色々なIF集   作:超人類DX

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コミュ障が日之影一誠だとするなら彼は……


その後と少しの前進

 

 

 

 エシルの説得(物理)と長年コツコツと集めてきた黒歌の元主の問題を証拠として提出する事に一応の成功を収める事ができた。

 もっとも、その元主自体が数年程前に覆面強盗みたいな格好をした一誠とライザーによって悲惨な事になってしまったりもする訳だが……。

 

 

「あ、アナタは初めからこれが目的で……!?」

 

「前にキミ達とゲームの話をした際に言った筈だがな? 心配しなくてもさっきキミのお兄さん――ああ、魔王様に話した事に偽りはない。

俺は――いいや俺達は彼女の冥界での自由を取り戻せればそれで良いので、キミとの婚約という例のよくわからん話は絶対にありえん」

 

「わ、私を利用したの!?」

 

「一応そうなるがこれに関してはお互い様だろう?

そもそもウチの親達がキミのご両親に喧嘩を売った事が始まりだった訳だが、その流れでキミのご両親が婚約がどうとかという話を持ちかけただけの話だかな。

なんでも、俺がキミをそんな目で見てるからとか……」

 

「…………」

 

「いやいや、当然ながらありえんぞ? キミは当初から俺を嫌悪していたというのは態度でわかりきっていたし、そんな感情を持つ相手にどうこう思えるだけの余裕なぞ無いんでね。

第一キミはちと若すぎるし、せめてキミではなくてヴェネラナ様くらいの年齢の女性の方が俺は――」

 

「……………」

 

「おぅ……例え話だからそんな目をしないでくれ。

とにかく、その婚約って件は絶対にありえんが、キミの協力のお陰で黒歌の罪を軽減できる希望が見えてきた――そこは感謝をする」

 

「…………………………」

 

 

 全ては自分の身内の為に行った事であって、リアス自身には最初からなんの興味もございません。

 そう不敵な笑みを浮かべながら感謝の一礼をしたライザーは、その時点で憎悪丸出しな形相のリアスに気付かないフリをしながら、ループザループというヨーヨーの技を繰り出して盛り上がっている『家族』の元へと戻る。

 

 

(最初からなんの興味もなかった……ですって……? 小猫の姉の罪を軽減させるための出汁に私を使っただけですって………!? あ、あの男ごときに私が体よく利用されただけ……!?!? ふ、ふざけるな……! ふざけるなっ!!)

 

 

 それはある意味で敗北以上の屈辱だった。

 見た目もその身勝手な生き方も全てが嫌悪の対象だった男は、自分の事など眼中にすらなかったという現実と敗北がリアスのプライドをことごとく破壊していき、残ったのは嫌悪と殺意。

 

 

(ゆ、許さない……許せるものですか……! 絶対に……!!)

 

 

 この敗北により、リアスの評価までもが著しく低下していく事になるのだが、彼女はその全てをライザー達のせいだと思うようになっていくのである。

 

 

『ウルトラビッグバン・ドラゴン波ァァァッーー!!!!』

 

 

 兵藤一誠として転生が。

 その転生に生じた神のミスが。

 そしてそのミスを修正できなかった自分自身のミスが……。

 生存していた本当の兵藤一誠を強大な敵へとさせてしまった。

 

 

「負けたんですね、俺達は……」

 

『………』

 

 

 霧島一誠と名乗る男の知識にはない進化によって押し潰された兵藤一誠は、フェニックス家から提供されたフェニックスの涙(抜け毛の副作用付きのバッタもん)によって目を覚ました頃には全てが終わっていた。

 

 眠っていたベッドの枕にそこそこ笑えぬ量の抜けた髪の毛が引っ付いていることなど誰も気づかず、お見舞いに来た仲間達の完全お通夜ムードに、兵藤一誠は爪を噛みながらブツブツとどす黒く濁った目で何かを言っているリアスに取り敢えず頭を下げた。

 

 

「すいません部長……俺が負けたせいで……」

 

 

 想定以上に力を付けてしまっていた事や、対応する前に押しきられてしまった事を謝る兵藤一誠だが、リアスといえば返事もせず虚空を眺めながらただただブツブツ言っていて反応がない。

 

 

「ぶ、部長……?」

 

 

 無反応のリアスを心配する小猫や朱乃達も呼ぶが、それでも反応がない。

 負けたのが余程ショックだったのか、それともやはり負けたせいでライザーと婚約しなければならないことが嫌すぎるからなのか……。

 

 

(いや、まだ手はある。

最悪ゴリ押しで原作のように……)

 

 

 意識がなかったのでライザー達の本当の目的を知らず、あくまで婚約の話だと思っている兵藤一誠は無理矢理にでも無かった事にしてやろうかと考えていたら、副部長の姫島朱乃が重々しく口を開く。

 

 

「いいえイッセー君、ライザー・フェニックスと部長の婚約はありません」

 

「え?」

 

「魔王様に直接彼が『断った』らしい。

それに、彼――いや彼等には今回のゲームに出た本当の目的があった」

 

「本当の目的? なんだそれは……?」

 

「一度彼等とゲームをするにあたる話をしただろう? その時ライザー・フェニックスが言っていた事を覚えているかい?」

 

 

 木場祐斗の言葉に兵藤一誠はその時の事を思い返し……ハッとする。

 

 

「そういえばあるはぐれ悪魔の罪を消して欲しいみたいな話をしていた気が……」

 

「そうです。

つまり彼等は最初から私達に勝ってそのはぐれ悪魔を無罪にさせる為だったようなのよ……」

 

「……………」

 

 

 祐斗の説明に続くように話す朱乃の言葉を聞いて、兵藤一誠はやはり知識にはまったくない存在が奴等の中に居ると考える。

 そういえば今更ながらゲームの最中はそのはぐれ悪魔らしき者とは会わなかったが、朱乃とリアスは会ったらしく、しかも二人まとめて妙な力で追い込まれたらしい。

 

 

「どういう奴だったんだ? そのはぐれ悪魔とやらは……?」

 

 

 思えばライザー・フェニックスは知識のライザー・フェニックスとは違って自前の眷属が一人も居なかった。

 あの女好きにしては異常だし、霧島一誠と一緒になってしゃしゃり出て来られて、本来は自分達の仲間となるアーシアを奪われた。

 

 そんなライザーの抱えるはぐれ悪魔が誰なのかと気になる兵藤一誠に対して、朱乃と祐斗がゆっくりと微妙に隅っこの方で小さくなっていた小猫に向けられた。

 

 

「え、小猫ちゃんがどうかしたのか……?」

 

 

 何故そこで彼女を意味深に見ているのかと不思議に思った兵藤一誠の疑問に答えるように、小猫はぽつりぽつりと話し始めた。

 

 

「部長に拾われる前に私には生き別れた姉が居ました。

それでその、どうやらその姉がフェニックス家に匿われていたみたいで……」

 

「はっ!?」

 

 

 仰天する兵藤一誠。

 何故ならその小猫の姉は知識にあったからだ。

 

 

「ど、どういうことだそれは!? キミのお姉さんが何故フェニックスの所に!?」

 

「何年か前に一誠先輩――あ、霧島先輩がお小遣い欲しさに懸賞金がかけられているはぐれ悪魔の討伐をしていて、かなり高い懸賞金が掛けられていた姉を発見して戦った事があったらしくて……」

 

「な……!?」

 

 

 ここでまたしても自分の邪魔をしてくる行動をしていた霧島一誠に兵藤一誠は反射的に拳を握っていた。

 

 

(ふ、ふざけるなよあのクソ野郎!! よりにもよって黒歌にまで……!)

 

 

 例えるなら横からかっさらわれたような気分になって勝手に怒っている兵藤一誠。

 

 

「そのまま先輩に捕まった後、何度か一悶着あってから、保護されるようになったとか。

それで今は先輩と同じくレイヴェルの眷属だと……」

 

「そ、そうだったのか……。

それで小猫ちゃんのお姉さんの罪を消す為に今回のゲームに……」

 

「そうだったみたいです……」

 

 

 色々な意味でどうしても霧島一誠だけはこの世から痕跡や存在を認識している周囲の者達の記憶もろとも消さないとならないと決意を固める兵藤一誠。

 不意を突かれた形で押し込まれたのが敗因ならば、今度は最初から全力で殺しにかかれば決して勝てない相手ではない。

 

 その為にはまず負けたショックを受けているリアスを立ち直らせなければならないと、リアスに視線を移した兵藤一誠は――――絶句した。

 

 

「…………よかったわねぇ小猫?」

 

 

 ブツブツと言っていたリアスが怨念を擬人化させたような形相で小猫に対して言い始めたのだから。

 

 

「ぶ、部長……?」

 

「あのままならアナタのお姉さんは手配を取り下げて貰えるでしょう。

良かったじゃない、その為に私達を裏切って手を抜いた甲斐もあるんじゃない?」

 

「なっ!? わ、私はそんな……!!」

 

 

 負けたショックがあまりにも大きすぎたせいなのか、小猫に対してそう吐き捨てるリアスに、流石にそんな言い方はないのではないかと祐斗がリアスに抗議する。

 

 

「彼女は決して手など抜いていません! 僕たちの想定していたよりもレイヴェル・フェニックスが強すぎただけです!」

 

 

 それそこ現状の引き出せる全力を以てしてもレイヴェル・フェニックスには刃や拳が届かなかったと体験しているからこその祐斗の憤慨に、リアスは輝きのない虚ろな瞳のままフンと鼻を鳴らす。

 

 

「祐斗は信用できるわよ。

けれど正直小猫はどうかしらね? 奴等が学園に居た頃から妙に小猫は気にしていたみたいだし、奴等を追い出す前なんか霧島一誠と抱き合ってたのでしょう?」

 

「ち、違います! た、確かに否定はしませんが、私は本気で――」

 

「…………いや、ゲームに負けても得をしているのは現状小猫ちゃんだけだし、そう思われても……」

 

「い、イッセー君! キミまでそんな事を言うのか!? 確かに負けたが、それは僕達の実力不足であって……!」

 

 

 小猫――というか白音は今回のゲームに対して手は絶対に抜いていなかった。

 確かにライザー達が勝てば黒歌の罪が軽くなれるという話は聞いていたが、恐らくゲームに勝とうが負けようがフェニックス家なら関係なく黒歌の過去を帳消しに動いてくれると思った。

 それよりも白音としては同年代であるレイヴェルと本気の手合わせをして、川原の土手で殴りあった後的なやり取りがしたかったので寧ろ全力だった。

 

 結果だけを言えば、レイヴェルは確かに一誠と黒歌を眷属にできるだけの領域に到達していて、文字通り手も足も出せなかったのだが。

 

 それなのにこうまで疑われるのは―――そりゃあ学園に居た時の行動なんかを思い返せば疑われても仕方はないとはいえ心外だった。

 

 

「負けを――僕たちの敗けを彼女一人のせいにして押し付けるはやめましょうよ! この敗けは僕達がフェニックスを見くびり過ぎていただけです!」

 

 

 リアスと兵藤一誠の言葉のせいか、徐々に朱乃までもが小猫に疑いの目をする中、レイヴェルと共に叩きのめされた祐斗だけが庇ってくれたことに小猫は純粋に嬉しかった。

 

 

「行こう……! 暫く全員頭を冷やした方が良い……」

 

 

 そして部屋から連れ出してくれた祐斗に小猫は感謝するのだった。

 

 

「ありがとうございます祐斗先輩……」

 

「いいさ、いくらなんでも八つ当たりにも程があるからね……。

正直僕もフェニックスさんを含めた彼等を侮り過ぎた。

考えてみたらキミのお姉さんや霧島君を眷属にできるだけの器が彼女にはあったんだよね……」

 

「一誠先輩もあの兵藤先輩に勝っちゃいましたしね……」

 

「しかもあの赤龍帝だった事にも驚いたよ。

……暫く部長達の所には戻らない方が良いかもしれない。

明日になれば皆頭が冷えてくれてる筈さ……」

 

「はい……」

 

 

 こうしてこの敗北からリアス・グレモリー達の繋がりは少しずつ崩壊していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁてと! フ◯ルテのコスプレをしてゲームで戦ったらなんでもするって一誠は言ったよね?」

 

「おう、確かに言ったぞ」

 

 

 その頃黒歌はといえばフェニックス家の本家にてどんちゃん騒ぎ打ち上げパーティーをしていた。

 

 

『3 2 1!!』

 

「「ビー……ファイッ!!」」

 

 

 主にフェニックス家に勤務する使用人達を含めたビーダマン大会パーティーなのだが、使用人達もフェニックスの人達のホビー趣味に思いきり影響されてしまっているせいなのか、全員がビーダマンやらベイブレードやらハイパーヨーヨーやらクラッシュギアやらミニ四駆を所持しているというファンキーっぷりだった。

 

 当主のシュラウドがコスプレまでして実況するお陰もあってすさまじい盛り上がりを見せていた。

 

 

「良いかアーシアさん。

ビー玉をセットしてこのレバーを押して相手より先に相手陣地のタワーを崩すんだぞ?」

 

「はい!」

 

 

 今回初ビーダマンであるアーシアも、ライザーから手取り足取り教えて貰いながら参戦している。

 ちなみにフェニックス家の使用人達の間では、ライザーが眷属……というよりは社会復帰の手助けをする為の保護という名目で連れてきたアーシアに対して、他人不振を拗らせていたライザーの心をよくぞ開いてくれたと大歓迎しており、ライザーに教えられているアーシアをほのぼのとしか気持ちで見守っている模様。

 

 そんな盛り上がりのパーティーの最中、学園に通っていた頃、仕事のお礼としてソーナから譲って貰ったアルティメットフェニックスを引っ提げて参戦していた一誠は、黒歌とレイヴェルに呼び出されて会場の外に出ていた。

 

 

「黒歌さんの過去を完全には消し去れませんでしたが、今回の件で大きな一歩を踏み出せたのは間違いないわ。

しかしそれはそれとして、この前の約束についてよ」

 

「黒歌の言うことを聞けば良いんだろ? 任せろ、何をして欲しい? 飯か? それとも肩叩きか? それとも俺の秘蔵のベイの『ブラック・ドランザー』が欲しいか?」

 

「いや、ドランザーよりはドライガーの方が欲しい――ってそうじゃないわよ」

 

「???」

 

「嘘みたいに鈍いわね。

だから簡単に『なんでもする』なんて言ったのでしょうけど……」

 

 

 首を傾げる一誠に、レイヴェルと黒歌は呆れ半分に苦笑いをする。

 仕方ない、このトラウマ拗らせヘタレ男にはストレートに言うべきだと黒歌はお願いを口をする。

 

 

「今も私達って寝る時のお部屋って別々でしょう? だから今日から私とレイヴェルと一緒のお部屋にするのよ」

 

「えー……?」

 

「………。そこで普通に嫌そうな顔をされると傷つくのだけど?」

 

「いや嫌だとかじゃなくてよ……。

この前の時も思ったけど、お前等が居ると入手したエロ本とか読めなくなるし……。

というかてっきりエロい事しろとか言われるのかと……」

 

「あら? 期待でもしていたのかしら? 別に構わないけど?」

 

「いやしねぇけど……。

でも約束しちゃってる手前もあるしなぁ。

別に良いっちゃ良いんだけど……うーん」

 

 

 別の意味で予想外だったお願いに、約束した手前断りにくい一誠。

 

 

「正直に言って欲しいのだけど、私とレイヴェルと寝るのは嫌?」

 

「いや、何度かあるし、別に拒否感も全くないぞ? ただ俺って相当寝相が悪いからお前等の迷惑になっちまうんじゃねーかと。

あ、でも寝る時は別々のベッドで……」

 

「「当然一緒よ」」

 

「……………あ、そう。

でもそれだと余計迷惑に……」

 

「寝ぼけた一誠にちゅーちゅーされる程度は迷惑の内に入らないにゃん」

 

「ええ、というよりお父様とお母様とお兄様達からもそろそろ決めろと言われてますし?」

 

「…………」

 

 

 確かに過去を振り返ってみても、今更同部屋で就寝を共にする程度など今更感があるし、人妻物が観られなくなるのは少し痛いが、逆を言えばそれだけの事だったりする。

 これがよくわからん女に言われたら秒で拒否するが、レイヴェルと黒歌とはなんやかんやでそこそこ長い付き合いになっている。

 

 

「うーん、約束しちゃったもんな。二人が本当に良いってんならそれで良いぜ?」

 

「「………」」

 

 

 結果一誠は了承し、レイヴェルと黒歌は互いに顔を見合わせて微笑みながらうなずき合う。

 最近停滞気味であった関係の発展がこれで出来そうだと。

 

 

「なぁなぁ、ちょっと怖くて聞くのを躊躇ってたんだけどさ……」

 

「「?」」

 

「俺は二人の事は好きなんだけど、レイヴェルと黒歌って俺の事好きか?」

 

「「………は?」」

 

「………あ、やっぱ答えなくて良いわ。

なんかごめん……気色悪かったよな?」

 

「いや、ここまで露骨にしてるのに未だにそんな疑われてるとは思わなくて驚いただけなのだけど……」

 

「あのね一誠? なんとも思わないような異性に対して同室を申し出るなんてしないわよ? わかる? 私も黒歌さんもアナタが大切で大好きだからこういうことを望んでいるの」

 

「お、おぉぅ……そ、そっか! ははは、ちょっと安心。

学園に居た頃、同じクラスの地味な男子が女子に告白されて舞い上がったと思ったらそれが嘘でその女子と取り巻きに思いきりバカにされてたのを見てよ……てっきりそうなんじゃないかと……」

 

「いやいや、そうだとしたら一誠の前で全裸になんてならないっての」

 

「何年一緒に居ると思ってるのよまったく……。この拗らせヘタレ男は……」

 

 

 どうしても心のどこかで己に対する好意を疑ってしまう一誠は、その理由を知っているからこそ怒るではなく諭すように言ってくれる黒歌とレイヴェルにペコペコと謝る。

 

 それはもしもフェニックスではなく、グレモリー家とシトリー家のもとで育った結果、コミュ障を拗らせた赤龍帝ではない執事・日之影一誠の根に近いものがある。

 

 違いは、霧島一誠はコミュ障ではないし赤龍帝であり、自分一人ではなく共に強ってきた。

 

 

「さて、私のお願いも叶ったしそろそろパーティーに戻るにゃん?」

 

「ええ……。

さっきから何故かアーシアさんコールが聞こえるし」

 

「お、おう」

 

 

 進化の速度、適応能力の高さ――そして敵の殲滅能力は確かに日之影一誠の方が無限進化という異常故に高いのかもしれない。

 されど勝つ為に、強くなる為に、自分が手にした大切な者を守る意思は勝るとも劣らない。

 

「と、その前に――」

 

「折角今は三人だけだし――」

 

「………へ?」

 

 

 それが別系統の『創成(クリエイト)』であり不死鳥の如く這い戻りし『再燃翔』……霧島一誠。

 

 

「はい、何時かは一誠から唇にしてよね?」

 

「ヘタレさんだし、気長に待っていますよ?」

 

「……………お、お前等本当に俺以外の男とかにこんなスナック菓子感覚で頬にチューとかしてねーのかよ?」

 

「するかっ! 逆に見たことあるの!? 私かレイヴェルが知らん男にしてるところを!?」

 

「いっそ本当に押し倒してやらないとわからないの!?」

 

「わ、悪かった!! 今のは失言だった!」

 

「これでもし私達ではない余所の女に本気になったら全力で泣くわよ?」

 

「ヘタレの癖にどこかチョロい所があるし、既に白音さんやシトリーさんの事もあるから心配なのよ……」

 

「は、はぁ? んなバカな、黒歌の妹さんは単に俺から黒歌の気配を無意識に感じてたからだろうし、シトリー先輩は趣味が合ったからに決まってんだろ……?」

 

「「………はぁ」」

 

 

 コミュ障ではなくて極度のヘタレ執事。

 

 

(ここまで拗らせちゃってる辺り、相当の重症だわ……)

 

(ライザーお兄様といい……どうしてこう……はぁ)

 

(や、やべぇ……レイヴェルと黒歌を怒らせてしまった。

いやでも、俺なんぞになんでそこまで? わ、わかんない……)

 

 

終わり




補足

敗けたあげく、黒歌お姉さんの自由の為に利用されていただけと知った事で、憎悪度と殺意度がカンストしてしまう。

そしてそんなフェニックスと霧島一誠に懐いてたせいで白音たんが裏切り者と八つ当たりされる始末。

しかし、流石にひどいだろと男木場きゅんが庇う。

現在、グレモリーチームの団結力はガタガタ。


そして手から死ぬほど不味い唐揚げを一週間に四つしか出せなくなる能力に『作り替えられて』いることにまだ気づかぬ成り代わり失敗転生者。


その2
そら主達がこんなんなので、使用人達も殆どのめり込んでいるとか。
 定期的にこれらのホビー大会とか開かれるくらいき。


その3
今まで一人も本当の意味での眷属を持たなかったライザーがアーシアを保護して連れ帰ってきたお陰で、使用人さんたちもおおはしゃぎしている。





 が、今回のゲームに参加した事で、どこぞのストーカーシスターフェチに発見された模様。


 まあ、それでストーカーし始めたとしたらスイッチが入るでしょうね―――ライザーくんの。





その4
どうしても疑ってしまうヘタレ。それが日之影ではなき執事の霧島一誠。
 つまり年上趣味は単なる現実逃避に近いんです……ライザーもだけど。


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