色々なIF集   作:超人類DX

875 / 1034
三馬鹿と保護者アザゼルさんのお話。



三馬鹿とアザえもん
三馬鹿と保護者アザえもん


 

 

 

 色々あって今がある。

 その色々である過去の事はあまり話したくはない。

 

 大事なのは過去より今と未来なのだ。

 

 色々とあったのかもしれないけど、今をこうして生きられているというのなら、この先も死ぬまで生きてやるつもりなのだ。

 

 

 生憎、一度堕ちたりはしたけど、友達には恵まれた方なんだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日、友達の一人の奨めにより、もう一人の友達を交えた三人でラーメンを食べていた時に連絡を受けたので、急いでラーメンを食べた少年三人は、血の繋がりは無い保護者的な立ち位置となる堕天使のもとへと急行してみれば、保護者の堕天使は実にめんどくさそうな顔をしながら説明を開始する。

 

 

「ウチの組織の下部に位置する中級だか下級だかの連中何人かが、人間界で悪魔が管理してる界隈でやらかしてくれたんだと」

 

 

 そう説明を受けた三人の少年は『はぁ』と他人事のような反応をするのだが、この保護者が言わんとしている事だけは察していた。

 

 

「てなわけで一誠、お前が言ってソイツ等を黙らせて来い」

 

「は? オレェ?」

 

 

 何がてなわけでなのかがさっぱり意味不明である、名指しで指名された茶髪の少年。

 

 

「何でオレが?」

 

「お前等三人が出張ったら騒ぎになる。

で、お前に頼むのはその下部連中の中にお前と仲の良い奴が居るからだ」

 

「は? 仲の良い……?」

 

 

 保護者堕天使ことアザゼルがほたて貝ひもなるおつまみをしゃぶりながら理由を話せば、一誠と呼ばれた少年がはてと首を傾げていると、アザゼルが食べていたおつまみをつまみ食いをしていた銀髪の少年の黒髪の青年がクチャクチャと行儀悪く租借しながら言う。

 

 

「ミッテルトの事ではないか?」

 

「最近お前に顔を見せてないだろう?」

 

「は、アイツが?」

 

 

 恐らくは唯一と言って良いほど一誠と仲の良い堕天使の名前。

 

 

「アイツと最後に会った時、割りの良いバイトに誘われたとか言ってたけど……」

 

 

 妙に大袈裟な身振りで話す友人堕天使と最後に会った時の事を思い返す一誠にアザゼルが頷きながら話す。

 

 

「多分本当にバイト感覚で首謀者の片棒を担がされているんだろう。

あー……えー……確かレイナーレとかそんな名前の奴に」

 

「ソイツが首謀者の名前なんすか?」

 

「ああ、何を考えてそんな余計な真似をしてるのかは知らんが、その騒ぎを起こしている場所が悪魔共が管轄する人間界のエリアだからな。

これ以上ほっとくと外交問題に発展しちまうし、多分バイトだと思ってそいつの手伝いをさせられてるミッテルトはお前と仲も良いだろ? 幸い悪魔連中にお前の顔は割れてないし、連れ戻すついでに後処理を頼みたいってわけだ」

 

 

 一応堕天使で構成されている組織の長なのだが、本人の性格もあってかやや適当な運営だったりするアザゼルからの依頼に、友人が犯罪の片棒を担がされている事もあって引き受ける事に。

 

 

「取り敢えずミッテルト以外は消しても問題ないんでしょう?」

 

「ああ、さっき悪魔側から連絡があって事情説明を求められたけど、勝手にやってる事だと説明しつつこっちから一人人材を派遣して騒ぎを収めると約束している。

だからソイツ等は消しても構わないぜ?」

 

「了解っす……直ぐにでも向かいます」

 

(((あ、目が狂犬みたいになった)))

 

 

 こうして人間界で悪さをしている堕天使一派の殲滅及び、騙されて片棒を担がされてるであろう友人を回収するために、一人の少年が出撃するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 『ソイツ等が勝手にやった事であって組織は関係ないので処理でもなんでも勝手にしてくれ』

 

 堕天使のトップからそう言われた悪魔とその眷属達は只今、人間の少女から神器という力を奪った堕天使とその一派と交戦中であった。

 

 

「あのー……そろそろバイト代が欲しいんすけど」

 

 

 そんな修羅場真っ只中の状況において、ゴスロリファッションの金髪碧眼の小柄な少女が、乗り込んできた悪魔達に抵抗している堕天使レイナーレに対して呑気に今回のアルバイト代の請求をしている。

 

 

「見てわからないの!? 今リアス・グレモリーとその下僕達と戦っているのよ!?」

 

 

 そんなゴスロリ少女堕天使ことミッテルトのあまりにも呑気な態度に、堕天使・レイナーレは敵の放つ魔力を避けながら怒鳴り散らす。

 

 

「そりゃ見ればわかるッスよ。

でもウチはバイト代が目的でアンタ達の手伝いをしてただけッス」

 

「だったらアナタも戦いなさい! 最悪私を逃がせればそれで良いから!」

 

「いやー、それは労働契約外じゃないッスか?」

 

 

 レイナーレの仲間とされるドーナシークとカラワーナがリアス・グレモリー達に敗れてしまう中、とにかく金を寄越せと戦う気ゼロなミッテルトに苛立つレイナーレ。

 

 暇してそうな下級の堕天使を報酬で釣ってみたものの、こんなに使えないとは思わなかったと後悔するのも最早後の祭りだ。

 

 

「あとはレイナーレとそこに居る堕天使だけね……」

 

「ぐっ……」

 

「げ……もしかして割りとビンチ?」

 

 

 そうこうしている内に金で雇ったはぐれ悪魔祓い達もリアス達により無力化され、残るは古びた教会の祭壇に隠れていたレイナーレとミッテルトだけとなる。

 

 

「アナタ達のリーダーであるアザゼルによれば、今回の件はアナタ達の独断で行われていたと聞いたけど」

 

「だったらなによ。

確かに私の独断だけど、この神器をアザゼル様に捧げれば、私はアザゼル様の寵愛を受けて至高の堕天使へと至れるわ! 悪魔風情ごときに邪魔はさせない!」

 

「え……それが目的でわざわざ悪魔の管理する場所で騒ぎ起こしたんすか? あ、あれ? ひょっとしてウチ、やばい事の片棒担がされていた?」

 

 

 顔を歪めて目的を吐露するレイナーレに、ここでやっとヤバイ事に巻き込まれていると悟ったミッテルト。

 だが悪魔側であるリアス達からしたらそんな事情など無意味であり、既にレイナーレもろとも纏めて始末する気満々だ。

 

 

「そんな言い訳はあの世で言って頂戴」

 

「ちょ、レイナーレさん!? アンタのせいでウチがピンチなんすけど!? なんとかしてくださいって!? ウチはか弱いそこら辺の堕天使なんすから!?」

 

「黙りなさい! アンタが役立たずだってのは雇ってから嫌と言うほど知ってるわ! だったらせめて私が生き残る為に盾になって死になさい!!」

 

「イヤっす! なんでウチがそんな――」

 

「みていられないくらいに憐れね。

その喧嘩もあの世でしていなさい」

 

 

 まだ子供であった頃から友達だった人間の男の子に自慢し、意気揚々と始めたバイトがまさかの犯罪の片棒担ぎな挙げ句さっぱり殺されかけるというオチにミッテルトは自分のアホさ加減を後悔するも、赤髪の悪魔であるリアス・グレモリーはその手に触れたら消し飛ぶ魔力を溜め込んでいる。

 

 

「消し飛びなさい!!」

 

「ひっ!?」

 

「ご、ごめんッス、イッセー…………」

 

 

 その友人の名前を呼びながら謝るミッテルトは、レイナーレ共々その堕天使人生に幕を閉じる―――

 

 

 

「げ、ちょっと遅かったか?」

 

「!?」

 

『!?』

 

「っ!?」

 

 

 

 ―――事は無かった。

 この場に似つかわしくない緊張の欠片もない呑気な声と共に姿を現す……。

 

 

 

「おーい、生きてっかー?」

 

 

 ボッコボコにあちこち凹んでいる金属バットを地面に引きずりながら現れる人間の少年によって。

 

 

 

 

 突如現れる茶髪の、高校生くらいの人間の少年の出現に驚いたリアス・グレモリーは思わず攻撃の手を止めてしまい、金属バットを片手にこちらへと近づいてくる少年に警戒しつつレイナーレの見れば、そのレイナーレも怪訝そうな顔をしている。

 

 

(レイナーレの仲間、ではないみたいだけど何者?)

 

 

 あの反応からしてレイナーレも知らない誰かだというのは見てわかる。

 そう判断したリアスは此方を見る眷属達に目線で指示を送り、然り気無く少年の周囲を取り囲む。

 

 

「アナタは誰?」

 

 

 不穏な動きをしたら即座に拘束可能な布陣を張りつつ、何者かを訊ねるリアス。

 しかし少年はと言えばそんなリアスの質問に答える事はせず、キョロキョロとなにかを探している。

 

 その内荒れ果てた教会の祭壇に横たわる金髪の少女の亡骸に気付いたのだが、どうやら彼女を探していた訳ではないようで、一瞥をくれただけで興味すらなさげに祭壇の裏を覗き込む少年は、そこに居たレイナーレ―――

 

 

「あ、居た。

オメー何してんだよ?」

 

「い、イッセー!? な、なんでこんな所に!?」

 

 

 ではなく、寧ろレイナーレなど視界にすら入っていないとばかりにレイナーレの傍に居たミッテルトに話しかけていた。

 どうやらミッテルトとしてもここにイッセーと呼ばれた少年が現れた事に驚いているようだが、イッセーは持っていた金属バットを肩で担ぎながら呆れた様子で話す。

 

 

「アザゼルのとっつぁんから聞いたんだよ。

オメーが中身も知らずバイト感覚で犯罪の片棒担がされてるって」

「あ、や、ウチもその事にさっき気付いて……」

 

「で、このままじゃ首謀者もろとも悪魔さん達に消される可能性があるってんで、オメーだけを回収しようと来てやった訳だ。

ったく、案の定消されかけてんじゃねーか」

「う……ごめんッス」

 

 

 呆れた様子のイッセーにミッテルトはしゅんとなって謝る。

 

 

「まあ、無事みたいだし帰るぞ。

バイト代とやらは貰えたのか?」

 

「いや、それが貰えなくて……」

 

「んだそりゃ? とことんツイてねーなオメーは?

取り敢えず今は帰るぞ」

 

「うん……」

 

 

 落ち込むミッテルトの頭をポンポンと優しく叩き、そのまま手を繋ぎ、微妙に立ち尽くすリアス達やレイナーレ達をガン無視してそのまま帰ろうとするあイッセーだが、当然そのまま黙ってリアスが帰す訳もない。

 

 

「待ちなさい、突然やって来て勝手にそこの堕天使を連れ去ろうとしているけど、何者なのよアナタは?」

 

「へ? あ、俺?」

 

「他に誰が居るの? レイナーレの仲間ではないようだけど……」

 

「? あら、アザゼルのとっつぁんから聞いてません? ここで勝手にやってる堕天使を処理する為に派遣された者なんですがね。

見たところお宅らが殺っちまってるみたいなんで、騙されて片棒担がされてるダチだけ回収して帰ろうかなと……」

 

 

 ケロッとした顔で言う少年にリアスはつい先程連絡を取った堕天使のリーダーことアザゼルとの会話を思い出し、確かにアザゼル側から今回の騒動を処理する人材を派遣するという話を聞いた。

 つまりこの軽薄そうな少年がその人材らしいのだが、リアスは怪しむ。

 

 

「アナタ、人間よね? なぜ人間が堕天使であるアザゼルと?」

 

 

 そう、堕天使としての気配がまるで感じられず、人間そのものであることがリアスにとって解せないのだ。

 それは事の成り行きをただ見ているだけしかできなかったレイナーレも同じだった。

 

 

「何故お前のような人間風情がアザゼル様を知っている……!? お前のような奴は見たことがない!」

 

 

 組織に属していたレイナーレの怒気の籠った声にイッセーは気だるげに振り向く。

 

 

「見たことないって、アザゼルのとっつあんはそもそもアンタの名前と顔すら把握してなかったぜ? そんな奴が何故か悪魔の界隈で間抜けな真似してくれたとめんどくさがっててね、だからグリゴリでも幹部クラスの堕天使しか存在を知らないオレに処理を頼んだんだよ」

 

「なん、ですって……」

 

 

 アザゼルから顔も名前も把握されてない挙げ句興味ゼロであると言われてショックを受けるレイナーレ。

 

 

「ではそこのミッテルトという堕天使とは知り合いのようだけど……?」

 

「ああ、ミッテルトとはガキの頃から知り合いでね。

下級の堕天使じゃ唯一じゃないかな? まあ、見ての通り能天気なせいで騙されやすくてね。

割りの良いバイト代が出るからって、そこで放心しとる中級堕天使のパシりやらされていたってだけなんだよ。

まあだから、そこのレイナーレってのはアンタ等の好きにして良いけど、コイツだけは回収させて貰おうって訳よ。お分かりかい悪魔さん達?」

 

「…………そんな事情を私達が馬鹿正直に信じるとでも? 私達からすればそのミッテルトも私の管理する町で好き勝手していた堕天使の一人でしかないわ」

 

「あー……まあ、そうなるわなぁ」

 

「アナタにはもう少し話しを聞く必要があるわね。

そこのミッテルトと共に投降するというのなら命までは取らないわ」

 

 

 

 そう言いながら殺気を放つリアス達。

 

 

「ど、どうするんすかイッセー?」

 

 

 そんな状況を前に手を繋いでいたミッテルトが不安そうな顔をする。

 元を辿れば自分が考えなしな行動をしてしまったからだと今更ながら後悔をするも、イッセーは飄々とした顔をしながら殺気を放つリアス達を見据えながら、この状況のどさくさに紛れて逃走を図ろうと堕天使の翼を広げて今まさに飛び去ろうとしていたレイナーレ目掛けて金属バッドを投げつけた。

 

 

「ぎゃっ!?」

 

 

 

 乱回転しながら投げつけられた金属バッドが野球ボールをジャストミートさせるかのような金属音を奏でながらレイナーレの頭部に直撃し、敢えなく墜落していく。

 

 

「俺に気を取られ過ぎだぜ悪魔さん達?」

 

「……………」

 

 

 危うく逃がしそうになった所を防いでくれたという形となった状況にリアス達はムッとした顔をしていると、地面に落下したレイナーレが鬼の形相と共に立ち上がる。

 

 

「き、貴様! 人間風情がァ!! この至高堕天使となる私に対して舐めた真似を!!」

 

 

 頭に瘤を作りながら殺意を剥き出しにするレイナーレに対して、ブーメランのように手元に戻ってきた金属バットをキャッチしたイッセーは鼻で笑う。

 

 

「至高の堕天使って何だよ? 美味◯んぼじゃあるまいし、馬鹿かお前?」

 

「…………………!!」

 

 

 心底馬鹿にした顔で言われたその瞬間、レイナーレの殺意度は振り切れた。

 

 

「役立たずのミッテルトもろとも死ねぇぇぇっ!!!」

 

 

 その手に光の槍を生成し、ミッテルトもろともその腹の立つニヤケ顔を黙らせてやろうと穿つレイナーレに、イッセーは鼻で笑いながら持っていた金属バットで事も無さげに防いだ。

 

 

「なっ!?」

 

「……!? あんなボコボコのバットでレイナーレの攻撃を……?」

 

 

 防がれた本人が一番驚くが、傍で見ていたリアスもまたただの野球道具で堕天使の生成する光の槍を防いだその光景に驚いた。

 

 

「…………ヒヒッ!」

 

「っ!?」

 

 

 防がれたレイナーレは、その瞬間イッセーの表情が狂気の孕んだ笑みへと変わっていることに気付き、またその表情に本能的な恐怖を抱き、一旦後退して距離を取ろうという選択を選ばせた。

 だがしかしそれよりも早く金属バットの先端がレイナーレの腹部を貫く。

 

 

「ごふっ!?」

 

 

 思わず悶絶する間もなく今度は横に振るわれた金属バットが即頭部を叩く。

 

 

「ぎっ――がぼっ!?」

 

 

 堪らず膝を付いたレイナーレだったが、既に目がイッてるとしか思えぬ形相のイッセーによって口の中にバットのグリップエンドが無理矢理捩じ込まれてしまい。

 

 

「ッシャア!!!」

 

「ゲギャァァァッ!?!?」

 

 ヘッドの方を持っていたイッセーが思いきりバットと根っこを蹴り上げた事で、レイナーレは歯と大量の血を周辺に飛び散らせなから前のめりに倒れてしまうのだった。

 

 

「う……!?」

 

「え、えげつないですねあの人……」

 

「恐らく今のでレイナーレの口の中は……」

 

「やめてちょうだい、あまり想像したくないから……」

 

 

 うつ伏せで倒れたままピクピクと痙攣し、顔面を中心に広がる血溜まりを見て顔を歪めるリアス達とは正反対に、涼しい顔をしながら落ちてきた金属バットをキャッチしたイッセー。

 

 

「う、うわぁ……久し振りにスラッガー・モードを見たけど、えげつないッスね。

この人、もう二度とステーキとか食べられないっしょ……」

 

 

 痙攣して動かないレイナーレを拾った小枝でつんつんするミッテルトの言うとおり、最早二度と固形物が食べられないのは間違いない。

 だがそんな重症を負わせた当の本人は罪の意識等皆無だと言わんばかりにつんつんとしていたミッテルトを抱えると、ドン引き顔のリアス達に向かって口を開く。

 

 

「これの処理はそちらに任せますんで」

 

「え? あ、え、ええ……」

 

 

 思わず頷いてしまうリアス。

 こうして周りをドン引きさせて思考を鈍らせた隙にまんまとミッテルトを回収したイッセーはとっとと逃げおおせるのであった。

 

 

 

 

 

 上手いことミッテルトを回収して逃げ仰せたイッセーは、アザゼルが取ってくれていたホテルに訪れると、まずは友人に怪我は無いかと、先程までの飄々としていた態度が嘘のように心配そうな表情でミッテルトに訊ねていた。

 

 

「お前、本当に怪我とかしてないよな? 大丈夫か?」

 

「悪魔達が乗り込んできた時は上手く逃げながら立ち回ってたから大丈夫ッスよ」

 

「それなら良いが……。

つーか、ギリギリ間に合って良かったわぁ。

お前が殺された後だったら、マジで動く物体全部ぶち壊してたわ」

 

 

 実は結構急いで現場まで走ってきていたりするイッセーは、ギリギリの所で間に合った事にかなり安堵していた。

 他人に対して女だろうが子供だろうが、美女だろうが美少女だろうがどうでも良いが、友達や身内と判断する者に対しては少々重い傾向がイッセーにはあるのだ。

 

 

「ごめんッス。

ちょっとだけイッセーにお姉さんぶりたくてバイトしようと思ってて……。

でも結局助けられちゃったッス」

 

「それは良いよ。

お前が無事なら後はなんでも良い」

 

 

 アザゼルが取ってくれただけあって、中々にサービスが行き届いているホテルのルームサービスで腹を満たしながら会話をするミッテルトと一誠。

 見た目こそ一誠の方が年上に見えるが、実の所ミッテルトは一誠がまだ幼い頃から今の姿のままだったりする。

 

 

「ウチ、アザゼル様に処分されちゃうんすか?」

 

「いや、あのレイナーレってのがやらかした話しとして処理するって言ってたから大丈夫」

 

「重ね重ねごめんっす……」

 

「気にすんなよ、お前もヴァーリと神牙と同じダチなんだから」

 

 

 

 何度も謝るミッテルトの背中を軽く叩きながら笑みを溢すイッセーに、ミッテルトも少しだけいつもの調子を取り戻す。

 その異質さ故に肉親に見捨てられた泣き虫だった少年が気付けば守ってくれるまでに強く大きくなった。

 

 それは、ミッテルトの持つ他の堕天使達にはない繋がり。

 

 

「でも、レイナーレさんってイッセー的にど真ん中なタイプだったのに、今日は随分容赦しなかったっすね? 後、あの悪魔のリアス・グレモリーとか」

 

「え? あー? あー……そうだっけ? ミッテルトが無事かどうかしか頭に無かったから全然見てなかったわ」

 

「あ、そっすか。ちょっぴり安心」

 

 

 ルームサービスで腹を満たし、食後の一服も済ませ、シャワーも浴び終えたイッセーとミッテルトはアジトに戻るのは明日にして今晩はこのホテルで眠る事に。

 

 

「弱くてごめんなさい……」

 

「気にすんなっての。

殆どの堕天使は人間である俺を見下してるけど、お前は違ったろ? しかも友達にすらなってくれた。

だからそれだけで充分命を張ろうと思える」

 

「でもウチはヴァーリとか神牙と違ってイッセーの足ばっか引っ張ってばかり……」

 

「俺だってお前に迷惑かける時があるんだから、お互い様だって。

……アイツ等に知られたら馬鹿にされそうだから言わないけど、ミッテルトにこうして貰えるだけで安心するし……」

 

 

 一つのベッドで、互いの存在を確かめ合うように抱き合いながら……。

 

 

「だから、お前を失いたくない……」

 

「ん……く、くすぐったいよイッセー」

 

「へへ、ミッテルトは俺の好きな匂いだからな……」

 

「も、もう、図体ばっかりデカくなってもまだガキっすよ」

 

 夜は更けていく。

 

 

終わり

 




補足

保護者がアザえもんなので、基本堕天使側。

三馬鹿を知る者は彼等をアザゼルの切り札にて懐刀と呼ばれているとかいないとか。

その2
唯一堕天使としては仲の良いミッテルトちゃん。
その度合い彼の中でヴァーリと神牙と同等に大きく、彼女に何かあるとスイッチがオンとなって暴れまわる嶋野の狂犬のようになるとかならんとか。


その3
レイナーレさんの口はえげつないことになりました。

イメージ的にはスラッガーの極みをそのまま喰らったと思ってください。

………二度と固形物が食えなくなるアレです。


その4
ロリコン言われても最早なんの言い訳もできないけど、言われても恐らく『だから?』と返す程度にミッテルトちゃんにあれこれ済みらしい。


続きは……反応次第


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。