色々なIF集   作:超人類DX

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三馬鹿の常に放つ緩さのせいで、基本シリアスがどっか行ってしまう。


密かな日常

 其々の独特すぎる緩いノリと、そんなノリに飲み込まれてしまう形で、雪音クリスは『清掃員』として二課に保護される事になった。

 

 つまりそれは三馬鹿達と同じ仕事をするという事になるわけで……。

 

 

「集合!」

 

「「うぃーっす」」

 

「………」

 

 

 施設内の清掃及び、緊急事態発生時の前線戦闘員というのが、異界におけるこの地での三馬鹿のお仕事。

 そんな三馬鹿は意外にも清掃を含めた仕事を真面目に取り組んでいるらしく、今日も元気に出勤と仕事前の朝礼からスタートする。

 そしてその面子に本日から加わる事になったのが、前職を不当解雇同然に解雇された雪音クリスである。

 

 

「えー、まあ言うまでも無いが、本日より我が清掃隊に新しく雪音さんが加わる事となった」

 

「うぃー」

 

「よろしくー」

 

 

 基本的に三馬鹿の中では一誠と多く関わってきたクリスは、改めて一誠と同等に訳がわからない神牙とヴァーリの二人と一誠の関係性を見る。

 

 どうやら三人の中でのまとめ役はこの神牙という男らしく、彼に促される形で紹介されたクリスは一誠とヴァーリの二人に拍手と共に迎え入れられる。

 

 

「彼女には基本的に男である俺達では入れない箇所の清掃をやってもらう。

よかったな一誠? これでもう女性職員の更衣室を掃除したがる理由もなくなったぞ?」

 

「うっせーな、元々拒否られてたんだから関係ねーよ」

 

「ここの職員の女全員にナンパして玉砕してきたのだからちょうど良いじゃないか」

 

「へん!」

 

「やっぱりそんな事ばっかしてたのかお前……」

 

「しょうがねーだろ、ここは素敵なお姉さんがいっぱいなんだからよ」

 

 

 どうやら基本的に一誠はどこでも一誠らしい。

 先日見た『何かに怯えるような殺意』が無い限りは、アホ男。

 

 

「今日は取り敢えず基本的な流れを把握してもらうから、一誠についてくれ」

 

「あ、わかった……」

 

「は? 俺が教えんのかよ?」

 

「当たり前だろ、お前が一番彼女と仲が良い」

 

「別に仲がいいって訳じゃ……まあ良いか。

よし、じゃあ行くぞ雪音」

 

「………」

 

 

 作業着と帽子を被った一誠に言われ、同じような作業着を着たクリスはちょこちょことついていく。

 こうしてクリスのアルバイト生活は幕を開けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんやかんやでクリスが二課に保護され、アルバイトすることになった事自体に、立花響はただただ良かったと思うし、大丈夫だろうかとも心配もする。

 

 色々あってしょっちゅう戦った仲ではあるものの、本当の意味での殺し合いの仲へとなりたくはなかったのだから。

 

 

「へぇ、じゃあ彼女は一誠さんと同じアルバイトをすることになったんだね?」

 

「うん」

 

 

 三馬鹿曰く『不当解雇されて世間に放り出された』クリスが倒れていたところを保護したのは未来で、その未来が一誠に連絡をしたからあの日一緒に居たのだと聞いた後日聞いた響は、一切隠し事もしていないこともあって、あっさりとクリスがどうなったのかを未来にも教えてあげた。

 

 

「一誠君達と同じお掃除のお仕事をしつつ、ノイズが出たら退治するお手伝いをするんだって」

 

「一誠さん達も一緒なら安心……なのかな?」

 

「うーん、そこなんだよねー」

 

 

 聞けばクリスは監視付きではあるものの、ある程度の自由があるらしい。

 それはあの日響も見ていたのだが、一誠が自分の言動や行動に戸惑いながらも司令に直談判したことが大きい。

 

 恐らく一誠達と同じ仕事をすることになったのも、クリスを一誠の近くに置いて対応させる為……と響は考えている。

 もっとも、一誠は監視なんてコソコソとした事をする気は全く無いし、そもそも知らない間に顔見知り以上の関係性を両者から感じたからこその司令の判断だとも考えられる。

 

 

「多分、今の時点である意味でクリスちゃんが信じられる相手が一誠君だけなんだと思う」

 

「自分に正直過ぎてある意味表裏が無いもんね一誠さんは」

 

「うん、それになーんか馬が合ってるみたいだし……」

 

「どうしたの響……?」

 

 

 つまり一誠はある種クリスのケアをするという意味ではうってつけな人材である。

 それは響もわかるし、出来れば自分もクリスと仲良くなりないとも思っている。

 

 思ってはいるのだが、何故だかわからないが響は妙な腑に落ちなさを小さいながらも抱いていた。

 

 

「どうしてかわからないけど、なんかズルいって気分になる……」

 

「誰に?」

 

「………クリスちゃん」

 

 

 つい未来に自分の心境を吐露する響。

 その瞬間、未来が若干ムッとした表情をするのだが、未来自身もなんとなく似た気分になっていたので『わかるかも』と頷く。

 

 

「一誠さんが軽い調子で響がギアを使ってノイズと戦っているって言わなかったら、知らないままだっただろうし、もしかしたら響と喧嘩をしてたかもしれない。

そういう意味では一誠さんのあの軽さに救われたって思う。

それに、私が響が心配だからって強引にトレーニングに参加するって言っても、あの人は嫌な顔なんて一切しないで、少しずつ教えてくれたし」

 

 

 『ん? 秘密にするもなにも、この子にバレて困ることなんてあるの?』

 

 

 

と、普通に響がギアに選ばれてノイズとバトルしているとバラしたその自覚してない軽薄さがある意味緩和剤になって、響との友情が壊れずに済んだ事は事実だし、そんな響と同じトレーニングをすると強引に同行しても、嫌な顔すらせず寧ろ色々と教えてくれた。

 

 

『良いか? まずは『自分を知ることだ』。

知って受け入れてからが本当の意味でのスタートだ。

大半の人間は自分の本質を知った気になっているまま生涯を終える訳だが、知って受け入れ……前に進む覚悟をした人間になれた時こそが、前に進むのさ!』

 

 

 ……まあ、お陰で最近はフィジカルがどこぞの漫画みたいな事になっているが、それは響も同じだし、何よりこのフィジカルになっても特にクラスメート達に怖がられもしない。

 

 

『でまあ、腹に力をひゅって込めて、拳でガチッて感じで叩けば、こんな感じに意外となんでもぶっ壊せるんだぜ。

つまり何をするにしても腹にひゅっ! だぜ』

 

 

 それは多分、放課後の時間には毎度毎度門の前で雨の日だろうが風の日だろうが台風の日だろうが迎えに来ては、待っていてくれる名物男子と化した一誠という緩和剤があるからだろう。

 

 

『お、女教師。な、なんてエロイ響きよ。

あ、あの! 今夜暇ですか!? できれば俺と一発――じゃなかった、俺と一回デートを!』

 

 

 なにせ当初は鼻の下なんか伸ばしながら学院の女性教師を平気でナンパしては玉砕するという事を一切懲りずに繰り返していたし、興味本意で話しかけてくる学院の生徒相手には好みから外れているせいか、普通にそこそこな紳士対応。

 

 

『え、どこの学校に通ってるって? あー……俺義務教育すら怪しいんだよな。

一応最終学歴は幼稚園中退で――え、嘘じゃないぞ割りと?

でも一応高校生くらいの学習はアザゼルって先生に教えてもらってて――いやホントだって!』

 

『なんで女の先生ばっかりナンパするのかって? いやだって、俺同年代には興味ねーし。

は? ビッキーの彼氏? 違う違う、あの子は――いやこれもマジなんだけど……キミ達って割りとゴシップネタみたいなの好きなのか?』

 

 

 まあ、響の彼氏疑惑が浮上し、否定しても全然信じてくれないこの状況に関してな響LOVEな未来としてはちょっと思うところもあるが、本人は自分や響に一切の下心がないので、最近は特に思うこともなくなった。

 

 思うこともなくなったからこそ、この響の自分でもあまりよくわかっていない様子にはちょっとした不安と、同じ気分を抱く訳で……。

 

 

「あ、一誠君からメール……」

 

「私にも来たわ。

どうやらトレーニングはちゃんと何時も通りしてくれるみたい」

 

「うん……」

 

「まあその……響のその気持ちはなんとなくわかるかな?

その雪音さんって子に対して聞いている限りでは一誠さんらしくない事をするみたいだし」

 

「なんなんだろうね? 変な気分……」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 響と未来が互いに変な気分になっているというか、させているとは全く知らない一誠は、何時も通りの『向かいますメール』を二人に送り、仕事も終わらせて着替えて二課から与えられた部屋を出ると、何故か同じ様に着替えていたクリスが部屋の前に居た。

 

 

「んぁ?」

 

「んぁ? じゃねーよ、どこに行くんだよ? 脈もなんもないナンパか?」

 

「なんだよツンケンしてんなぁ? てか俺を四六時中ナンパしまくってるとでも思って――」

 

「…………」

 

「――――るわなあそりゃあ。

いや、別にナンパじゃないぞ」

 

「じゃあ何しに外に出るんだよ?」

 

「いや、そろそろビッキーが通ってる学校も放課後の時間だろ? だからビッキー達が通ってる学校に行くんだよ」

 

「なにしに?」

 

「野暮用」

 

 

 内心『な、なんでこいつの行動を気にしてるんだよアタシは……』と思いつつもさも『世間話の流れで聞いてます』を装うクリスに、一誠はスタスタと歩きながら答える。

 

 

「……? え、なんだよ?」

 

 

 それで話は終わりで、仕事も終わったしこれでお別れと思っていた一誠だが、何故か普通についてくるクリス。

 

 

「今日の仕事は終わったんだし、好きに過ごせば良いだろ?」

 

「アタシはまだここが信用できねーんだよ」

 

「あ、そういう事か……。

でも俺についてきてもつまんねーと思うぞ?」

 

「い、良いだろ別に……。迷惑なのかよ?」

 

 

 先日はあれだけ弦十郎にまで噛みついて自分について強引にやったくせに、ある程度安全保証をさせた瞬間妙に素っ気ない―――――と、クリス視点的に感じるのと同時になんだか腹も立ってくる。

 

 

 

「迷惑じゃないぞ。

まあ、付いてくるなら好きにしろよ?」

 

「お、おう」

 

 

 

 だからついついツンケンしてしまう訳だが、本人は特に気分を害した様子もなく、付いて来たいのなら好きにしたら? と同行を許可する。

 

 

「~♪」

 

「………」

 

 

 相変わらず読みやすいようで読めない奴と、鼻歌なんか歌いながら歩いている一誠の後ろをついていくクリス。

 響達が通う学校向かっているその最中、買い物帰りと人妻らしき女性を見ては鼻の下なんかを伸ばすものの、言った通りナンパはしない所を見るに、本当に響達への野暮用の様だが一体なんなのだろか。

 

 そんな事を思いながら、クリスは今日一日間近で一誠……それからヴァーリや神牙を見て思ったことを口にする。

 

 

「なあ、ヴァーリって奴は風鳴って奴と仲が良いのか? 約束がどうとか言っていたが……」

 

「ああ、みたいだな。

気づいたらそうなってたんだよなぁ」

 

「お前は風鳴って奴にはなんもしないのかよ?」

 

「え゛? そ、そんな恐れ多い事なんてできねーよ」

 

「は……?」

 

 

 翼について聞いてみた途端、何故か顎と鼻を擦りながら苦笑いする一誠。

 まだ出会う前に響のお悩み解決のつもりで、翼に対して原始人でもやらなそうな口説き文句を垂れてショートアッパーからのフックを喰らった事をクリスは知らない。

 

 

「神牙って奴はいつもああなのか? アンタよりヤバイ事を女の職員にやってたけど」

 

「あの馬鹿は事故と言い張ってるからな……。

見た限り、櫻井さんに日に三回以上は羨ましい事を……クソ!」

 

 

 年齢含めて櫻井了子なる職員は一誠のドストライクなのだが、大体いつと神牙がやらかしてるせいで全然近づけない。

 それが悔しいのか、軽く歯噛みする一誠を見てクリスは内心『あれフィーネなんだけど……』と、思いつつも黙っていた。

 

 実は保護されてすぐの時に二課に潜り込んでいた櫻井了子――つまりフィーネと密かに再会していたクリスだが、その際彼女は言ったのだ。

 

 

『別にバラしても良いわよ。

その代わり、私には一生理解できない、アナタがご執心中のスケベ小僧にアナタの恥ずかしいエピソードをついうっかり話してしまうかもしれないわねぇ?』

 

 

 つまり普通に脅されてしまい、話したくても話せなくなった。

 というか急に世間に放り投げた理由にしても……。

 

 

『どう逆立ちしても現状はあの馬鹿共は消せないし、私は特にあの神牙という男は八つ裂きにしてやりたい。

だからこうして櫻井了子としての立場を最大限に利用しようと思ったのと同時に、アナタを保護させる形で入り込ませる為にああしたって訳よ。ちょうどアナタはあのスケベ小僧に拘り始めていたし?』

 

『………』

 

『今日だってあの男に……あ、あんな所を見られて……!』

 

 

 えぇ……? としか思えない理由だったことも話せない。

 だってフィーネに拾われた後にあった『あんなこと』や『こんなこと』といった、恥ずかしいエピソードをバラされてしまうから。

 それだけは絶対に……特に一誠にだけは知られたくない。

 

 だから櫻井了子とは基本的にかかわり合わないようにしているのだ。

 

 

(というか、コイツ等の無茶苦茶に振り回され過ぎたせいか、フィーネも変わったよな……)

 

「くっ、俺も櫻井さんのおっぱいにダイブしてみてぇ……!神牙の野郎……!」

 

(失敗しても痛い事とかしなくなってたし……。というか、神牙って奴にあんなこと毎日されたのかよ……)

 

 

 普通にフィーネが怖くなくなっていたクリスは、フィーネもフィーネで振り回されてるんだなぁ……とちょっとした同情すら覚える。

 

 

「なぁ、櫻井さんのおっぱいにダイブできる方法ないかな?」

 

「お前には一生無理だ」

 

「ぐっ、おっぱいだけは強い奴が言うと妙な説得力が……」

 

「み、見るんじゃねーよ……! そういうのがダメなんだよ……!」

 

「おお……流石メロン、隠そうとしても溢れる戦闘力だな」

 

「や、やめろって! 普通に恥ずかしいんだよ!

 

 

 ナチュラルに一誠にチラチラ見られるクリスもフィーネと同じレベルで振り回される。

 ここに来て妙に似てきた二人なのであった。

 

 

 そして……。

 

 

「あ、く、クリスちゃんも居るんだ?」

 

「暇らしくてな」

 

「元気そうね……?」

 

「え、えっと……その節はどうも……」

 

 

 

 

 

 

「トレーニング……?」

 

「うん、毎日一誠君に未来と一緒に鍛えて貰ってるんだ」

 

「だ、だから会うたびに強くなってたのかよ……ズルい」

 

「……。多分同じ事を私と響もアナタに思っているわ」

 

「は? な、なんでだよ?」

 

「だってクリスちゃんの事絶対に一誠君って気にしてるもん」

 

「は、はぁ!? そ、そんな訳ねーよ! あんなスケベ野郎に気にされたら地獄だっつーの!!」

 

「「………」」

 

「おーい、飲み物買って来たぞ~………どした?」

 

「な、なんでもねーよバーカ!!」

 

「お、おぉ……? そんなにキミのメロンをガン見したのが嫌だったのか?」

 

「めろん?」

 

「………………………………………一誠さん、それは普通にセクハラです」

 

「いや、だって…………あ、はいすいません、以後気を付けるからそんな目で見ないでくれ小日向ちゃん。

何でか知らないけど、キミにそんな顔されると地味に堪えるぜ」

 

 

 どうにもシリアスが緩和される日々は緩やかに……




補足

解雇理由(真)

今現在で通算165回による曹操(神牙)からのラキスケへの復讐をしたいが、やろうにも更なるラキスケが発動するため、取り敢えず一旦ガチで潜伏してより近くで対ラキスケの為の観察することする為に一旦クリスを解雇。

そして、解雇して割りと酷い目に合わせて『クリスを二課に保護させる』
 そうすれば引き続き駒として密かに使える。

 私って天才ねっ! と、やはり三馬鹿に頭を悩ませてきたせいか、少し残念な人になりかける。



 ただ、明らかに三馬鹿達が理不尽かつアホで緩いせいで、最近のフィーネさんはクリスに全く怖がられなくなるくらい引っ張られ始めてるので、それを聞かされたクリスの反応はショックもなにもなく『ああ、うんそうなんだ? わかったわかった』と、普通に同情された模様。

 尚フィーネさん本人は、『バラしたら恥ずかしいエピソードを一誠に暴露してやる』と釘を刺した気でドヤっている模様。


その2
弟子枠化してるビッキーと未来様。
が、どう見てもクリスを妙に気にしてる一誠になんか微妙な納得のいかなさを覚えてるらしい。


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