色々なIF集   作:超人類DX

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出てけ言われたらこだわりもないので『わかりました』と言う。

それがフェニックス達


最後の仕事

 

 

 

 それは突然の事であった。

 

 

 

「…………………………。ごめんなさい、もう一度言って頂いても?」

 

「あー……ですからですね、そちらも既に存じているかに思いますけど、先日私とライザーがはぐれ堕天使の一派を勝手に壊滅させた事で、リアス・グレモリーさんとの約束を反故にしてしまったので、本日限りで学園を自主退学する事になりました」

 

 

 普段は委員会の報告書の提出以外ではやって来る事なんてなかった霧島一誠の訪問にテンションが上がったソーナだったが、共に訪問してきたレイヴェル・フェニックスと揃って頭を下げながら、『短い間ではございましたがお世話になりました』と退学する旨を説明されてしまい、上がりかけたテンションは一気に地の底に叩き落とされてしまった。

 

 

「へー、そうなのかー? いやー残念だなぁ霧島? 色々ありはしたものの仲良くなれそうだと思ってただけに本当に残念だ。

アレか? 退学したら冥界に戻るのか?」

 

「えーっと、そうだな。

学校に通う以外で人間界に留まる理由もないし、リアス・グレモリーさんが許してくれないだろうし……」

 

「そうか! そりゃあ残念だ! 本当に心の底から残念だ!!」

 

 

 一誠とレイヴェルの話を聞いたその瞬間、勝手に騒ぎ出す匙が明らかに言葉とは裏腹に歓喜しているのは誰が見ても明らかだったが、一誠もレイヴェルもそんな匙の態度に腹を立てる様子は無い。

 

 

「2秒以内にそのペラペラと動く口を閉じろ」

 

 

 自分の眷属達がフェニックス一派を与太話だけを信じてあまり歓迎していないのはわかっていた。

 だからついソーナは心臓麻痺でも起こしそうな冷水を思わせる低く冷たい声で、行儀の悪い己の眷属を一声で黙らせた。

 

 

「え、か、会長……?」

 

 

 当然言われた本人はショックもあるが、何よりもソーナ自身の放つ半端のないどす黒さを感じる雰囲気に女王以下他の眷属共々言葉を失う。

 

 

「理由はわかりました。

しかしその様な理由で貴方達が追い出される謂れはないのでは?」

 

「我々個人の理由で好き勝手にやったのですから、仕方ありません。

元々彼女からはあまり快く思われてもいませんでしたしね」

 

「そういう訳なので一応挨拶はしておこうと。

エ◯ゼの再戦も暫くは無理になりそうだし……」

 

「……………」

 

 

 ここで何を言っても引き留められそうにないと判断したソーナはもう一度二人で一礼をしてから退出していく一誠とレイヴェルを見送る他なかった。

 

 

「ま、まあ仕方ないですよ、ルール違反をしたのはアイツ等なんですから。

それにフェニックスさんはともかく、霧島が風紀委員長をやってたのもおかしな話でしたし」

 

「ちょ、やめなよ元ちゃん……!」

 

 基本的に罵倒されようがなにされようがヘラヘラと笑いながらスルーできるソーナだったけど、この件によって恐らくいたのかもしれない。

 

 

「ふ……ふふ……ふふふっ………あっははははは!!

こんなに誰かさんをぶち殺してやりたいと思ったのって生まれて初めてだわ……!」

 

『う゛っ……!?』

 

 

 嫉妬、憎悪、怒り――暗黒面的な漆黒なる精神をどす黒く燃やすソーナの見たこともない殺意にまみれた形相に、これでソーナが取られないで済むと、最近霧島一誠に嫉妬しっぱなしだった匙元士郎を含めた眷属達は踏んではならない地雷を踏んでしまったのだと強制的に悟らされてしまうのであった。

 

 

「悪いけど一人にさせてちょうだい」

 

「ど、どこかにお出掛けですか……?」

 

「ええ……ついてこなくて良いし誰もついて来ないで」

 

「で、ですが……!」

 

「今の自分を制御できる自信が無くて、うっかり本当に殺ってしまいかねないの。

こんな所で間違えて誰かを殺してしまったら可哀想なでしょう……? ―――――――――――――肉片が床に散らばってる死体見せられる一般の生徒達が?」

 

『……………』

 

 

 己の不手際を認めざるを得ない。

 そんな与太話を信じる子達ではないと思っていた己を恥じ入りたい。

 ただの個人的な我が儘でしかないのだとしても、ソーナはやっと見つけた『運命』が壊された事への憎悪と怒りがどうしても抑えられず、この眷属達は勿論、両親や姉にすら隠してた来た『本質』を少しずつ解放しながら、その本質を端的にキャッチして怯える眷属達にそう『微笑み』ながら言うと、ゆっくりと生徒会室を出ていくのであった。

 

 ソーナ・シトリーはその大人しそうな容姿とは裏腹に、一度スイッチが切り替わると豹変する――――そういう少女だった。

 

 

 

 

 

 

「せめて対戦のリベンジはしたかったなぁ」

 

「こうなってしまった以上は仕方ないでしょう?」

 

「まーなぁ……。

でも趣味が合う人ってライザーの兄貴しか居なかっただけに結構惜しいぜ」

 

 

 退学を決めた事で自動的に風紀委員も畳まなければならず、先代から継いだ風紀委員室を明け渡す為の掃除や荷物を纏める一誠とレイヴェル。

 自分達のしたことに対する後悔は微塵も無いとはいえ、ああも趣味がど真ん中で合う悪魔は居ないという意味ではほんの少しだけながらも惜しいという気持ちも嘘ではない。

 

 

「お兄様とアーシアさんが家の方を片付けていますし、私達もきちんと風紀委員会としての最後のお仕事を果たしましょう」

 

「おうよ。実家には連絡してるんだろ?」

 

「ええ、荷物を送る手筈は済ませているわ」

 

「んー、やっぱ帰ったら怒られるかな?」

 

「どうかしら? 寧ろ出迎えに家族総出で気合いをいれてる気がするわ」

 

 

 荷物を段ボールに小分けしながら入れているレイヴェルの言葉に、委員長席の机と椅子を磨いていた一誠は『確かに……』と苦笑いだ。

 今でこそそれが当たり前だったので思うことなどないが、どうもフェニックス家の悪魔は揃ってファンキーな面があるのだ。

 

 

「家の片付けが終わったから様子を見に来たにゃー」

 

 

 そんな他愛のない会話をしながら風紀委員室の清掃を進めていると、ライザーとアーシアと自宅の片付けをしていた黒歌が、完了の報告と共にやって来た。

 

 

「家で待ってるつもりだったけど、ライザーが二人が終わってないなら手伝ってくれってさ。白音の様子もちゃんと見ておいてあげろとも」

 

「そっか。

……なんか悪いな、折角妹さんに一番近づけてたのに」

 

「仕方ないわ。

事情も事情だし、ちょっと不安定な気もするけどリアス・グレモリーなら白音を傷つけたりはしないと思うもの。

……それに、白音からしたら私は重荷にしかならないでしょうしね」

 

「案外姿を見せたら喜んで貰えそうな気がするわよ? 彼女って結構素直な所があるし」

 

「俺も黒歌と所々似てるなやっぱりって思ったぜ」

 

 

 二人に混ざって片付けの手伝いを始める黒歌と、モップがけをする一誠と段ボールをガムテープで蓋をしているレイヴェルは塔城小猫についての話題で雑談しながら片付けのラストスパートに入る。

 

 

「リアス・グレモリーの目もあるし、教室でもこっそり話しかけられなくなっていたけど」

 

「向こうからしたら気にくわない連中に自分の眷属が好意的なのが嫌なんだろう。

気持ちはなんとなくわかるよ俺は……」

 

「以前、嫌々出席した貴族のパーティーの際、私が酔った貴族にちょっかいをかけられた時の事かしら?」

 

「あー、あったあった。

一誠がその男を八つ裂きにしてから毒沼に沈めたのよね?」

 

「自分でも思ってた以上にお前達が好きだったってある意味で自覚はしたな。

その後すっげー怒られつつも褒められたけどな、エシルの母ちゃんに。

まあだから、グレモリーさんが気にくわない理由はなんとなく俺はわかるんだよ」

 

 

 毛嫌いされているからこそ、その相手の気持ちがわかってしまう一誠に、黒歌が反論する。

 

 

「でも白音は嫌がってないにゃん。

あの時の件とは違うでしょ?」

 

「違うのかもしれないけど、そういうもんなんだよ」

 

「なーんか納得できないわ」

 

「逆を言えば、もし黒歌の存在がグレモリーさん達にバレたとして、お前を殺しに来るってんなら多分俺は後先考えずに彼女達を殺してしまうかもしれない―――って感じだ。

ましてや、向こうの俺っぽい奴がもしも……ってなったらな」

 

「そこまで柔じゃないだけどなぁ……私」

 

「十二分に知ってるよ。

お前も俺の好きな人の一人だからって意味だ」

 

「………。平気な顔して好きだなんだ言える癖に、それ以上の事は絶対にしないのに……」

 

「そりゃあアレだぜ、年上のお姉さんと一夜の過ちを夢見てるからな! がっはっはっ!」

 

 

 自分が正しいと思うことだけに全力を尽くす一誠らしい言葉に、レイヴェルと黒歌はやれやれともう一歩踏み込むことを怖がってそこで止まってしまっている事を知っている故に苦笑いする。

 その癖、人の愛情に餓えているのだから中々に拗れた性格なのだから。

 

 そんな一誠に付き合い続けられる辺り、レイヴェルと黒歌もそこそこ極ってるのかもしれない。

 

 

 

 

「手続きも終えましたし、風紀委員室のお掃除も完了致しました」

 

「そう」

 

 

 遂に風紀委員としての最後の仕事を終えた一誠とレイヴェルは、実質的に町全体の管理をしているリアスに最後の挨拶をすべく、旧校舎にある部室へと赴き、改めての謝罪を主であるレイヴェルが代表して言うと同時に一誠も続いて頭を下げる。

 結局反故にした事も、一誠とライザーが後先考えずに堕天使一派を壊滅させた事による建物損壊等の隠蔽等で手を煩わせたのも事実である。

 

 故に彼女の言葉には従う他もないし、一年間だけとはいえ人間界での生活を経験できたのだのだから悔いはない。

 あるとするならやはり黒歌の妹である塔城小猫――白音の事だけだが、リアス・グレモリーなら一線を越えた事はしないだろう……。

 

 

「…………」

 

 

 その小猫……否白音から明らかに寂しそうな顔をレイヴェルと一誠に向けている訳だけど、見てしまったら色々と決意が揺らいでしまいそうな気がしたので、一誠もレイヴェルも目を合わせない様に努める。

 

 ちなみにだが、他の眷属達はやはりフェニックス家のエキセントリックさ加減の話を既に聞かされているせいか、リアスとまではいかないもののあまり良い顔はしておらず、兵藤イッセーに関しては先日の件で恥をかかされたと思っているのか、リアスの許可でも貰えたら即座に殺しに来そうな形相で一誠を睨んでおり、そんな連中を実は一誠とレイヴェルの後ろに立っていたりする黒歌が冷めた目で見ている。

 

 

(ホント、改めて見ると皮しか似てないわ。

当たり前だけど)

 

 

 普通なら黒歌がこの場に居たら大騒ぎになるが、何故か誰も彼も――兵藤イッセーですら騒がない。

 何故なら黒歌の姿はリアス達には『見えない』し『気配を感じる』事もできないのだから。

 

 

「他に言いたいことは? 無いのなら早いところ出て行って欲しいのだけど」

 

 

 一誠とレイヴェルのすぐ後ろにSS級のはぐれ悪魔で白音の姉が居ることに全く気づいていないリアスが、冷めた目をしながら二人にこれまた冷たく言い放つ。

 

 

「いえ……」

 

「失礼しました」

 

 

 とことこん嫌われたなぁ……。

 リアスの冷たい物言いに対して内心レイヴェルと一誠は苦笑いしつつ生徒会室でソーナ達に挨拶をしたようにもう一度一礼をすると、制服のスカートの裾をぎゅっと掴みながら泣きそうな顔をしている白音をつい一瞥してしまいながら部室から退出するのであった。

 

 

「あ、あっぶねぇ……。後5秒あの子見てたら罪悪感みたいな気分でヤバかったぜ」

 

「ま、まったくだわ。

で、でもこればかりは仕方ないし……」

 

「可能ならそのまま連れていきたいけど、それは流石にできないにゃん……」

 

 

 あの手の態度にかなり弱かったりする三人は、微妙に後ろ髪を引かれるような罪悪感を覚えつつも旧校舎の出口まで歩いていると……。

 

 

「連中に最後のご挨拶でも?」

 

 

 目の瞳孔が危ないレベルに開いている生徒会長ことソーナが一人で現れた。

 

 

「はい。

お世話になりましたから」

 

(目がヤバイ事になってるわ)

 

(イッちゃってる目だにゃん……)

 

 

 咄嗟に隠れた黒歌の存在はどうやら悟られてないようだが、そのあまりにもガン決まりしているソーナの目にレイヴェルと黒歌は微妙に引いた。

 

 

「そう……で、連中はなんて?」

 

「へ? いや別に特には……」

 

「本当に? 例えば今もお二人の後ろに居るウチの生徒では無い女性とかに対してとかも?」

 

「……は?」

 

「!」

 

(え、う、嘘? バレてるの?)

 

 

 ガン決まり中のソーナの目がレイヴェルと一誠の後ろに居る黒歌――普通の者なら何もない空間に見える場所を確実に捉えており、その不意討ちにも近い言葉に黒歌を含めた三人は思わず身体を硬直させてしまう。

 

 

「なんのこと――」

 

「別に隠さなくても良いですし、誰かに話す事もしませんよ。

実の所、フェニックスさんが入学された頃から何度か姿を見たこともありましたし、気になって調べた所、そちらの方がはぐれ悪魔であることも……」

 

「「………」」

 

(まずいわね……大人しい女悪魔だと思ってたら、ここに来て厄介なことに)

 

 

 クスクスと笑うソーナに見られている黒歌は小さく舌打ちをする。

 

 

「あ、そちらの方も安心なさいな? 今言った通り、別に誰かに話すなんて無粋な真似はしませんよ? だって私、一誠くんのお友だちですもの。

恐らくはフェニックスさんの眷属に入り直したとかそんな所でしょうしね?」

 

「…………………………。一誠のお友だちをわざわざ強調するのはちょっとムカつくけど、話したら敵対関係になるってのだけは理解してるみたいね?」

 

 

 軽く挑発された気がした黒歌が『姿を現す』

 

 

「独特の繋がりを持つフェニックスが迎え入れているというのならば、わざわざ騒ぎ立てる理由にもなりませんからね?」

 

「……へんなの」

 

「おあいにくさま、これが『私』ですから。

さて、連中に挨拶を済ませたのなら話が早い。

少しだけお時間をいただけませんか? といっても5分程ここで待っていて欲しいだけなのですが……」

 

「「「?」」」

 

 

 今までにない雰囲気を纏うソーナの言葉に三人は首を傾げるも、ここで断ったらそっちの方が後々厄介な気がしたので従う他がなく頷くと、ソーナは『では5分後に……』とだけ言って入れ替わるように旧校舎の中へと進んでいく。

 

 そして五分後……。

 

 

 

 

 

 

「一誠先輩、レイヴェル……!」

 

 

 ソーナが白音と共に戻ってきた。

 

 

「う……」

 

「な、なんでキミが……」

 

 

 先程の捨てられた仔猫同然の顔をされていた事への罪悪感もあってか、微妙に気まずくなる二人とは反対に、リアスや他の眷属達から接触を禁止されていた事や、退学することになって会えなくなるという反動もあって飛び付くようにレイヴェルと一誠に抱きついてくる。

 そんな白音の後を微笑みながら歩いてくるソーナに抱き着かれるレイヴェルは説明を求める。

 

 

「何が目的なのですか?」

 

「目的? 友人と離れ離れになってしまうという同じ喪失感を持つ者だからこそ力になりたかっただけですよ? 奴等のせいで彼女はお二人と話すことすら禁止にさせられていると聞いてましたので」

 

「部長に恩がある以上、裏切る訳にもいかなかった。

でもやっぱり先輩とレイヴェルの事が好きだから……」

 

「よ、よく説得できましたね……?」

 

「案外普通に説得したら簡単に頷いてくれましたよ?」

 

(……。あんなガン決まりしまくってる目で言われたら頷くしかなかったんじゃないの?)

 

 

 妙にニコニコしているソーナのいかにもな『平和的な説得』にたいして、白音には見られるわけにはいかないと全力で姿を消した黒歌は、絶対まともなやり方で頷かせてないだろと突っ込む。

 

 

「やっぱりレイヴェルと先輩の匂いは優しそうで好き。

お日様みたいな……」

 

「お、おぉう……」

 

「あ、あの……そんな具体的に言われると普通に恥ずかしいのですが」

 

「…………………………。生き別れになった大切な人と似ているんです」

 

(…………)

 

 

 そう一誠とレイヴェルに其々抱きつきながら言う白音に、ソーナが意味深に微笑んでいる事に気づいた黒歌がびくりと反応する。

 

 

「………………。居るんでしょ? ねえ様?」

 

(!?)

 

 

 そう、二人から離れた白音の目が見えない筈の自分を真っ直ぐ捉えているのだから……。

 

 

「シトリー様から聞いたよ。

レイヴェルと先輩と一緒に居た事や、何らかの方法で他の人達に悟られないように姿を消して私を見守ってくれてたことも……」

 

(う……)

 

 

 そう言いながら一歩ずつ躊躇いの表情となる黒歌に近づきながら手を伸ばす白音の瞳から涙が溢れている。

 姉が無事だったことや措かれている状況故に隠れて見守ってくれていた事。

 

 確かに独りになった時は姉にたいして複雑な気持ちを持ってしまった。

 リアスの眷属になった時から姉を忘れようとした。

 

 でも結局忘れられなかった。

 一誠とレイヴェルから感じた懐かしくて大好きだった匂いがあったから。

 

 

「他の連中から見られないように細工してあります。

だから姿を見せてあげたらどうですか?」

 

「………」

 

 

 ソーナの言葉に嘘はないだろう。

 なんというか、今日のソーナは妙な凄味がある。

 だが今のこの複雑な立場の自分に会う資格があるのか? 見守ることは出来ても会う勇気がなかった黒歌は一誠とレイヴェルに視線を送る。

 

 すると一誠とレイヴェルは黙って頷いた。

 『ちょっと急な話かもしれないけど、今だけは隠れなくても良いと』

 

 

「……………」

 

 

 二人の無言の背中押しを受けた事で覚悟を決めた黒歌は、深呼吸をひとつ挟むと己のスキルを解除し、その姿を見せる。

 

 

「……………。えと、久しぶり白音……」

 

 

 自分の行動で不幸にしてしまった事への罪悪感で少し遠慮しがちな声である黒歌。

 そんな黒歌にたいして白音はただ黙って、最早二度とできないと思っていた姉に対して甘えるように抱き着く。

 

 

「あいたかった……ねえさま……!」

 

「白音……!」

 

 

 こうして姉妹は、まさかのソーナのお陰で本当の再会を果たす事になる。

 

 

「本当は乗り込んで10発ずつくらいリアス達をぶっ飛ばしてやろうかと思っていたのですが、彼女が居ましたのでボロクソに文句言ってやるだけに留めておきました」

 

「いやあの……色々と感謝しますけど悪いのはこちらなのですが」

 

「いえ、あくまでのこの町の管理を任されてる立場であって、リアスに町から追い出す権限なんてありません。

それを勘違いしたからなのもありますよ。

それに、リアスだって過去に何度か自分の思い通りにする為にルールを破ったりしてしましたからね」

 

 寧ろ半殺しにしなかっただけマシでしょう? と微笑みながら然り気無く一誠の手を握り出すソーナに、一誠は顔をひきつらせるのだった。

 

 

「という事なので褒めてくださいよ?」

 

「え、えーっと……」

 

「褒められる事と、さっきから一誠の手を掴んで頬を撫でさせてる事になんの関係があるのでしょうか……?」

 

「別に良いでしょう? 少なくとも私が夏休みを使って冥界に帰省でもしない限りは会えなくなるのですから……」

 

「意味はわかります。

しかし一誠の手を今度は御自身の胸に押し付ける意味は?」

 

「実はかなりドキドキしていることを知って貰おうかなと……。

そちらの黒歌さんやフェニックスさんと比べたら大分薄くて申し訳ないですけどね? ふふふ……♪」

 

「こ、この人多分ひんぬー呼ばわりしてもキレないタイプのメンタルだ……! つ、つよい……!」

 

「いえ、多分アナタに言われたら普通に泣いちゃうかもしれませんよ?」

 

 

 一誠に逆セクハラするソーナにレイヴェルは噛みつくが、開き直っているせいなのかあまり効果がなかった。

 

 

 




補足

ぷっつんした事で今まで隠していた本質を出し始めた会長。

例えるなら、野望の為に穏やかな最高議長演じてたパルパティーンさん的な。

スイッチ入ると『unlimited power!!!』てな感じにタガが外れるのだ。

指先からビリビリは出さないけど。


その2
そのタガ外れのソーたんのアシストによって白音たんと本当の意味で再会できた黒歌さん。


その3
その恩を盾に逆セクハラし始めるソーたんは、ひんぬー言われても笑ってスルーするぜ。

………多分一誠以外に言われたら『無限のパワーを喰らえぇぇっ!』するけど

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