色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

メインPCのグラボが逝ってしまった……。
買い換えようにもグラボの値段の狂いっプリに笑けてしまう。

 二世代も前のローエンドのグラボすら2万台て……


知っていく拗らせ魔法少女

 害悪として排除される事が今の目標である彼にとって、彼自身の過去はほろ苦きものでもあった。

 

 外からの存在によってねじ曲がった人生を否定し、自分自身の生き方でむしゃらに走り続けた人生。

 守ると約束した幼馴染みとその家族の為に生きた人生。

 

 しかし結局は、そのねじ曲げられた人生によって彼は根の部分での人間不信に陥っていたのだけだ改善されなかった。

 人外に導かれるだけの条件――つまりその手の才能があったから。

 

 その才能によって到達させた『力』があったから皆が自分を見てくれている。

 その小さな疑いは幼馴染みやその家族達にも抱き続けており、結局は他の愛情を疑い続けた事でその関係は終わってしまった。

 

 守るという約束こそは果たせたが、袂を別ってしまった元・風紀委員長の心の根っこは少しばかり複雑なまま、かつて嫌悪と拒絶感を最後まで抱き続けた転生者に近い立ち位置という皮肉通り越して罰ゲームでしかない状況を――ただ殺される為に生きる。

 

 複雑な人生を歩む母娘のボディガードをしながら……。

 

 だから彼は狼狽えたのだ。

 

 

 彼の過去そのもの――彼にとって過去の人生そのものであった『彼女』とこの世界で再会してしまった事が。

 

 

「本当に一誠君……なの……?」

 

「な、何故アンタがここに……!? 姫島朱乃……!」

 

 

 

 

 

 

 所謂次元漂流者として発見され、機動六課によって保護されることになった姫島朱乃は、ミッドチルダの街を案内すると言ってくれたフェイトと共に出会した―――否、再会した変わらぬ青年……一誠との関係について六課の者達から事情聴取という形で受けていた。

 

 

「つまり、兵藤一誠はアナタの出身世界と同じであり、幼馴染みでもあったと……?」

 

「はい……」

 

「……。びっくりな偶然やな」

 

 

 フェイトに瓜二つな女性ことアリシア・テスタロッサと共に街をお尋ね者な分際でブラブラしていた所を偶然出会した朱乃は、フェイトやフェイトの同僚達からの質問に正直に答えつつも、確認する。

 

 

「あの、本当にあの子は指名手配犯に……?」

 

「はい。

10年前から我々管理局が追っていて、現在第一級の危険生物として認定されています」

 

「……そうなのですか」

 

 

 どうやらこの世界には10年も前から居て、その10年の間に悪いことを沢山してきたらしい。

 それを聞いた朱乃は小さくため息を洩らす。

 

 

「彼を捕まえるのは――もうご存じでしょうけど、容易ではございませんよ? 彼は元の世界でも人間でありながら人間の限界を突破し続けていましたから……」

 

「それは我々が掴んでいる彼のレアスキルの事を指しているのでしょうか?」

 

「そのレアスキルというものが何なのかはわかりませんが、彼にはそういう異常性が備わっていましたから」

 

 

 10年探しても見つからない訳がこれで漸く解った朱乃から色々な情報を得ていくフェイト達。

 曰く、元の時代からちゃらんぽらんしてたとか。

 元の世界の頃から年上の女性ばっかしナンパしては失敗してたとか。

 

 朱乃の母にデレデレしまくってたとか……。

 

 

「それってつまり……私の母さんがあの人に狙われてるの……?」

 

「あり得なくは無いでしょうね……」

 

「そういえば昔リンディさんが何度もナンパされていたような……」

 

「この中だとシグナムとシャマルとかだな」

 

「節操の無さは相変わらずなのね……はぁ」

 

「…………」

 

 

 この世界でもどうやらその節操の無さは変わってないのだと聞いた朱乃は再びため息を吐く。

 そんな朱乃を見ているフェイトが居るのだが、朱乃を見ていると疑問が浮かんでくる。

 

 

「あの、朱乃さん自身は……?」

 

「あ、確かに。姫島さん程の美人さんならさぞあの人も――」

 

「どうでしょうかね。あくまで幼馴染みで姉弟のような感覚としか思われていなかったと思いますよ……」

 

 

 そう自嘲するような笑みを浮かべる朱乃。

 そう……最後まで自身の愛情を疑う一誠に耐えきれなくなったからこそ、勢い余って振ってしまったのだ。

 

 

「昔はよく私以外の女性にばかりデレデレしていたのが我慢できなくて癇癪ばかり起こしてましたからね――そんな私が嫌になったのでしょう」

 

『………』

 

 

 そう憂いの帯びた表情を浮かべる朱乃は、とても20そこそこの者には出せない妙な色香があったと――この後朱乃の年齢を聞いて仰天する魔法少女達なのだった。

 

 

 

 

 

 

 とあるセーフハウス。

 絶対に二度と会うことなんて無いと思い込んでいた相手との突然の再会で完全に狼狽え、買い物に付き合っていたアリシアを抱えて全力の逃亡をした一誠は、これが果たして現実なのだろうかと、何度も壁に頭を打ち付けていた。

 

 

「ゆ、夢じゃねーのかよクソッタレが……!」

 

「お、落ち着いてよ一誠……! その、あの人が一誠が言ってた朱乃ねーちゃんって人なんでしょう?」

 

「あ、ああ……そっくりさんでなければな」

 

「アナタと同じ世界の者ということは……アナタに近い力を持っているという事になるのかしら?」

 

「………少なくとも、この雷の力は彼女と彼女の親父さんに倣って会得したものだ」

 

「つまり、デバイスを介さずに魔力を扱える訳か……。割りと厄介ね」

 

「………」

 

 

 おつむは弱いが、一誠の戦闘能力だけは信頼しているプレシアにとって、一誠の弱点そのものの出現と、よりにもよって管理局に抑えられたのはいただけない状況だ。

 もしその姫島朱乃が管理局側について自分達を追ってくるとなれば、一誠が迎え撃つ際に甘さがどこかで現れてしまう。

 

 

「凄く美人な人だったな……」

 

「まあな……10年振りに見た感想としては、母親の朱璃さんにますます似てきたなと……」

 

「そうなんだ。

ねぇ、今でも好きなの、あの人のこと?」

 

「………。わかんねぇよ。

こんな性格のまんま生きてきた結果、愛想尽かされたんだからな」

 

 

 それにアリシアが不安がっているのもプレシア的には頂けない。

 戦闘能力はともかく、普段から女に節操が無さすぎる男に大事な『一人娘』が惹かれているのは腸が煮えくる思いだが、アリシアと自分を今の今まで律儀に守ってくれたのは確かだ。

 

 

「下手したら敵になるわよ? その時はどうする気?」

 

「知るか。その時の気分だちくしょうめ」

 

 

 彼とは根っこの部分ではかなり馬が合うのだ。

 これほどの人材は正直手放したくは無いのがプレシアとしての本音だ。

 

 

 

 

 フェイトを通して姫島朱乃がこの世界に現れ、一誠と再会した事を察知したフェイトの使い魔ことアルフは一誠が一人になろうとするだろうと予想し、その一誠が大体一人で居る場所――最近はもっぱらミッドチルダの都市部を見下ろせる丘へとやって来た。

 

 すると予想の通り、一誠は丘からミッドチルダの夜景をポケーッとしながら眺めていた。

 

 

「隣、座ってもいいかい?」

 

「んぁ? ああ……アルフか」

 

 

 どうやら姫島朱乃について考えていて自分の接近にすら気づかなかったらしく、アルフの声に漸く存在に気付いている。

 

 

「フェイトを介して知ったんだけど、アンタの幼馴染みが六課に保護されたって……」

 

「情報が早いな相変わらず……。

ああ、間違いなく本人だったな……まさかこの世界に来やがるとは」

 

「それって例のフェイトとアリシアに声がそっくりな平等主義者って奴の仕業なのかい?」

 

「本人はそう言ってたから間違いねーな。

はぁ、あの平等主義者はとことん俺に嫌がらせをしたくて仕方ないらしい……」

 

 

 滅入ったような表情で苦笑いしながら街を見下ろす一誠に、アルフはただただ心配そうな眼差しだ。

 

 

「フェイトも六課の連中達も、姫島朱乃とアンタの関係については他言しないって約束をしていたみたいだよ。

多分、話せば管理局の上層部に軟禁されるからって……」

 

「そうかい……」

 

「……。やっぱり複雑?」

 

「そりゃあな……」

 

 

 フェイトにたいして後ろめたさを抱いたまま今も行き続けている事を知っているアルフとこうした妙な関係を10年近く続け、アリシアやプレシアにも言えない『弱音』なんかもよく聞いてもらう一誠は、誰にも決して見せない本音をアルフに話す。

 

 

「今更俺があの子に出来ることなんて無いし、もう繋がりも切れたと思いたかったんだけど、一回会うだけでこのザマだぜ。

ははは、俺ってやっぱ女々しいのかねぇ?」

 

「アンタにとって一番大切な相手だったんだろ? そう簡単に割りきれるもんじゃないよ」

 

「そうさせたのは俺だったんだけどなぁ……はぁ」

 

 

 さっぱりしてる性格なせいか、アルフと話しているとついつい本音で話をしてしまう一誠は深々とため息を吐きながら肩を落としていると、アルフが元気つけようと一誠の背中を優しく叩く。

 

 

「あまり溜め込んじゃダメだよ。

アンタって普段はヘラヘラとふざけてる様に見えるけど、割りと抱え込んじゃうし」

 

 

 不器用ながらフェイトの為に『害』になろうとしている事を知っているし、フェイトへの虐待をやめさせられたことも知っている。

 フェイトの使い魔としての恩を抱くアルフとしては、何でもかんでも内に溜め込んで、自分一人で解決しようとする一誠は危なっかしく、それでいて放っておけない。

 

 

「アンタはアリシアやプレシア――それから姫島朱乃にすら絶対に弱さを見せようとはしないけど、一人くらいそんな所を見せるべきだよ。

大丈夫、幸いアタシならアンタのそういう所を見たって幻滅なんて絶対にしないし、見捨てもしないよ。

アンタはその……アタシの大事なトモダチだからさ……!」

 

「…………」

 

 

 これがただの女好きの節操なしなだけだったら、何とも思うことも無かったし、フェイトと一緒になって打倒を目指していたのかもしれない。

 けれど、葛藤と後悔だらけの今と過去に苛まれている弱さを知っているアルフはどうしても敵とは思えなかった。

 

 

「アンタが根っこで人の気持ちを疑ってたとしても、アタシの事を疑ってたとしても、アタシは変わらない……」

 

「…………。やっぱ変な狼っ娘だなお前って」

 

「あははは! ゴチャゴチャ考えるのとか面倒なんだよ! 気に食うか食わないか。そしてアンタは気に食うってだけだ!」

 

「ああ、実にアルフらしいな、その考え方は……はは」

 

 

 だから決して見返りなんて考えることなく、アルフはその弱さを抱える一誠の背中を支えんとする。

 その為にフェイトのように管理局へは入らず、あくまでフェイトの使い魔としての位置を貫き続けた。

 

 フェイトを引き上げようとする彼の覚悟を手伝う為に。

 

 

「最近開き直る事にして、アンタと会ってる事をフェイトに隠すのは止めたんだ。

まあ、言う度にフェイトから凄い目されるけど……」

 

「そりゃ当たり前だろ。ぶっ殺してやりてぇ野郎が自分の大事な存在に変な事しないか心配してんだろうぜ」

 

「うーん、そういう意味ではないんだけどねー……?」

 

 

 だからアルフは割りと一誠と関わりのある者達からそこそこに妬まれていたりするのだが……彼女もまた変な意味で一誠に影響されているのかもしれない。

 

 

「冗談であのお嬢ちゃんの目の前でお前にセクハラでもしてみたから、殺すまで暴れまわりそうだな……」

 

「せ、セクハラって……。

アタシはアンタ好みじゃないだろ……? 多分演技だって直ぐバレるよ……」

 

「は? いや、別に嫌いじゃねーぞお前のこと?」

 

「そ、そうなのかい? ……………へっ!?」

 

「え、何驚いてんだよ? 好きでなかったらこうしてつるんで駄弁ったりしねーよ」

 

「あ……あんた、そういう言い方は誤解を生むからやめた方がいいよ」

 

「え?」

 

 

終わり 




補足

流石に狼狽えてしまうし、流石に頭くらいは抱える元風紀委員長。

これで余計にそう簡単に死ねない――いや、死なせて貰えそうになくなった的な意味で。


その2

しかし! そこでアルフさんという狼っ娘が居るので持ち直した!

しかしアルフさん自身が他の娘さんにパルパルされるぜ!

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