色々なIF集   作:超人類DX

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ヤマもオチも無かったので没にしてました。


一発没ネタ『最末端にで最先端』

 最末端にて最先端という矛盾した領域に到達してしまった少年が居た。

 地の底から這い戻ろうと足掻いた結果そうなってしまった少年がとある人外と共に世界から消えた。

 

 龍を宿し、尽きぬ進化を続ける最末端にて最先端の少年の名は――

 

 

 

 

 

 人外・安心院なじみ曰く――

 

 

『自力で到達してしまっただけの人外』

 

 

 といったフレーズで連れてきた少年は悪平等ではないらしい。

 つまりこの世界に実は蔓延る数多の悪平等とは違う意味での人外が彼らしいのだが、この世界に蔓延る数多の悪平等達は、『最末端にて最先端』と安心院なじみが呼ぶその少年にとても懐疑的であった。

 

 無論悪平等において末端である者も同じだった。

 

 しかしどういう訳か末端である悪平等達の方がその少年と絡む事が多く、最初に紹介されてから約三年後には――悪い意味で人間らしいその少年の性格もあってから普通に仲良くなっていた。

 

 その過程で、自力で到達してしまっただけの人外や、最末端にて最先端と呼ばれる理由を知りながら……。

 

 

「なんてこった!? ナンパした女が結婚詐欺で捕まりやがった!」

 

 

 基本お馬鹿だから余計親しみやすいというのもあって。

 

 

 

 とある時代を駆け抜け、気づけば屍の山の頂に立っていた少年が異界の人外に導かれてから三年。

 自分が生きた時代とは違い、自分と同じものを大なり小なり持っている人間が生きているこの世界を割りと気に入り、のんびりと生きていた少年は、暫くある理由で封印されていた人外にいきなり命令された。

 

 

「球磨川君からの封印が弱まったお陰で外に出てこれたから、明日から箱庭学園に転校してくれ」

 

「わっつ?」

 

 

 コンビニでアイス買ってこい的に気軽に言ってくる、全身に大きなネジが刺さりまくっている少女にの言葉に、カップラーメンを食べようとしていた少年の箸は止まってしまう。

 

 

「ここ二年くらい直で来なかったと思ったら、これまた急だな……?」

 

「最初はお前を付き合わせるつもりは全く無かったのだけど、色々と修正やらなにやらをしていたらお前の協力がちょっと必要になっちゃったんだよ」

 

「協力? アンタとアンタの背後に居る奴と分身達だけで釣りでも来そうなものだけど……」

 

「相手が黒神めだかちゃん――つまり主人公なんだよ。

つまり彼女を相手にする為に別世界で主人公だったお前が必要な訳」

 

「ふーん……?」

 

 

 ズルズルとカップ麺を食べながら、人外の話を聞いている少年は、彼女の言っている言葉の八割は意味をわかっていない。

 ただ、とある計画を再開するのに厄介な存在が居るから、時間稼ぎ的な意味で協力してくれ――というのだけは何となくわかったので、特に断る理由も無い少年は適当にうなずく。

 

 

「別に良いぞ。

どうせ暇してるだけだし」

 

「フットワークが軽くて何よりだ。

なぁに、今回の件にはあの子達にも声を掛けているし、楽しくやれるぜ?」

 

「……?」

 

 

 それが意外と面倒だったとこの時全く気づく事なく……。

 

 

 

 

 

 

 天文学的な低い確率の偶然に更なる偶然が重なった結果、安心院なじみは所謂『切り札』を手に入れることができた。

 偶々ねじ曲げられた世界を生きていて、偶々そんな世界に本気で勝とうと自力で人外に到達した主人公であることを知らずに剥奪されし少年の主人公である事を越えた領域は、安心院なじみにとっても価値のある人材だった。

 

 だからこそ言葉巧みに勧誘し、自身の世界へと連れて来た。

 その時点で自身が大昔から提唱してきたフラスコ計画は一気に飛躍し、完成すらする所まで進んだ。

 

 

「僕は安心院なじみ。この箱庭学園の創始者で、平等なだけの人外だよ」

 

 残るはひとつ。

 果たして彼と黒神めだかを衝突させたらどうなるのか……。

 それこそがフラスコ計画の集大成だと、負完全である球磨川禊との対立も乗り越え、あろうことかその球磨川を生徒会副会長となる事である程度の和解まで実現させた黒神めだか率いる生徒会達の前に姿を現した安心院なじみは、自身の存在と与えるべき情報を与えていく。

 

 

 異常者と呼ばれる者達が集うフラスコ計画も、生徒会戦挙と呼ばれたシステムも、全ては彼女によって作られ、そのレールの上を歩かされていたという事実を。

 

 

「人外だか人でなしだか知らねーが、簡単に言えばお前が最後の敵なんだろ? 良いぜ上等だ、かかってこいや悪平等(ノットイコール)!!」

 

 

 しかしそれでも生徒会に属し、黒神めだかの幼馴染として今まで縁の下の力持ちの様に支えてきた人吉善吉は威勢良く啖呵を切る。

 

 箱庭学園での経験が彼の心を着実に強くしているという表れであり、善吉という男はそういう男なのである。

 

 

「嫌だよ。僕はめだかちゃんとは戦わない。だって勝てないもん」

 

「……え?」

 

 

 だがそんな威勢の良さも、善吉がラスボスと思っていた彼女からの思わぬ一言により、留守でその場に居ない黒神めだか以外の面々はまさしく面を喰らう。

 

 

「あの子は週刊少年ジャンプでいう所の主人公みたいな子だ。

だからあの子と戦えばどう足掻こうが僕でも負ける。だから戦わないのさ」

 

『……』

 

「君達だってあの子の近くに居たんだからわかるだろ? ああいう『理屈ではなく勝者が決まっている』を体現している事をね」

 

 

 いくら人外でもめだかには勝てないと自ら宣言する安心院なじみに誰も声が出せない。

 それは今言われた通り、めだか自身を間近で見てきたからに他ならない。

 

 

「僕は寧ろ白旗をあげに来ただけだよ。勝てない相手と喧嘩するだけの人間じゃあないからさ」

 

「それならフラスコ計画を諦めるというの?」

 

 

 理由が色々とあってこの場に居る善吉の母である人吉瞳が動揺しつつも怪しむように問う。

 

 しかし安心院なじみは、その身に球磨川禊の始まりのマイナスを受けている証である無数のネジを刺したまま、紅白衣装姿で椅子代わりに座っていた生徒会長の机から軽い感じで降りる。

 

 

「いやいや、僕にとってもフラスコ計画は悲願でもあるからね。今更諦めるとかはしたくない」

 

 

 その異様な出で立ちもあって、一挙一動に警戒する生徒会の面々に向かって安心院なじみは言う。

 

 

「第一、フラスコ計画自体は三年くらい前には実は完成間近まで到達してるし」

 

「なっ……!?」

 

「完成間近……!? それも三年前ですって!?」

 

 

 軽い調子で言い切る安心院なじみに全員が絶句した。

 そんな『事実を知らぬ者達のリアクション』を見て薄く笑う安心院なじみ。

 

 

「そう、僕がある存在と偶然出会した事で実の所フラスコ計画自体は終わった。

キミ達が頑張って潰したフラスコ計画は謂わばダミーさ」

 

「そ、そんな……!」

 

「だからキミ達と争うなんて事は別にしない。仮に争う事になったとしても……どうだろうね、『アイツ』が終わらせてくれるだろうし?」

 

 

 実に良いリアクションだと思いつつ、下駄の音をさせながら悠然と出口へと向かって歩く安心院なじみは、これまでの戦いを上から見下ろす誰かの如く労うと……。

 

 

「ラスボスなんてとんでもない。僕は三年間そこら辺でケータイでも弄ってるよ……」

 

 

 悠然と不知火半纏と共に去っていくのだった。

 

 

 これは最末端にて最先端である少年の後日談的なお話。

 

 

「ああ、キミ達にはまだ紹介していなかったね。

彼は霧島一誠。悪平等(ぼく)ではない、最末端にて最先端、そして自力で到達しただけの人外にて――めだかちゃんと同じ存在だ」

 

「どもっす」

 

 

 物語を終わらせてしまった男。

 

 

「安心院さんに聞いて散々探しましたよ一誠先輩!」

 

「財部か……?お前確か中学生だよな? なんで高校来てんだよ?」

 

「黒神めだかが開催したイベントに出るって名目で体験入学したって昨日ファミレスで説明したじゃないですか!? やっぱり女の店員見てデレーッてしてて聞いてなかったんですねっ!?」

 

「あれ、そうだったっけ?」

 

「まったくもう!」

 

 

 悪平等の末端と友達になっていたり。

 

 

「チッ、この学校の女の子は可愛い子は多いけど結構ガードが固いな……」

 

「どうせナンパなんて成功しないし、やめてくださいよいい加減……」

 

「まともな出会いが無いから仕方ないだろ。

こちとら頭の可笑しい雌畜生共のせいでろくな人生じゃなかったんだからよ……」

 

「ああ、悪魔だなんだでしたっけ? 最初に聞いた時は与次郎さんみたいな人かなって思ってたら、本当だったんですよねー……?」

 

「そもそもお前等の大元にこっちに連れてこられたからな俺は」

 

 

 張り切ってナンパしようとしてもやっぱり失敗し、年下に呆れられたり。

 

 

「貴様が霧島一誠か?」

 

「え? ああ、うん……」

 

「なるほど、安心院なじみが言っていた通りだった。

この度転校してきた貴様には今回の学園見学会に是非参加して貰いたい」

 

「はぁ……」

 

 

 流れで見学会に参加させられたり。

 

 

「ちくしょうめ! ナンパした女の子に散々奢らされた挙げ句断られちまった!!」

 

「……。とことんアホですね先輩って……。その失敗何度目ですか……」

 

 

 参加……と見せかけてナンパに勤しんでは失敗して後輩に呆れられてしまったり。

 

 

「なにしてんのお前ら?」

 

「せ、せんぱぁい……こ、怖かったよぉ!」

 

「は? つーかお前……なんでパンツ丸出し?」

 

「安心院さんに言われて球磨川禊にちょっかいを掛けたらこうなりまして……」

 

「土下座したら許してはくれましたが……」

 

「ふーん?」

 

「ぐすん……」

 

 

 末端が負完全に喧嘩売って大変な事になったと、特にしてやられて泣いてる後輩をよしよししてあげたり。

 

 

 

「どうもぉ~? そこいらのチンケなチンピラでーっす!」

 

「!? お、お前は確か霧島一誠……!?」

 

「当然で悪いけど……球磨川ってどれ?」

 

「『………』『僕だけど』」

 

 

 その後密かに、ニヤニヤと笑いながら球磨川禊を探しに出向き。

 

 

「そっかー……………………………今日の俺ってムシャクシャしてのび太をぶん殴りたいジャイアンの気分なんだけど―――――ちょっとサンドバッグになれや?」

 

「『!』」

 

 

 スイッチONになったり。

 

 

「………………えっ!? さ、最初に喧嘩売ったのは財部達だったの!?」

 

「『な』『何度もそう言ったんだけどな?』『ごふっ』」

 

「す、すまん! 俺はてっきりアンタが趣味かなんかで財部をパンツ丸出しにしたのかと……!」

 

「『…………』『それに関しては微妙に否定はできないかな』」

 

 

 後に事情を知って普通に謝ったり。

 

 

「このチビガキ共! 球磨川先輩様に喧嘩を売るとは何事だ! 彼は裸エプロンに情熱を燃やす素晴らしい先輩なんだぞ!!」

 

『…………』

 

「そんな理由で仲良くならないでくださいよ……」

 

「うるせーこのデコチビ! オメーがガチ泣きしたせいでとんだ恥かいちまったんだぞ! お尻ぺんぺんだお前は!」

 

「な、何を――ひゃあ!? や、やめてください! セクハラで訴え――痛い!?」

 

「このっ、このっ!!」

 

「『このナチュラルにセクハラできる手腕に痺れてくるぜ』」

 

 

 なんかスケベ同盟が勝手に組まれたり……。

 意外とのほほんとした展開がそこにはあった……。

 

 

最末端にて最先端男――始まりません。




補足

スイッチの切り替わりが凄まじいだけで基本クマー先輩と話が合いそうな程度のスケベ男です。

入ったら絶対殺すマン化しますけど。

その2
ガチで手からビーム出せるし、見せた時からワンダーツギハ(自称)からめっさキラキラした目を向けられるようになったし、基本末端達とは普通に仲は良い。

その3
裸エプロン&乳龍帝同盟――非公式に結成。

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