、朝っすかぁ……? はぁ……イッセーがずっと離さなかったせいでまだ眠いなぁ……」

 

「ん……やだ」

 

「やだじゃなくて朝っすよイッセー?」

 

「んー……まだ眠いしミッテルトが温いから起きたくない……」

 

「眠いのは同じだしウチはカイロじゃねーっての……。

まったく、あんなにウチの中で――これじゃあ本当に妊娠しちゃうっす。

まだお腹の中が熱いし……」

 

「ZZZ……」

 

「ま、いっか。

へへ、ウチも二度寝っす~♪」

 

 

 取るに足らない、荒んだ目をしていた人間の子供を知り、ただの興味本位で絡み始め、その内遊ぶようになり、堕天使である自分を越えていった。

 ただの小さな子供が成長し、その気になればちっぽけな自分なんか簡単に殺せるまでに強くなった。

 

 

「……」

 

「図体だけはでかくなっても変わらないっす……へへっ♪」

 

 それでも対等に自分と接してくれたばかりか、自分を異性として求めもした。

 内も外も成長が襲いちっぽけな下級堕天使だというのに、異常な速度で強くなり続けても、そこだけは変わることなく……。

 

 

 三馬鹿の中では大人への階段を三段飛ばしでさっさと駆け上がってる一誠が、寝室でミッテルトと所謂朝チュンからの二度寝をしている頃、訳あって四大魔王の一人であるサーゼクス・ルシファーから顔を合わせる度に目の敵にされているとされる堕天使とアザゼルも――前日の記憶が一切ない朝チュン状態からの起床から朝を始めさせられていた。

 

 

「あ、頭がいてぇ。

つ、つーか何があったのかまるで記憶もねぇ……」

 

 

 起きたら素っ裸だったアザゼルは、当初頭がぼーっとしていたのだが、すぐ真横ですやすやと眠る全裸の女性のせいで一気に南極に放り込まれたような寒気と共に意識を覚醒させられるはめになった。

 

 取り敢えず冷静に服を着ているころにその女性は起きたのだが、ズキズキと痛む頭を回転させながら昨日の出来事を思い出そうとしてもまるで思い出せずにいると、全裸の状態で身体をシーツで隠していたその女性はこの状況への経緯を説明してくれる。

 

「昨日、定期的にグレモリー君から送りつけられてくるカミソリレターやら、バラキエル君の暴走にイライラしていたアザゼル君がガバガバと酒を飲みつつ僕を相手にぐだをまきまくって、そのまま僕を押し倒してこうなったんだよね」

 

「……………………俺がお前をか? お前なら抵抗できたんじゃねーのか?」

 

「うん、やろうと思えば割りと出きるね」

 

「………。なら何故やらなかった?」

 

「えー? 言わせるなよ恥ずかしい」

 

「……………」

 

 

 簡単に言えばほぼ100の割合で自分のせいだったという話を聞いたアザゼルは服に袖を通しながらとても苦い顔を浮かべる。

 

 

「昔と違って僕はもう平等なだけの人外じゃなくて、そこら辺を彷徨いているだけの人外でしかないし、キミとはそこそこの付き合いだろう? 僕だって乙女なんだぜ?」

 

「………………………」

 

「おっと、嘘でも見るような顔をされちまったようだね……」

 

「事情はわかった。悪かったな……」

 

「なぁに気にするなって。真正面からこの僕にこんな真似をする奴なんて素面だろうが酔っぱらいだろうがキミくらいしかいないし」

 

 

 はははと軽い調子で笑うその女性にアザゼルは複雑な顔を浮かべる。

 大分昔、まだ若かった時期に知り合い、なんとなく気が合うのでつるむ様になった人外の女。

 彼女も彼女でフラットなやり取りが出きるからとアザゼルを気に入っているようだが、何時からかたまにこんな事をするようになってしまった。

 

 ……もっとも、事の始まりは若気の至りでハーレムを作ってた時期に、急に寝込みを彼女が襲ってきたからだったりするのだが。

 

 

「仕事に出る。お前は――」

 

「僕はもう少しここでのんびりさせて頂くよ。

昨日はアザゼルくんに30回くらい出されちゃったし?」

 

「………あんまり聞きたくない情報ありがとさん」

 

 

 これがアザゼルが冥界の魔王の一人に目の敵にされる理由だった。

 

 

 

 

 人外女と朝チュンという、彼女の生きた世界においても無かったある意味な快挙を知らずに達成していたりするアザゼルは、グリゴリの総督としての仕事を今日もしていると、珍しい者が訪ねて来た。

 グリゴリの幹部クラスの者なのだが、普段は自身が面倒を見る子供達に劣らぬ自由っぷりで留守にしがちなその者は、デフォルトで悪人面な堕天使だ。

 

 

「アザゼル、少し話があるが時間はあるか?」

 

「お前が顔を見せるとは珍しいな? なんだコカビエル?」

 

 

 色白、怖い顔、そしてどこぞのサイヤ人ばりの戦闘マニアという属性のせいで組織の下の者には割りと敬遠されがちな堕天使ことコカビエルの話に少し興味を持ったアザゼルは、仕事の片手間にやっていた神器の研究の手を止めつつ、ソファに座り込むコカビエルへと視線を向ける。

 

 

「うむ、数日前の事だ。

俺は何時ものようにお前の女――つまり安心院なじみに勝つための――」

 

「アイツは俺の女じゃねぇ」

 

「―――わかった、それは今置いておこう。

とにかく俺はあの安心院なじみに勝つ為に、友人であり修行仲間でもあるアイツといつものトレーニングをした後、唐突にアイツが人間界で買い物がしたいと言うから、少し付き合ってやったのだ」

 

「お前が人間界で買い物だと……?」

 

「人間の着る服が着てみたかったらしい。

俺からしたらあんな動きづらそうなヒラヒラした服なんて戦いの邪魔になるとしか思えんが、まあアイツは俺のトレーニングに付き合ってくれる唯一の友だからな」

 

 

 

 とにかく強くなる事が生き甲斐であるコカビエルが人間界の店で買い物だなんて似合わないにも程があると思いつつも、それは恐らくコカビエルが今言っていた友人である修行仲間であるたある者が相当頑張って誘ったからなのだろうと、アザゼルも何度か会っているコカビエルの修行仲間について考えつつ耳を傾ける。

 

 

「で、まあ……人間共からの奇異なものでも見るような視線を受けつつ買い物をしていたら、俺にある人間が声をかけてきたのだ」

 

「お前に?」

 

 

 血の滴るステーキが好物と言っても似合いそうな程の悪人顔のコカビエルにわざわざ声をかける人間は確かに怪しいと思うアザゼル。

 

 

「ああ、ソイツはどうやら悪魔祓いの神父――それもつい最近教会から追放されたはぐれの類でな。

すぐ横にソイツ等にとっては長のような存在が聞いてることにすら気づかずにベラベラと俺にある話を持ちかけてきた」

 

「ある話?」

 

「先の抗争でへし折れたなまくら剣――ミカエル達が管理している別れた聖剣を再びひとつに戻したいから力を貸して欲しいとな」

 

「……………………………」

 

 

 聞いているだけで無関係面してやり過ごしたい話を聞いたことで、途端に嫌そうな顔をするアザゼルにコカビエルは微妙な顔をする。

 

 

「うむ、お前がそんな渋い顔となるのもわかる。

俺とて、ベラベラと夢だなんだと、横でガブリエルがアホを見るような目をしながら聞いてる事すら気づかずに語るその間抜けに対して微妙な気分にしかならんかったし、騒動を起こせば戦争が可能だと言われたところで興味もなかった。

恐らく俺が戦争好きだという風評が広まっているから狙ったのだろうが……」

 

「お前は戦争じゃなくて単に自分の限界を越えるのが好きなだけだからな」

 

「そうだ。

それでだ、ガブリエルとその後話し合ったが、その人間の老いぼれは拘束してミカエル辺りにぶん投げてやろうかと思うのだが……」

 

「それで良いだろ。

わざわざお前がそんな話に付き合ってやる必要もないしな」

 

 

 戦争好きで通ってる堕天使が、よもや四大天使の一人と修行仲間どころかデートに誘われるような者だとは思ってもなかったのが運の尽きだと、アザゼルはその話を持ちかけてきた神父と賛同者を拘束して、嫌みったらしい天使のトップであるミカエルに投げつけてやれと言う。

 

 

「今度それをネタに死ぬほどいじってやりゃあ良いんだろ? 任せておけ。

少しはミカエルも苦労を知るべきなんだよ」

 

「いや、ガブリエルのあの自由っぷりを見ていると、案外奴も奴で苦労はしてるんじゃないか? この前も体裁もあるから毎日のように俺と会うのはやめろとミカエルに言われたらしいガブリエルが、ミカエルを殴り飛ばしてやったと無駄に良い笑顔で言ってきたし……」

 

「そりゃそうなるわ」

 

 先の抗争で完膚なきまでに元同僚だったコカビエルに叩きのめされた挙げ句見逃されて以降、ガブリエルという天使はいつ堕ちてもおかしくないレベルのストーカーと化したのは誰もが知っていることなのだ。

 このコカビエル以外は。

 

 

「しかしあの時は見逃して正解だったな。

おかげで俺と誤解に渡り合える領域まで成長し、今ではトレーニング仲間にもなれた……。

アイツとのトレーニングのおかげで俺も飛躍的に強くなれたしなぁ……くくく」

 

 

 あくまでコカビエルは修行仲間という認識のままな辺りは、こそこそとしたストーカーから堂々としたストーカーに変わった今でも空回りしているのがよくわかる。

 

 

「まあ、程ほどにな……」

 

「ああ。

それよりバラキエルの方はどうなんだ? 確か娘の件でかなり焦燥していると聞いてるが…」

 

「どうにかはしてやりたいが、娘の方はバラキエルをこれでもかと嫌ってる時点で他人がどうこうできる話じゃないだろ。

一応ウチのガキ共をそれとなく焚き付けてみたが、三人ともまるで興味なしだったし」

 

「そうか……」

 

 

 個性があまりにも強すぎるが、同時に本気を出せば世界のパワーバランスを一気にひっくり返す面々でもある。

 実の所、グリゴリという組織はあらゆる意味で現在最盛期なのかもしれない。

 

 

 ………カミソリレターが送られてくるものの。

 




補足

コカビエルじゃなくてコカビー。
つまりこの時点で個性が強すぎてコントロールが難しいものの、組織として三大勢力の中ではぶっちぎった戦力だったり。


天使側はガブリーさん一人で堕天使側になんとか対抗可能。


悪魔側は――嫌がらせのカミソリレターばっか送りつけてくるのでなんとかなってるかもしれない。


その2
朝チュンしてました。

アザえもんもチュンしてました。


ナンテコッタ

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