色々なIF集   作:超人類DX

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これもすんげー前に書いたけど放置してたのだ。


最没ネタ

 別に劇的な出会い方でもないし、運命的な何かを感じたという訳でもない。

 ただ、アイツが言うには似ているらしい。

 

 何が似ているのかはその時の俺にはよくわからなかった。

 とにかく今日や明日の飯にありつけるかどうかすらわからない不透明な今をどうにかして生きなければならない俺に考える余裕なんてその時はなかった。

 

 どんな事があっても前を向き続けると決めた以上、こんな所で死んでなんてられないのだから。

 そんな俺にアイツは色々としてくれた。

 曰く、自分と似ている俺がこんな所で死ぬのなんて見たくはないからと。

 そんな気紛れにも近いアイツのお陰で俺は今を生きる事ができるようになれた訳なんだが……。

 

 成長していく俺とは正反対に、アイツは出会った時から全く姿形が変わらないせいなのか、最近の俺は巷でロリコン扱いをされるようになっちまったんだよなぁ。

 

 ………もれなく半殺しにしてやってるけどよ。

 

 いやだってしょうがないじゃん。

 アイツってそもそも人じゃないし、見た目も一応変えられはするけど、出会った時の姿じゃないと俺が嫌なだけであって、別にロリコンじゃねーし。

 

 わかるかな? ………わかんねーか?

 

 

 

 

 

 人の種から生まれてしまった人の理を越えてしまった人間。

 皮肉にも人でありながら人でなし(・・・・)であった彼を真の意味で理解して受け止められたのは、彼の中に宿る龍と、伝説と呼ばれた龍であった。

 

 その内のひとつであり、伝説と呼ばれた龍は、彼が人でなしとなってしまい、人に恐れられ、排除されかけた原因となるソレを感知し探し当てるまでに至った。

 

 そして薄汚れた子供である彼を拾い、殆ど手探り状態で彼を自分なりに育て上げ、その過程で自らの龍としての本体を彼本来の種族である人に近い状態に作り替えたりもした。

 

 その際、折角だから大人の人間体になろうと思ったのに、彼が嫌そうな顔して……。

 

 

「ええ? 何時もの姿になれよ? なんかお前はその姿じゃないと違和感だらけだし、普通に嫌だ」

 

 

 なんて言うから彼と出会った頃のままの姿になり、それからも共にのんびりと生き続けた。

 ちょいと小うるさい連中にちょっかいとかをかけられたりもしたけど、無事に成長した彼とその都度黙らせてやったりもした。

 

 つまるところ、無限の龍神から無限の龍人へとなったオーフィスは、無尽蔵に成長し続けるという、無限を持つ青年へと成長した彼と楽しく今を生きているのだ。

 

 ………最近彼の周りをうろつく鬱陶しい雌共に警戒しながら。

 

 

 

 

 気づいたらオーフィスの力と名だけが担ぎ上げられる形で出来てしまったテロ組織がある。

 無論、そんな組織の長になった覚えなんてオーフィス本人には無いが、気づいたら潰すのも怠いと思う程度には当てる規模が巨大化してしまったので、最近のオーフィスは放置気味にしていた。

 

 

「どうするんだよこれ? 知らん間に悪魔の内部抗争にお前の名前が使われてるじゃねーか」

 

「我知らない。勝手に我の名前を使われただけ」

 

「いやいや、お前普通に極悪人扱いされてんだぜ?」

 

「我がその他の生物達にどう思われているのかなんてどうでもいい。

それよりイッセーがまた変な雌と居た――そっちの方が我にとって重要」

 

 

 人間界でもランクは限りなく低い昭和初期チックなボロアパートの一室。

 そこに、無限の龍神ことオーフィスはかつて拾ってここまで共に生きた少年ことイッセーと住んでいた。

 成長するにつれて少年の名が、宿る赤い龍の力と称号と共に世間に広まっていて、更に言えばオーフィスと行動を共にしているというのもあって、少年の存在はそういった界隈ではかなり有名になっていたりはする。

 

 が、そんな事は本人とオーフィスにはどうでも良く、イッセーはといえば勝手にオーフィスの名を使って沸いて現れたテロ組織のやらかしについて話し、逆にオーフィスはイッセーから他の雌の匂いがすると不快感を露にしている。

 

 

「またあの雌悪魔と会ってた……」

 

「仕方ねーだろ、唯一の情報源というか、こっちの事情を知っている協力者さんなんだから。

てかお前、四年くらい前に初めて会った時からあの人の事嫌ってるよな」

 

「イッセーを見る目が盛った雌の目をする時があるから嫌なだけ」

 

「盛ったって……んな訳ねーだろよ」

 

「イッセーはわかってない。あの雌悪魔は危険……」

 

 

 長い黒髪と少々尖った耳をした少女の世間的なイメージとは裏腹に割りと感情豊かな姿に、イッセーは微妙な顔である。

 というのも、コネクションがほぼ無いイッセーにとって唯一ともいえる――『色々な正体や事情を知った上での協力者』とオーフィスは何故か初めて出会った四年前から仲が悪い。

 

 オーフィス曰く、その協力者がイッセーに色目を使うかららしい。

 イッセー本人はそうは見えないし、仮に本当だとして微妙に嬉しくは無いのだが。

 

 

「あの雌悪魔の匂いがするのが嫌だから、我の匂いで消す」

 

「ああ、だからさっきから犬みたいにスリスリしてくるわけね……」

 

 

 とにかくそんな事もあって、オーフィスがまさに犬のようにイッセーにひっついている。

 具体的には座っているイッセーの胸元に顔を埋めているみたいな形で。

 

 

『それで? オーフィスの名を使って好き勝手する連中はどうする気だ?』

 

「直にオーフィスが動いたら何かと面倒な事になるだろうし、俺が密かに消して回りゃあ良いだろ?」

 

『それしかないか……』

 

 

 スリスリしてくるオーフィスを好きにさせながら、イッセーは自分の中に宿るもう一人の龍と会話をする。

 これが彼のライフスタイルであった。

 

 

「仕方ねぇ、センパイから情報を買うか」

 

「………。今度は我もついていく」

 

「そんな心配なのかよ? 別になんでもねーっつーのに」

 

 

 

 少なくとも、オーフィスよりも早く彼の存在を知ることが出来れば……と、密かに悔やんでいるのが一人。

 彼女はまだまだ若い悪魔の少女であり、同族や親族達に将来を楽しみにされている模範的な悪魔――という体にして生きているのだが、その実は少しばかり違っている。

 

 まず彼女は悪魔であり、悪魔としての魔力を確かに持つのだけど、もうひとつ……種族として例の無い異常な力を保持していた。

 それは肉親や親族も持たぬ、謂わば彼女のみのオリジナルであり、それでいて他の悪魔から見ても異質な力。

 

 故に少女はこの自分だけのオリジナルであり現実に対し、一種の孤独感を抱いていた。

 故に同族ではない存在がまさか自分と似通ったものを保持していると四年前のひょんな出会いの際に知った時は、心から喜んだし、彼のある意味『自分に正直な性格』は好ましいとすら思った。

 

 …………自分より前に彼を理解した存在に色々と妨害されるのだけは癪だが。

 

 

「―――てな訳で、情報を買いに来たっす」

 

 

 そんなお邪魔虫を今度はひっつけながら現れた少年に、悪魔の少女ことソーナ・シトリーは少しだけムッとしながら口を開く。

 

 

「アナタの方から事前に来ると連絡までしたから、こっちははりきって準備をしたのに、オーフィスをつれてくるとは聞いてないわ

 

「ついて行くって聞かなかったもんで……」

 

「ソレ以上イッセーに近寄るのは禁止。

お前の匂いがイッセーにつく」

 

「アナタに一々命令される覚えも、聞いてあげる謂われも無いわねオーフィス?」

 

「………マジで仲悪いなアンタ等」

 

 

 イッセーにおんぶされているオーフィスが、まるで自分のだとばかりに後ろから腕を回してイッセーを抱きしめる姿に、ソーナは無限の龍神等関係なしと恐れた様子もなく言い返す。

 

 

「あんまり長居したら迷惑でしょうから、情報を買ってさっさと帰りますよ」

 

「迷惑? そんな事を思った事はただの一度もないわよ? なんならこのまま私のお部屋で将来について等をゆっくり話し合ったり――大人みたいな事とか……」

 

「お前みたいな奴にイッセーは興味がない」

 

「アナタにだけは言われたくないですねぇ?」

 

「………喧嘩すんなよ」

 

 

 本人の知らない所でお互いに牽制しまくりな状況に、イッセーはため息を吐く。

 普段はこんな小競り合いばかりなのに、共通の敵が出現すれば嘘みたいに息を合わせて排除してしまえるのだから、普段ももう少しだけ仲良くすれば良いのに……と、友達がオーフィスとソーナしか居ないと思っているイッセーは割りと真面目に思う。

 

 

「オーフィスが作ったって勝手にされてる禍の団は、我々悪魔の旧体政府に属していた者達が加わり、此方に宣戦布告をしたのは既に知っているでしょう?」

 

「ええまあ……」

 

「皮肉な事にあの騒動によって三大勢力が互いに協力し、テロ対策チームを作ることになったのよ」

 

「ふむふむ……」

 

「あ、ちなみにあの騒動の際に堕天使側に居た白龍皇が組織に寝返ったみたいだわ」

 

『あ? 白いのがだと?』

 

「ええ、その内アナタ達に接触してくるんじゃあないかしら?」

 

「めんどくせーなそれは……」

 

 

 次々と面倒事の種としか思えぬ情報を仕入れるイッセーは、聞けば聞くほど、ここまで話が肥大化する前に潰しておくべきだったと後悔する。

 

 しかしながら当時はイッセー自身がそちらに時間を割ける余裕がなかった時期だった為、仕方ない部分もある。

 

 

「まずはその旧体政府派ってのを密かに消すか。

んで、白龍皇をついでに消して……」

 

「人手が足りなければ私が個人的に力を貸すわよ? 流石に眷属達には言えないし、手伝わせたりはできないけど」

 

「取り敢えずやれるところまでは自分でやってみますよ。

センパイに借り作るとオーフィスが拗ねるし……」

 

「お前の力なんて要らない。我とイッセーで間に合う」

 

「元々アナタが放置したからこうなってしまったのでしょう? 偉そうに言うことではないと思うけど?」

 

「これに関しては仕方ないっすわ。当時俺とオーフィスは忙しかった時期でしたので……」

 

 

 ソーナに情報に対する対価を支払いながら当時動けなかった事を話す。

 どうやらその忙しかった内容をソーナは知らないらしい。

 

 

「……ま、今更何を言ってもここまで組織としての規模が大きくなってしまった訳だし、ひとつずつ厄介事は片付けませんとね」

 

 

 深く聞く気は無いソーナの言葉に一誠はうなずく。

 

 

「えーっとこんなもんで?」

 

「充分よ。ふふ、これでまた生活資金が貯まったわ」

 

「? そんなに金に困ってるようには見えないんですがね。

実家も金持ちなんでしょう?」

 

「何を言ってるのよ? アナタから受け取った情報料は全て貯金しているのよ?」

 

「貯金? ああ、堅実そうっすもんねセンパイって」

 

「でしょう? ふふふ♪」

 

「…………………」

 

 

 ニコニコと微笑むソーナだが、そんな笑みの意図をオーフィスだけは何と無く見抜いたのだった。

 

 

終了




補足

オーフィスたんとソーたんとでほのぼのと遊びながらほのぼのと生きていく話。

別にひんぬーと馬鹿にはしないし、オーフィスたんからのスキンシップも拒否はしない。

ただただ彼が思うのは、どちらも自分にとっての唯一の『親しい友達』なので、仲良くしてくれないかなー……という地味に純粋少年。


その2
互いにツンツンするけど、『共通の敵』が出現した場合は嘘みたいに息を合わせて消しにかかるという。

……地味にソーたんの基礎戦闘力がエグいことになっているのは密に……。


てか、ベースがどっちかと言えばマイナスソーたんなので、ある意味での精神的な余裕が強すぎるらしい。


その3
ドライグはパパなんで見守ってます。

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