色々なIF集   作:超人類DX

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すまん、忙しすぎて過去のネタを引っ張り出すしかできへん!

579話のネタのふざけ話だ。


無駄突破記念
拗らせ魔法少女()


 変に疑いすぎたことと、やはりあまりにも女にだらしなかったことでこっぴどく振られてしまった元・風紀委員長は、見知らぬ世界に飛ばされ、そこで出会った悪者っぽい女性の手助けをした結果――――お尋ね者にされてしまった。

 

 悪者っぽい女性の悲願を聞いて軽く同情した結果そうなったのは自分の意思であったとはいえ、その後発覚したその女性の様々な『やらかし』については彼自身も許せないものがあった。

 とはいえ、その女性と自分は根っこがどこか似ていた。

 

 故に見捨てる事は出来ず、女性を捕まえんとする警察的な組織相手に壮大な大立ち回りをしてしまったことで、彼もまた犯罪者として指名手配されてしまうのであった。

 警察組織に保護された、女性の特殊な意味での娘に憎悪されるというオマケ付きで……。

 

 そして最早風紀委員長ですら無くなった青年は……。

 

 

「見つけた……! アナタを今日こそ捕まえます……!」

 

「………」

 

 

 憎悪を向ける少女に追い掛け回されていた。

 

 

「アナタを捕まえて、母さんと姉さんの居場所を喋って貰いますから……!」

 

「………」

 

 

 そう、怒りと憎しみの炎を瞳に宿しながら、鎌のような武器を向けてくる金髪赤目の少女に、元・風紀委員長であった兵藤一誠は――

 

 

「えー……? この前見たシグナムって人とは一緒じゃないのかよ? んだよ、萎えるなぁ……」

 

 

 憎らしいほどのつまらそうな顔で、目の前の少女を軽くおちょくっていた。

 

 

「アナタは私が一人で捕まえるって言っています、だから私一人です……」

 

「君が俺を、ねぇ? これで何度目か数え忘れてるから知らねーけど、それは無理ってもんだろ」

 

 

 この目の前の少女と一誠は以前の事件により因縁があった。

 少女にとって目の前の青年は自分から母……そして会ったことのない姉を奪った畜生男として認識しており、少女が管理局なる組織に保護されてからも、並々ならぬ執念で青年を捕まえようとしていた。

 

 対して一誠はといえば、少女の母……名をプレシア・テスタロッサに協力し、彼女の娘であるアリシアという目の前のフェイトと呼ばれる少女と瓜二つの少女を甦らせたり、管理局相手に暴れまくった事で指名手配犯になってしまい、更に言えばフェイトからは母を奪った男と憎悪まで向けられている。

 

 フェイトの出生について当初全く知らなかった一誠は寧ろプレシアに怒りを向けたのだが、プレシアの生き方が己に似ていた事で結局は協力する事を決めた訳だが、フェイトにしてみれば納得なんてできやしない。

 

 ましてや、敵とすら認識せず子供扱いしてくるこの男はその差も含めて憎いのだ。

 

 

「ば、馬鹿にしてっ!!」

 

 

 故にフェイトは一誠を捕まえようと躍起だった。

 

 ハラオウンの養子となった今でも、闇の書事件を友や仲間達と解決に導いても尚、フェイトにとっての究極の目的は目の前の男を捕まえ、母を取り戻すことだった。

 

 けれど……。

 

 

「うぅ……!」

 

「最近デカい修羅場を潜ったみたいだけど、その程度じゃ俺は倒せないなお嬢ちゃん?」

 

 

 その差はあまりにも開きすぎていて、絶望的とすらいえるものだった。

 

 

「ま、まだ……!」

 

「いーや、終わりだぜお嬢ちゃん」

 

「うっ……!?」

 

 

 傷ひとつつけられない。

 こちらの全力の一撃すら、防ぐという動作もせず棒立ちで受け、埃のひとつすらまともにつけられない。

 その絶望的な差に加え、一度動けば瞬く間に武器を取り上げられ、簡単に組伏せられてしまう。

 

 

「アリシアに頼まれてキミの様子を見に来ただけなんでね。

悪いが遊んでやる時間はもうないぜ」

 

「ぐぅ……!」

 

 

 縮まらぬ差に悔しさも相俟って視界が滲むフェイトを解放した一誠は、地に伏せて悔しさに身体を振るわせる彼女に、取り上げたデバイスを返すと、そのまま立ち去る。

 

 

「お相手は無神臓・兵藤一誠でしたー」

 

「…………」

 

 

 フェイトの憎悪を煽るように……。

 

 まるでフェイトに自身の領域まで到達する事を促すかのように……。

 そうとは知らないフェイトは、悠々と立ち去る青年の背中を悔しげに睨み付ける。

 

 自分から母との繋がりを奪った怨敵を……。

 

 

 そしてそれから更に月日は経ち……。

 

 立派な女性として成長したフェイトは友人や仲間達と共に管理局員としての生活をしながら、あの時から全く変わっていない怨敵と母と姉の捜索を続けた。

 

 その間に何度も戦っては負け続けたフェイトを知る仲間達は、その執念に軽く引くこともあるが、相手は第一級の危険生物として認定された男とプレシア・テスタロッサのコンビ。

 

 フェイトにとっては切っても切れない因縁がある。

 

 

「ねぇフェイトちゃん。

その、さ……? 暫く兵藤一誠について考えるのはよさない?」

 

「………なんで?」

 

「だって基本的にあの人ってフェイトちゃんのお母さんの協力をしただけで悪いことなんてしなかったし、それよりもジェイル・スカリエッティの事を……」

 

「悪いことならこの前したよ」

 

「は!? この前ってどういうことやフェイトちゃん! まさか会ったんか!?」

 

「……………………。アルフとレストランでご飯食べながら、楽しそうにお話してたのを偶々見たの」

 

「あ、アルフとかいな? そ、そういえばアルフとはちょくちょく会ってるって情報が出回ってたよーな……」

 

 

 が、この数年負けては煽られ。

 美人を見たら勝負そっちのけでナンパして相手にすらされなくなったとか等々の仕打ちを受けまくったフェイト・T・ハラオウンは――大分拗れてしまった。

 

 

「アルフさんに話を聞かないといけないかもね……」

 

「昔からやけにあの男を庇ってたけど、まさかこっそり会っとったとはなぁ……」

 

「それは別にどうでもいいよ。

問題はアルフにはそうやって親切にするくせに、なんで私にはあんなふざけてるのかだよ。

更に前の時なんて、私との勝負なんてどうでも良いとばかりにシグナムとシャマルにデレデレするし。更にこの前の時なんかアリシア姉さんと腕組んで歩いてたし更に更に更にその前は――」

 

「アカン! フェイトちゃんの発作や!」

 

「フェイトちゃん、目を覚ますの!」

 

 

 追っては軽く一蹴されていく内に大分拗れてしまったフェイトに時折起こる発作に同僚達はとっさにフェイトの両頬を軽く叩いて正気に戻す。

 

 

「どないしたらええんや……。

もうかれこれ10年近くこんな調子や……」

 

「何故かフェイトちゃんを相手にするときのあの人ってかなり意地悪になるから……」

 

「……………」

 

 

 拗れていく親友を近くで見てきた者達にとっても一一誠という存在は捕まえるべき相手なのは間違いない。

 しかしその執念がフェイトだけ強すぎる。

 

 事情を考えたら仕方がないとはいえ……だ。

 

 

「プレシア・テスタロッサとアリシア・テスタロッサの行方も未だ掴めんし……」

 

「どうやら二人とも生存はしているようだけど……」

 

「…………」

 

 

 フェイトにとって、あの時からまるで変わっていない青年はまさに強大な壁そのものなのだ。

 

 

 そして―――

 

 

「金払いが良いから最近何でも屋じみた真似をしてるわけだけど、とことん君等とは縁があるみたいだな?」

 

「っ……!? 兵藤……一誠……!」

 

 

 壁を乗り越え、自身を終わらせてくれる事を望む為に今を生きる青年は……。

 

 

「よぉ暫く振りだなお嬢ちゃん?」

 

「………」

 

「結構。殺る気十分って目だな? くくく、掛かってきな……今日はちゃんと相手に――――と思ったけどやめた!!」

 

「なっ!?」

 

「へーいシグシグとシャマルっちー! 元気してたー!?」

 

「し、シグシグ……?」

 

「シャマルっちって……」

 

「うーん、相変わらず美人してるねぇ? うへへへ……!」

 

「……………………」

 

「ふぇ、フェイトちゃん落ち着こう? ね?」

 

 

 自身を憎む少女を煽りつつ……。

 

 

「ねぇ、あの鬼ババとアリシアは元気なのかい?」

 

「まぁね。

つーか良いのか? 俺これでも指名手配犯なんだぜ? 俺と飯食ってるなんて知られたらやべーだろ?」

 

「アタシはフェイトの使い魔であって管理局に所属してる訳じゃないから大丈夫だよ。

フェイトに見られたら大変だけど―――――」

 

「……………………………………」

 

「………おう、めっさ窓の外からガン見しとるぞ?」

 

「ど、どうしよ……」

 

 

 天然で煽ったりもして。

 

 

「私は諦めない、絶対にあの人だけは許さないから……!」

 

「でもフェイトちゃん―――」

 

「アルフとは自分からこっそり会ってる癖に、さっきだって帰り際に何してきたと思う? 子供が喜びそうな駄菓子の詰め合わせをヘラヘラとバカにした様に笑いながら渡してきたんだよ? こんなんで私が喜ぶと思ってる――それはつまり私の事なんて何ひとつ興味が無いって……私なんて敵にすらならないって言ってる様なもの」

 

「フェイトちゃ――――

 

「それに戦ってる時だって、最中なのに全然知らない女の人が目に入ったら、戦ってる私を見ないでずーっとそっちばっかり見ては『ナンパしてみようかな?』なんて言い出すし、一体どこまで私をバカにすれば良いの? 子供の時からずっとそう。

私と戦ってる最中なのにシグナムやシャマルに鼻の下なんて伸ばして真剣にすらなってくれない。

だというのに勝てないなんて理不尽過ぎるにも程があると思わない? そんなふざけた態度され続ければ、何が何でも勝って牢獄に入れてやりたいとか思わない? まぁでも捕まったら間違いなく終身刑が妥当だから、牢屋に入ったあの人を死ぬまで見張りながら笑ってあげようと思うけどどうかな? 多分アリシア姉さんに憎まれちゃうと思うけど別に憎みたければ憎めば良いし母さんにも返さない。

あの人は死にたいけど死ねないから、誰かに殺されたいみたいだけど、そんな簡単には死なせない。

あの人を越えて、あの人を捕まえて、誰にも手が出せない場所でずーっと見張り続けて、殺してくれと言っても絶対に殺さないんだ……♪ アリシア姉さんにも母さんにもアルフにも誰にもあの人とは会わせないまま……」

 

「あ、アカーン! フェイトちゃんの発作が始まってしもうたわ! はようビンタでもして正気に戻すんや!」

 

 

 

 

 

「へーっきしっ!?」

 

「? 大きなくしゃみだねー?」

 

「ずずっ、美女が俺の噂でもしてんのかな?」

 

「それは無いと思うけど、フェイトはどんな様子だったの?」

 

「ん、相変わらずの負けん気だったよ。

是非あの子には俺を越えて貰いたいものだよ……てか、俺があの子にできる償いといえばこんなことしか無いからね……」

 

「……。やっぱりフェイトばかりなんだね」

 

「へ? 何か言ったかアリシア?」

 

「んーん、なんでもなーい!」

 

 

元・風紀委員長と拗らせ魔法少女―――封印




補足

テスタロッタ母娘は一誠のマイナスにより否定された事でバリバリ生存で元気に逃亡生活を満喫中。

……最強最悪の生物認定されてる彼がボディーガードやっとるからね。

その2
そんな母を奪ったとフェイトちゃまはガチに拗らせたのだが、困ったことにその向上心に目をつけた彼が『自分を終わらせてくれるかもしれない』と煽って進化を促そうとするから余計おかしなことに……。


その3
もっとも、彼のナンパ癖は素なんですけど。

そんな彼の心情を知ってるせいか、犬っ娘さんは割りと好意的で飯なんかたまに食いに行くのですが、その現場を見られてさぁ大変。


つづきません

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