色々なIF集   作:超人類DX

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基本お人好し

身内以外は疑ってかかるくせに何かお人好し。

ただし、『無いな』となった途端色々と躊躇いがなくなる。

あと年上女性へのナンパ率は0%更新中


お人好しな男二人

 

 

 

 あの日俺は全てを失った。

 全てを失ったあの日、俺は再起を誓った。

 

 再起を誓ったあの日、俺はこの世に存在するナニかを知った。

 

 存在を知ったあの日、俺は俺の様な者が出さない事を覚悟した。

 

 

 それが今の俺であり、それが無かったらきっと俺は普通に眷属を持っていただけの単なるボンクラだったのかもしれない。

 ある意味何も知らなかった方が幸福な事だったのかもしれない。

 

 貴族のボンボンとして呑気に生きる方が良かったのかもしれない。

 実際一度目の再起を果たした後の俺は心底腑抜けた事もあった。

 

 でも妹のレイヴェルがナニかに怯えた傷だらけの子供を連れてきた時、俺は思ったんだ。

 

 俺は俺の正しいと思った事の為に生きようと。

 

 この世界が外の存在を受け入れ、そして元から生きている人達の生を蹂躙することを良しとするのなら俺はソイツ等を残らず消してやると。

 

 俺やこの子供のような人間をこれ以上作らない為に。

 それが例え世界を見下す誰かの意に反していようとも……。

 

 それが俺の――一度全てを壊されたライザー・フェニックスの生きる意味なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「まさかソーナ・シトリーがあそこまでのガチ勢だったとはな……」

 

「ああ、見事に全戦全敗だったぜ。

しかも黒歌の妹も中々やるしよ」

 

「再戦の日までチップフォルダの選定をしないとな」

 

「おうよ、今度は負けないぜ」

 

 

 最近人間界に妹と義弟の様子を見に来ては遊んでばかりのライザーは、ちょうど一誠が見つけたガチ勢との通信対戦に敗北をした。

 

 

「ジゴクホッケーコンボはやべぇわ……」

 

「ネオバリアブルのエレメントソニックも100%成功させてくるしよ……」

 

 

 そういう趣味とは無関係の存在だと勝手に思っていたソーナ・シトリーのガチガチのガチ勢っぷりに為す術も無く負けてしまった義兄弟は、再戦までの間に鍛えなければと携帯ゲーム機をプレイしながら公園のベンチに座り込んでいた。

 

 

「3ならプラ◯トマンを積んだ方が良いな。

後スタイルはカスタム系統で……」

 

「こうして改めるとフォルダリターンってやべぇわ」

 

 

 天気の良い公園でやることではない様な気がするも、本人達は至って真面目な様子で既に二時間は居座り始めてから経過している。

 

 

「しかしあのソーナ・シトリーがなぁ……。

レヴィアタン様の妹だったという事だな……」

 

「妥協しないという意味では姉妹だなありゃあ」

 

「黒歌の妹も結構強かったが、ソーナ・シトリーは別格すぎた」

 

「黒歌は結構驚いてたけどな」

 

 

 既に畏怖すら抱いている二人はこうしてゲームに没頭し続けていると、遊ぶ子供達が増えたのか子供達の元気な声があちらこちらから聞こえてくる。

 その声を切っ掛けにそろそろ切り上げようとしたその時だったか……。

 

 

「あの……」

 

「「ん?」」

 

 

 公園を出ようとした一誠とライザーに後ろから話しかける声が聞こえ、振り返ってみるとそこには金髪緑眼の少女が……。

 

 

「え、誰?」

 

 

 どう見ても外国人の少女に対して当然見覚えなんて無い一誠ははてと首を傾げるが、反対にライザーは『あ……』と先日会ったばかりの少女を見る。

 

 

「キミはアーシア・アルジェントさんだったな?」

 

 

 当然昨日会ったばかりなので覚えていたライザーはその少女の名を口にすると、少女ことアーシアは花が咲いたように笑顔となる。

 

 

「はい! 昨日は本当にお世話になりました!」

 

「??? 兄貴の知り合いかよ?」

 

 

 ライザーの人間関係の極端な狭さを知っている一誠からすれば人間の少女と知り合いなだけでも驚く事であった。

 

 

「昨日話した道に迷ってた子だよ。

日本語が全く話せない」

 

「ああ……そういう」

 

 

 ライザーの説明に一誠はチラッと聞いた事を思い出して納得した。

 転生悪魔となっている身に慣れていた事で忘れていたが、現在こうしてこの少女の言っている事が理解できるのはその恩恵のひとつなのだ。

 

 

「それで、大丈夫だったのか? 遅刻して怒られたとかは?」

 

「え、ええ……凄く心配させてしまいましたけど」

 

「そりゃあ良かったな」

 

「はい! それでえっとそちら方は……確か兵藤さん……ですよね?」

 

「………は?」

 

 

 暫くライザーとアーシアのやり取りを眺めていた一誠だったが、唐突にそのアーシアと目が合うなり違う苗字で呼ばれて目が点になってしまう。

 

 

「?? 兵藤?」

 

「あれ? 昨日ライザーさんに教会の場所を教えて頂いた後私に話しかけましたよね……? それでお名前を……」

 

「??? いや違うというか……」

 

「………」

 

 

 知らない者からしたら『兵藤一誠』と霧島一誠の容姿は身長差以外は殆ど酷似している。

 今までこんな勘違いをされた事が無かったのもあり、少し戸惑う一誠にライザーが助け船を出す。

 

 

「俺と別れた後その者に話しかけられたその話は、直接見て貰わないと信じられないかもしれないが、昨日キミが会ったその彼とこの彼は別人だ」

 

「へ? でもお声もお顔も……」

 

「いやマジで俺昨日キミと会ってなんてないぞ。

それに俺は霧島って苗字だし……」

 

「え、では昨日の方はご兄弟……?」

 

「いや兄弟は俺には居ない……確かに同じ学校に引く程似てる兵藤って奴が居るけど、昨日キミに話しかけたのはソイツだぞ」

 

「…………はぁ」

 

 

 外見がそっくりの他人が居ると言われても当然そんな簡単に信じられる訳もなく微妙に疑われてしまった一誠は内心『ここに来て面倒な真似をし始めてるな……』と、再起の果ての再会から今まで何も仕掛けて来なかった『兵藤一誠』に毒づく。

 

 

「あ、でも喋り方は違う気がします」

 

「だろ? ……今度その兵藤を見せてやるから今はとにかく俺とソイツが別人と認識してくれると良い。

あ、俺霧島ね、霧島一誠」

 

「な、名前も同じなんですね……?」

 

「まさかの奇跡だろ? 俺もびっくりしたもんだ」

 

「はあ……」

 

(そんな反応になるか、知らない者からしたら)

 

 

 流石に胡散臭そうにするアーシアを見てライザーは思いつつ話題を変えようと口を開く。

 

 

「それより今日はどうした? まさかこの場所から教会への戻る道がわからないって訳じゃあないだろう?」

 

「さ、流石にそこまで方向音痴ではありませんよー……。

道を覚えようとお散歩していた時にライザーさんと兵藤――あ、すいません、霧島さんが真剣なお顔でベンチに座っていたのを見つけたのでお声を……」

 

「そうだったのか。

ちょうど俺達は帰る所だ……キミも暗くなる前に教会に帰った方が良いぞ」

 

「え……はい」

 

 

 微妙に素っ気ないライザーの対応にアーシアは初めてこの国で親切にして貰った事もあってなのか微妙に傷つく。

 

 

「で、では……」

 

 

 しかし心配して貰っての言葉だと前向きに捉えようと思うことにしたアーシアは改めてお礼を言いながら帰ろうとすると、ベスト過ぎるタイミングでアーシアのお腹の虫が微妙に可愛らしく鳴ってしまって思わず赤面してしまう。

 

 

「腹減ってるのか?」

 

「あ、いや……」

 

「折角だから何か奢ってやればよ兄貴?」

 

「は? 何で俺が……? それに帰ったら飯食えるだろう」

 

「見た目そんなチャラいのになんでそう取るんだよ? これも何かの縁って事で良いじゃんか?」

 

「い、いえいえ! すぐに私は帰れば良いですし、これ以上ライザーさんのご迷惑には――」

 

 

 慌てる事でエネルギーを消費してしまい、またお腹の虫が『メシクワセロ』と鳴る。

 

 

「あぅ……」

 

「ほら」

 

「……。まあ空腹は辛いし、仕方ないか……」

 

 

 内心『俺等悪魔なのに、ヤバイだろ』と思うが一人の人間として考えてあげたら空腹は辛いと思ったライザーは悪魔であることを秘密にし続ける事を誓いながら彼女の小腹を満たしてあげることにした。

 

 

「レイヴェルと黒歌も呼んでやれ。

女の子同士の方がこの子も気楽だろ」

 

「それがレイヴェルと黒歌は唐突に『女の修行』と言い出して二人で出掛けてしまったんだよ。

料理の腕でも上げたいのかね?」

 

「…………そうではないし、そうなったのはお前のせいだろそれは」

 

「俺? なんで???」

 

「…………。まあ良いさ、それならたこ焼きが食いたい気分だから屋台探すぞ」

 

「お、お世話になります」

 

 

 こうして勢力としては正反対で敵対関係に部類する少女と何故かたこ焼きを食べに行くことになったライザーは、この義弟が後ろから刺されないかを心配するのだった。

 

 

 

 

 

 

 気になる先輩の趣味を知って以降、手を出してみたら結構はまってしまった塔城小猫は、昨日の対戦を経て少しは仲を深められたと思うことで大分機嫌の良い一日となっていた。

 もっとも、一誠と同じ趣味どころかガチ勢レベルの腕前だったソーナに持っていかれた感はあったものの、それでも前よりは………なんて思いながら夕飯の買い物を出掛けていた小猫は見てしまった。

 

 

「あれは……兵藤先輩?」

 

 

 気になる先輩と殆ど同じ容姿だが匂いの違いで判別可能になった眷属仲間の青年の姿を発見した小猫は、挨拶をすべきかと一瞬迷いつつも取り敢えずしようと近付こうとしたその時だった。

 

 

「え、霧島先輩とライザー・フェニックスさん?」

 

 

 その兵藤一誠の視線の先には先日の対戦で会ったばかりの霧島一誠とライザー・フェニックスの姿があり、何故兵藤一誠がそんな二人をまるで監視するような目で見ているのかわからなかった小猫だったが、それ以上にその二人が全く見知らぬ――しかもシスター服を着た金髪の自分達と同年代くらいの女子と談笑しながら歩いているのを見てしまった。

 

 

「だ、誰?」

 

 

 当然小猫は知らない。

 金髪と言えば小猫にとって浮かぶのは、嫌味なお嬢様のレイヴェル・フェニックスだがあのシスター服の女子は絶対に見覚えなんてなかった。

 前々からの知り合いの線もあったが、格好がモロに冷戦状態の勢力の者のソレだったのでありえない。

 

 故に小猫はそんな三人をこっそり追っている兵藤一誠の更に後ろからたこ焼き屋の前で立ち止まって購入している三人の姿を追うことにした。

 というのもその金髪の女子が妙に楽しそうなのがちょっと気にくわないので。

 

 

「たこ焼き……美味しそう」

 

 

 しかもたこ焼きを食べてる。

 見た目に反して相当な大食いな小猫からしたら実に羨ましいし美味しそうな光景なのだ。

 その時点で何故兵藤一誠が若干殺気混じりでライザーと霧島一誠を見ているのかという疑問は消し飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 アーシア・アルジェントは孤独なぼっちに近い人生だった。

 他を癒す力をもって生まれた事で最初は聖女なんて持て囃されたかと思いきや、知らなかったとはいえ傷ついた悪魔を癒したせいで今度は異端扱いされ。

 それでも挫けず主への信仰を信じていたら厄介払い同然に異国の地へと追いやられ……。

 

 割りと不運な人生でもひとつ希望――つまり信仰する神の存在をひたすら信じ続けて来たアーシアにとって久しぶりとなる見返りの無い親切だった。

 

 いや、きっと当初はめんどくさがられていたけど結局は助けてくれた自分とは少し毛色の違う金髪の男性と、ちょっと色々と不明な点の多い歳の近そうな男の子。

 

 この国に来て初めて親切にしてくれたという意味でも、空腹の自分に食べ物を恵んでくれたという意味でも忘れない相手になったのは言うまでもないのだけど、何よりもこの二人とのお話は楽しいのだ。

 

 

「あ、美味しい……!」

 

「あの店の主人、また腕をあげたな」

 

「外はパリッ! 中は半熟! そしてタコのあんよ! うますぎるっ!!」

 

 

 たこ焼きなる未知ながらも美味な食べ物を食べさせて貰えた。

 でもアーシアは知らないのだ。

 この二人が悪魔であることを。

 

 何故なら食べる前のお祈りをしても二人は特に顔色も変えなかったし、十字を切っても無反応だったのだから。

 だからアーシアはよもやこの親切な二人が悪魔だとは思わなかった。

 

 

 しかしアーシアは後に知るのだ。

 

 ライザー・フェニックスという生粋の悪魔が悪魔の中でも大きく外れた道を歩く異端の悪魔であることを。

 

 

「お!? 見ろよ兄貴! あそこの女の人結構良くないか?」

 

「うーむ、微妙に崩れてる腰回りがなんとも言えないな……」

 

「??」

 

 

 後に知る事になるアーシアはまだ知らない。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 悪魔であるライザーと一誠が教会のシスターと仲良く遊んでいたという情報を普通にリークされてしまった事で、そこら辺の関係性がかなり敏感な事もあって呼び出しをくらってしまう羽目になった。

 

 

「ウチのイッセーが昨日、アナタ達二人が教会のシスターと遊んでいた所を見たと言っていたわ」

 

 

 この町の管理を任されてる身故か、少々威圧的に問い詰めてくるリアス・グレモリー

 だがしかし……。

 

 

「外交問題に発展するような真似はしちゃいないし、単にたこ焼き食ってただけだ。なぁ一誠?」

 

「ええ、後エグゼの対戦対策について話してただけですな」

 

 

 とんでもない異端―――言い換えたら貴族とは思えない不良っぷりであるライザーと、執事モードとなっていた一誠はそんなリアスの威圧を前に平気な顔をして流そうとしている。

 

 

「それだけではなく、最近人間の女性にちょっかいをかけていると……」

 

「ちょっかいじゃない、人間の人妻をお茶に誘おうとしていただけだが?」

 

「何かご不満でも? 情けない事に、私もライザー様も全部玉砕してしまっていて結局はなにもできていません」

 

『…………』

 

 

 この不良っぷりがとにかく嫌いなリアスは、何故兄達がこの学園に通うことを許可したのか未だに納得できない気分を隠すこと無く、そのシスターとの接触はやめろと命じた。

 

 が、結局その後もライザーと一誠――それどころか霧島一誠の主であるレイヴェルまでもそのシスターと関わるようになってしまった。

 

 

「部長が怒っていますし、正直私も反対です」

 

「立場の問題がってか? 生憎俺も兄貴もどうしようもねぇチンピラなもんでね」

 

「ああ、俺達の生き方は俺達が決める。

誰かの決めた正しさには興味がない」

 

「まったくウチの男二人は……。

ですが、そういう事ですわ塔城さん」

 

「…………」

 

 

 そんな状況の中、アーシアは教会――という名の堕天使達の巣窟によって神器を抜かれて命を失う。

 

 

「異端のフェニックスが何しに来たのかしら?」

 

「そこの子と知り合ってから同族には余計毛嫌いされるし、ここで隠れてる神父もどきに襲撃されるしで、俺達は今頗る機嫌が悪いんだ」

 

「つまりだ――運が悪かったんだよ、お前等堕天使は」

 

 

 リアス達が動き出す前に、特攻をかます火の鳥達によりリアス達が到着した頃には全てが更地にされていた。

 

 

「よくも勝手な真似をしてくれたわねフェニックス……!」

 

「ここまではぐれ化した堕天使に手出しできないキミの立場を考慮して身軽な俺達が勝手にやった事は否定しないな」

 

「待ちなさい! そのシスターをどうする気!?」

 

「この子としてもあんな死に方は望んでは居ないだろう。だからレイヴェルの眷属として悪魔に転生させるつもりだったが、レイヴェルと一誠に強く推されてな――俺は眷属をこれまで一人も持たなかったから駒なら無駄に持て余している」

 

「まさかアナタの眷属に――」

 

「待てライザー・フェニックス! それならアーシアはリアス部長の駒で転生させるからこちらに渡せ!」

 

「――って、な、なにを言ってるのイッセー!」

 

 

 アーシアを巡っての小競り合いが発生したりと、ここに来て平行線だった関係が一気に傾き始めていくことに。

 

 

 そして……。

 

 

「じょ、冗談じゃないわ! 何で私がライザー・フェニックスと婚約しなきゃいけないのよ!? 絶対に嫌!」

 

「だ、そうですよグレイフィア様。

正直俺もこんな小娘にはなんの興味もありません」

 

「はぁ!? 何でアナタに小娘なんて――」

 

「―――――少し黙っててくれるかなお嬢さん?」

 

「うっ!?」

 

「(…………たった一言で場の主導権を取りましたか)

ではどうするおつもりですか? 私としましては両者の意見が纏まらなければレーティングゲームで決着をと思いますが……」

 

「冗談でしょう? 俺は眷属を一人しか持っちゃいないし眷属をこんなしょうもない小競り合いに駆り出すなんてしたくもない。

まあ恐らくはこのリアス嬢の経験を積ませる為にこんな騒動に発展させてゲームに持ち込ませようという腹積もりなのでしょうが……」

 

「……………」

 

「良いでしょうその乗れば沈むとわかる泥船に敢えて乗りましょう。

しかし乗るからにはこちらにも条件があります」

 

「条件……ですか?」

 

「まず一つ、私には正式な眷属は一人しか居ない。

故に最低あと二人程臨時で加える事を許可して頂きたい」

 

「……。ライザー様は申しておりますがいかが致しますかリアスお嬢様?」

 

「………べ、別にそれくらいなら」

 

「畏まりました。お嬢様の同意を得られたので許可致します」

 

「どうも。

そして二つ目ですが、これが最も重要であり、私がもしも勝った場合はとある転生悪魔の罪を『完全無罪』にして頂く」

 

「………………………それはどういう意味でしょうか?」

 

「詳しくは私が勝てた後に全て話しましょう。

どうです? もしこの条件が飲めないというのなら、こちらもゲームには参加しませんし、なんなら別に興味もないこの小娘との婚約も同意してしまいますがね?」

 

「うぐ……! さっきから勝手な事を……! 飲んで頂戴グレイフィア! 負けなければ良いのよ!」

 

 

 ライザー・フェニックスはガチとなる。

 

 

「よし! とんだチャンスに巡り会えたぞ。

もし勝てれば魔王様直々に黒歌の無罪を約束させる事ができる!」

 

「やけにやる気になっていた理由はそういう訳でしたか……。

しかし何故リアス・グレモリーと婚約等という話になっていたのでしょうか?」

 

「それは建前であって、恐らく向こう側はリアス・グレモリーに発破を掛ける為の当て馬として俺を選んだに過ぎないだろうな」

 

「それはそれでムカつく話だが、黒歌の件はもし魔王様がそれでも無理だと反故にしたらどうするんだ? 下手したら無罪にできないまま黒歌の存在をバラすだけになっちゃうぜ?」

 

「その時は『わかった』と言うまで『わからせる』だけだ。簡単だろう?」

 

「さすが……! へへ、やる気出たぜ俺も……!」

 

「私に皆してそこまで……」

 

「そこまでするさ。

俺とレイヴェルと一誠にとってお前はもう身内なんだからな」

 

 

 こうして不良貴族と見なされてきたフェニックスの三男は知らしめるのだ。

 地獄の底から這い戻った超越者の姿を。

 

 

「それに、いい加減一誠の過去も終わらせてやりたい」

 

「別に俺の事はどうでも良いけど、未だにアーシアに絡もうとするのはうっとうしいと思ってたからちょうど良いぜ。

久しぶりにマジになれそうだしよ?」

 

「主への信仰はできなくなりましたけど、今の私はそれでも幸せです。

だから私も皆さんともっと一緒に居たいです」

 

 

 チームD×F・・始動。

 

 

「あのさ、もし無罪になったらお祝いしてよ?」

 

「祝い? なんだよ?」

 

「えーっとねー……私とレイヴェルに色々して欲しいとか?」

 

「黒歌さんとというのは少し癪ですが、このままではソーナ・シトリーだ黒歌さんの妹に負けてしまいますからね」

 

「負ける? なんだ、ロ◯クマンの対戦か?」

 

「違いにゃん! でもある意味『通信対戦』ではあるかなぁ? ねーレイヴェル?」

 

「お、おほん! ま、まあそういう事ですので絶対に逃げない事! 良いわね一誠!?」

 

「んー? よくわからんけどわかったぞ」

 

 

 生徒会長ではなく風紀委員で執事な一誠と鳥猫さんも始動。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな生き方だから勘違いさせてしまってるようだが―――フェニックスを嘗めるなよ小娘共。フェニックスの炎と風を操る意味を教えてやる」

 

「!? 空気を振動させてる……!?」

 

「ここがゲーム会場用の空間であることに感謝だなァ!!」

 

 

 

 ライザー・フェニックス

 

 夢想家(アンビジョン)(理想を現実に変える)

 

 魔力性質・炎&風(覚醒)

 

 覚醒魔力・風 大気そのものを振動させて地震を発生させる。

 

 覚醒魔力・炎 癒しと破壊の力が付与される。

 

 

 

 

 

「その内アンタとは一度決着つけたかったと思ってたんだよ。

なぁ、俺の成り代わりの人生ってそんなに楽しかったか?」

 

「黙れ! 俺が本物の兵藤一誠だ! お前さえあの時死んでいればこんな邪魔も無かったんだ!!」

 

「別にその名前も立場もくれてやるさ。

けどこっちもこっちで勝たなきゃならない理由があるんでね、マジでやらせて貰うぜ――――なぁドライグ?」

 

『当然だ。八つ裂きにしても足らんくらいだ!』

 

 

 霧島一誠

 

 再燃翔(ウロボロスリバイバル)・全てを作り替えるスキル

 

 

『融合するぞ一誠』

 

「アレをやるって、お前の口から聞けるなんてよ―――最高だぜドライグ」

 

 

 赤龍帝(新)

 

 

「な、なんだその姿は……!? そんなの原作には……!」

 

『オレか? 俺は霧島一誠でも赤い龍でもない、オレは貴様はをぶちのめす者だ……!!』

 

「ごはっ!? (な、なんだ……!? 目を見開いた瞬間凄まじい衝撃が……!?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何でだ!? 俺はチート能力持ちの筈なんだぞ!!!」

 

『そのチート能力とやらをオレが越えただけの話だろ? 一々それくらいで狼狽えるなよなぁ?』

 

「黙れ! 殺してやる! 殺して―――」

 

『さぁてと、こんな茶番もそろそろ飽きたし、月並みだがオレの必殺技を見せてやるか!』

 

 

 

 

 

 

『先に地獄に行ってな……! ウルトラ・ビッグバン・ドラゴン波ァァァッーーーー!!!!!』

 

 

 

嘘です

 

 

 

 

「ね、ねえさまがどうして先輩達と一緒に……?」

 

「話すと長いのよ。

それでその……色々とごめん……私のせいで要らない苦労掛けちゃって」

 

「なんとかこの通り生きてはいますから……。

でもさっきから何故先輩にくっついているの?」

 

「へ? ああうん……自由になれたしそのお祝いとしてこれからレイヴェルと一誠の子種を接種しようって約束を……」

 

「は!?」

 

「ぶっ!? おいちょっと待て!? お祝いってつまりそういう事だったのか!?」

 

「そうよ? ねぇレイヴェル?」

 

「ええ、なので食い気ばかりのお子様には見せられませんのでさっさと帰りなさいな?」

 

「お、おいやめろ!? 俺は人妻とか年上のお姉さんが――うぷぷぷっ!?」

 

「やん♪ もー一誠ったら我慢できないからってこんな所でおっぱい吸っちゃ恥ずかしいにゃん♪」

 

「むーむー!!!!?」

 

「まったくお子様なんだから一誠は。

ほら、何時までも見てないでさっさと帰りなさい? お子様には早いですわよ?」

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 

 嘘ったら嘘




補足

シリーズ全体でも影が薄いまんまのこの子は多分きっとこのシリーズが続けば濃くなるかも。

というか、戦う回復役に転身するフラグがある。

今後現れる悪魔祓い二人をこの時には初見で蹴散らせる程度には……。


その2
このシリーズでは無神臓でないです。

作り替えるスキルです。
それはつまり…………


その3
一度過去に一誠と同じ地獄を見た事があるこのライザーさんはお人好しだけど身内以外はほぼ信用しません。

でもお人好しなので彼のそういった面を知った子には懐かれる模様。

そして再起の為にどこぞのバアル君でもドン引きするレベルの鍛練に没頭しまくった結果、生まれながら持っていた血筋の力を進化させ、スキルにも覚醒。

 全力で魔力を解放したら多分星そのもの逝きかねない。

その事実を知るのはフェニックスの家族達と一誠と黒歌のみ。


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