色々なIF集   作:超人類DX

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三馬鹿編に戻ります。

本当に緩いです


緩い作戦会議

 それまでの人格が嘘であったかのような変貌を遂げた者を何人も見てきた一誠にとって、雪音クリスの話は実に怪しさと嫌な予感を感じさせるに十分なものであった。

 

 

「――――てな訳で、俺達が暴れまわりすぎたお陰で、微妙に緩い性格になってきた――えー、誰だっけ?」

 

「フィーネ」

 

「そうそう、そのフィーネって人が急に元の冷酷さ――いや、もしかしたら今まで以上の冷酷さを持つようになったらしいんだ」

 

 

 つまりそれは、かつて自分が自分として生きる為に終わらせた存在を匂わせるものであり、いきなり解雇通知をされて殺されそうになったのを命からがら逃げ出した雪音クリスをアルバイト先の方々にはちょいと内緒にしながら、友であるヴァーリと神牙を響と未来とのトレーニング場所である廃工場に呼び出し、話をする。

 

 

「ズルズル……話はわかった」

 

「もぐもぐ……しかし、お前の考えすぎではないか? いくらなんでも奴のような奴がこの世界にも存在するとは思えないのだが……」

 

 

 元の世界において、最悪に災厄な三人組と揶揄され、とある者を殺害した事で世界中からのヘイトを買い漁っていたりする三馬鹿の集結は、元の世界の多くの者達にすれば悪夢そのものである。

 しかしながらこの世界においてはその悪名も無く、ただただアホやってる三人組でしかない。

 

 その証拠に、銀髪と黒髪の二人の青年がそれぞれラーメンとピザを食いながら一誠の話を聞いているのを、何気にまともな意味で対面することになったクリスは、一誠と同等に緊張感の欠片もない出で立ちに微妙な顔である。

 

 

「なぁ、アンタの仲間ってのは知ってるけど、本当に話して良いのかよ?」

 

 

 一誠と同等の異質な力を持っていることはフィーネとの調査でわかってはいたが、一誠とは違ってイマイチ不透明な部分があるせいか、クリスは肘で一誠を突きながら問いかける。

 

「ズルズル、心配するな。

俺達は一応雇われてはいるが、単なる清掃員でしかない。

キミについてわざわざ報告する義務もない」

 

「あぐあぐ……ああ、それにその様子だと一誠と仲が良いみたいだしな」

 

「べ、別に仲がいいわけじゃねーよ……」

 

 

 そんなクリスの声が聞こえていたのか、ラーメンを啜ったりピザを食いながら、ヴァーリと神牙はこの事は全てここだけの事にすると約束する。

 しかし、どちらも緊張感も無くテイクアウトで購入した料理を貪り食っているせいで、やはり締まりがない。

 

 だが、いきなり世間に放り捨てられてしまい、どこに行けば良いのかわからないクリスに選択の余地は無く、それ以上はなにも言えない。

 

 

「それで? 一誠はどうしたい?」

 

「そうだな。ヴァーリと神牙の言うとおり、俺の考えすぎかもしれないけど、現にこの子はいきなり解雇されちまって世間に放り捨てられちまったから、不当解雇を理由に文句を言いにいってみたいなと……」

 

「立花といい、随分と彼女の肩を持つな。お前らしくない」

 

「? そうかな? 別に普通だと思うが……」

 

「いや、確かに神牙の言うとおりだ。

仮にもしそこの彼女がリアス・グレモリー達やらオーフィスで、同じ状況になっていると知ったらどうする?」

 

「んなもん中指立てながら唾でも吐いて、『俺の知ったことかバカヤロー』とか言うかな……。

そもそもの話、ビッキーもこの子もあんなビッチ共とはちげーし」

 

「…………」

 

 

 暫く黙って話を聞いていく内に、一誠の知らない部分を少しだけ知る事ができたクリス。

 聞いたことのない名前がちらほら出てくる。

 

 

「確かに彼女達を連中と比較するのは彼女達に失礼だったな」

 

「だべ? って、そんな話じゃなくてよ、この子が不当解雇されちまったって事で、雇い主さんの所にカチコミかけに行ってみよーぜって事なんだよ」

 

「確かめるという意味も兼ねてか?」

 

「ああ、それで単なる取り越し苦労で済むならそれで良いし。

なにより、雪音曰く、そのフィーネって人は家の中では全裸で歩き回るっていう話じゃねーか……これは是非っっ!!!! 雪音の復職の為にカチコミをかけにいくべきだろう!?」

 

「「「………………」」」

 

 

 どうやら一誠なりの過去があって、一誠もその話をされるのを嫌がって話を逸らそうとしている気がしたとクリスは思ったのだが、次の瞬間には鼻息荒めにカチコミしたがる尤もらしい理由を語るせいで台無しだ。

 

 

「雪音の復職の為だぜ! うへへへ……!」

 

「…………。絶対に違うだろ」

 

「キミもわかるか? わかりやすいからなコイツは……」

 

「フィーネって奴の全裸が見たいだけだな……」

 

 

 うっかりフィーネが女の姿をしていると話したのと、フィーネの特徴を話す内にうっかり館では基本全裸だという事を話したせいで、最低な意味でやる気満々な一誠に、クリスとヴァーリと神牙は呆れ果てたような顔だ。

 

 

「そんなつもりでアンタにフィーネの居る場所を教えたんじゃねーぞ」

 

「わーってるわーってる! 勿論これはキミの不当解雇に対する抗議だぜ? もしカチコミかけた時に全裸のフィーネって人と出会しても、それはもう仕方ないじゃん? クヒヒヒヒ……!」

 

 

 ダルンダルンに鼻の下を伸ばしきられた顔で何を言おうが説得力のせの字すら感じないクリス。

 

 

「よーし! 久々にやる気出てきたぜー!!」

 

「………」

 

「まあその……なんだ、本人に悪気はそんなに無いんだ。

致命的に女に弱いだけで……」

 

「イザとなったら友達の為に命すら賭けられる様な男だぞ? 一応だけど……」

 

「……ある程度は知ってるよ。

だってしょっちゅう公園とかで子持ちの女にへったくそなナンパ仕掛けては秒で拒否られるか、街中で大学生くらいの女をナンパしようとしたら鞄投げつけられる所を見たし」

 

「悲しいかな、好みの異性からの受けが死ぬほどに悪いからな一誠は……」

 

「というか、そういう面しか見せないから悪印象しか持たれないだけだろ」

 

 

 にへらにへらしながら買ってきた食料をかっこむ一誠に、クリス、ヴァーリ、神牙はしょっぱい気分にさせられるのであった。

 

 

 

 

 

 こうして一誠のスケベさのせいで、フィーネの館にカチコミをかけることになった三馬鹿とクリス。

 アルバイト先の上司達への報告はせず、同僚にも内緒という形で、本日は廃工場でお泊まりする事に。

 

 

「あ、ビッキー? 悪いけど明日のトレーニングはちょっと休みにしてほしいんだ。

うん、小日向ちゃんにも言って欲しい―――え、理由? あー……いや実はエロいお姉さんのナンパに成功したから、今から楽しいことを――――――………………ア,ハイ嘘です」

 

「風鳴だな? 悪いが明日の掃除はアンタ一人でやっててくれ。

ああ、一誠と神牙の奴が久々に三人で修行をしたいといってな……」

 

「ふっ、一誠もヴァーリも大変だなぁ。その点俺は身軽だ」

 

「……………いや、アンタだって確かしょっちゅう女に変態めいた真似してるだろ」

 

「違う、アレは全て事故でしかない。

ちょっとよそ見しながら歩いていたら女とぶつかってしまうだけだ」

 

 

 怪しまれないように工作する一誠とヴァーリを見て神牙がドヤ顔をするのだが、クリスは以前からフィーネが微妙な顔をしながら彼について語っていたのを聞いていたので、ある意味一誠よりも質が悪いと思っている。

 

 

「よし、ビッキー達には上手いこと言っておいたぜ」

 

「風鳴にも言っておいたぞ。あの女、ちょっと目を離すとすぐ部屋を汚すからな」

 

「え、なんでお前が風鳴さんのお部屋が汚いってしってんだよ?」

 

「? ああ、最近彼女の部屋の掃除を手伝っていてな。

凄いぞあの女、安心院なじみに声こそ似ているが、似ているのは声だけで基本的にポンコツだ」

 

「ほー?」

 

「最初の方なんてめっちゃくちゃで、下着が散乱していたぐらいだ。まったくもってだらしなくてつい手伝ってやることに……」

 

「………。お前、女の人と下着に平気で触れてたりしねーよな? キレられんだろ?」

 

「別にキレられはしないぞ?

大体、片付けをする以上は触れるだろ? ちゃんと畳んでやらんと皺に……ぐえっ!?」

 

「お前は本当にアレだな!? お前のその許されるスキルはなんなんだよ!?」

 

「いたたたたっ!? 一体なんのことだ!!?」

 

 

 急に戻る前のフィーネが頭を痛めていた理由がよーくわかった気がすると、クリスはヴァーリを馬乗りに体制からボコボコひっぱたいてる一誠やら、『俺は女なんぞに現は抜かさないからな(ドヤァ)』と誰に向けてるのかからないどや顔をしている神牙を見て思う。

 

 

「フィーネが匙を投げ掛けた理由がわかってきた気がする」

 

 

 要するに、予想の斜め上の事を常にしてくるのが彼等にとっての通常運転なんだ。

 そんな彼等――特に一誠と知り合ってしまった事が果たしてクリスにとって幸なのか不幸なのか……。

 

 それはまだ誰にもわからない。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 ほぼ個人的な欲オンリーでクリスの案内でフィーネのアジトにカチコミをかけた三馬鹿。

 

 しかし………。

 

 

「誰も居ない……」

 

 

 そこはもぬけの殻であった。

 

 

「全裸のフィーネさんは!? 俺の全裸フィーネさんは!?!?」

 

 

 フィーネが居ない事が信じられないとアジトの中を駆け回るが、やはりフィーネも誰も居ない。

 そして悪いことは続き、二課の方々に今回の勝手行動が普通にモロバレしてしまい、流れでクリスまで捕まってしまった。

 

 

「雪音をどうするんだよ?」

 

「事情聴取をする。大丈夫だ手荒な真似は絶対にない」

 

「…………」

 

 

 そう言う弦十郎は良い大人で、嘘なんてついてないのだが、大人は基本的にアザゼルとかコカビエルとかガブリエルくらいしか信じてなかったので、微妙に信用できなかった。

 

 

「……チッ」

 

「あー……ごめん」

 

「いや、単に大人が信用できないだけだ」

 

 

 保護されたクリスが気になってしょっちゅう差し入れをしながら様子を見に来たり。

 

 

「櫻井了子がフィーネ……?」

 

「確かその女は、神牙のやらかしの主な被害者では……」

 

「違う! 単なる事故だ!!」

 

「ここでバイトしてから100回もあんな事故があってたまるかよ」

 

「この前なんか思いきり股ぐらに顔つっこんでたろ……」

 

「知らん! 俺は知らん!!」

 

 

 なんか色々と発覚してしまったり。

 

 

「貴女がフィーネだったとはね。

一誠やヴァーリと同じく、俺にも奇妙な縁があったらしい」

 

「ええ、通算132回のアナタへの恥辱の怨念がこれで晴らせる……!」

 

「だからアレは事故だ!」

 

「事故であんな……あ、あんな事になるかぁぁぁっ!!!」

 

「のわぁっ!?」

 

 

 

「フィーネがめっちゃ真っ赤になって追いかけ回してるけど、助けなくて良いのかよ?」

 

「いーよ別に。ちくしょう神牙のあんちくしょう、あんなお姉さまと……ちくしょう!!」

 

「な、泣かないでよ一誠君?」

 

「ぐすっ、いっつもそうだよ。

素敵なお姉さんとの出会いなんて全くないし、あってもヴァーリか神牙ばっかで……ううっ……」

 

「………どーせ、アタシはガキだよ」

 

「アナタ達が来てからというもの、本当にどこまでも緊張感が無くなってる気がしてならない……」

 

「そうか? 神牙本人からしたら至極真面目だと思うが?」

 

 

 三馬鹿の中では一番フィーネにやらかしてましたせいでめっちゃ恨まれていたり。

 しかし、英雄になるよりも、友を作ることを夢見てきた青年は……。

 

 

「貴様等さえ現れなければ、私は……!!」

 

「それについては謝る。俺達もいずれはここを去るつもりだ。

だが、世話になった相手への借りは必ず返す! その為にはアナタを斬る……!」

 

「ほざくな!! 貴様に神滅具があろうと、貴様一人殺すことなど――っ!?」

 

 

 英雄の槍を先の領域へと進め……。

 

 

「神牙さんの槍が赤い鞘の剣に変わった……?」

 

「む、神牙の奴、マジになるのか?」

 

「みたいだな。アイツなりに考えたのだろう。やらかした相手への礼儀という意味でな」

 

「でも正直槍の方が強そうに見えるけど……」

 

「いや、よーく見てな」

 

 

 

「ふん、何を見せると思いきや、そんな脆弱な剣で私を斬ると?」

 

「…………」

 

 

 槍から赤身の剣へと姿を変え、鞘から剣を抜き、頭上へと掲げる。

 

 そして掲げた剣で円を描くように回せば、その身を光が照らし――

 

 

「!?」

 

『……………』

 

 

 英雄の子孫にて神ノ牙は黄金の狼へと変わるのだ。

 

 

「な、なんだ……それは……!?」

 

『俺だけが到達した黄昏の聖槍の先。

我が名は牙狼……黄金騎士ッ!!』

 

「黄金……騎士……?」

 

『一誠とヴァーリという友と肩を並べる為に至った俺だけの領域!』

 

「な、嘗めるなぁっ!!!!」

 

 

 金狼となりて……。

 

 

『烈火激竜!!! 貴様の陰我、俺が解き放つ!!!』

 

「あああぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 その果ては……。

 

 

「ぐっ……!? ここはどこだ……?」

 

「………………」

 

「いててて……まったく、カッコつけてもこれでは締まらない―――のわっ!? な、何故俺は全裸!?」

 

「………………………」

 

「ふ、服はどこに―――――ひょえっ!?」

 

「………………………」

 

「あ、あたた、アンタはフィーネ!? ど、どういう状況だこれは!?」

 

「……………………………。知らないわよ。

全部アナタのせいでこうなってるとだけしかわからないわよ……!」

 

「お、俺のせいだと? ……………あ!? あ、あの時の衝突で次元が裂けて……」

 

「ええ、こうして引きずり込まれて出られなくなったわ」

 

「くっ……だったら今すぐにでも次元を抉じ開けて――っ!?」

 

「……そう、無理よ。

アナタも私もここに閉じ込められた弊害で力が消えている。

つまり……アナタの友人が外から開けない限りはこのまま――」

 

「じょ、冗談じゃない! 世界中のバーガーを腹一杯食う夢はまだ叶えてないし! なにより何が悲しくてアンタのような年齢不祥の年増女と――ぐぇっ!?」

 

「年増が……なに?」

 

「ぐぇぇ……!? な、なんでもない……!」

 

 

 やらかし馬鹿とラスボスその1の脱出ゲームが始まってしまうかもしれない。

 

 

「ふっ、互いに力を失ってるこの状況では、私の方が強いようね?」

 

「ぐ、ぐぬぬ……!」

 

「ふ、ふふふっ! 良いわねその眼……ふふふふっ!」

 

「お、おーいヴァーリと一誠! は、早く助けてくれー!!! 年齢不祥のおばさんに殺され――ぎょえー!!」

 

「誰がおばさんよ……殺すわよ?」

 

「う、うぅ……」

 

「………あはっ♪ 良いわね! 敵わないと思っていた相手を踏みつけられるなんて……!! 楽しくて仕方ないわ!!!」

 

 

嘘です。

 

 

 

 

 

「いや、まあその……助かってよかったなとは思うが」

 

「……な、なんだ?」

 

「お前、なんでそんなやつれてるの?」

 

「……………。魔女みたいなあの女に色々されたんだよ……うぅ、女なんて嫌いだぁ」

 

「「えぇ……?」」

 

 

 

 

 

 

「フィ、フィーネ!! ま、また何か企んでやがるのか!?」

 

「企む? あー……まー企んではいるわね」

 

「なんだと!? だったら――」

 

「神牙!!」

 

「は、はい! ど、どうかしたか?」

 

「………………。疲れたから私を運びなさい?」

 

「わ、わかったです……はい」

 

 

 

 

「なぁ、神牙の馬鹿をぶっとばして良いかな?」

 

「よせよ、相当な事をされたんだろう……」

 

「な、なにあれ……見てはいけないものを見ちゃってるような……」

 

「あわわわっ……な、なにしてんだよアイツ等……!?」

 

「ヴァーリ! 見ちゃダメだ! 大人になるまでダメ!」

 

「アンタとそう歳は変わらないんだが……」

 

 

 

嘘です(本当)




補足
コンビニ感覚でカチコミしちゃう。

仕方ないね、三馬鹿だもの。

ただし、懸念を確かめるという真面目な理由が密かにある。


その2
最後全部嘘です

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