………………。先にごめんなさい。
直後をおまけとして追加しました。
白音ちゃんのお姉ちゃんである黒歌さん。
主に乱暴されそうになったという理由があって逃げてしまったという理由ではぐれ悪魔になっちゃったらしい。
黒髪金眼。
白髪金眼である白音ちゃんとの違いは髪の毛の色だけじゃなく、グラマスな体型をしてて着物っぽい服を無意味に着崩してるせいで無駄にエロいと個人的に思うよ。
んでまあ、そんな彼女を……はぐれ――つまり指名手配されている状況を何とかする為には、彼女のそれまで歩んできた人生を妹の白音ちゃんと同じく逃避させるというんだけど、ちょっとばかし問題がある。
「嫌がらせ目的なら誰彼構わず出来るのに、ポジティブな使い方をしようとすると出来ないとは……うーん、盲点だったね」
「……………」
「やっぱりマイナスですね……」
そう……白音ちゃんと同じ様に、黒歌さんを知る者が居るという現実を否定し、妹の白音ちゃんと御褒美目的の俺以外の全てがこの姉妹の名前すら知らないという幻実に逃げてやろうとスキルを発動させてみたのだが…………結果出来なかったのだ。
どう言えば良いのか分かりませんといった感じの表情を浮かべてる黒歌さんと、一人納得しました的な顔をしてる姉妹を尻目に、俺は何でやねんと考えてみた結果……。
「あ、そっか。
俺って別に白音ちゃんのお姉ちゃんが好きじゃないからだ」
という結論がティンと頭の中で浮かび上がり、物凄く納得出来た。
ほら考えてみなくても、この黒歌さんって人の事知らないしね……え、裸エプロンの提示出されたらヤル気を出したじゃねーかだって?
いやぁ、アレは男の子としての健全な反応だろ? ほら、若干残念な人だけど見た感じはこの人の元主とやらが悪戯したくなるのもわかるってーの? 俺は悪戯なんてしないけどね。
「にゃ……」
「あれ? 私が予想したのと違う……」
二人に聞こえる声で好きじゃないと言い切った俺を見て、黒歌さんは何かショボくれてしまい、白音ちゃんは予想が外れたと意外そうな顔をしている。
一体何を予想してたんだろうね、白音ちゃんは。
「何と無くですが、黒歌姉様のはぐれ悪魔としての知名度の高さ的な事情で、広範囲過ぎてスキルが発動出来ないと思ってました」
「それはあんま関係無いかな。
やっぱり一番はこの子をずーーっと独り占めしてやりてぇ……的な気色悪い気分にならないからだね。間違いない」
寧ろ逆だ。
俺のスキルってどうやら次元世界規模らしいんだよ。
なんせ事象を否定して書き換えるって感じだし。
なので、それは違いまっせと教えると、コクコクと頷きながら聴いてくれていた白音ちゃんは突然『え?』とちょっと驚いた顔をしていた。
「それってつまり……先輩は私が好きなんですか?」
え、何で今更感満載な質問をするんだよこの子は?
そんなもん――
「うん、そうだよ?」
白音ちゃんは好きだよ。
そう普通に答えてあげると、何でか知らないけど白音ちゃんはジトーっとした目付きで俺を見る。
え、え? え??
「……。毎回先輩は『俺とキミがそんな関係になれると思う? 確実に不幸になるぜ』と言ってのらりくらりと逃げてましたよね?」
…………?
…………………あぁ、言ってたな。
いやそれはさ……。
「うん、そう思ってるし今も変わらないけど、それと俺が白音ちゃんを個人的に好いてるのは別だよ。
でなければとっくに、どんな手を使ってでも家から叩き出してるしね」
「……………」
確かに俺は白音ちゃんの言うのらりくらりの繰り返しをしてたけど、だからといって俺は白音ちゃんが嫌いって訳じゃない。
そうじゃなきゃ、今言った通りとっくの昔に家から追い出してる。
そうじゃなきゃ、白音ちゃんが逃げる手伝いなんてしない。
そうじゃなきゃ――――
「この際だし言っとくけど、白音ちゃんは他人で俺に優しくしてくれる唯一の子なんだぜ?
そりゃ、密かに好きにはなるよ……けど、ほら……俺と一緒に居たらロクな事にならないだろ? だから誤魔化してきたんだよ。
正直、毎晩毎晩寝てるとなりで若干エロい寝息聞かされるこっちの身にもなってほしいよね」
まあ、好きってベクトルが俺的には友人の延長感覚であるわけなんだけど。
「……。気はあったんですね」
「まぁね。ああでも大丈夫だよ。
俺はこう見えて紳士的だからこの先絶対に手を出すことはないから。
そんな馬鹿な真似して友達を失いたくはねーしぃ」
「いや、そこは出してくださいよ。好きなんでしょう?」
「好きだよ? 友達って意味――いでぇ!?」
マトモに答えた筈なのに、何故か俺は鼻に物凄い激痛と衝撃を受けた。
その理由は、ちょっと……いやかなり怒った顔をした白音ちゃんが持ってたコップを俺の顔面目掛けて投げ付けてきたのだ。
そりゃあ痛いし鼻血も出てしまう…………まあ、痛いから逃げるけどね。
「本当に今ほど、馬に蹴られて地獄に落ちて欲しいと思うことはありませんね」
「あはは……ごめん」
「構いません。少なくとも全く脈が無い訳じゃないと分かったので」
鼻を擦りながら謝る俺に、白音ちゃんは大きくため息を吐きながらも許してくれた。
あぁ、やっぱ良い子だねこの子は……ふふ…………っとしまった、今はこの黒歌さんの話だったぜ。
いかんいかん、話がずれてしまった。
「まあだから要するに、黒歌さんを今の現実から逃走させるのは、ちょっと今は難しいかなぁ……って」
そう……幻実逃否を実行させるには、俺のマイナスをマイナス成長させなければいけない。
こう……白音ちゃんを逃避させたあの時持ったドロッドロした気持ちにでもならないとならくちゃあならんし、残念ながら黒歌さんにそんな気分にはなれない。
それが例え……。
「む……姉様が今から裸エプロン姿になってもですか?」
「にゃ!? や、やっぱりやらないと駄目?」
俺のやる気スイッチを実によく知る白音ちゃんの容赦なしの提案に横でションボリしてた黒歌さんがビクッと身を震わせている訳だが…………。
「ちょっと無理かも。
いや、元々黒歌さんが嫌いって訳じゃないんだけどさ。
だからといって別に好きって訳じゃないもん。
裸エプロンについてはホラ……男の性がそのまま出ちゃっただけだしねー」
「じゃあ姉様を好きになれば何とか出来るんですね?」
「まぁねー」
そんな日が来るのが何時になるかは分からんがね……。
手をヒラヒラさせながら白音ちゃんの質問に適当な返しをする俺。
ま、無理だろうけどね……。
大体この黒歌って人は俺が嫌いだろうし、俺も俺で正直……ねぇ。
「にゃ……」
「元気を出してください姉様。
先輩はちょっと優しくするとコロッといくチョロイ性格ですから、直ぐにでも――」
「おーい白音ちゃーん? そういうのは本人が居ないときに言うべきだと思うぜ?」
まあ、姉の安全の為だから頑張るのは分かるけどね。
しっかしまあ……俺みたいな無能にすがらなくちゃならんほどに追い込まれた人生送ってるだなんて、やっぱしハードな人生だよなぁ。
「まあ、誰かに追い込まれでもしたら咄嗟に発動出来るかもしれないから悲観はしないで良いよ。
例え残念ビッチなお姉ちゃんでも俺は嫌いではないからね」
「だ、だから残念ビッチって言うな!」
「あれ、白音ちゃん曰く『常時盛ってる』んでしょ? じゃあ残念ビッチじゃないか。
大体前にも言ったけど、召し物を着崩して胸を強調させてる時点で情婦と言われてもしょうがないと思うけどなー俺はー?」
「こ、これは……アレだにゃん……えと……その……ふ、服のサイズを間違えて……」
「間違えたなら別のに着替えりゃ良いじゃないか。
言われても数分でまたその格好になるって事は、露出狂の気でもあるんじゃないの?
こう、見られて嬉しいにゃー! みたいな。
ねぇそうなんだろ?」
「ち、違うにゃ……違う……にゃん…………ふぇ……」
「おおっと、図星突かれ過ぎて泣きに入ったぜ。
おいおいおいおい、泣いちゃうの? 雑魚中の雑魚に泣かされて悔しくないの? ん?」
「ぁ……ぁぅ……ヒック……エグッ……な、なかないにゃん……」
……………………。あ、なんだろ。楽しい。
初めて見たときはからそうだったんだけど、どうもこの泣きに入りそうになる顔見てるとゾクゾクして仕方ねぇ……。
「ど、どうしてそんないじわるするにゃ? なにか悪いことをしたならあやまるにゃ……。
裸エプロンだって着てあげるにゃ……」
「着てあげる? いや、別にいらねーよ。
あ、そっか……キミは見られてビックンビックンする変態ちゃんだったね。
そうだよなぁ……ビッチだもんなー?」
「ち、ちがっ……」
「ほう、違うのなら説明してごらん? その説明で納得出来たら土下座してやるぜ?
その代わり言えないのなら、そのまま自分の口で『私は見られて悦ぶ変態猫です』って言ってね?
ほら早く……………早くしろよ」
「……………………にゃぁ……」
あれ変だ。
なんか知らないけどエンジンが掛かってしまった気がするぜ。
白音ちゃんはどういう訳か知らないけど見守ってるだけだし…………まぁ良いか。
そろそろ終わりにしてあげないとちょっと可哀想になってきちゃったよ。
「ゎ………」
「え、なに?
ああ、ちょっと流石にやり過ぎたよ。ごめんごめん、冗談だから別に言わなくて―――」
ほぼ冗談だし、そろそろ本気でやり過ぎたから謝ろうとした矢先……俺はもしかしたら取り返しの付かないことをしてしまった…………そう思う他無い一言を彼女から貰う羽目になった。
思えば最初っから気に入らなかった。
私以上に白音に好かれているあの男……イッセーが。
変な力を持ってて、それがどんなに取り返しの付かない力でもアイツは一切の制御をする気無しで、白音を……私とあの男以外の白音を記憶する全てから逃げてしまうという、物凄い力の使い方をしたと白音から聞いた時は、単なる人をおちょくるだけの馬鹿では無かったんだと思い知らされたのと同時に悔しかった。
そんなアッサリ白音を救ったその力もそうだが、何よりも白音の心を簡単に取ってみせたそのムカつくとしか思えないキャラ。
そして何よりも、私におくびもなく……ビ、ビッチと言ってくる後先考えない性格に。
勿論それは、白音と同じように私の今居る立ち位置から逃げさせて欲しいのと、これ以上白音を取られたく無いという理由でアイツの根城に押し掛けた時もそうだった。
散々おちょくって、私を半笑いでビッチと連呼した時は悔しくて泣きたくなった。
しかし我慢しなければ私は自由になれないからと、私は泣きながらも我慢したし、裸エプロンとやらの姿にだってなってやるつもりだった。
でも、飽きっぽいのと気紛れすぎる性格なアイツは、そこからも散々私を翻弄したあげく、私をなじって笑っていた。
悔しかった……出来れば今すぐにでも殺してやりたくなるほどに悔しかった。
けれど、アイツの持つ力は死という現実からも簡単に逃げることが出来て実質不死身なので、私にはどうすることも出来ず、ただただ小バカにしてくるアイツに耐えるしかなかった。
そう………耐えるしか無かった筈なのに……。
何度も何度も短時間で嫌というほどなじられた私は――
「わ、私は……イッセーになじられると悦ぶ……変態駄目雌猫にゃ……。
そ、その……だから……も、もっといじめて欲しい……にゃ……」
「……………も?」
段々悔しさが薄れ、代わりに気持ち良いと思い始めていた。
いやというか…………多分もうコイツになじられないと物足りなくなってしまっていた。
だからもう、変態と言われても何でもコイツにくっついてしまおう……私はお腹が熱くなる感覚を覚えながら、ビックリした顔をして見下ろしてくるイッセーに懇願したのだ。
「……。ごめん、俺の耳が変になったかも……」
「変じゃないにゃ、変態で良いからこれからもいじめて欲しいにゃぁ……」
「…………。白音ちゃん白音ちゃん。キミのお姉ちゃんが変になった……」
どうせなら、本当に気持ちよくなるくらいになじりまくって欲しいと。
「変にしたのは先輩のせいですよ。
これはもう責任取って私と姉様の二人を養ってくださいね? 死ぬまで」
「……………。まさかとは思うけど、何時まで経っても止めに入らなかったのって……」
「いーえ? 私は何にも考えてませんが? 先輩が楽しそうだったからついつい止めずに居ただけですよ………フフ」
「あ……そう……」
白音に良い笑顔を向けられ、顔をひきつらせてるイッセー……。
うにゃ……。
「白音にばっか構わないで、早く苛めてにゃ……。
変態でも何でも良いから早く……」
開き直ってみると案外簡単に受け入れられる。
それどころか、早く虐め倒して欲しいとすら思う。
……。何でもっと早く気付かなかったのか……やっぱり私は残念な性格なのかもしれない。
そう思いながら、ちょっと困り顔で私を見つめているイッセーの脚にすり寄ってみると、イッセーは……。
「ちょ、ごめん……いやホントごめん。
なんなら今すぐに俺を気の済むまでぶち殺して構わんからさ……な? 戻ろう? キミのキャラじゃないだろそれは?」
どういう訳か、ちょっと必死な顔をして私の肩を掴んで揺さぶって来た。
「? 戻るってなぁに?
私は最初からこんな性格だにゃ。
イッセーに指摘されたりなじられたりしてやっと自覚しただけで、本当に私は虐められて悦ぶ変態な雌猫――」
「いや違うって。ホントマジで悪ふざけし過ぎたから。
ね、ね? 戻ろうぜ、まだ間に合うからさ。
あ、そうだ幻実逃否……キミの性格は本来に戻る―――っと、ほらどうだ?」
どうだ……と言われても……。
「別に変わらないにゃ」
何が変わるわけでもないにゃ。
「……。んなアホな。
「ん、早く虐めてにゃ。
あ、そうだ……裸エプロンになればもっと虐めてくれるのかにゃん?」
「いや要らねーよ。
チッ、マジで残念ビッチだったのかよ……」
っ!? そ、そら来た……。
その蔑む様な目と言葉……あは、あはは、あははは♪
「ちょーだい……ちょーだい……!」
白音が言うには、イッセーは持ってる力は凄いけど身体は物凄く弱いらしく、気が付けば身体の熱さを冷ますために、イッセーを押し倒した。
「はぁ、はぁ……はぁ……ちょーだい……! もっと、もっと……欲しいよ……!」
「ぐへ!?
な、何だよこの人……訳わかんねーな!」
「お腹が熱いんだにゃ……! だから欲しいんだにゃん!」
「何がだよ! さっきから煩いな!」
「はぅ!? し、しろねぇ……!」
モウダメダ……アタマがクラクラスル。
ワタシのメノマエハ……オスが……!
「……。計画通り……とは言いませんが、まあこれで先輩は完全に言い逃れ不可能ですね」
「なにが!」
「いや、よく姉様を見て考えてください。
完全に目がイッてますし、その原因は先輩です。
さて問題、この中で一番弱いのは誰でしょう?」
「…………。俺だけど」
「正解です。そんな先輩にご褒美として姉妹丼をプレゼントします」
「…………は?」
「ほら、先輩が持ってた本に出てくる更○楯○ってキャラクターに妹が居ましたよね? 確か○識簪……でしたか。
まあ、どう頑張っても先輩がそのキャラクターに会うことなんて無いですし、私達で我慢してくださいね?」
「な、何を……?」
「ナニを……ですよ」
「え、待って。俺は言ってることがスケベだけどリアルに来られると困るんだけど。
ねぇ、やめろって、大人じゃないんだから――」
「今から大人になるんですよ。
大丈夫です、痛いのは私と姉様なんですから」
「はぁ……はぁ……!」
「ちっ、幻実逃――っれ!?」
「先輩のスキルって、ある程度イメージをしないと発動しないのでしょう? なら、イメージさえさせなければ何の問題も……ない」
「い、痛いとこ突いてくるじゃんか……はは、ははは! くそ、やっぱり勝てなかったぜ………あはははは!」
BAD END
補足
……。二人で一夏? し、し、知らんなぁ?
その2
まあ、所詮はマイナスだったと!
続き? 別板になるから無いです
っと、活動報告にちょいとした意見募集をしますので、よろしければ答えてやってくだせぇ。