色々なIF集   作:超人類DX

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先に言っておく、三馬鹿のギャラは――破格だ。

※某イケメン生物災害エージェント風に


シビアな三馬鹿

 まともな戸籍が無きに等しき三馬鹿は義務教育すらもまともに受けてはいないものの、基本的な学問等はアザゼルといった大人達によって一応は学んではいる。

 

 とはいえ、別に人間界の人間達に混ざって学校に通いたいかと言われたらそうでもなく、それよりも重要なのは美味いものを毎日お腹一杯食べられるようにお金を蓄える事が重要だ。

 

 なので学校に通わない三馬鹿がすることは、アザゼルからの下請け的な仕事であり、その内容は簡単なものから人には言えないものと様々である。

 

 つまるところ、この三馬鹿はそれ相応の対価を約束すれば、仕事をするのである。

 ………もっとも、三人とも幼い頃の貧困な思い出があるせいで金に対しては例外無くシビアだったりする訳で……。

 

 

「つまり、悪魔のゲームに勝つ為に一時的に俺達を眷属にしたいと……」

 

「ええ……」

 

 

 それがいくら女にだらしない一誠とて同じなのである。

 

 

「今話した通り、私は婚約か破棄かを巡ってのレーティングゲームをその相手と行う事になったの。

でも相手の眷属はフルメンバーで、こちらはフルメンバーではなく、兵士に至っては一人も居ないわ。

その事を言ったら、相手は勝てる気でいるのか、一時的な協力者を使っても良いと言ってね……」

 

「なるほどね……」

 

「んめーんめー」

 

「ちょっと持って帰るか……」

 

 

 ここ最近の三馬鹿との関わりは皆無だったリアスからの呼び出しを一応受けて馳せ参じた三馬鹿。

 しかしまともに聞いているのは神牙だけであり、二天龍をそれぞれ宿す一誠とヴァーリはオカルト研究部の部室に備蓄してあるお茶菓子的な食料を片っ端から食べまくっている。

 

 

「傭兵として俺達を雇いたいというのはわかったが『コレ』はちゃんと用意できるのか?」

 

 

 その内リアスの戦車である白音まで混ざってお菓子を食べ始める中、神牙は人差し指と親指を使ってお金のジェスチャーをする。

 

 

「……いくら必要なの?」

 

 

 それに対してリアスはタダではないことは分かっていたので、金額を聞いてみる。

 

 

「前金で5000万。敵一人を仕留める度に100万ってところだろう」

 

「なっ……!?」

 

 

 だが想定していた以上に破格な金額にリアスは思わず声を荒げてしまう。

 

 

「高すぎるわ!」

 

「寧ろ5000万で俺達を使って気に入らない奴を始末できると考えれば安い方だと自負しているつもりだが?」

 

「これはゲームであって相手を殺す事は無いのよ!?」

 

「同じ事だろう? 要するにキミはその相手と婚約したくないから俺達を使って破棄させたいわけだしな」

 

「せ、せめて半額にしてよ!? 実家からの支援は無いし、私個人が用意できる金額ではないわ……!」

 

「では仕方ない。今回の話は無かった事にして貰おうか」

 

 

 一見すればぼったくり価格にも等しいが、三人の戦力の規模を考えたら仕方ないし、神牙は半額にしろという言葉に応じるつもりもなかった。

 

 

「悪いが、余程世話になってる相手以外に金額をまける気は更々無いよ」

 

「な、ならば兵藤君だけ! 彼だけを雇うわ!」

 

「一誠一人となれば、前金で2000万で一人仕留めるごとに50万だ」

 

「さ、3分の一の金額じゃないじゃない!」

 

「基本料金だよ。

そんなに下げて欲しいなら一誠本人と交渉してみるんだな」

 

「ぐっ……!」

 

 

 完全に足下を見てくる神牙では話にならないと悟ったのか、リアスは三人の中では一番『扱いやすいであろう』と思っている一誠と直接交渉しようと、ひっついてくる白音に鬱陶しそうな顔をしていた一誠に話しかけた。

 

 

「兵藤君、アナタだけを雇いたいのだけど……その、私個人で用意できるお金はあまりないの……」

 

「え、実家がお金持ちなんじゃ……」

 

「このゲームに関しては実家の支援は無理なのよ?

だからその……金額を少し下げて欲しいのよ」

 

「えー? こっちも割りと生活とかあるんですが……」

 

「わ、わかってるわ! だからその……気持ちとしてもし今回の事が解決できたら、私を一日好きにして良いわ……!」

 

 

 そして女に滅法弱い事も既に把握していたリアスは、正直嫌だったがそれ以上にあの男との婚約が嫌だったが為、背に腹は代えられないと一誠が飛び付きそうな条件を提示した。

 

 その瞬間、白音がギロッとした目でリアスを睨み付けていたし、他の眷属達も心配そうな表情だ。

 だが……。

 

 

「あー……残念ですけどそういうのは断る事にしてるんで」

 

「な……」

 

 

 てっきり鼻の下でも伸ばしながらさっさと頷くと思っていた一誠ですら、金に関してはシビアな答えが返ってきてしまった。

 

 

「ど、どうしてよ? 一日私を好きにして良いのよ?」

 

「悪くはないけど、好きにできた所で腹は膨れませんし」

 

「で、でも普段から私か朱乃に――」

 

「それとこれとは話が違いますから」

 

 

 あっさりと金を取る言い方にリアスは少なからずのショックを受けた。

 ふとリアスは小猫と呼ぶ白音を見てみると、ドヤァっとした顔をしているのだが、それが微妙に腹が立つ。

 

 

「まあ、高すぎるのは否めませんし、学生さん料金プランにしてあげても良いですよ? 前金500万の敵一人仕留める毎に10万で任務完了後に300万……くらい?」

 

『………』

 

「先輩先輩、ローンは可能なんですか?」

 

「無し。一括オンリー。

その代わり、確実に消したい相手は消す事を保証するし、仕留められなければその分の金額は返す」

 

 

 レーティングゲームまで残り8日。

 

 

 

 

 

 

 

 金にシビアなのは前から実は知ってた白音。

 故に下手な色仕掛けにすら簡単に引っ掛かりそうな一誠までもが一切揺れてなかった事にショックを受けているリアスや朱乃を内心ほくそ笑んでいたりもする。

 

 

「あの三人に目を付けるのまでは良かったですけど、特に先輩の事を見くびりすぎましたね。

あの人、ああ見えて一番徹底した『区別主義者』ですからね」

 

「区別主義者ってなによ……?」

 

「先輩にとっての『それ』か『それ以外』って事です。

つまり、先輩にとって『好き』と思える相手には例え敵同士となっても殺せなくなるくらい甘くなりますけど、そうで無い相手は例え先輩にとっての好みの異性だろうが確実に殺す――そういう事です」

 

「じゃあつまり彼にとって私や部長は……」

 

「ええ、それ以外ですね」

 

「あ、あんなに見る度に鼻の下を伸ばしてたにかい?」

 

「それはそれ、これはこれ――そういう事なんですよ」

 

 

 さっさと帰ってしまった三馬鹿――特に一誠について説明する白音にリアスは困ったように項垂れた。

 残り二人は無理にしても、彼は色仕掛けさえすれば簡単に引き込めると確信までしてたのだから。

 

 

「私からも何度か頼んではみますけど………まー期待しない方が良いですよ?」

 

『…………』

 

 

 結果、一誠とある意味で一番距離感の近い白音に託し、リアス達は当日までをできる限りのトレーニングに費やす事になる。

 そして白音は早速とばかりに一誠と会おうとリアス達のもとから離れるのだ。

 

 

「金持ちのお嬢様だから、もっとぼったくれると思ったのに、払えないってのは予定外だったぜ……」

 

 

 

 結局雇われる話は無かった事になってしまい、揃って帰宅した三馬鹿。

 神牙はジャンクード祭り等と宣って外へ。

 ヴァーリもラーメン道を極めると宣って別の街へ。

 

 

「仕方ないからアザゼル先生から何か仕事を振って貰うか……」

 

 

 つまり何時も通りのフリーダムな生活をしている中、一誠も例外無くフリーダムな人妻ナンパでもしようかなと考えながらフラフラしていたら、さっき会ったばかりの白音に呼び止められてしまった。

 

 

「せーんぱいっ♪」

 

「……………」

 

「あ、酷い!? そんな薄気味悪いものでも見るような顔して逃げないでくださいよ!」

 

「その声色の時のお前は大概ろくでもないことをされるってわかってるからな」

 

「ろくでもないことなんて酷いなぁ。

寧ろ気持ちいいことを――」

 

「はいはいはい、それで何の用だよ? 言っとくけどお前の頼みでも雇われるなんてしねーぞ」

 

 

 あくまで金を払わなければ動かないと言い切る一誠に、白音は当然とばかりに頷く。

 

 

「勿論わかっていますよ。

でも一応私もあの人達のお世話になっていますからね。

だからもし私が先輩を雇う場合の料金を聞こうかなって……」

 

「お前が俺を……?」

 

「はい」

 

 

 自分を雇いたいと言う白音に一誠は少しだけ考える素振りを見せ――やがて口を開く。

 

 

「前金5000円。一人仕留める毎に1000円。任務完了時に100円ってところかな……知り合い割引で」

 

「あ、あれ、随分と安くなるんですね……」

 

「まあ、知り合い料金だしな」

 

「へ、へぇ? てっきりその100倍くらいは覚悟してたのですが……」

 

「知り合いから流石に取りたくはねーよ俺も」

 

 

 価格崩壊レベルの安さに今度は白音が驚くが、あくまで知り合いだからと一誠は言っている。

 

 

「一応私のお小遣いで何とかなるかな……」

 

「そりゃ良かったな。

だが俺はあくまでもお前に雇われるんだ。

だからあの人達の指図は受けねーぞ? それは理解しとけ」

 

「あ、はい」

 

 

 こうしてさっきまでの交渉って何だったのだレベルであっさり雇えた白音なのだったが……。

 

 

「あら……? アナタは確かリアスの所の戦車の搭城さん?」

 

「! そ、ソーナ・シトリー様……?」

 

「? 何でひんぬー先輩がここに来てるんだ?」

 

 

 妙なタイミングの良さ――いや、悪さなのだろうか。

 一応一誠の住んでいる自宅の場所を知っているソーナが現れた事で、白音にとってのプチ修羅場が開始されるのだった。

 

 

 

 

 

 一誠にとってソーナと白音は知り合いである以上に、それかそれ以外のどちらかと問われたら、迷いなく『それ』と答えられる。

 悲しいかな、どっちも貧乳なのがアレなのだが貧乳以上に一誠にとって二人は良い奴だったのだ。

 

 

「へぇ、リアス達がアナタを雇おうと……」

 

「結局金が払えないらしくて断りましたがね」

 

「ふーん? 普段はリアスや姫島さんにデレデレしてるのに、そういう所は相変わらずシビアなのね」

 

「誰彼構わず甘くしてたらおまんま食い上げちまいますからね」

 

 

 何故か微妙に白音とソーナの間で変な空気が流れていたことに気付いていないのか、折角だからと自宅の部屋に二人を案内した一誠は、お茶だお菓子を振る舞いながらリアス達との出来事を話す。

 

 

「あの子が婚約を嫌がっている相手って、アナタみたいなタイプなのよね。

ハーレム思考というか……」

 

「ああ……なのに俺を雇うって相当切羽詰まってたんすねぇ」

 

「まあ、私が先輩を『知り合い特別料金』で雇えましたから、大丈夫ですけどねっ!」

 

「? 知り合い特別料金?」

 

「ええ、本当なら数千万の所を、先輩が私の事を好きだからって事で一万円以下にまでオマケしてくれました! 私の事が大好きだからって! 夜の自家発電の相手に毎日するくらいに! 」

 

「…………へー?」

 

「なんすかその目は? てかそんな理由じゃねーし」

 

 

 どうやら結局リアス達は大丈夫なんだと分かったソーナだが、白音が妙に勝ち誇った顔して言う言葉にちょっとだけムッとしてしまう。

 

 

「ちなみに私がリアスと同じ様に、婚約者との婚約を破棄したくてゲームになった場合、アナタを雇うといくら掛かる?」

 

 

 なので試しに自分が雇う場合はいくらなのかと聞いてみる。

 すると突然一誠は飲み終えたお茶のカップをポロリと落としてしまう。

 

 

「……………………は、センパイって婚約者いるの?」

 

 

 コロコロとカップが床を転がる中、あからさまに動揺している一誠。

 

 

「あの、もしもの場合よ?」

 

 

 意外な反応をする一誠に、ソーナは驚きつつも仮定の話だと言おうとするのだが……ふと思い出す。

 

 

「あ、でもそんな話が無いって訳じゃ無いかも……」

 

 

 そう、一応純血悪魔のシトリー家の者なので、純血保持の為の婚約なんて話が確実に無いとは言い切れない。

 勿論ソーナ自身にそんな決められた結婚をする気はないのだが……。

 

 

「え、嘘。アンタみたいな貧乳眼鏡と結婚とか何の罰ゲームだよ? そんなのある訳ねーじゃん? 絶対にねーし、あるわけねーし……」

 

「…………………」

 

「先輩……」

 

 

 テンパってるか目に見えてしまっていたせいで、貧乳呼ばわりされても全く腹が立たなかったソーナと、自分には決して見せない一誠の側面を引き出すソーナに嫉妬心を抱く白音。

 

 

「それはどこの誰? 良いよ、今なら10円でそいつの血族ごと皆殺しにして――」

 

「だから仮定の話よ…!」

 

「仮定? …………………な、なーんだ! まあそうだね! ひんぬーだもんね! うんうん、そりゃそうだ! わっはっはっはっ!」

 

 

 結局この時だけはいくら貧乳呼ばわりされても全く腹が立たなかったソーナ。

 

 

「ずるい……アナタばかりどうして」

 

「お互い様じゃないでしょうか?」

 

 

 悔しげに言ってくる白音に対して毅然と返しながら……。

 

 

終わり

 

 

 

オマケ・とある堕天使の人生。

 

 

 

 戦い、勝利し、更なる高みへと到達する。

 

 その強すぎる自我故に墜ちた天使は、堕天使となっても変わらぬ自我を持ち続け、やがて始まった戦争では最強の尖兵として大活躍をしていた。

 

 その仮定で、堕ちる前はそれほどの関わりが無かった元同志との出会いと一騎討ちが彼の人生を決定付けたのかもしれない。

 

 

『お前は惜しい、だからここでは殺さん。

俺に負けて悔しいか? 俺に何も出来ずに蹂躙された事が憎いか?

ならばこの先を生きてみろ。生きて生きて―――そして何時か俺と同じ領域に立った時、俺を殺しに来い』

 

 

 自身と同等の才能を持った元同志。

 自らの命を賭けた闘争の相手となりえる存在であることを察知したからこそ生かした堕天使は、その後の終戦と三大勢力の不可侵条約が結ばれた後も強さを磨き続けた。

 

 

『アナタを超える為にはアナタを知る必要がある。

だからアナタの傍に居ることにしました……』

 

 

 そして、生かした天使がいつの間にか来るようになり、やがて密かに共に鍛え合うようになり……。

 

 

「―――またママがパパを押し倒しちゃったから、お邪魔だと思って来ちゃったよアザゼルおじさん?」

 

「毎度思うが、よく堕ちないよなお前のオフクロ――てかガブリエルは」

 

「さぁ? 私は天使にも堕天使にもなれない半端者だし、よくわかんないかな?」

 

 

 気付けば天使に越えられた堕天使はその天使との間に子供が生まれた。

 堕天使と同じ色の髪と、天使な美貌を受け継いだ……。

 

 

「アイツ等の方が年も近いんだし、アイツ等の所が良いんじゃねーの?」

 

「嫌いじゃないし友達だと思ってるけど、三人とも子供っぽいからね。

アザゼルおじさんとお話してるほうが楽しいよ」

 

「そんなもんなのか。まあ何でも良いけどよ」

 

「うん……ふふ♪」

 

 

 緩いウェーブの掛かった黒髪を揺らしながら、天使と堕天使の間に生まれし少女は父親の友であるアザゼルの傍にしょっちゅう居る――そんな少女だった。

 

 

終わり




補足

金に関してはかなりシビアであり、案外線引きもしてる。

ただし、友人認定した瞬間一気に価格崩壊するけど。


その2
今回ばかりはひんぬー言われてもにっこにこだったソーたん。

白音たんはぐぬぬしてたけど。


その3
シリーズ初……もうデキてました。


名前まだ不明。

姿のイメージ・魔人探偵脳噛ネウロの『イレブン』


特技・他人の脳波を読み取って変装する。

スキル・不明


備考・アザゼル先生に懐いていて、実は二話目で懲らしめられたレイナーレに殺意を抱かれてたとか。

……まあ、あの二人の子供なんで力量差が絶望的過ぎてそういった手合い達は何もできなかったとか。


三馬鹿との関係……友人


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