色々なIF集   作:超人類DX

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デデーン!! となりましたとさ


ダメ押しの一撃

 

 

 

 8年前の悪夢。

 

 たった二人の堕天使と人間の子供が与えたダメージは悪魔達にとっては深かった。

 

 それから8年後の今日……。

 

 

「地獄へ行け! 雷撃地獄玉ッッ!!!!」

 

 

 

 子供から更なる進化を果たした人間の青年一人によって再び破壊される事になる。

 

 悪魔がこの世においてどれ程の強さであるか等について考える必要はまったくない。

 必要だから消し飛ばす――喧嘩を売られたから買ったまで。

 

 例え0.1%であろうとも朱乃の脅威に繋がると思えた時点で排除の対象と変わるのだから。

 もっとも、消す対象は一応自分が理由でもあるシトリー家の連中な訳であって、その他についてはどうでも良い……。

 

 

「へぇ……?」

 

 

 邪魔をするのならその限りではないが……。

 

 

 

 

 

 

 

 8年前よりもより強大さと極悪さを兼ね備えた人間の少年の放った赤黒い雷鳴の一撃は冥界の都市部を破壊した。

 咄嗟に魔王のサーゼクスと上層部の悪魔達が可能な限りの魔力のバリアを展開させた事で壊滅的なダメージこそギリギリに抑え込んだものの、たった一人の人間――赤龍帝の少年に対して不利なのは変わらない。

 

 

「火事場の馬鹿力ってのはやっぱし馬鹿にはできないな。

とっさの状況でここまで防いでくれるとは恐れ入る。

腐っても悪魔って事だな」

 

『…………』

 

 

 自身の一撃に対する被害を最小限に抑えこまれたというのに、悪夢の少年こと霧島一誠は疲弊の色を隠そうとする悪魔達に向けてニヤニヤと嗤う。

 

 

「しかし勘違いして貰いたくはないな。

俺はあくまで、そこの馬鹿みたいな格好した女悪魔一匹を八つ裂きにしてやりたいだけであって、無差別に悪魔(アンタラ)を殺してやりたい訳じゃあない」

 

『………』

 

「大人しく俺にそこに居る女悪魔をぶっ殺させてくれるというのなら他には一切手を出さないと約束するが……どうだい?」

 

『……』

 

「っ……」

 

 

 大人しくセラフォルーを殺させろと、その代わり他には一切手を出さないと宣う霧島一誠に、ターゲットであるセラフォルーと、そのセラフォルーの戦友でもある青年サーゼクスは顔を歪めた。

 赤龍帝であるとはいえ、ただ一人の人間に主導権を完全に奪われているこの状況こそが悪魔達にとってまさに悪夢そのものだった。

 

 

「一体、何の怨みがあって……!」

 

「怨みなんて無いよ。

無いがよ……自分の周りに蝿が飛んでたら鬱陶しいと思うし、殺虫剤を撒いて排除しようと思うだろ? それと同じだよ。

まあ、聞いてるかなんて知らんけど、元々はあの虫けら眼鏡が要らん真似をしてくれたからこうなっちまった訳だしな」

 

「要らん事だと……?」

 

「俺の悪評がアンタ等の間でどれだけ回ってるのかは知らんがね、あの虫けらはテメーの都合を通すつもりでその悪評とやらを利用しようとしたんだよ。

そうでなくても、元々テメー等の都合のみで出来もしねぇ事をやったんだが……」

 

『………』

 

 

 その言葉にサーゼクスを含めた悪魔達は閉口してしまう。

 そう、元を辿れば『余計な真似をするな』と念を押しておいた筈なのに、ソーナ・シトリーが彼の線に触れる真似を何度もしてしまっていたからだからだ。

 

 それに加えてセラフォルーまでも……。

 

 

「………。本当に他の者には手を出さないと?」

 

 

 だからこそ一部の悪魔は思う。

 こやつ等のせいで自分達まで滅ぼされては堪ったものではないと。

 ならば一部の犠牲で悪魔全体の存続が叶うのであるのなら……。

 

 

「我らながら甘い判断とは思うが、虫けら一匹の為にわざわざアンタ等全員を皆殺しにするなんて労力と時間の無駄でしかないしね。

だから虫けらと虫けらの一族だけに留めるよ…今回はな」

 

『………………』

 

「そ、そんなの……どうにかならない――」

 

「ならねぇな――てか、思ってたよりグレモリー先輩の兄貴は甘いな?」

 

 

 今ここでどちらの肩を持てば利になるか。

 無論、同族なのだからセラフォルー達の肩を持つべきなのだろう。

 しかし相手は霧島一誠だ。

 

 それに、この8年の間彼は『何もしなければなにもしない』という約束を守り続けてきたし、それを崩したのはソーナ・シトリーだ。

 ならば……。

 

 

「わかった……。今より私はこれから起こる事に対して一切何もしないことをここに誓う」

 

『!?』

 

 

 バラキエルの娘であり、リアス・グレモリーの女王である姫島朱乃に対して粗相が無い限りは寧ろ間接的にながらも彼は悪魔の側と言える。

 だとするならば、ひとつの家が消える程度の犠牲には目を瞑るしかない。

 

 そう判断した悪魔の上層部達は次々と――人間の青年に向かって頭を下げたのだ。

 

 

「今回は全面的に我々の監督不行届である。

故にこの先このような事がないように、今一度貴殿とは取り決めを話し合いたいと思う。お受けいただけるだろうか?」

 

「な、なにをしてるの!? 何で――」

 

「我々も同席させていただきたい。

セラフォルー・シトリーへの処分は貴殿に一任することに同意する」

 

 

 セラフォルーにとってはショックが大きすぎる展開だが、ほぼ全員の悪魔がただの人間の小僧一人に向かって次々と手打ちの懇願をしていく。

 

 

「黙れ。最早貴様を魔王とは呼ばぬ。

貴様や貴様の一族が余計な真似をしなければ、今頃こうはならなかったことをいい加減認識しろ」

 

「っ……!」

 

「サーゼクス様、貴殿はそれでもセラフォルー・シトリーの肩を持つか?」

 

「…………」

 

 

 セラフォルーにしてみればまさに見棄てられたといえるこの状況下の中、一人の悪魔がサーゼクスに問う。

 

 サーゼクスは正直迷った。

 もしこのままセラフォルーの肩を持ち続けたら、彼は間違いなく自分をも殺しにかかる。

 8年前の時点で恐怖すら感じるパワーを誇っていたし、8年の歳月の間でそのパワーは更なる次元へと進んでいる。

 

 それにこのままでは妹のリアスのみならず、自分の妻や子、それから両親までも巻き込んでしまう。

 彼に余計な干渉さえしなければ彼は何もしないというのはこの8年の間で知ることが出来たのだ。

 

 ならば……。

 

 

「セラフォルーの降格とシトリー家の処罰だけでは済ませて貰えないのか?」

 

「それはテメー等の間での話だろ? それに、無駄に生かした所で、余計な真似をされるのは目に見えた話だろ? てかよ、アンタの妹に対しても逆恨みしてるんだぜ? アンタは身内とただの同僚のどっちを取る気だよ?」

 

 

 一誠のその一言が決定的にさせた。

 今のセラフォルーを野放しにすれば、いずれ本当の意味で彼とバラキエルの逆鱗に触れるばかりではなく、妹のリアスにまで被害が及ぶ。

 

 既にセラフォルーはその報復心を無関係な者へ撒き散らし始めているのは見ていてわかったのだ。

 

 

「すまないセラフォルー……」

 

 

 長いこと残りの友を含めて良い友人であった。

 だが最早サーゼクスにできる事は何もなかった。

 

 

「そんな……」

 

「…………」

 

 

 無言でセラフォルーから離れたサーゼクスに、セラフォルーは絶望した。

 そして、全ては目の前の男のせいだと憎悪を剥き出しに……。

 

 

「アナタが居なければ……アナタさえ!!」

 

「俺もアンタ等さえ居なければ互いに平和だったと思ってるんだが?」

 

 

 殆ど自棄にも近いが、セラフォルーは一誠に怨念を向けては居られなかった。

 すべての同族が霧島一誠の後ろに回った時点で、セラフォルーは――いやシトリー家全体は見限られたのだ。

 

 

「っ、あぁぁぁああーーっっ!!!!」

 

 

 持ちうるすべての魔力を総動員させ、目の前の男を――いや、自分を見捨てた同族達をも道連れにしようとしたセラフォルー。

 しかしその怨恨の咆哮すらも、軽く手を振るった一誠によって粉々に砕かれた。

 

 

「悪いがそれはもう『慣れた』」

 

 

 道がねじ曲がり、ねじ曲がったその道の先で出会った者達に抱いた『覚悟』によって到達した異常性によって。

 

 

「理解できないだろうし、して貰うつもりも俺には無い。

さっきも言ったが俺は心配性な上に極度の臆病者なんだよ。

それがどんなに低くとも、0.1%でもそう疑ってしまった以上、俺はその根を破壊する」

 

 

 あらゆる状況・環境・事象に対して適応し、己の糧にし続けるという異常性は、既にセラフォルー・シトリーの力を完全に呑み込んだ。

 

 

「そ、そんな……! どうして! 何でリアスちゃんは良くてソーナちゃんはダメだったの!? 同じなのに!」

 

「テメーの自由の為に俺を利用しようとした間抜けと、どうであれ自力でなんとかしようとした者は同じじゃあないだろ?」

 

「がはっ!?」

 

「俺が虫けらの自由の為に奔走するとでも思ってる時点で、俺を舐めてると同じだ。

そして、俺は舐められたら徹底的に潰す」

 

 

 叫ぶセラフォルーを赤い閃光を思わせる速度で殴り飛ばす。

 

 

「あ、あぅ……ぅ……!」

 

「…………。セラフォルー」

 

 

 そんな友人にサーゼクスは目を逸らした、

 

 

「う、裏切り者……! アナタ達も彼と同じよ!!」

 

「…………」

 

「アナタがどう思おうが構わない。

だが、自分の行った事に責任が持てない以上、こうなってしまったのは必然だ」

 

「ぐぅぅぅ……!!」

 

 

 憎悪に顔を歪めるセラフォルー

 そしてそんなセラフォルーに対して無表情となった一誠はゆっくりと両手を空へと掲げる。

 

 

「この世に生きる全ての生物達よ。

お前達が持つ悪魔への怨みの力を、この俺に送れ!!」

 

 

 その言葉と共に一誠の頭上に禍々しい力の塊が球体状に生成され、更に肥大化していく。

 それと同時に一誠の全身もまた赤黒く禍々しい龍の鎧に覆われていく。

 

 

「な、なんと禍々しい……」

 

「8年前の時と同じ――いや、8年前より更に、まるでこの世の悪意がひとつになったようだ……!」

 

 

 その姿と8年前以上の禍々しい力の波動を前に悪魔達は戦慄する。

 

 

『バラバラにして塵にしてやる。

喰らえ、グラッジ・デスボールッ!!!!』

 

 

 そして巨大化した黒い怨念の塊を投げ落とすように放ち、先の一撃で動けなくなっていたセラフォルーを飲み込み、建物ごと破壊するのだった。

 

 

 

 

 

 

 その報告がリアスのもとへと届いたのは直ぐだった。

 

 

「そう……ですか……」

 

 

 

 消沈した兄の声を聞いたリアスは複雑な気持ちを孕んだまま電話を切ると、部室に集まっていた自らの眷属達に話した。

 

 

「今、私の兄から連絡があったわ。

ソーナとその姉上様――それからシトリー家そのものが除名されたって」

 

『…………』

 

 

 

 退学となった生徒会達が完全な意味で解体されたと聞いた眷属達は、既に前以て話を聞いていた上でも尚驚いた。

 

 

「それは、霧島君がやったのですか?」

 

「ええ……」

 

「ほ、本当に一誠が一人で?」

 

「実質的にはそうなるわ。

どうやら他の上層部達もこのままセラフォルー様の肩を持って彼に皆殺しにされるよりも、シトリー家を切る事で他の同族達を守る事を優先したみたい……」

 

 

 聞いた事を眷属達に教えるリアスはどこまでも複雑な顔だった。

 ソーナとは色々とあったものの、セラフォルー共々昔馴染みなことには変わりなかったのだから。

 

 

(一誠が既に本来よりも強くなっていたことはわかっていたけど、そこまで強くなってたなんて……)

 

 

 そんなリアスを他所に、異常なまでの強さを持つ一誠に、転生者である兵藤凛は戦慄を覚える。

 性格も、趣向も、なにもかもが変わり果てている上にその強さまでもが別次元。

 

 それは最早一誠と呼べる存在なのだろうかとすら思えてしまう。

 しかしそんな中でも何時も通りなのが朱乃と――そしてギャスパーだった。

 

 

「それでは帰ってくる一誠くんを出迎えてあげませんとね?」

 

「今日一日桐生先輩と風紀を守りきったって僕も報告したいですしね!」

 

『………』

 

 

 幼馴染みである朱乃と、変わり果てた一誠に懐いて見習い風紀委員となっているギャスパーは、魔王一人を殲滅した所で怖いなんて思うことは無い。

 そもそも彼のやり方が正義だとは思っていないし、正義の意味等それぞれの立場で違って見えるのは当たり前の事なとだ。

 

 朱乃にとって一誠とは自分を守る為に怪物になる事を覚悟してくれた大好きな男の子でしかない。

 

 ギャスパーにとって一誠とは、自分の特殊な生まれや性質を知った上でも同じ人として扱ってくれた先輩でしかない。

 

 だからどれだけ血に染まろうとも、一誠は一誠というのが二人の共通する考え方なのだから。

 

 

「噂をすればですわ」

 

 

 これから先がどうなるかはわからない。

 今回の件で友人と呼べた者を確かに一人無くした。

 

 されどそれでもリアスは思ってしまう。

 

 

「もう二度と嫌がらせの類は来ないと思いますんで」

 

「そう……」

 

「おかえり一誠くん」

 

「ん、ただいま朱乃ねーちゃん」

 

 

 ただ一人を愛し、ただ一人の為に全てを敵に回す覚悟を持った男性(ヒト)が居る朱乃が羨ましいと……。

 素となって甘える様に抱きつく朱乃を、優しく受け止める様に抱き返す姿を悔しげに眺めている凛に気付かずにリアスは思うのだった。

 

 

 

 出張篇・終了

 

 

 

 オマケ・※本編とは無関係な合宿篇その2

 

 

 まだ風紀委員長を継ぐ前の霧島一誠は、風紀委員としての仕事の勉強をする日々だ。

 

 寧ろ風紀を滅茶苦茶にする側だと思っている自分を何故勧誘したのかはまだ聞いてないし、納得した訳でもないけど、律儀な性格故に言われたり教えられる事を次々と吸収していく。

 

 そんな霧島一誠は先々代委員長こと雲雀なる者によってしょっちゅう『彼女』の地元となる町を訪れる様になった。

 その町は大でも小でも無い並の名がよく似合う町なのだが、ちらほらと並ではない存在がいる。

 

 そのひとつが、マフィアのボス候補とその守護者候補なる同年代の少年・少女達であり、雲雀の導きにより霧島一誠は彼等と関わるようになった―――いや、どちりかといえば巻き込まれていった。

 

 巻き込まれ過ぎて、ついこの前はネグレクトを受けた少女と出会したり、その少女が危うく事故で死にかけた所を助けたりと……知らず知らずやらかしてしまっている。

 

 

「それでその子が霧島くんの傍から離れない訳か……」

 

「完全に親のネグレクトを受けた子らしくてね。

自分の命をかけて子を守ろうとする親を知ってるだけについ……」

 

「そっか……」

 

「………」

 

 

 そのせいで犬のように懐かれてしまった一誠は、こと町の人間ではない事もあって、ずっと近くには居られない。

 故にどうすべきか、なんやかんや友人になっていたマフィアのボス候補こと沢田綱吉に相談することに。

 

 

「うちは最近すっかりチビ達やユニが住むようになったし、母さんも受け入れてくれると思う」

 

「………。悪い、キミには借りができたな」

 

「良いよ。それより霧島くんの方こそ大丈夫? この前黒曜中の人達に襲われたって……」

 

「? ああ、別に。

ワケわからんこと言いながら喧嘩吹っ掛けられただけで、腕へし折って黙らせてやったし……」

 

「あ、うん……大丈夫そうだね」

 

 

 気も弱く、色々とダメダメな綱吉だが、それこそ大空を思わせる包容力があると一誠は既に綱吉の良いところを知っていた。

 故に一誠は綱吉とは対等に話すことが多かった。

 

 

「てな訳だから、彼を含めてここの人達は親切だから暫くお世話になるんだ」

 

「……………」

 

 

 そんな彼等にこの少女を預けようと、少女に話す一誠だが、少女自身は信じられないのか一誠の背中にしがみつきながら必死に首を横に振る。

 

 

「い、嫌だ……怖い……!」

 

「大丈夫だっての。

何度も言ってるが、俺はこの町の人間じゃない」

 

「だ、だったらアナタについていく」

 

「それは駄目だ」

 

 

 頑なに一誠から離れようとしない少女だが、それでも一誠は毅然とした態度を崩さない。

 結局この少女は沢田家の厄介になる事になるのだが、近い将来この少女がああなるとは誰も予想できなかった。

 

 

「それじゃあ、この借りは必ず返すから」

 

 

 具体的には綱吉と守護者による指輪的なものの争奪戦を同マフィアの独立暗殺部隊とする羽目になった時辺りで。

 

 それはそうと、今とにかく地元に戻ろうとした一誠だったが、ここで子供達に捕まってしまう。

 

 

「こ、こら! ランボにイーピン! それにユニまで! 霧島くんは今から帰る所なんだぞ!」

 

「ランボさんの部下なんだから帰らせないもんね!」

 

「#▽*♭♭♯♪!!」

 

「えっと、宿題として出しておいた課題が終わるまでは居てもらおうかなって……」

 

 

 わんぱく小僧のランボはすっかり部下扱いするし、イーピンも同じように懐くし、挙げ句のはてにはユニですら理屈をこねて帰そうとしない。

 たまにしか姿を見せないせいか、反動が色々と強いこの状況に、綱吉はそれでも咎めようとするのだけど、結局の所、子供には微妙に甘い一誠はもう暫くここに居ると言う。

 

 

「な、何だかごめんね?」

 

「別にいいよ。

一応このおチビは俺の家庭教師なんだし」

 

「お、おチビじゃないですってば!」

 

「………」

 

 

 イーピンとランボの二人に頭やら顔にひっつかれながら大丈夫だと返す一誠は、おチビと呼ばれて不満そうなユニの額を軽く小突く。

 

 

「大人ぶって背伸びしてる奴なんておチビで十分だよ」

 

「もう……」

 

「………」

 

 

 ぺちっと軽く叩かれたユニは何故かどことなく嬉しそうだった。

 というのも、色々な宿命もあって周囲から姫だなんだと大事にされてきた事もあって、等身大の子供扱いをしてくる一誠は結構新鮮だったりする。

 

 それに色々と過激で、まだ直接会ったことは無いが朱乃という一誠の幼馴染みの事に関してとなれば極端な事ばかりしでかすものの、平時の一誠は実に話しやすい相手だったりするのだ。

 

 

「…………」

 

「ん、なんだよ?」

 

 

 だからこそ、そんな一誠に対して不安そうに袖を掴みながら見ている少女の存在がユニとしては『ある程度察した』とはいえ気になるわけで……。

 

 

「そちらの方は……?」

 

「えっと、ちょいと訳ありな子なんだけど……」

 

「…………」

 

 

 年齢が近そうな少女が一誠に懐いている。

 それが別に悪いことではないのだが、ちょっとだけモヤモヤする気がする。

 

 

「おっと、朱乃ねーちゃんからの電話だ」

 

「「………」」

 

 

 ただ、彼が全てにおいて真っ先に優先すると豪語する相手の存在は既に知っているらしく、そんな相手からの電話には即座に出て話をしている姿を見て寂しそうな顔をしているの見ると妙な同類意識を感じる。

 

 

「ああ、俺も大好きだよねーちゃん……うん、それじゃあな」

 

「「むー……」」

 

「まったく、ねーちゃんは心配性だなぁ―――っと、なんだよ二人してへちゃむくれた顔して?」

 

「なんでも………」

 

「ないですよーだ」

 

「は?」

 

「あ、あはは……」

 

 

 つまり、後々気づいたら普通に仲良くなれたのだけは間違いなかったらしい。

 

 

終了




補足

グラッジ・デスボール。
ていうかリベンジ・デスボールで星になりましたとさ。

そして他の悪魔達は絶滅を免れる為に見限ったとさ。


その2
マフィアのボス候補君とは性格なんて真逆そのものなのに妙に馬が合うとかないとか。

子供に懐れやすい所は共通しているからなのか……

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