色々なIF集   作:超人類DX

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です。

まあ、あくまで番外なんでふざけまくってます。


霧島一誠と陸上部の女の子(番外2)

 霧島一誠のスイッチ

 

 

 

 阿久根高貴にとって霧島一誠は生まれて初めて出会った『絶望と挫折』の象徴であり、本気で激怒した所を見たことは無かった。

 一度破壊臣時代に圧倒的な差で敗北させられた時ですら本気の殺意を向けられる事は無かった。

 

 故に阿久根高貴は此度の『視察』で十三組と対峙した時に知ったのだ。

 

 

「もう一度聞くぞ? ありあが――何だよ?」

 

「ぅ……ぁ……」

 

「コイツ……!」

 

 

 霧島一誠の抱える無尽蔵の殺意を。

 

 

「俺を押さえ込む為にありあを拐った……ね? あはははは……いやー、最初は善ちゃんとめだかちゃんに付き合ってやる程度に考えてたし、何があってもあの二人なら問題ないと思ってたけどさー………? ダメだなこれは。

生まれて初めてだよ―――ここまで他人をぶっ殺してやりてぇって思ったのは」

 

「よ、よせ霧島! も、もう相手に戦意はないんだぞ!」

 

「だからなんだよ? 戦意を失ったのは一時的な事だろう? 二度とそんな気も起こせないようにぶっ壊すのが当たり前だろうが……!」

 

「あ……ぎ……ぃぃ……!!?」

 

 

 当初生徒会達の視察に仕方なく付き合っていた霧島一誠。

 十三組の十三人が待ち構えている箱庭学園の時計塔地下で、めだかと善吉がそれぞれ十三組の十三人の一人と戦い、そして勝利していくのをただ見守りながら、次の階層に降りたのがそもそも始まりだった。

 

 その階層でめだかと善吉と喜界島と寸断され、阿久根と共に待ち構えていた二人組の十三組である名瀬妖歌と古賀いたみ。

 

 その二人と相対し、それぞれ異常駆動へと改造された古賀とスペシャルの阿久根が戦い始めた時も、一誠はただボーッと見ていただけだった。

 

 だがそんな一誠に話しかけてきた名瀬の何気ない一言が――――一誠自身にも『わからない程』の強大な殺意のスイッチを入れてしまう形となり、今一誠は異常駆動の古賀いたみをメタクソに叩きのめしていた。

 

 

「心配しなくても殺しはしないさ。

ただ、もう二度とテメーの力で歩けない程度にはぶっ壊すけどな?」

 

「がふっ!? ぎゃっ!? ぎぃっ!?」

 

「よ、よせ! やめろ霧島!! いくら何でもやり過ぎた!!」

 

(り、理事長の言った通りだ……! コイツは異常とかいう問題じゃねぇ。

人間としての『タガ』が完全に外れてやがる……!)

 

 

 古賀の後ろ首を掴み上げ、脇腹付近を薄く笑いながら何度も拳を叩きつける一誠の『躊躇いの無さ』に、また自ら 異常駆動へと改造させた古賀いたみとの圧倒的な差を目の当たりにした名瀬は、理事長の不知火袴に先日自分達を含めた十三組達に向けた言葉を思い出した。

 

 

『もっと早くに彼を知って此方側に引き込められていれば、フラスコ計画は完成していたのですがねぇ……』

 

 

 その言葉は、歴代の十三組全員を合わせてもただ一人に劣るという意味に捉えられた。

 無論、普通科所属でちょっとエキセントリックで、つい最近十三組の雲仙冥利を半殺しにしたという話があったとしても信憑性なんて無かった。

 

 とはいえ、念には念を入れるつもりでその霧島一誠にとっての『弱点』になりえる存在を確保し、試しに言及してみた――それが間違いだった。

 

 

「おい、包帯女。

これを助けたければ何時でも来ていいぜ? くくくく……!」

 

「コイツ……!」

 

「な、何故わざわざ霧島を刺激させるような真似をしたんだキミ達は! キミ達の目的はめだかさんだったはずだ!」

 

「オ、オレ達だってまさかここまで躊躇いの無い奴だとは思わなかったんだよ……! く、クソ……! このままじゃ本当に古賀ちゃんが死ぬ……!」

 

 

 スイッチの切り替わった霧島一誠の残虐性が、あまりにも想像を越えていた。

 

 

「それに有明さんは……」

 

「あ、有明なら下の階に居る。

連れ去りはしたが何もしちゃいない……!」

 

「くっ! 今更あんな状態の霧島に言っても信じては貰えないぞ! こ、こうなったらオレがなんとしてでも止める!! キミも古賀さんが壊されたくなかったらオレに協力するんだ!!」

 

「わ、わかったよ……ちくしょう……!」

 

 

 ギリギリの瀬戸際で阿久根の根性と名瀬の協力……そして後からやって来た黒神めだかの兄の黒神真黒やめだかや善吉達によってなんとか一誠は止まった。

 

 だがそれ以降、完璧にスイッチが切り替わってしまった一誠――そしてそんな一誠を見て何故かテンションが寧ろ上がった善吉とめだかによって残りの十三組もろとも箱庭学園の時計塔は破壊され、フラスコ計画は砂となって消えてしまうのであった。

 

 

「だ、大丈夫かありあ!?」

 

「うぇ!? い、イッセーくん!? な、なんでここに!?」

 

「十三組の馬鹿共に拉致られて変な事をされてるって聞いて…!」

 

「確かに時計塔に暫く居てくれって十三組の人たちに頼まれたけど、別になにもされてないし……。

あ、あの……それより恥ずかしいから見ないでよ。

温泉があるって十三組の人に教えて貰って今入ってるのに……」

 

「へ? あ、ご、ごめん……。

え、えっと、本当になにもされてないんだな?」

 

「う、うん……」

 

 

 もっとも、十三組の者達は有明ありあを連れてこそすれど、何もせず時計塔の地下内の施設を自由に使わせていただけで普通に無事だったし、温泉階に乗り込んできたイッセーにめっちゃ見られて恥ずかしかったと後に語る程度にはのほほんとしていたようだが……。

 

 

 その2

 過保護なお母ちゃん

 

 

 そんな十三組の騒動冷めやらぬ中、負完全こと球磨川禊が転校してきたという話は、善吉やめだかと一誠以外には脅威的な話だった。

 

 それは幼い頃の球磨川を見たことのある善吉の母を来させるレベルであり、見た目が完全にロリっ子である人吉瞳(42)の出現は――

 

 

「球磨川君の事もあるけど、私が1番に心配しているのは一誠君、アナタの事よ」

 

「は? 俺っすか? なんで?」

 

「善吉君とめだかちゃんから聞いていたけど、最近のアナタは『我を忘れやすく』なっているでしょう?」

 

「……」

 

 

 緩み始めた一誠の『スイッチ』を的確に止められる貴重な人材として迎えられるのだ。

 

 

「小さい頃から病院の看護師ばかりをナンパしまくってた程度には年上好きのアナタが、クラスメート女の子の為に頑張る事は結構な事よ。

でもやり過ぎはいけないわ」

 

「…………」

 

 

 幼い頃から一誠を知り、尚且つ一度キレたらそう簡単には止まらないのもちゃんと解っている瞳の言葉に、一誠は目線を落とす。

 

 

「すごい、霧島先輩が素直に聞いてる……」

 

「昔から人吉先生には私も一誠も頭が上がらないからな」

 

「まあ、あんな見た目だから年上だけどナンパはしないってのもあるな」

 

 

 大人しく聞いている一誠の姿を見て、先日の暴れっぷりを知っている喜界島や阿久根はただただ驚く。

 

 

「でも暫くは私もここに居るつもりだから心配しなくてもいいわ」

 

「すんません……」

 

「気にしないで。

善吉くんとめだかちゃんの我が儘を聞いてくれるアナタにとって我が儘を言える相手にくらいはなってあげたいしね?」

 

「おっす」

 

 

 例え合法ロリで色々と対象外だとしても素直に聞く。

 それが人吉瞳と霧島一誠の関係であった。

 

 

「と、いう訳で今日はお母さんに甘えても良いのよー?」

 

「いやいいっす。瞳さんがいい人なのは知ってますけど、体型がどうしても残念なんで――いででででっ!?」

 

「照れない照れない~♪」

 

「照れてねーよ!? いい加減に――ぐもっ!?」

 

 

 

 

「……。霧島が大変な事になっているが、キミは息子して複雑じゃないのか?」

 

「? なにがっすか? 昔からああですしね」

 

「うむ、さしもの一誠も人吉先生には負ける事が多いのだ」

 

「で、でも人吉のお母さんに無理矢理霧島先輩がやられてる様にしか見えない……」

 

「ガキの頃から一誠から『あー、いい人ではあるけど無いね』って言われて半分意固地になってるからな、ウチのお母さん……」

 

 

 

「ほーら、一誠くんの大好きな年上の女性の胸ですよね~?」

 

「ふ、ふざけんなこの合法ロリまな板ババァが! 死ぬほど嬉しくねー……むぷぺ!?」

 

「ふふ、ダメでしょう? そんな言葉を使っちゃ?」

 

「ぜ、善ちゃん助け――ぐもももっ!?」

 

「すまん、スイッチ入ったお母さんは止められん」

 

「暫くしたら落ち着くだろうから、頑張れ一誠……。

後で私もしてやるから……」

 

「そ、そんな――あ、阿久根! た、助け――ひみゅ!?」

 

「いや、余計オレでは無理だ…―」

 

「き、喜界島――」

 

「普段の行いだと思う」

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……!

あ、相変わらずなんつーパワーだ……」

 

「一誠が成長するに連れて、止められるようにって鍛えてたからな」

 

「しかも私も驚く程のハードなトレーニングだ」

 

「それであの体型を維持かよ……」

 

 

 

 

 

 その3・ 有明さん、ちょっと焦る。

 

 

 年上好きで同年代には殆ど興味ゼロであるからこそ、これからもそうなのだろうと漠然的に思っていた有明ありあだが、最近ちょっとだけ心配になってきた。

 

 

「く、くそ! お母さんの体型がこんな羨ましいと思うときがくるなんて……!」

 

「私も小さくなりたいぞ……!」

 

「やっぱ軽いっすね瞳さんって……」

 

「そりゃあこんなナリだもの。ま、今にして思えば良かったと思うけどねー?」

 

 

 

「最近霧島くんって他の女子とよく喋っているけど、有明は大丈夫なの?」

 

「だ、大丈夫……です」

 

(大丈夫に見えないわよ……)

 

 

 こんな場面を練習中に見ちゃうし……。

 

 

「霧島せんぱーい! 暇なら遊んでくださいよー!」

 

「暇じゃねぇ。瞳さんや善ちゃん達が居ない今の内に今日こそ人妻と『うひひ!』な事をするんだ!」

 

「そんなのどうせ相手にされずに終わるだけですよ。

あ、それなら私がデートに……」

 

「ガキには興味ねぇ、15年後に出直せ」

 

「酷い!? こうなったら先輩のナンパの邪魔をしてやります!」

 

「ええぃ離せクソガキ!!」

 

 

「うー……」

 

「今度はこの前から居る中学生ね……。霧島ってナンパは本当にしょうもないくらい下手だけど、ああいうタイプには懐かれやすいわね……」

 

 

 中学生女子に懐かれてうざそうにしている場面も見るし。

 

 

「今日こそアタシと名瀬ちゃんの友情パワーで鬼畜霧島なんかボッコボコにしてや――」

 

「トゥア!!」

 

「へぶっ!? ちょ、ちょっと待って!? げぎゃ!?」

 

「完璧弐式奥義・アロガント・スパークっ!!!!」

 

「ひぎぃっ!?」

 

「また訳わかんねー事を……。ムカつくくらいの化け物っぷりだぜ――くっくっくっく!」

 

「次はテメーか? 良いぜ、捻り潰してくれる……!」

 

「上等だこの野郎……! どうしてくれんだ? 地獄の九所封じのフルコースか? それとも完璧零式奥義って奴か!? シンプルに馬乗りからのボコボコか!? 何をされてもオレは負けないぜ……!!」

 

「………………やっぱやめた」

 

「ふざけんなコラ! 古賀ちゃんの事はそんなにボコにしといてオレにはねーのかよ!?」

 

 

 

 

「………確かあの二人は十三組の名瀬さんと古賀さんよね? 古賀さんは蛸みたいにぐにゃぐにゃにされてるけど、あの名瀬さんって子は、霧島に向かってあんなにキラキラした目なのかしら? ……服まくってお腹まで見せてるし」

 

「………」

 

「ま、まあ元気出しなさいよ有明? 普段の霧島とは仲良いんだし……」

 

 

 同学年の変な格好した女子と遊んでる姿を見ちゃったり。

 

 

「やぁ有明さん、一誠が最近同年代の女子達と仲良くしていてモヤモヤしてる様だけど、このままだと多分……」

 

「よー、ありあ。今日は部活あんのか?」

 

「うん、今日は無いよ」

 

「お、マジか? じゃあ一緒に帰ろーぜ?」

 

「いいけど……あの、安心院って人が……」

 

「は? ああ、ほっとけほっとけ、相手にすると付け上がるからな」

 

「」

 

 

 しかし安心院なじみには負ける気はしなかったりと……有明ありあは最近モヤモヤし続けるのだった。

 

 

 

 

「ぐ、ぐぬぬ……! ま、また有明二年生と一緒に……」

 

「うーん、あれだけ年上ばかりだった子がああいう子をねぇ? 結構寂しいわね……」

 

「早急に傾向と対策を練るべきだぜ! じゃないと一誠が有明先輩にとられちまう!」

 

「他の悪平等(ぼく)は基本相手にもされません。

まあ、悪平等(ぼく)ではなくて私自身は結構相手にされますけどっ! ………そのせいでちょっとだけ他の悪平等(ぼく)にハブられたりしますが」

 

「だからか、この前一誠がキレながらお前のお仲間達と安心院なじみにジャーマンスープレックス掛けてたのは……」

 

「別にそんな事になってるとは言ってなかったのに、察したみたいで……。

クソガキ呼ばわりしてウザそうな顔をする癖に、ジュース買ってくれるし、話し相手にもなってくれるし……あーもう! 何だろうこの気持ち!」

 

「……ホント、たし年下の受けは良いわね一誠くんは」

 

 

 

 

「ね、ねぇもう関わるのはやめようよ名瀬ちゃん? アイツは鬼畜すぎるよ……」

 

「ダメだ、奴の敗北顔を見るまではやめるわけにはいかねぇ。

それまでは例え蹴り飛ばされようが、服ひんむかれようが、押し倒されようが諦めねーぜ……!」

 

「………………。ちょっと僕、霧島くんと『お話』したくなってきたな」

 

 

 

「『霧島ちゃんについてはそっとしてあげた方がいいんじゃないの?』『なんというか』『あまりにも相手にされなさすぎて見てて僕ですら安心院さんに同情の念を禁じ得ないし』」

 

「……。て、照れてるだけだし」

 

「『そんな事を言ってる時点で無理だと思うけどなー?』」

 

 

終わり

 

 

 

 

 




補足
スイッチ入った時の危険度はシリーズ共通。


ただし、現在完全なストッパーが存在してるので、ギリギリセーフ。


その2
両親が失踪したのも知ってるし、全力で探したけど見つからなかったので、ほぼ引き取り同然に面倒を見てきた瞳さん。

なので一誠は殆ど逆らえません。
というか、逆らったらむぎゅーってされるので。


その3
まあ、その……違う霧島一誠シリーズだと仲良しだったしね?


その4
安心院さんはずっとスルーされてます。トランクスルーのようにスルーされます。

反応されたと思ったらアウトレイジばりのバカヤローだコノヤローが跳んできます。

ただ、とある末端悪平等の中学生の一人だけは微妙に食いつけてる模様。

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