色々なIF集   作:超人類DX

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700越えちゃってる記念としての適当話。

たまには戻らないとね……戻ってないけど。


今更記念・マイナスではない一誠とシトリーさん

 その異質さが故に自然と引かれ合ったのだろうか。

 

 まだまだ短いが。人が聞けば決して笑えない人生を歩んでいた時に出会った三人の少年は、その時から妙に馬があってツルむ様になり、すくすくと互いの持つお馬鹿パワーに刺激されながらすくすくと成長した。

 

 結果、三人の少年はその手の界隈からは変な意味で恐れられるようになっていった。

 

 

 同じ時代に生まれしまった災厄(カイブツ)

 

 同じ時代に生まれてしまった異常者。

 

 同じ時代に生まれてしまった神滅具所有者。

 

 彼等がふざけ始めた時、その地はペンペン草も生えなくなってしまう。

 

 等々、ある種の災害みたいな認識をされるようになっていった青年達の人生はまだまだ始まったばかりなのだ。

 

 

 

 

 

 身勝手気儘のその日の気分で行動する三馬鹿はある日、一応義理の父ではある男が持ち込んできたコンビニ弁当を食べていたら、唐突に言われた。

 

 

「つー訳で、何か勝手やってる下の連中を取り敢えず黙らせて欲しい訳なんだわ」

 

 

 やることと言動含めて全てがアバウトである義理の父親からのこんな調子での頼み事は一度や二度では無かったのだが、それでも三馬鹿達の表情は不満げなものだった。

 

 

「アザゼル。アンタは何時でも唐突だ」

 

「そーっすよ。第一、その黙らせたい相手にしたってアザゼルさんが直に言えば良いじゃないっすか」

 

「俺達をわざわざ挟む理由が無いだろう」

 

 

 暗めの銀髪と蒼い目をした少年。

 

 茶髪で軽薄そうな少年。

 

 目付きの鋭い黒髪の青年。

 

 まだ十代半ばから後半である三人は口々ちアザゼルと呼ぶ男に文句を垂れる。

 

 

「仕方ねーだろ、じゃんけんで負けて総督業を押し付けられたとはいえ、一応トップって体なんだ。

そんな俺がサーゼクスの妹――つまり悪魔が一応管理してるっぽい街に踏み込んだら色々と叩かれるんだよ」

 

「電話か何かで伝えられないのか?」

 

「俺アイツ等の番号なんて知らんし」

 

 

 一応それらしい理由を並べるアザゼルに理解はするがやはり納得はできない三馬鹿。

 それぞれヴァーリ。曹操。一誠という名である彼等はアザゼルの率いる組織には属してはおらず、更に言えばアザゼルとは違う種族だ。

 

 なので何かがあれば動きやすい位置に存在しているという訳なのだ。

 

 

「まさかこんな事にコカビエルは動かせないだろ? アイツは多分断らないが、コカビエルが動いたら……なぁ?」

 

「「「ああ……」」」

 

 

 じゃんけんに負けて嫌々トップをやってるとはいえ、そこら辺の事は一応弁えているアザゼルにとってはこの三馬鹿は実に便りになる懐刀のような存在だ。

 故に、組織内では一応部下に当たる者達には頼めないし、頼めない事情の事も話せば三馬鹿達も納得し始める。

 

 

「あの凶悪面で凄めば、その勝手やってる連中も一発で黙るだろうが……。

下の連中はコカビエルが天使の一人と繋がってる事を知らないからな……」

 

「そりゃ知られたら大騒ぎっすね」

 

「そうだ。それに一誠はあの街の学校に通ってる悪魔と親しいだろう?」

 

「親しいくは無いと思いますけど……この前思い切りグーでしばかれたばかりですし」

 

「アレは一誠が悪いだろ……」

 

「ヘラヘラ笑ってあんな事言うから……」

 

「だって事実じゃん」

 

「また怒らせたのか? まあ何でも良いが、どこにも属しちゃいないお前達なら悪魔の管理してる街に入っても問題はないんだよ。

一応礼は弾むつもりだから頼めないか?」

 

 

 そう言って頭まで下げ始めるアザゼルを前に、これ以上断れなかった三馬鹿は頷く事になる。

 どちらにせよアザゼルには恩があるのだから。

 

 

「ならばまずはあの街の悪魔達に許可でも貰わないとな」

 

「となればお前が電話して許可を貰え一誠」

 

「えぇ? 俺が電話すんの?」

 

「お前しか知らないんだからしょうがないだろ」

 

「………」

 

 

 こうしてヴァーリと曹操に言われて渋々連絡を取る為に携帯を取った一誠。

 これから先、この三馬鹿を待ち受けるものとは一体……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この前、あまりにも『貧乳』か『ひんぬー』なんて失礼な事ばかり言うものだから、ついグーで殴ってしまった悪魔の少女は、それから一週間は音沙汰が無かった彼からの電話にドキッとしつつ不安を抱きながら出た。

 すると何という事だ、てっきりグーでしばいてしまった事に怒っているのかと思いきや、電話口の彼の声は何時もの調子だったし、何なら……。

 

 

『大事な話があるので、今夜一人で◯◯公園に来て貰えませんか?』

 

 

 と、わざわざ電話では無くて直接話がしたいというではないか。

 しかも何時ものおちゃらけた感じではなく、割りと真剣な……。

 

 一体何があったのか? と少女は取り敢えず内心テンパりながらも約束を交わしたわけだが、この日の少女が一日中――それこそ学校でも少女が会長をしている生徒会の業務でもなんでもポケーッとしていた。

 

 

「あの会長……? どうかしたのですか? ずーっと心ここに在らずって感じですけど」

 

「へ? い、いや別に何でもないわよ?」

 

 

 その様子に悪魔としての彼女の眷属達が彼女を心配するが、少女は決して電話のことは話さなかった。

 そして放課後となり、家に帰った少女は時間になるまでの間を念入りな準備に費やした。

 

 具体的にはちゃんとお風呂に入って、ちょっと可愛めのお洋服を着て……。

 

 

「あ、あんな真剣な様子で呼び出すなんてきっと何かあるに違いないわ。

ええ、変な意味じゃなくて準備はちゃんとしないと……!」

 

 

 と、ぶつぶつと独り言を言いながら、時間となった少女は待ち合わせの公園に行くと、夜ということもありひとっこ一人居ない園内で彼は待っていた。

 

 

「あ、どうも」

 

「ど、どうもこんばんは……」

 

 

 何度も着ていく服の選定をしていた少女は、ずれる眼鏡を直しながらガチガチに緊張していた。

 こんな人の居ない公園に呼び出して何が目的なのか。

 

 ひょっとして今までの態度を改めるどころか愛の告白なんかでもするのだろうか? それでその流れでこんなお外で……。

 

 等々、学校内じゃ真面目な生徒会長で通っている少女にしてはアレな妄想を抱きながら、出会って約6年目となる少年の言葉を待っていると……。

 

 

「グレモリーさんの連絡先教えてくれません?」

 

 

 色々な意味を込めてこれまでのドキドキの全部を返して欲しいと叫びたくなる事を言われてしまった。

 そしてその瞬間、少女は反射的に少年の頬をひっぱたいてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

「…………つまり、この街で最近変な動きをしている堕天使一派を監視する為に暫く滞在する許可をリアスから貰いたい――という事なのね?」

 

「うっす。何でビンタされたのかはわからないけど、そんな所っす」

 

「………………はぁ」

 

 

 ビンタした後に事情を聞いてみれば、どうやら最近自分達も掴んでいた堕天使一派の監視をする為に少女の友人である悪魔の少女からの許可が欲しいから連絡先を教えて欲しい――との事らしい。

 つまり別に愛の告白なんて無いし、別に押し倒されもしないし、出来てしまいました婚もありえない。

 

 色々な意味で残念な気分になってしまった眼鏡悪魔娘ことソーナは、ひっぱたかれた頬を擦る少年・一誠を自然とジト目で睨んでしまう。

 

 

「アナタのお友達二人は?」

 

「アイツ等なら許可が降りるまでフラフラしてます」

 

「あ、そう。

この話については私の方からリアスに言っておくから大丈夫よ」

 

「そりゃどーも。で、俺はさっき何でセンパイにひっぱたかれたんでしょうか?」

 

「私のドキドキを返してって意味でよ……」

 

「はい?」

 

 

 アザゼルの懐刀にて、災厄三人組とまで呼ばれる程の異常者の一人――それが目の前の少年なのだが、ソーナにとってそんな仰々しい呼ばれ方なんて意味がない。

 何故ならこの一誠を含めて三人はそれ以上に馬鹿で、騒がしい連中なのだ。

 

 特にこの一誠とは奇妙な縁によってそれなりな関係になっているのだが……。

 

 

「にしてもどこかに出掛けてたんすか?」

 

「………まぁね」

 

「へー? デートでもしてたとか?」

 

「そんな相手が存在しないってアナタなら知ってるでしょうよ?」

 

「まあ、ひんぬーセンパイですからねー」

 

「ひんぬーでもなければ貧乳でもないわよ! というかひんぬー言うな! あるわよちゃんと!」

 

 

 事あるごとに友人や自身の姉と比べたら心許ない胸部の戦闘力について小バカにしてくる。

 お陰でそれまでそんなに気にもしなかったというのに、貧乳というフレーズにコンプレックスが刺激されまくるようになってしまった。

 

 

「大体姉やリアスがおかしいのよ! 私くらいが体型としては一番ちょうど良いの!」

 

「その割りにはセンパイの女王さんのおっぱいを最近恨めしそうに睨んでるらしいじゃん?」

 

「アナタが出会ってから今までひんぬーだ貧乳だって馬鹿にするからよ!!」

 

「だって事実だし……」

 

「だからあるの! 程よくフニフニとした感触もするし!!」

 

「そんなムキになって俺の手を掴んで押し付けられても……」

 

 

 ムキになりすぎた勢いで一誠の手を掴んで自分の胸に押し付けるが、一誠は微妙な顔だった。

 

 

「ふ、ふふん、そんな顔してて本当は嬉しいんでしょ? 私をそうやっておちょくるのだって私が好きだからでしょ!? ちょっとは素直になりなさい!」

 

「確かにセンパイは嫌いじゃないし、寧ろ好きな部類っすけど」

 

「へっ!? あ、ああ……そ、そうなの? へ、へー? ……えへへ♪」

 

 

 微妙な顔ながら、実は内心『やっぱこの人可愛いな……』とは思っている一誠は自分の手を掴んで胸に押し付けながら、一誠の言葉にニコニコと子供みたいに笑ってるソーナから然り気無く離す。

 

 

「そう思うならアホみたいな顔して他の女の人をナンパしようとするのは止めて欲しいわ」

 

「うーん……」

 

「そうしてくれたら実家の両親に紹介して……」

 

「は? お、おいおい待ってくれよセンパイ? そんな関係になった覚えが無いし、そもそも俺はどっちかと言えば堕天使派閥なんだけど……」

 

 

 素がそこそこポンコツな所がなんか好きなのだが、それを素直には言えない――それが一誠の本音だった。

 

 

「あのー……取り敢えず許可いただけたって事で帰りたいんですけど」

 

「む、今日はこの辺にしておいたほうが良いわね。

でもその前に……その、叩いてしまってごめんなさい」

 

「え? ああ、これは別に……」

 

 

 ポンコツだけどこうして話していると楽しいと思えるし、ちょっとだけ安心する。

 それにポンコツなんだけど……。

 

 

「え……」

 

「ん……。

だから、これは少しのお詫び……。ふふ、皆には内緒よ?」

 

 

 たまにしてやられる時がある。

 叩かれた頬に触れてから少し爪先で立って頬にキスをしてきたソーナが唇に人指し指を当てながらウィンクする仕種をされた時も、一誠は『今日は俺の敗けだな』と思う。

 

 

「アンタ、たまに腹立つくらい可愛いな……」

 

「ふふ、アナタがもう少し素直になってくれたら、もっと見せてあげるのに……」

 

「これでおっぱいがあったら――」

 

「何かしら?」

 

「いや………」

 

 

 

 それが彼と……彼によっと密かに『掴んだ』彼女の関係。

 

 

 マイナスではない一誠とシトリーさん。

 

 

 

 これはマイナスではない二人のお話。

 

 

「この紋所が目に入らぬかぁ!!」

 

「こちらにおわす方をどなたと心得る! かの魏の王の子孫……神牙公にあらせられるぞ!!」

 

「一同! 英雄の子孫の御前である! 図が高いひかえぃ!!!」

 

『………』

 

 

 偶々見てしまった某水戸黄門に影響され、堕天使一派に啖呵切る三馬鹿だったり。

 

 

「一誠! ヴァーリ! 懲らしめてやりなさい!!」

 

「「ははっ!!」

 

『!?』

 

 

 当然相手の堕天使達はポカンとしてるまま、ノリノリの水戸黄門ごっこで堕天使一派が御用されたり。

 

 

「ソーナから話は聞いていたけど、アジトに使ってた教会ごと破壊して良いとは言ってないわよ」

 

「仕方ないだろ。水戸黄門ごっこに夢中になりすぎた」

 

「寧ろ誰が黄門様役になるかで喧嘩になってしまったぐらいだ」

 

「あ、じゃあグレモリーさんか――いや、姫島さんがお銀さんやってくださいよ! で、勿論例の入浴シーンを――うへへへ!」

 

「「………」」

 

「先輩先輩、私にオファーは……?」

 

「あ? オメーなんぞにはねーよチビ猫娘。

オメーは家でホットミルクでも飲んで寝てやがれ」

 

「じゃあ先輩のホットミルクを――痛い!?」

 

「残念、ホットミルクならオメーのねーちゃんにくれてやりてーな?」

 

「あ、あの人より私の方がピチピチしてるもん!」

 

 

 

 

「小猫がこうなったのは彼のせいよ!!」

 

「そんな事俺と神牙に言われてもな……」

 

「諦めてくれとしか言えないぞ」

 

 

 全然反省しないばかりか、眷属の一人がどこかの役員共ばりの下ネタオーケー猫娘化してしまったり。

 

 

「お、おう……元気そうだな小僧共……」

 

「こ、コカビエルなのか? 随分とげっそりしてるがどうかしたのか?」

 

「いや……ちょっとガブリエルとな……」

 

「「あ……(察し)」」

 

「ふっ……お前達、いや聞いた限りだと一誠だな。

とにかく女には気を付けろよ……気づけば自分の上を行かれて押さえ込まれたら終わりだ」

 

 

 強面堕天使がげっそりとしてたり。

 マイナスではない一誠とシトリーさんは本人達と含めて、とても愉快な人達ばかりだった。

 

 

終わり




補足
マイナスよりは互いにちょっと素直ではない。

三馬鹿ベースだから基本的にヘラヘラしまくり。

でも基本惹かれあってる。

なので隠れてコソコソとイチャイチャしてる模様。




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