色々なIF集   作:超人類DX

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茶番劇のスタート


まだオレのバトルフェイズは終了してないぜ

 色々な柵から結果的な意味では解放され、少なくとも今は自由を謳歌できている筈のリアスは、代償とばかりに胃がしくしくキリキリと痛む事ばかり起こる。

 

 その原因は他でもない、自らの女王である姫島朱乃――――の、幼馴染みであり、実際の所はまだ不明ではあるものの、兵士である兵藤凛の弟でもあるらしい風紀委員長こと霧島一誠である。

 

 この霧島一誠はご存じの通りに幼馴染みであり、姉弟のように過ごしてきた姫島朱乃を何よりも大切にしている。

 大切に思うが余り、他を全く寄せ付けない程の徹底的な行動を何の躊躇いもなく起こす程だ。

 

 例を上げるなら、昔朱乃を女王として迎えようとした際に一悶着と共にリアスが殺されかけたり。

 それを止めようとしたリアスの兄と戦闘に発展した時は、冥界の都市を破壊しながら朱乃の父であり、堕天使のバラキエルと共に悪魔達が恐怖をするほどに暴れ倒されたり等々……。

 

 

 とにかく霧島一誠という少年はどこまでも朱乃至上主義者であり、徹底的な区別主義者だ。

 そんな彼を怒らせてはならないとリアスは兄や両親や悪魔のお偉いさんに念を押され、それを自分なりになんとか守りながら生きてこれた訳なのだが、それ以上にリアスの胃にダメージを与えたのが、幼馴染みでもあり友人でもあったソーナだった。

 

 

『彼の話は聞いているわ。

でも見た限りではそんな事をしたとは思えないくらいには普通の人じゃない?』

 

 

 ソーナは当時一誠がやった事を直では見なかった。

 そのせいなのか、彼女はイマイチ彼への慎重さに欠けていた。

 思えばこの時点でリアスはソーナに対して何がなんでも解らせるべきだったと後悔した。

 

 何せソーナは風紀委員会となった彼の対抗馬である生徒会に立候補をするという、自らわざわざ彼に関わろうとする位置に付いたのだ。

 

 早い話がソーナは彼の危険性をあまりにも低く見すぎていたのだ。

 

 その結果はご存じの通りだ。

 

 彼の逆鱗に少なくとも5度は触れた事でソーナは眷属もろとも物理的な意味で学園から消された。

 

 そして彼女は現在、冥界にある実家に戻ったとの事だが、恐らくはもう二度と人間界へは来れないだろう。

 何せ今回の件でソーナはおろか、シトリー家全体に対して他の悪魔達から非難されたし、二度と霧島一誠の視界に入るなとまで言われたのだ。

 

 ソーナが破壊された後、更なる攻撃を恐れた悪魔の上層部達がバラキエルと一誠に直接の謝罪までする程、彼等との関係性の維持には慎重にならないといけない。

 それを過信と慢心で崩壊寸前にさせたソーナとシトリー家へのヘイトは凄まじいものだと、リアスは兄からのお便りで知ることになった。

 

 

「あ、あのー……一応アナタの耳入れて欲しいというか、単なる独り言でもあるのだけど、その後のソーナは実家もろとも糾弾されてしまって、経済制裁的な罰も受けることになったらしいわ」

 

「それが?」

 

「だ、だからその……暫くは彼女と彼女の実家は身動きが取れなくなるんじゃないかしらー……みたいな」

 

「へーそうなんですか。

しかし困ったな、同情の言葉でも送ってあげるべきなのに、どう考えても知ったことかとしか思えませんわ」

 

「…………」 

 

 

 一誠にそれとなく話をしても、本人は最早ソーナの存在そのものに対して無関心となってしまっている。

 となれば、リアスとしてもこのままシトリー家が彼に干渉しないことで穏便になれると思いたいのだけど、問題はそのシトリー家――というよりソーナの姉だ。

 

 

「真面目な話なのよ一誠くん。

どうやら最近リアス宛に魔王様からの手紙が何度も送られてるみたいなの」

 

「? 手紙?」

 

「そ、そうなのよ。

それもソーナの姉上様から……」

 

 

 朱乃の言葉に反応する一誠に、すかさずリアスが説明する。

 ここ最近、リアスの胃にダメージを与えるのは一誠よりも頻繁にソーナの姉から送りつけられる呪詛半分のこもった手紙だった。

 

 内容としてはソーナの近況を交えつつ、無事でいるリアスに対する嫌味のようなものであり、リアスの罪悪感を常につつくものだった。

 

 

「例の魔王の一人でしたっけ? それが何故グレモリー先輩に?」

 

「ほら、ソーナがああなったのに私は朱乃の主という理由でアナタに見逃されている事が納得されないみたいで……」

 

「ちなみにこれが今朝届いたお便りよ」

 

「………」

 

 

 正直、友人だったし将来の好敵手同士という認識はあった。

 けれどソーナがあまりにも一誠を過小評価していたと知った時点で――もっといえばわざわざ風紀委員会と敵対する関係となる生徒会に立候補すると言い出した辺りからリアスは少しずつソーナとの関わりを避けていた。

 

 

「………………ひとつ聞いてよろしいですか?」

 

「な、なにかしら?」

 

 

 

 手紙の内容としても、そういったリアスのソーナへの態度に対する糾弾じみたものである。

 正直、毎日毎日10通ずつは送りつけられてくるので、軽くノイローゼになりかけているリアスは、朱乃に相談した上で今こうして風紀委員室を訪ね、見習いであるギャスパーと藍華には内緒にしながら彼だけに相談する事になったのだが……。

 

 

「アナタは今でもこの虫けら―――あー、シトリーでしたっけ? これと親友なのですか?」

 

 

 当初リアスとしては、いくら朱乃を介して相談したところで『知るか』で突っ返されると思っていた。

 しかし意外にも――まあ、朱乃からも話したからというのが大半にしても対応してくれる事にリアスはちょっと驚いたし。

 驚きの方が勝り過ぎて、ソーナ達をいっしょくたに『虫けら』呼ばわりすることに対してのリアクションを忘れてしまう程度には。

 

 

「親友というか、身内同士が交流をしていたから、自然とソーナとは幼馴染みになったというか。

あ、いえ、勿論友人だとは思っていたけど……」

 

「この虫けらの姉の手紙の内容には、アンタと虫けらは互いの為に命を張る程の親友同士なのにとありますけど?」

 

 

 今朝送られてきた手紙を読んでもらうと、一誠が質問をする。

 

 

 

「………。友人ではあるけど、命を掛ける覚悟を持った事は無いわ。

正直、アナタにちょっかいを掛け始めた頃から距離を置こうと思っていたし……」

 

「つまり、今は正直縁を切りたいと……?」

 

「……………。私の一方通行かもしれないけど、親友と呼べるのは朱乃だけよ」

 

 

 つい正直に思っていることをぶちまけてしまうリアスは、少し照れ笑い気味な朱乃をチラチラと見つつソーナとは友人止まりであると話す。

 

 すると一誠は朱乃の反応を伺いつつ「ふーん?」とだけ言うと……。

 

 

「アンタの兄貴に今電話でもなんでも良いので連絡取れます?」

 

「え?」

 

 

 何故かリアスの兄に連絡が取れるかと訪ねる。

 

 

「で、できるわよ? けどどうして私の兄に連絡を……?」

 

「取り敢えず今すぐアンタの兄に電話してくれます? それで出たら俺に代わってください」

 

 

 よくわからないが、兄と電話をしたがる一誠に、リアスは言われるがままに兄へと連絡を取る。

 

 

「も、もしもしリアスです。

あの……実はお兄様とお話をしたいと霧島くんが―――はい……」

 

「……………」

 

「今かわりますね?」

 

 

 電話した瞬間、ワンコールで出た兄に説明をした後に一誠へ携帯を渡したリアスは緊張した面持ちで電話機に耳を当てた一誠を見つめる。

 

 すると一誠は……。

 

 

「別にどうでも良いっちゃあどうでも良いんだが、アンタのところの妹に、最近毎日俺のせいで虫けら――ああ、シトリーのところの姉だか魔王だからから嫌がらせのメールが送りつけられるんだとよ。

で、紛いなりにもアンタの妹は学園の生徒であり、俺はそこいらのチンピラな風紀委員だ」

 

 

 なにやら慌てた兄の声が聞こえるのを無視するように一誠が実に冷めた顔で、ソーナの姉からの嫌がらせについて説明をしているので、リアスはなるほどと思った。

 

 

「アンタの妹がどうなろうがどうでも良い。

けど、アンタの妹の事を朱乃ねーちゃんは『友達』と思っているからな。

しつこいようだが、俺個人としてはアンタの妹が誰にぶっ殺されようがどうでも良いけど、学園の生徒であることには変わりない」

 

「………」

 

 

 ちょっとハッキリと言い過ぎだけど、自分で言うより一誠が直で圧力をかけたら兄も動かざるを得ないと考えてくれたのだろうとリアスはちょっと嬉しい気分にすらなったのも束の間。

 

 それまで無機質な声で話をしていた一誠が突然。

 

 

「だから、今から二日以内に駒王学園の生徒への嫌がらせに対する風紀を執行する――――なんて建前なんぞ貴様等には要らんし、面倒だから本音で言うぞ?

明後日までには必ずその虫けらとその姉だかなんだかの魔王―――それからそいつの一族全員をぶっ殺しに行くから楽しみにしてろや? じゃあな」

 

「」

 

 

 毒を以て毒を制すどころではない猛毒をぶちまけてしまったのだ。

 一方的に殺人予告をしてから電話を切ってしまう一誠はパキパキと首を鳴らしながらリアスに電話を返す。

 

 

「半分は俺のせいでアンタに飛び火しちゃったようだし、責任をもって終わらせるんで安心してください」

 

「う、嘘でしょ? さ、流石に今のはジョーク――」

 

「いえ? 俺としても今後鬱陶しい事になる前にさっさと消しちまった方が良いと思ったまでですから」

 

「」

 

「大丈夫なの……? 私も一緒に……」

 

「問題なしだよねーちゃん。

こんなくだらん茶番は一人で十分だ」

 

 

 霧島一誠の極端なやり方と躊躇いの無さを今一度思い知った形となってしまったリアス。

 彼女の明日は果たしてどうなるのだろうか……。

 

 

「俺が居なくても風紀委員会としてやれるのかっていう、ちょうどアイツ等へのテストも兼ねたかったからな」

 

 

 それはまだ誰にもわからない。

 

 

 

終わり

 

 

 

 オマケ・後継者への道(中学時代篇)

 

 ※本編とは無関係です。

 

 

 

 中学生へと進学した際、霧島一誠は何故か拉致された。

 全く知らない町の学校で風紀委員会をしてるらしい者に拉致られた挙げ句、『キミは今日から風紀委員になってね』と腕章と制服を渡され、あれよあれよとそこの中学へと転入する羽目になってしまった。

 

 

「えっと………雲雀って人に拉致られたらこの学校に転入することになりました、霧島一誠です……」

 

『…………』

 

 

 全くもって意味不明だが、そうとしか説明ができなかったのでそのまま転入の経緯を説明する事になった霧島一誠の試練はこれにて始まる。

 まずどうやら転入した先の学校では風紀委員会が異様なまでの勢力を持っていた事を知ったり……。

 

 

「復・活!! 死ぬ気で京子ちゃんに告白する!!」

 

「……なんだろ、彼を見ているとデジャビュのようなものを感じるんだが」

 

『ああ、それは俺も思った』

 

 

 偶々登校中にパン一になって走る同学年の生徒を見てしまったり。

 

 

「は、恥ずかしいぃ! なにしてんだよ俺は!?」

 

「えっと……取り敢えずジャージなら予備があるから貸してやろうか?」

 

 

 結果なんか恥ずかしい場面を見てしまい、余りにも哀れだったので声を掛けてしまったり。

 そしてからその彼がダメダメ過ぎて周囲からダメツナなんて呼ばれている者だったと後で知ったり。

 

 

「チャオっす、オメーが最近ツナとよく居るっていう霧島だな?」

 

「……………………子供? やけによく喋る子供だな」

 

「や、やめろよリボーン! 霧島くんを変な事に巻き込むな!」

 

 

 変なおしゃぶりを持った赤ん坊と出くわしたり、その赤ん坊いわく、ダメツナこと沢田綱吉を立派なマフィアの後継者にすべくイタリアから来た家庭教師だと知ったり。

 

 

「マフィアになるのか沢田くんは?」

 

「な、ならないよっ!? というかなりたくないし!」

 

「よくは知らんけど、メキシコのマフィアになれと言われるよりはマシなんじゃないか? メキシコのマフィアって警察すら支配してるらしいし、この前も薬物撲滅をかかげて新しく市長になった人が三日後には残念な姿で発見されたとか……」

 

「ひぃぃっ!? 聞きたくない~!!」

 

 

 風紀委員会所属のせいでほぼ孤立していたので、まともに話をしてくれる彼と自動的に仲良くなり、気の良い――それこそ朱乃の母である朱璃とは違う意味で優しい彼の母のお世話になったり。

 

 

「部下や守護者とは違うが、オメーには見所がある。

だからオメーにも特別にかてきょーしてやる」

 

「だからやめろよリボーン!」

 

「悪いけど、俺はマフィアになんて興味ないぞ?」

 

「見てりゃわかるぞ。

オメーはどうやらオメーなりの『目標』を既に持っているみたいだしな」

 

「ならどうして」

 

「見所がある。

ダメツナとはあまりにも正反対にオメーは既に『到達』の領域にあるが、精神がまだ未熟だ」

 

「………」

 

『ほう? コイツ、既にそこまで一誠を見抜いたか』

 

 

 一誠の精神が未熟と見抜いた赤ん坊家庭教師にかてきょーされたり。

 

 

「う、嘘だろ!? 霧島くんって……」

 

「だから言ったろ、アイツは心技体の内の技と体は到達の領域だって。

だが前にも言った通り、アイツはまだ心が未熟だ」

 

 

 人間離れした身体能力に綱吉に驚かれたり。

 

 

 

「キミ達か。ウチの者を勝手に連れ回しているのは」

 

「ひぃぃっ!? ひ、雲雀さんだぁー!」

 

「勝手に連れ回すってね……それはアンタも同じでしょうが。

こっちは朱乃ねーちゃんと同じ中学に進学するつもりだったってのに」

 

 

 結果、ちょい早めに綱吉に危険が襲いかかったり。

 

 

「わぉ、キミ中々やるね。

なるほど、この赤ん坊が暫くイッセーを見るというのなら納得はしてあげるよ」

 

「よ、よかったぁ……!」

 

「あの、俺はあんまりよくないんだけど……」

 

 

 とまあ、こんな感じで不思議な中学生活を歩む事になった風紀委員長候補の霧島一誠。

 

 

「テメー!! 10代目に気安いんだよ!!」

 

「………………」

 

「ちょ、やめてよ獄寺君!」

 

 

 2日程地元に帰ってる間にできた綱吉の自称右腕からめっさ絡まれたり……。

 

 

「よ、転校生!

霧島だったよな? 暇ならキャッチボールでもしねーか?」

 

「なんで俺が……」

 

 

 これまた綱吉と色々あって仲良くなった野球少年にも絡まれ。

 

 

「極限ストレー――ぬぐっ!?」

 

「あ!? お兄さんのストレートを避けて霧島くんが一撃入れた!!」

 

「リバーブローからのガゼルパンチか……。

そして大袈裟にすら見せる高速のシフトウェイト……やるな霧島」

 

「ぎゃぁぁっ!? お兄さんがボコボコになってるぅぅぅ!?」

 

「デンブシーロール……。実戦で使うとはな」

 

 

 極限ばっか言うボクシング部の人と綱吉共々スパーさせられたりと……。

 割りとユニークな日々は過ぎていく。

 

 

「という訳で今日からお前に本格的な『心の強さ』を鍛える為に俺が頼んで来て貰ったかてきょーだ」

 

「ユニです。アナタが霧島さんですね?」

 

「お、女の子?」

 

「………………………はぁ、次から次へと訳がわからん。

くそ、早く朱乃ねーちゃんの所に戻りたいっつーのに」

 

「ユニはジッリョネロファミリーのボスでもあるんだぞ」

 

「あーはいはい、またマフィアねはいはいはいはいはい凄いねー」

 

 だが霧島一誠が偶々拉致られた時から――そして沢田綱吉と出会った事が運命を変えていく事になる。

 

 

「アナタの事は色々と観ました。

アナタが赤き龍を宿した赤龍帝という者である事も……」

 

「え、赤龍帝……?」

 

「観た……だと?」

 

「それとアナタに起きた堕天使との過去の事も―――っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、どんな手品を使ったのかは聞かないでおいてやるが、それ以上余計な事をしゃべったら、お前に危害を加えないという保証はしねぇぞ。

もしまた俺の心に土足で入ったら――細切れに切り刻み、ミンチにしてトイレに流すかもしれねぇが……」

 

「き、霧島君……?」

 

「………」

 

「そうならないように願いたいものだろ? なぁ?」

 

 

 守りたい人を守るために強くなり続けた事で失った心を取り戻し。

 

 

「……。わかりました」

 

 

 短命という宿命が。

 

 

「で、リボーンさんよ。

こんなちんちくりんに何を教われと?」

 

「ち、ちんちくりん……」

 

「見た目で人を判断するとはオメーらしくもねーな? こう見えてもユニは優秀なんだぞ?」

 

「人の心の中をズカズカ入り込もうとするガキがか? ……はん、馬鹿馬鹿しい」

 

「な、なんだか何時にも増して霧島君の機嫌が悪いや……」

 

「あ、いえ、私のせいなので……はい」

 

 

 変わっていく事をまだ誰も知らない。

 

 

「なんだとクソガキ!! 人が下手に出りゃあ調子こきやがってゴラァ!!」

 

「そんな暴言を言われた所で怖くはありませんよ。

とにかく霧島さんは無謀な行動を起こしすぎです。

まずは心を落ち着かせる事が大切なんです。

もちろん、アナタの精神の力の事についても知っている上での事です……」

 

「! お前、なんで無神臓のことまで……」

 

「私も私で『色々』とありますので」

 

 

 進化の精神そのものを進化させる事も含めて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「短命? 呪い? アルコバレーノ……? なるほど、そういう事か。

妙なチビ娘だとは思ってはいたが…」

 

「っ!? どうする気だ!」

 

「どうもこうもあるかよ。あんなチビ娘に借り作ったまんまさようならなんて寝付きが悪くなる。

だから返すんだよ……借りをな!」

 

 

 

 

 

 

 

「おいこらチビ!」

 

「い、いい加減チビって呼ぶのやめてくださいよ。

それに私はもう……」

 

「うるせぇバーカ! 何時でも無理してヘラヘラ笑いやがって! 怖いなら怖いって言えや! 死ぬのが嫌なら嫌だって泣け! そもそもオメーが俺の精神について説教垂れてた分際で、オメーがそんなんじゃ説得力の欠片もねーわ!」

 

「だ、だって私は……」

 

「呪いだなんだって件は聞いたよ。

それなりの修羅場に生きてたってのも含めてな。

で、お前はそんな運命だからって諦めるのか? あーこら! 俺に散々偉そうにほざいたくせにかゴラ! ムカつくぜ、まったくもって好きになれねぇ! ガキはガキらしくもうちょい我が儘に生きりゃあ良いんだよ!」

 

「お、お前こんな時に姫に……」

 

「オメー等もそうやって半端に甘やかすからだろうが! 第一なんだよ姫ってよ! あれが姫って言えるか!? ただのちんちくりんなチビっ子だろうが!!」

 

「お前さっきから滅茶苦茶――」

 

「うるせぇってんだ!!

頭にきてんだよこっちは! 朱乃ねーちゃんにはあのチビのせいで変な誤解までされるし! だから死にたがりのあのガキには嫌でも生きて貰うからな! 生きて、生きて! 誰かと結婚でもしてガキでも孕んで、産んで、ババァになるまで生かしてやる!」

 

「…………」

 

「行くぞドライグ! あの背伸びしたガキを引っ張り出してからめっちゃ泣かしてやる!」

 

『はいよ』

 

 

 

 

 

 

 

「フーハハハハ!! ざまぁ見さらせ! これでお前はそう簡単にはくたばれませーん! 残念!!」

 

「呪いを強引に彼の力で破壊されちゃいました……」

 

「まさに異常者だな」

 

「な、なんとお礼を言ったら………」

 

「礼? んなもん要らん。それより死ねなくなって悔しいか? え? どうなんだ? あ?」

 

「あ、えっと……は、はい悔しい、です……?」

 

「だよなー!? そうだよな!? よーし、ざまぁ見ろ! ガハハハハ!!」

 

「……………」

 

「アイツの方が余程ガキだな」

 

「結局、私の方が助けられちゃいました……」

 

「ふー……さてと、借りも返したしそろそろ朱乃ねーちゃんと所に戻―――

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーくん、その女の子はどなた?」

 

 

 

 

 

「―――朱乃ねーちゃん!? な、なんでここに……!? いや、てかこのちんちくりんについては話せば割りと長いというか……」

 

「あ、初めまして姫島朱乃さん。

私はユニ……今現在霧島さんの家庭教師をしています!」

 

「家庭教師……?」

 

「そ、そこも話せば長くなる訳で……」

 

「ふーん……?」

 

「な、なんだこの居たたまれない気分は……」

 

 

 

 風紀委員長イッセー・中学冒険篇―――始まらない。




補足

バーサーカーソウル発動。
相手は死ぬ。



その2
単なる茶番なんで深く考えなくていいです。

ただ、もし中学時代の時点で拉致られてたらというだけの事なんで

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