色々なIF集   作:超人類DX

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わーい、わーい……わーい……。


騒動後の人外達

 現行機の性能じゃない。

 まず最初に鎮圧の為に出動した他の先生方共々思った。

 

 

『…………』

 

「き、効いてない……!?」

 

「う、嘘……直撃した筈なのに」

 

 

 たった一機に私を含めた全教師が束になっても鎮圧する事が出来ない。

 

 

『…………。一誠を見付けた』

 

 

 一夏達が取り残されているアリーナにモノアイを向けている無人機に傷一つ付ける事が出来ない。

 

 

「ハァッ!!」

 

婚厄者(メビウスオブフィアンセ)――――兵藤一誠(マイ・フィアンセ)モード』

 

 

 私の力は、虫けらの様に捻り潰された。

 

 

「がっ!?」

 

「お、織斑先生!?」

 

『オーフィスが出てきましたか。

ふっ、これは全機を向かわせないといけませんねぇ?』

 

 

 私の力は弾かれ、虫を払い落とすかの様に頭を叩かれ、地面へと叩きつけられる。

 その力はISを超越した何か。

 その力はどこまでも理不尽。

 

 束の悪戯とは思えない程の力を向けるこの目の前の化け物何だ?

 地面へと叩き落とされ、その衝撃に脳震盪を起こした私は、歪む視界のまま只アリーナへと向けていた無人機を見つめながらその意識を手放した……。

 

 たった一人の……理不尽を越えた理不尽なる力を保持する生身の少女一人に、襲撃してきた全無人機が破壊されたと知るまで、私はハッキリと敗北感を感じながら意識を失ったのだった。

 

 

 

 

 …………。一夏と簪の成長を確認したかったんだけどな。

 あのひんぬーの思考をトレースしたらしきISとオーフィスが理解しちゃったもんだから、全部無意味に終わっちゃったよ。

 

 

「終わった、雌悪魔を潰した。だから褒めて?」

 

「あーうん……本人と違うけどな?」

 

「やっぱりスゲーやオーフィス姉ちゃん」

 

「そこに痺れちゃう、憧れちゃう」

 

「えっへん」

 

 

 しかし完璧な誤算だったぜ。

 まさかノーヒントであのひんぬーがこの世界に来てたとはな。

 気づけなかった事に不覚を覚えてしまうぜまったく。

 

 

「つーかこの騒ぎに先生達は来ないのか? いや、来られても俺とオーフィスは紛れもない不法侵入者でお縄になるから都合良いといえば良いんだけども」

 

 

 あちこち戦闘の爪痕が残る……野球でも出来そうな球場っぽい場所のど真ん中で、偽とはいえひんぬーを潰せてご満悦な様子で鬱陶しく引っ付いて来るオーフィスの頭をほぼ反射的に撫でながら、俺はこの騒ぎに全く駆けつけてこない大人達について生徒の意見を聞こうと一夏、簪……んでもって楯無ちゃんこと"たっちゃん"に問い掛けてみる。

 

 

「……。多分、お二人が来るちょっと前までは学園中に現れてたみたいですので、出動したは良いけど返り討ちにされたかと……」

 

 

 その質問に答えたのは、どうでも良さそうに首をちょっと傾げる一夏と簪では無く、何か色々と疲れてそうな顔なたっちゃんだった。

 ………………。てか、たっちゃんって勝手に呼んでるけど、我ながらなんちゅー語呂の良い渾名だ。ちょっと気に入ったぜ。

 

 

「マジ? オイオイ……まあ、オリジナルの遥か劣化だとはいえ、相手は独力で俺をトレースした悪魔異常者だからなぁ……仕方ないのか?」

 

「でも兄ちゃん、誰も死んではないみたいだぜ? 此処の外に動かない気配が無数にあるし」

 

「多分、あの無人機は返り討ちにしただけで命を奪う事はしなかったんだと思う」

 

「だろうな、無駄な殺しは基本しないっぽいしあの行き遅れ貧乳は」

 

「♪」

 

 

 基本ド甘な性格ではある貧乳――いや、ソーナ・シトリー

 単なる貧乳から、曹操やヴァーリみたいに俺の中身を知って一度恐れたけど結局は恐れずに意味の解らん因縁を吹っ掛けてくる変な女。

 黒髪のショートヘアーにアメジスト色の瞳と、そして眼鏡と来て、トドメにまな板。

 

 ハッキリ云って同年代のリアス・グレモリー先輩さんと比べたらしょーも無さすぎる地味な女だが、自力でスキルを発現させたばかりか、俺の真似事をほぼ百パーセント再現させてる点だけは素直に凄いとは思ってやらんこともない。

 

 

「あの……兵藤さんがさっきから仰ってるひんぬー会長って誰の事ですか? オーフィスちゃんが全部倒した無人機を見て驚いでしたけど」

 

「ん?」

 

 

 俺も伊達に何年も朽ちぬ、老いぬな状態となって生きちゃいない。

 何をトチ狂ってるのか知らないけど、彼女が俺に拘ってるのは単なる気の迷いでは無い。

 というか何年も言われては流石にあぁ、マジなんだこの女、とくらいは察せる。

 察せるからこそ…………何でお前はボインじゃないんだと泣きたくもなるし、何でお前はそこまで拗らせてるんだってんだってな。

 

 

「まあ、オーフィスが残らず潰した無人機とやらの動きが昔馴染みの女の戦い方に似てたんだよ。

つーか本人トレースと吐いてたから間違いなしだ」

 

「昔馴染み、ですか?」

 

 

 いつの間にかあの貧乳を好いてた……えーっと、アレだ……サジってコゾーは貧乳とは違ってボインな姉と結婚してガキも5人――いや、最後に聞いた限りじゃ6人目になる予定と聞くくらい羨ましい事を毎晩するようになっちゃったし、他の貧乳眷属も其々ゴールインしてる中をまだ結婚してないせいで王が行き遅れてるとか半笑いのネタにされてるのも何のそのだからな……。

 

 最早ノーヒントで此処まで来やがったその執念は拍手すら送りたいよ……。

 はぁ、マジでなんでアッパラパーな姉はボインなのに妹のアンタはまな板のまんまなんだよ……ふざけんなよ。

 

 

「ま……オーフィスに唯一啖呵切れるスゲー女ってこった」

 

「は、はぁ……?」

 

 

 行き遅れ裏ボス魔王とか言われちゃってるソーナ・シトリーについては此処までにして、たっちゃんには取り敢えず適当に説明しながら、何か知らんけどへたり込んだままのたっちゃんに手を差し出す。

 あのひんぬー会長よりは実に女の子らしいムチムチぼでーなたっちゃんが地面に座り込むのはあんまりよろしくは思えんのでね……と思って手を差し出したのだが……ん?

 

 

「あ、いや……その」

 

「? どしたん? 腰でも抜けたのか?」

 

 

 差し出した手を取らず、目を泳がせながらやがて俯くたっちゃん。

 一瞬、見た目はともかくオッサン歳なセクハラ野郎の手なんか無理という意味なのかと思ったらそうでは無さそうであり、一夏も簪も不思議そうに不自然にモジモジしだすたっちゃんを見つめている。

 

 

「姉さん? 私が手を貸す?」

 

「流石にこの状況で兄ちゃんはセクハラしないと思うけどね」

 

「い、いえそうじゃなくて、ね? そ、その……あの……」

 

 

 一夏と簪にもごにょごにょするたっちゃんは立とうとせずのまま。

 何処か羞恥を孕んだ仕種なのは気のせい……でも無さそうだった。

 

 

「……………。おいオーフィス。

お前のせいで年頃の女の子が恥ずかしい事になったじゃねーか」

 

「♪ なにが?」

 

「っ!? あ……ち、違う! こ、これはそのっ!」

 

 

 俺の言葉に気付かれたと察したのか、羞恥で死にたそうな顔でわたわたとするたっちゃん。

 その元凶のオーフィスは知らん顔だけど、こればかりは責任を感じざるを得ないので、俺はまだ引っ付いて然り気無く俺のズボンのベルトを緩めだすアホな頭をひっぱたく。

 

 

「あー……うん、仕方ないと思うよ姉さん。

私も最初はオーフィスお姉ちゃんの威圧は怖かったもん」

 

「そういう事か。おう、大丈夫だぜ生徒会長。

オーフィス姉ちゃんを前にして気絶しなかっただけアンタは確かに根性あるわ」

 

「ちょ!? ふ、二人して急に優しくならないでよ!? 兵藤さんもそんなハッキリ言わずにもっとオブラートに言えないんですか!?」

 

 

 一夏と簪もたっちゃんの現状に気付いたのか、生暖かい目をしながらポンと肩を優しく叩くが、それが逆効果なのはいうまでも無いようで、終いには涙目になりながら俺に食って掛かってきたので、ごめんとだけ謝る。

 

 

「心配すんな、世の中には三十路になっても人の寝るベッドをグショグショにしてハァハァするドン引き変態が居るんだぜ? それに比べたらまだまだピチピチ十代(ティーン)のお漏らしなんて――」

 

「言わないでよ!? 言葉にされる方が死にたくなるのに!!」

 

 

 めっちゃキレられたが、これは割りと本音だ。

 いや勿論そんな性癖は無いし、この子も一回り近く下だからそんな感情も無い。

 けど世の中にゃあ、人の家をピッキングして開けたと思ったら、留守を良いことに人ん家の脱衣場から使用済みワイシャツを勝手に持ち出し、挙げ句の果てには人の寝るベッドの上でやらかして廃棄処分する真似をしくさるド変態が居るんだ。

 

 それに比べたら、オーフィスの威圧にビックリしてって理由なら納得も出来るし仕方ないと真面目に思える。

 ちなみにそのド変態が誰なのかは本人の名誉を一応守る為に黙秘する。

 

 それを見たオーフィスがガチギレして、歴史に残る大バトルをそのド変態相手に繰り広げたのは元の世界では……特に悪魔の間ではド有名だったりするけど、秘密は秘密だ。

 

 ……っと、んな事よりちょっとゾクゾクする様な涙目のたっちゃんの名誉を早く守らんと……。

 

 

「にゃっ!? な、何するんですか!?」

 

「何って、さっさとキミの寮部屋に連れて行くんだよ。

じゃないと俺達以外にバレてもっと恥ずかしい事になるぜ?」

 

 

 オーフィスを養ってきたせいか、妙にお節介な性格になっちまってる俺は、バタバタと力無く暴れるたっちゃんを抱えながら寮の場所の案内を一夏と簪に頼む。

 え、例の一夏のパクりとLOVE勢はって?

 

 

「「「………」」」

 

 

 仲良くスヤスヤしてるし、放って置いてあげた方が幸せなのかもしれないんで放置することにした。

 まあ…………一夏のパクり野郎に対して一夏がやりやすくなるための『仕込み』はしてあげたけどな。

 

 

「お兄ちゃん、妙に姉さんに親切だね?」

 

「…………。我も思った、ちょっとモヤモヤする」

 

「あ? 別に下心はねーから安心しろよ。

つーか、流石に冗談でナンパはするが、実年齢が一回りも下の子に本気にゃならんっての」

 

「わかるぜ兄ちゃん、ボインだもんなー?」

 

「そういう事だ、流石俺に似ただけはあるぞ一夏」

 

「な、セ、セクハラじゃないですか!?」

 

 

 セクハラじゃない、ボインには歳関係なく優しくが俺の持論なのだ。

 それにキミ、腰砕けにはなったが結局オーフィスに恐怖して拒絶はしてないだろ? それで十分助けになってやりたいと思う理由にはなる。

 

 

「オーフィスを今は怖いと思ってるか? 近付きたくないと思ってるのか?」

 

「え? い、いやそれは確かにオーフィスちゃんが凄い威圧を放ったのはビックリしましたけど、私はもう怖がるだけにはなりたくないし……」

 

「へ、なら助けになろうと思う理由になるぜたっちゃん」

 

 

 俺は基本的に現金な性格なんだよ。

 

 

 

 

 なるほどね。

 伊達に俺達の言葉をものともしなかっただけはある。

 まさか言った翌日に兄ちゃんと姉ちゃんの所に行っただけはある。

 どうであれ兄ちゃんも姉ちゃんも、あの生徒会長を気に入ってやがる。

 

 

「ん、いっせぇ……。

動いたら身体が熱くなったから一誠が欲しぃ……」

 

「おいバカ龍。

これ見よがしに股をモジモジさせながら変な事言うな、唯でさえたっちゃんに在らぬ疑いを――」

 

「このロリコン……」

 

「って蔑まれちゃうからって……たっちゃ~ん、俺ロリコン違うからやめてよ。

昔からそればっか言われて地味に傷付いてるのよ?」

 

 

「どう思ってるんだ簪は?」

 

「進化するのも怠けるのも自分次第。

お兄ちゃんは昔からそう言ってたし、私は良いと思うよ別に。

私も一夏も負けないようにすれば良いんだし」

 

「まーな、只よ……俺あの人に結構ヒデー事言っちゃったからなー……。

地味に喋り辛いかもしんねーや」

 

 

 簪は特に気にしてない……って訳じゃあ無さそうだ。

 まあ、姉ちゃんだしな……単に喚かず、毒を以て毒を制すで来るなら拒絶する理由も無い。

 

 

「ああいう姉さんを見るのはレアだし」

 

「ん? あぁ、兄ちゃんに良いようにからかわれてるって意味か?」

 

「うん……普段はお兄ちゃん側だからね、姉さんって」

 

「ふーん?」

 

 

  良くは知らないけど、まあ大概の人間は兄ちゃん相手におちょくる側にはなれんわな。

 俺だって普段は兄ちゃんにおちょられるし――

 

 

「はむ」

 

「ひゃあ!? な、なにゃ!? なにするんですか!?」

 

「ロリコンロリコン言うから、ちょっと否定してやろうと……」

 

「そ、それと私の耳朶を甘噛みするのと何の関係が!? この変態! 下ろしてよ変態!!」

 

「一誠、そういう冗談は我嫌い。我にだけしてれば良い」

 

「あ、いや……この子弄り甲斐があるというか、何処かひんぬー会長と似たベクトルを感じるからよ。

ごめんごめん、もう絶対にしないから許して……ほら今謝るから」

 

「な、なんです――はひゃぁ……み、耳に息はやめてくだしゃいぃ……!」

 

 

 あの会長さんは確かにおちょくると良いリアクションするよね。

 わかるぜ兄ちゃん、喋るフリして耳ともにフーした時のリアクションは見てて俺も簪もゾクゾクするもん。

 

 

「なるほど、姉さんにはああいう用途があったんだね……ふふふ」

 

「おいおい、自分の姉だぞ? 同意するけど」

 

 

 全く兄ちゃんは何でもかんでも教えてくれるぜ。

 お陰で俺も簪も変な気持ちを抱いちゃったぜ……けけけけ――っと?

 

 

「た、楯無お嬢様をどうするおつもりですか!!」

 

「きょ、許可も無く敷地内に入るのは侵入者と見なします……!」

 

「う、虚ちゃんと本音ちゃん!?」

 

 

 アリーナを出て寮へと向かってる時だった。

 気絶した織斑一夏に対して兄ちゃんのすぐ後に『仕込み』を密かにして、後はその時が来るのを待つだけとなった所に現れたのは、上の学年の人だと思われる眼鏡を掛けた女の人と……布仏ちゃんだった。

 

 

「ん? ……………ぬふぉ!?

め、眼鏡なのに大盛りだと!? あのド貧乳の真逆とか写メ撮って送りつけてやりてーぜオイ!」

 

「……。だれ?」

 

「っ!? た、楯無お嬢様を大人しく離しなさい……! 今なら情状酌量の余地はあります……!」

 

「ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃん。

か、かんちゃんが居るって事は知り合いなんじゃ……」

 

 

 お姉ちゃんだと? …………え、マジ? あ、マジなんだ。

 あのクソ真面目そうな人が布仏ちゃんの姉ちゃんなのか……。

 

 

「っ……だとしても不法侵入者である事は間違いないのよ本音。

もしかしたらあの突如消えた無人機に関係しているかもしれないし……」

 

「む、我と一誠はあの雌悪魔の寄越した変なのと関係無い」

 

「まあ、疑われても文句は言えんけどね。

つーかさ、この子の友達なら話しが早いし、友達同士だと見込んで言っちゃうけど、たっちゃんが実はお漏ら――むびゅ!」

 

「ぜ、っ、た、い、に、言わないでくださいっ……!!」

 

 

 いや、布仏ちゃんも真面目なんだろうけどね?

 

 

 

 

 

 私は誰なんだ。

 私に生きている価値はあるのか。

 私の存在意義は何なのか。

 

 生まれた時から解らないまま、ただ命じられるがままに、人形の様に生かされてきた私は、私を強くしてくれた教官を知ることで教官にすがる様になり、教官と共に居ることで存在意義を一時は獲られた気がした。

 

 でもそれは教官が傍に居てくれたからそう思えただけで、教官が離れてからの私は再び独りになってしまった。

 同志は確かに居たけど、それでも教官を喪った孤独は癒えなかった。

 だから私は、私から教官を奪った血縁を憎んだ。

 血の繋がりがあるだけなのに、弱い癖にと憎むことで自己を確立しようと思った。

 

 でもそれは所詮張りぼてだった。

 いや教官にすがる事すら張りぼてでしか無かった。

 教官との出会いにより、身勝手にすがるだけでは本当の意味での自己は確立できない。

 

 それを教えてくれたのは――

 

 

「はぁはぁ……くっ……!」

 

「…………」

 

 

 教官が世界最強となった武器を真正面から捻り潰せる圧倒的な力を持った一人の男だった。

 認めざるを得無い程の力を持ったその男は、教官が去って再び孤独になってしまった時に抱いた願いに呼応するかの様に現れた。

 

 

『まさか俺が連中の真似事をする事になるとはな……だが次元空間からはこれで脱出出来たし、たまには良いか』

 

 

 不思議な光を放つ翼を背に広げ、私と同じ色の髪を持ち、圧倒的な――教官すら越える覇気を放った不思議な男は部屋に現れて困惑する私に向かって言った。

 

 

『ハーフではあるがお前の差し出す対価を元に願いを叶えてやる。

だから問うぞ人間――お前の欲しいものは何だ?』

 

 

 吸い込まれそうな碧眼を真っ直ぐ私に向けながら問いかけてきた男の言葉。

 その言葉はとてもとても胡散臭く、頭のおかしな奴の戯れ事だと普通なら思うだろう……いや、私だって最初は思った。

 けど私は……独りぼっちになった私は言った。

 

 

『わ、私を独りにしないでくれ……!』

 

 

 初対面で、もしかしたら敵の送り込んだスパイなのかもしれないのに私は孤独に堪えられずに言ってしまった。

 膝付く様に、赦しを乞う様に告げたその言葉に男は―――

 

 

『げげっ、契約が結ばれただと!?

ちょ、ちょっと待てオイ!? 悪魔の契約なんて冗談で――アーッ!!』

 

 

 よく分からない光を放ちながら、何か狼狽ていた……。

そしてこの瞬間(トキ)から私は――

 

 

 

 

 

 

 

「ISとは不思議な技術だ。

お前みたいなひ弱な女がある程度の戦闘力を持てるのだからな……ま、それでも人間に毛が生えた程度だが」

 

「よ、嫁が強すぎるんだ。

だ、大体その神器とやらは反則だぞ」

 

「フッ、これを使わずともお前程度なら指一本で十分さ。

それに、人間でありながら全てを超越した男を知ってる以上、人間は決して侮るつもりは無い―――――って、俺はお前の嫁じゃないぞ」

 

 

 独りぼっちじゃなくなった。

 

 

「ふ、ふふん、照れるな嫁よ……。お前を越えたら嫁になってくれるんだろう? だったらもう叶ったも同然だ」

 

「………。だったらせめて埃くらいは付けて貰いたいものだぞラウラ」

 

「埃どころか――必ず倒してみせるさヴァーリ!!」

 

 不思議な男で不思議な悪魔――ヴァーリと出会えた時から、私はもっと強くなることが生きる意味となったんだ。

 

 

「隊長~! そろそろお昼ですよ~!」

 

「む、クラリッサからの呼び出しだ。行くぞヴァーリ、私があーんしてやろう」

 

「…………。あの女の妙にズレた知識はどうにかならないのか? 俺の事も変な目で見てくるし……」

 

 

終わり




補足

まあ、仕方ないよね。
そらビックリで漏れ漏れしても責められないよね。

うん……。

その2

その頃の三人の中の二人目……ヴァーリきゅんは何の因果か銀髪ちゃんと楽しく遊んでましたとさ。

冗談半分の言動がマジ実行されちゃったから変に動き回れませんでしたとさ。

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