色々なIF集   作:超人類DX

685 / 1034
ボツにしたその2

後半は嘘話です


ちょっとずつ順応していく執事

 彗星の如く現れたララのせいで、すっかり別の意味で影が薄くなってしまったのは天条院沙姫である。

 

 当初こそそんな状況に憤慨した彼女は、お供の者と共にララをギャフンと言わせようと様々な――まあ、言ってしまえばしょうもない妨害やら何やらをしてきた。

 

 結局あらゆる策を弄しても、ララの明るすぎてポジティブな性格という巨城は崩せる事なく今に至るという訳だが、現在の天条院沙姫はどうララを蹴落とすというよりも強い関心を向ける存在が居た。

 

 その者は当初こそ沙姫にとっても取るに足らない男で、ララを蹴落とすためのキーマンとして一応注目はしていた結城リトと稀に一緒に行動している程度の、常に顔色が悪い奴みたいな認識しかなかった。

 

 が、ある時沙姫にとっては家で見慣れた燕尾服の格好をしていたその男に助けられた事があった。

 

 

「むっ!? あそこで見ているのは天条院家の使用人か!?」

 

「格好からして間違いないですぜ兄貴! このまま轢き殺してしまいましょうぜ!」

 

「むーっ! むーっ!!!(だ、誰か助けて……!)

 

 

 運悪く身代金目的で拐われ、ワゴン車に押し込められた沙姫は、運転席で何やら喚いている誘拐犯ざ車を急発進させた時は何の事だか気づかなかった。

 だがその直後沙姫は見たのだ。

 

 

「な、なななっ!?」

 

「な、なんじゃこりゃああっ!!?」

 

 

 車が何か巨大な壁によって前進を阻まれて強制的に停止させられ、更には――

 

 

「ゴボェア!?!?」

 

「て、テメ―――あべしっ!?」

 

 

 その誘拐犯は一瞬でぶちのめされてしまう光景を。

 

 

(だ、誰か居るの……?)

 

 

 その時の沙姫にはわからなかったし、一体全体何が起こったのかもわからない。

 しかしそれでも彼女は見たのだ。

 

 

「………………………………………」

 

(え、この男は確か稀に結城リトと居る男……? な、何故使用人のような格好を……?)

 

「………チッ」

 

 

 燕尾服に身を包んだよくわからないと踏んで特に関心も無かったその男が自分を助けたのだと。

 

 

「……ああ、悪い御門。

買い物の帰りにちょっとした事があってよ――ああ、もう終わったから直ぐに帰るってババァにも言っといてくれ」

 

 

 そして誰かと――今思えば彼が住んでいる自宅の者に連絡をし、縛られて動けず怯えていた沙姫の拘束だけを解くと……。

 

 

「金髪はなんでこんなステレオなんだ……」

 

 

 訳のわからない事を愚痴るように呟きながら、さっさと去ってしまった。

 本人は車が急に突撃してきたから反撃しただけで、そこに沙姫が乗ってたどころか、沙姫の事なんて苦手な金髪女程度の認識しかしていなかったが、沙姫にとっては……。

 

 

「………」

 

 

 取るに足らないと思っていた男の、そのギャップのある背中にすっかり釘付けにされてしまったのだ。

 そしてそれ以降はララをどうこうするよりも彼――日之影一誠の事を徹底的に調べ尽くした。

 

 彼が二回留年し、実は学年は下だけど自分と同世代かひとつ上の年齢であること。

 彼が保険医の御門涼子の家に、母親――にしては顔立ちから何から全然似ていない、若すぎる女性と住んでいる事。

 

 非常識通り越して化け物のパワーを持ったララの父親と心底楽しそうに嗤いながら殴り合って引き分けた事等々……。

 

 知れば知るほどスルメイカみたいな意味で色々と常人とは違うものを持つその彼にすっかり嵌まってしまった沙姫は、お供でもあり友人でもある藤崎綾と九条凛が『アレは非常識過ぎてダメだ』と割りとマジで反対しているのにも拘わらず、まるで追っかけのように一誠に突撃しまくるようになった。

 

 残念な事に、金髪だし縦ロールだしステレオお嬢様口調なもんだから、一誠からは多分この世界で三指に入る程に苦手意識を持たれて逃げられるオチばかりだけど、沙姫はそんな一誠が苦手と認識するに至った元凶のレイヴェル・フェニックを彷彿とさせる『話の聞かなさ』で今日も元気に一誠を追っかけるのだ。

 

 

 

 

 微妙に古手川唯の一切折れない気の強さだけは認め始めた一誠は、ここ最近の席替えで席が隣同士になったこともあってか、ちょくちょく世間話をする程度の関係性にはなった。

 

 

「ぐぬぬ……!

明らかに日之影さんの態度が古手川唯に対して軟化していますわ……!」

 

「あのぅ……沙姫様?

もういい加減日之影一誠に拘るのは止めた方が良いのではないのでしょうか?」

 

「ついこの前もララの父親を名乗る者と血塗れになって周辺を破壊しながら殴り合ってましたし……。

沙姫様にDVをする危険が……」

 

 ちょうど一誠達のクラスとは反対側に位置する校舎の屋上から、高性能な双眼鏡を使って覗いている沙姫と凜と綾。

 その双眼鏡越に映るのは、唯に勉強を教えて貰っている一誠である。

 

 どう見てもここ最近の間で急速にあの他人と殆ど口を聞かない一誠と仲が良くなっているという状況に沙姫だけは悔しげな声を出すが、お供の凜と綾は寧ろこのまま興味を無くして欲しいと思っている。

 

 何故なら普段こそ顔色の悪い無口な男だが、二度も留年した経緯もさることながら、どう考えても暴力に快楽でも見出だしてそうなタイプにしか見えないのだ。

 

 なので、これまで何度も二人は『あの男だけはよした方が良い』と言ってきた。

 

 だがそれでも沙姫は退かないものだから、友人として配下として仕方なくこうして沙姫の行動に付き合っているのである。

 

 

「しかし、結城リトとは別の意味で女性との関わりが多い……」

 

「例のケダモノみたいな事はないみたいだけど、やっぱり印象はよくないよね……」

 

 

 そうでなくても、ふと見ればリトとまではいかないが色々な女性となにかしている姿が最近多く見られるようになってきたのも加えれば、やはり一誠への印象は悪い綾と凜。

 

 

「……よし! 今日こそ放課後になったら日之影さんを我が家にご招待してやりますわ!」

 

「「…………」」

 

 

 それでも沙姫はブレることがない。

 というか、そんな現実を前にしても逃避せず寧ろその負けん気に火をつけてしまっているものだから、凜と綾も深いため息を吐くしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 ヴェネラナと元の世界に帰還する事を何よりも優先している一誠は、言動こそアレだが頭脳に関しては凄まじいララに『異世界を渡る装置的なモノ』の開発の進行度はどんなものかと聞いいていた。

 

 

「ごめんね? やっぱり二人がどこの世界から来たのかって正確な座標が分からないから中々難しくて……」

 

「そうか……。いや、無理を言ってるのはこっちだから謝る必要はない……」

 

「ララでも異世界にワープする装置は難しいんだな?」

 

「イッセーとイッセーのママのお話が本当なら、二人は完全なパラレルワールドから偶発的にここに来たってことになるからね……」

 

 

 どうやら開発はかなり難航してしまっているらしいし、理由を聞いてしまえば難しい事はあまりわからない一誠でも納得はしてしまう。

 確かに自分とヴェネラナがこの世界に迷い込んだのは完全なる偶然と奇跡の果てだったのだ。

 

 こればかりは焦ったところでどうにもならないものなのだと、一誠も引き下がる他ない。

 

 

「折角ですしウチに来ます?」

 

「ミカンやモモが喜ぶから来てよ?」

 

「え? あ、ああ……邪魔だろ俺が来ても……」

 

 

 なので今一誠がやれることは、ヴェネラナ――と、一応涼子を外敵から完璧に守る為の更なる進化の壁を乗り越える事である。

 今も昔も変わらない、一誠にとって最大最強の壁であるサーゼクスを越えるという目的は変わらないのだ。

 

 

「ところで先輩……? 後ろから天条院先輩達が付いてきてるのですが……?」

 

「俺は関わりたくないから知らない顔しててくれ……頼むから」

 

「仲良くすれば良いのに? ……あれ? 唯も一緒にいるよ?」

 

「は? ……どうせ巻き込まれたんだろうよ、あの金髪女に」

 

「ああ……想像つきますねそれ」

 

 

 段々この世界に順応しようともその気持ちだけは変わらないのだ。

 

 

 

 

 と、まあ地味に後をついてくる沙姫やら巻き込まれてしまった唯に気づかないフリをして結城家にお邪魔することになった一誠は、既に学校から帰宅していた美柑や居候中のナナやらモモに出迎えられ、お邪魔するのでとの準備をする美柑の手伝いをする。

 

 

「はい、一誠さんの予備の燕尾服」

 

「おう」

 

 

 その際結城家に保管して貰っている燕尾服(セントウフク)に着替える辺り、ヴェネラナとグレイフィアの教育の賜物ともいえるだろう。

 

 

「リトから聞いたけど、古手川さんと仲良くなったんだって?」

 

「は? ……アレは仲良くなったわけじゃないと思うが、何でそんな事を聞くんだ?」

 

 

 刃が見えない程の速度で食材を切り刻む一誠は、リトから聞いたらしい美柑からの質問に首を傾げる。

 

 

「別にー? ちょっと気になっただけ」

 

「???」

 

 

 何時もよりちょっとツンツンしている美柑の意図がわからない一誠に、横で見ていたモモがクスクスと笑う。

 

 

「最近家に来て貰えなかったから拗ねているんですよ」

 

「え?」

 

「べ、別にそういう訳じゃないけど、忙しいのかなって……」

 

 

 別にそこまで頻繁にこの家に来ている訳ではないし、そこまでリト達と一緒に行動している訳でもなく、ここ暫くは来なかった一誠は、モモからの説明に美柑が拗ねていると知り、普通に謝った。

 

 

「なんかすまん……?」

 

「謝らなくて良いよ……。

モモさんの言ってる事もちょっとは図星だし……」

 

「加えて、古手川唯さんでしたっけ? 彼女と少しばかり仲を深めたせいで私と美柑さんのことなんて忘れてしまったのかと……」

 

「別に忘れる事なんてないけど……」

 

 

 この世界では涼子を抜かせば五指に入るレベルで世話になっている二人には割りと素直に謝る一誠。

 別の世界ではこのモモを死ぬほど毛嫌いしている事を考えれば実に真逆である。

 

 そんな空気の中、美柑に料理のレクチャーをしつつ結城家の家庭環境に乗っ取ったレベルの夕飯を完成させた一誠は、モモにも手伝って貰いながら完成した料理を運んでいると……。

 

 

「中にいれなさい! 日之影さんのお料理を当たり前の様に食せるなんてずるいですわ!!」

 

「沙姫様! お、落ち着いてください!!」

 

「わ、私は違うわよ! この人達に無理矢理付き合わされただけで別に――」

 

 

 

 

 

 

「玄関で揉めた声が聞こえるね……」

 

「噂をしていればなんとやら……ですね」

 

「チッ、あの金髪女、そのまま消えると思いきやマジで押し掛けて来たのか。

古手川も何をしてるんだか……」

 

 

 リトとララと玄関口で揉めまくりな言い争いの声が聞こえ、美柑とモモは苦笑いをし、一誠は心底嫌そうな顔をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、日之影さんがお作りになったお料理にしてはえらく庶民的ですわね……?」

 

「庶民で悪かったですね……」

 

「これは確かに一誠さんの苦手に思う要素が全盛りされたような人ですね」

 

「ご、ごめんなさい日之影君、この人達を放っておいたら無茶苦茶をするかと思って止めようとはしたのだけど……」

 

「俺がさんざん言ってもあんな調子なんだから、古手川では止まらんってのはわかってたよ。

俺に下手に関わるばかりに悪いな……」

 

 

 ズカズカと結城家に上がり込み、入るなり『ここは物置部屋かしら?』とステレオお嬢様みたいな事を言いつつ、普通に図々しく居座る沙姫と凜と綾に、リトは苦笑いだし、一誠は謝る古手川を微妙ながら労っていた。

 

 

「チッ、マジでいい加減にしろよテメー等? いっそ纏めて八つ裂きにでもしねーとわかんねーのか? あ?」

 

 

 そしてここまでされたとなったらリトや美柑に迷惑になってしまっているので、そろそろマジで二度と近寄れなくしてやろうかと、ジーッと燕尾服姿の一誠を見ていた沙姫に向かって指を鳴らす。

 

 

「突然押し掛けたのは謝罪しますわ。

けれど、こうでもしないと日之影さんも私の話をきちんと聞いて頂けないので仕方なくですわ」

 

「俺はオメーと話す舌なんてねーんだよ」

 

「ならの舌が出来上がるまで何度でも日之影さんにアタックするのみですわ!」

 

 

 

 

 

「改めると天条院先輩ってある意味すげーな……」

 

「あの人も金髪ですが、つまり日之影一誠は彼女を毛嫌いしていると……?」

 

「え? ああ、まあ苦手には思ってるみたいだけど……いつの間にか居たのかよヤミ?」

 

「………………。ずっと居ましたよ、目の前に立ったのに日之影一誠に思いきり無視されましたけどそれがなにか?」

 

「あ……悪い」

 

「最早ヤミさんには何の反応もしなくなっちゃったもんね一誠さん……」

 

「一誠さんの元の世界の金髪さん達との件が無ければこうはならなかったのですがねー?」

 

 

 一切退かぬ沙姫にうんざりした顔をしている一誠を見ていると、本当に苦手なのがヒシヒシと伝わる。

 ここまで来ると最早単なる金髪アレルギーとしか思えないし、金色のヤミなんて呼ばれてる金髪の殺し屋少女なんか、一誠の目の前に立とうがスルーされてしまうようになってしまっている。

 

 

「ところで古手川さんでしたっけ? この前一誠さんに家まで送って貰ったとか……」

 

「へ? え、ええ……偶々帰りに日之影君とお母様に会って日之影君のお母様がそうしなさいって日之影君に……」

 

「へぇ? ヴェネラナさんにですか……」

 

 

 そしてこっちはこっちで美柑とモモに変な事情聴取を受ける唯。

 結局図々しく居座る沙姫達に夕飯まで食われてしまい、一誠はどっと疲れるはめになるのであったとか。

 

 

終わり

 

 

オマケ・母の独白

 

 

 

 

 初めて息子があの子を連れて来た時の印象は、全てを恨んでいる憎悪の塊の様だった。

 

 誰も信じようとせず、誰からの助けの手を拒絶し、力が全てを可能にすると信じてやまない目。

 

 当時まだ五歳にも満たない子供が抱くにはあまりにも絶望で希望も無い。

 

 一体何があってこんな子供になってしまったのか、息子に聞くことで全てを知った時、私は決意した。

 

 例え血の繋がりが無くとも、例え種族そのものが違えど、親からの愛という当たり前の情を奪い去られて極度の人間不信となったこの子を『特別扱いではなく、息子や娘と平等に情を注いで育てよう』と。

 

 史上最強の悪魔と呼ばれる息子に当時の年齢から手傷を負わせる程の力を持つからでは無く、ただ『当たり前』の日々を教える。

 

 そんな私達をあの子は―――現在でも根っこに残しているのだけど、『自分に力があったから単に手元に置いておきたいだけだろう』と言って中々信じてくれなかった。

 

 確かにそうかもしれないし、全部は否定できない。

 力を抱えていたからこそ息子の半身と呼ばれる彼女に拾われたのだし、息子と出会えた。

 

 確かに力が無ければあの子はそのまま死んでいたし、私達もあの子を知る事もなかった。

 

 否定はしない。綺麗事を言うつもりもない。

 そう……あの子に力があったから私達は出会った。

 

 

 でもそれは切っ掛けでしかない。

 私達があの子に愛情を抱くのは、ただ力を持っているからではない――これだけは言える。

 

 力を持つだけの者は我々の種族の方が多い。

 持つが故に傲慢になりやすいし、堕落をしていく同胞を何人も私は見て来た。

 

 わかりやすく言えば私の生家のバアルがそう――

 

 

 でもあの子は力を持っていたけど、それに胡座をかく事は決してなかった。

 私達の愛情を頑なに否定し、独りで生きようと――なによりも息子に必ず勝つんだという意思を持ち続け、妥協無き努力をし続けてきたのを私達は知っている。

 

 何度も挫折をしても、何度も負けても、それでもあの子は『力が自分という存在を証明する手段』である事を信じて積み重ね続けた。

 

 そんな姿を見せられて、私達に放って置くという選択肢は選べる筈なんてありもしない。

 頑固で、口も悪くて、無愛想でヘタレな子だけど、決して冷たいだけではない律儀な子であるのはとっくに知ってしまっていたから。

 

 

 その証拠に、あの子は息子があの子自身にそうしたように、娘や友人達に道を示してくれた。

 決して言葉にはしなかったけど、あの子の生き方が娘や友人の子達を強くしたのだと私は確信している。

 だから娘達も彼のそんな不器用な背中に惹かれていったのだと思う。

 

 なによりあの子は口は悪いが、確かに受けた恩は必ず返してくれる。

 恩を求めていたつもりはこれっぽっちも無かったけど、あの子は私達の前から去らずに傍に居てくれた。

 

 私達にとって、それだけで充分。

 

 私の事を唯一あの子だけが『ヴェネラナのババァ』なんて呼ぶけど、本当に危なかった時、あの子は何も言わずとも私達を守ってくれる。

 

 だから私は思う。この先あの子が例え力を完全に失ってしまったとしても、今度は私達があの子を守るのだと。

 

 血も種族も繋がらない他人であった私達をあの子が助けてくれたように、今度は私達が……。

 構いすぎだと他の者達は言うのかもしれない。鬱陶しいだろうと言うかもしれない。

 

 それは自覚しているけど、辞めるつもりは一切無い。

 

 

『オイ、誰のババァに手ェ出してると思ってんだ……?

知らなかったでは済まさねぇ―――今から全員ブチ殺す!!!』

 

 

 だって私は、あの子の『母』なのですから。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 嘘のオマケ

 

 

 どこかの誰かの観察日記。

 

 

 奴を深い意味で知ったのは、『復活』の為にとある地球人の男の中に寄生する事になってしまった直後だ。

 

 寄生に選んだ理由は、周辺にはギド・ルシオン・デビルークの娘共やら、金色の闇等といった――寄生するにはかなり都合の良い奴であったからに他ならないのだが、その寄生先の男が慕う男――ギド・ルシオン・デビルークと真正面からやりあって生還した地球人の中身を探るが大きな目的でもあった。

 

 つまり目論見は成功し、先ずは小手調べのつもりで『ダークネス計画』を金色の闇に施してみた訳だが……。

 

 

「きゅう……」

 

「きゅ、急に豹変したヤミがイッセー先輩のデコピン一発で収まった……! す、すげー……!」

 

「何があったのか聞かないし、正味全然興味ないけど、商店街付近で暴れんなよ。

またキミが彼女にやらかしたのか?」

 

「ち、違います! 突然ヤミの雰囲気が変わって襲い掛かって来たんですよ!」

 

「ふーん……?」

 

「本当? リトの場合はやらかす事の方が多すぎるし……」

 

「み、美柑まで……。

というか二人してここで何してたんですか?」

 

「ヴェネラナのババァと御門の夕飯の材料の買い出しの途中で偶然会っただけだな」

 

「イッセーさんに色々教えてもらってる内に、最近料理が楽しくなっちゃったからね」

 

「な、なるほど……。それより気絶したヤミなんですけど……」

 

「まさか、俺にキミの家まで運べってのか?」

 

「正直に言えば……。

イッセーさんの方が力あるし――それにヤミが起きたらまた暴れるかもしれないから……」

 

「………………。チッ、わかったよ。

まったく……なんで俺がこんなどうでも良い金髪なんぞの為に……」

 

「す、すんません……」

 

「でも運んであげるあたりはやっぱり律儀だよねイッセーさんって……?」

 

 

 寄生先の結城リトの中から悟られずに観ていたが、デビルーク王と真正面からやり合って生還したという話は確かに事実だと確信した。

 

 しかし刺激して『覚醒』させた金色のヤミをしても奴には文字通り指一本で黙らされてしまったので、結局は中身を知る事はできなかったので、今後もこの結城リトの中から奴を観察してみようと思う。

 

 

 

 ☆月◯日

 

 

 あれから私の部下に根回をし、部下に直接奴へ接触させてみようとしたのだが、奴の警戒心は地球人の中でも飛び抜けている。

 

 お陰で部下がいくら接触しようとしても露骨に『嫌そうな顔』をされる様だし、結城リトの『やらかし』の様な事を仕向けても悉く失敗する。

 

 結城リト自身の記憶を辿ってみる限りでは、余程信用しない限りはまず『会話を成立させる』という事すらも難しいらしい。

 

 なので私は奴を取り巻く人間関係に着目してみた。

 

 その結果、決して多くはないが別に少なくはない『会話の成立する者』を見つけることができた。

 

 まずは、奴の母らしいヴェネラナ・グレモリーなる女とあの御門涼子。

 

 ……この二人の場合は構い倒し過ぎてうんざりされてる気があるものの、何かあれば真っ先に奴の『守護すべき対象』と見なされているので、接している時の奴の感情がわかりやすい。

 

 次は結城リトとその妹の結城美柑。

 

 結城リトはどうやら奴に羨望といった感情を持っているらしく、その妹は奴の下僕スキルを教えられる仲で、会話も成立可能。

 

 後は奴が通う学舎に居る何人かの者もそれに該当する様だが、それ以外ではモモ・ベリア・デビルークが奴に対して『思う』ものがあるらしい。

 

 それと古手川唯と――別の意味で天条院沙姫か。

 

 さてどうしたものかと考えた時、私はちょっとした面白い事を閃いた。

 

 ………仮に成功した時の顔が絶対に面白いだろうという意味でな。

 その為にはやはり奴をもっと観察して知らなくてはならない。

 

 地球人を逸脱した力の源等な。

 

 

「あ、せんぱーい! 今度から先輩の事を『いーちゃん』って呼んでも――」

 

「…………………………………」

 

「い、良いですかー……なんて……」

 

「……。次、その呼び名を口にしたら殺す」

 

「こ、殺すなんて物騒な事言わないで……」

 

「じゃあ死ね。惨たらしく死ね。そして死ね」

 

「ご……ごめんなさい」

 

 

 だが奴の地雷がよくわからん。

 部下はどうやら悉く奴の地雷を踏んでしまった結果、ゴミ以下としか認識されなくなってしまったようだが……まだわからんな。

 

 

 ◇月▼日。

 

 そろそろ復活できる程度には力を取り戻したのだが、相変わらず奴の中身はわからずじまいだ。

 部下は最早、奴の視界に入った時点で舌打ちまでされる程度には嫌われた様だが、生憎私はまだ直接奴とは顔を合わせてはいないので、部下のやらかした経験を元に地雷を回避できる自信はある。

 

 問題は、奴の精神力が強靭的な面だろう。

 観察していく内に、ああいう便利な奴なら下僕にしても良いとは思うが、奴が誰かの下に付く様な者ではないのは観察している内にわかってきた。

 

 とはいえ、奴程の者ならさぞ下僕にしてやれた時の快感は凄まじいのだと思うと、やはりしてみたくはなる。

 

 その方が周囲への精神的なダメージも与えられそうだしな……ククッ。

 

 なにより、対デビルーク王への切り札にもなれる。

 

 ………よし、限定的ながら復活してみるか。

 

 

 ※月?日

 

 そんな訳で、結城リトが寝ている深夜を見計らって奴の中から分離して復活をしてみた。

 

 肉体の損傷はほぼ無いし、自由に動ける。

 

 後は奴が一人で居る時にどう接触してみるかだが……。

 

 まあ、なんとかなるだろう。

 

 

 ※月◯日 早朝

 

 夜明けまで奴が根城にしている御門涼子の家を張ってたが、奴は部下の報告通り、キッチリと決まった時間に出掛ける。

 

 どうやら欠かさず鍛練というものをしているらしく、それが奴の化け物じみたパワーの源らしいのだが、地球人がいくら鍛えたところで奴の様なパワーを持つことは有り得ない。

 

 文字通り音速で空を走る奴を追うのはちと骨が折れたが、何の変哲のない山の中で、一人黙々と誰かと戦闘をしている事を想定した鍛練を行っているのを発見できた。

 

 あれが強さの秘密なのか? ……とてもじゃないがそうは思えんが、取り敢えず奴の鍛練が一段落して小休憩する時を見計らってから接触してみた。

 

 

「……」

 

「初めましてだな。私はネメ―――」

 

「ふっ……! 疾ッ!!」

 

「――シス………って、オイ」

 

 

 無視された。

 いや、間違いなく奴の目の前まで近付いたし、奴も私を認識した筈なのに奴は知らんとばかりに鍛練を再開した。

 

 ふむ、接触の仕方を間違えたのか? まあ、元から奴は他人に対しての警戒心が半端ではないからな。

 だがこういう時にしつこく話しかけるといった真似をすれば失敗するのは部下を見て学んではいる。

 

 つまり私がすべき行動は……。

 

 

「お邪魔の様だし、終わるまで見させて貰おう。

ふふん、なに、邪魔はせんよ?」

 

「……………………………………………………………………!」

 

 

 何もしないだ。

 害にならんのであるなら、奴は基本的になにもしないし、何も言わない。

 くくく、私の行動が意外だったのか、少し挙動不審だぞ? まったく観ていた時から思っていたが、意外に飽きん奴だ。

 

 とはいえ、今日はここまでが限界だろう。

 

 下手に邪魔をすれば部下の二の舞を踏むからなぁ? 暫くは奴が一人になるタイミングを見計らって接触するの繰り返しだ。

 

 

 ■月★日

 

 奴を直接見る様になってから三日後の話だ。

 

 ………………何時も通り奴が一人になった所を狙って近付いた瞬間、奴の顔が死人のように真っ青になったかと思えば、突然、並の生物なら死ぬのではなかろうかと思う量の血を吐いた。

 

 

「げほ! ゴホァ!?」

 

「え……? えっ……!?」

 

 

 何もしていないのに、いきなりあんな量の血を地面にぶちまかれるとは思ってもなかったので、流石の私もちょっとだけビックリした。

 一体何がどうしてなんだと思って暫く立っていた私だったが、奴はその後平然と立ち上がり、私に背を向けて鍛練をやり始めたのだ。

 

 

「おい……どう見ても地球人なら死ぬ量の血を吐いておきながら、また鍛練をするのか?」

 

「…………………」

 

 

 ここまで鍛練にばかり集中する姿に軽い狂気を感じてつい口を滑らせてしまったと気付いたのはその直後だったが、奴は聞いていたのかいないのか、相変わらず私の事なぞ一瞥たりともくれる事なく、時折血を吐きながらも鍛練をしている。

 

 この時私は何と無くながら、奴の化け物じみたパワーの正体の一端を知った気がした。

 

 その後、学舎に向かった際、古手川唯が焦った顔でどこかに連れていった様だが、何なのだろうか?

 

 

 

 ▽月▲■日

 

 総合的に判断すると、奴は何ともしてでも下僕にしてみたいと思った。

 地球人離れした強靭な意思ともいうべきか、我々の様な兵器には薄い『執念』が奴の強さの源であるのはとても興味深いし、なにより奴の作る食い物は美味かった。

 

 

「…………」

 

「なんだそれは?」

 

「………………」

 

「見たことが無い食い物だが、美味いのかそれは?」

 

「…………………………」

 

「……。ふん、別に話したくなければ話さんでも良い。

貴様の性格はなんとなくわかってきたからな」

 

 

 偶々奴が鍛練な合間に食ってたものを見てたら空腹感を覚えた。

 どうやら奴が作ったらしい食い物だというのは見てたのでわかってたのだが、この日の私は何故か聞いてみてしまった。

 

 それが何故なのかはわからない。

 単なる興味の一貫なのか……。

 

 ただひとつ言える事は……。

 

 

「! う、美味い……」

 

「………………」

 

 

 あまりに見すぎてしまってたせいで、鬱陶しいとおもったのか、差し出してきたその食い物を口に入れた時の衝撃だけはすさまじかったとだけは記しておこうと思う。

 

 

「これも美味い! なんてことだ、地球の料理がこんなに美味いと感じるなんて……!」

 

「………」

 

 

 お陰でその日以降口にする他の食い物に美味いという感覚をまったく感じなくなってしまったのだから。

 

 

▽月☆◯日

 

 私らしくないミスを犯した。

 

 奴が鍛練を終えて帰るので、横について歩いていたら、奴を知る者と出会したのだ。

 

 

「イッセーさん、その子……誰?」

 

 

 結城リトの妹。

 この小娘は確か奴がまともに会話を成立させる事のできる数少ない者の一人であり、奴と鉢合わせしたした際に私が横に居たのを見て、明らかに声のトーンが下がった。

 

 

「さぁ?」

 

「さぁ? って……どう見てもイッセーさんの後ろを付いて行ってるじゃん?」

 

「突然沸いて出てきたし、話なんてしたことないから本当に知らないんだよ……興味もねーし」

 

「あ、そう……」

 

「………」

 

 

 いや、最悪この小娘だけなら何の問題も無い。

 

 何せこの小娘は私を知らんからな。

 

 問題なのは……。

 

 

「貴女はネメシスっ……!? どうして日之影イッセーと……!!」

 

「チッ、お前か……」

 

 

 奴を探る駒として利用する際に何度か接触し、こちらの正体も敢えて晒していた事で知られてしまっている金色の闇とこのタイミングで鉢合わせしたのはまずかった。

 

 奴は私を見るなり敵意を結城リトの妹を庇いながら剥き出しにしているし……

 

 

「……………あ?」

 

「え、ヤミさん? この子と知り合いなの?」

 

「ええ、最悪な意味でですが……!」

 

 

 コイツはコイツで今やっと私に関心を示したかのようにとぼけた顔をするし……。

 あ、でもこんな顔もするんだなコイツも……と思ってしまったのが妙に悔しい。

 

 

「日之影イッセー! 今すぐ彼女から離れてください! 何故貴方が彼女と共に居るのかは聞きませんが、彼女は危険です!」

 

「おやおや、この前の事をまだ根に持ってるのか? 一応部下に粗品を持たせて詫びを入れたつもりなのだがなぁ?」

 

「あんなもので許すと思いますかっ!!」

 

 

 

「何か凄いことになっちゃってるけど……」

 

「さっぱりわからん」

 

 

 襲い掛かってくる金色の闇なんて呼ばれてる旧世代をあしらう。

 元々コイツにはそれほど興味は無く、あくまでデビルーク王と正面からやりあえた奴の中身を知る為の駒として利用したに過ぎないのだ。

 そしてその用はもうコイツには無いし、覚醒を促す事もしない。

 ………と言った所で怒りに飲まれてるコイツが納得する訳もないかと適当に相手をしつつ、ふと奴の反応を伺ってみた。

 

 

「ヤミさんみたいな能力を使ってるように見えるけど? なんでイッセーさんは一緒に歩いてたの?」

 

「いや、俺も全然知らないし、金色のなんとかさんと同じタイプであるのも今知った………って、怒ってる?」

 

「別にー? イッセーさんって、リトの事言えないんじゃないかなって思っただけだけど?」

 

「怒ってるだろその言い方は……。

家の掃除手伝うから機嫌直してよ……。キミに怒られるとなんか悪い気しかしないし……」

 

 

 奴は地球人の脆弱な小娘一匹相手にご機嫌取りをしていて、こちらにはまったく見向きもしなかった。

 デビルーク王とやりあえる力を持ちながら、何の力も無い小娘一人に、一言たりとも声すら私に発しなかった分際で、心底申し訳なさそうに謝り倒していた。

 

 

「えー? どうしよっかなー?」

 

「よしわかった、なんか好きなものも買ってやろう。

ほら、この前ちょっと欲しがってたキーホルダーとか……」

 

「あはは、別にそこまでしなくても良いよ? ちょっと困った顔のイッセーさん見れただけで満足だし?

 

 

 それを見た瞬間だったか。

 理解できぬ納得のいかなさを感じたのは。

 

 

「っ!?」

 

「今お前と遊んでる暇はない。寝てろ」

 

「ぐっ!?」

 

 

 何だこれは? 本当になんだこれは? 意味がわからん、腹を立ててるのか私は? 誰に? 結城リトの妹にか? それとも全く私に興味を示さない奴――日之影イッセーにか? わからない――情報が足りない。この意味のわからない不愉快さがわからない。

 

 

「こ、の……!」

 

「……。興が削がれた、帰る」

 

「なっ……!」

 

 

 だから私は撤退した。

 ここから撤退すればこの不愉快さが無くなると思ったから。

 

 だが結局この日からずっと、今も不愉快さは無くならなかった。

 

 

 

▽月▲▼日

 

 不愉快さが無くならないまま、奴とも接触しない状態が一週間経った。

 

 日増しに不愉快な気分は増幅するし、苛立ちも凄まじい。

 いっそ誰かを下僕にしてこの不愉快さを取り払えないかと思ったが、全く変わらない。

 

 だから考えた結果、不愉快さの原因は日之影イッセーのせいだと思い、一言文句を言ってやろうと一週間振りに奴が鍛練をしている場所に乗り込んでやった。

 

 すると案の定奴は居たし、一週間振りにこの私自ら出向いてやったというのに、奴は一瞥だけくれただけでなんの反応もなかった。

 

 

「……チッ」

 

「おい貴様、今舌打ちしただろう?」

 

 

 それどころか、私を見たら面倒なガキでも見るような顔で舌打ちまでしてきた。

 気に入らない。だから私は思わず食って掛かった。

 

 しかし奴は……。

 

 

「言っとくが、お前の飯なんか用意してないからな俺は」

 

「は?」

 

 

 自分の食べる食い物が入った箱を守るように抱えながら、私をまるで野良犬でも追っ払う様に言ってきたのだ。

 その時私は思った。『コイツは私が接触をしてきた理由が飯をたかりに来ただけ』だと思っていたということに。

 なので私は聞いてみた。

 

 

「……。金色の闇――つまり旧世代から聞いてないのか? 私の正体を」

 

「あー、なんか横でベラベラと勝手に喋ってたな。自分と同じ変身能力を持つとかどうとかって。

それがなんなの? 飯はやんねーぞ」

 

 

 やはりというか、どうやら奴にとって私の正体なんて最初からどうでも良かったらしい。

 いや、どうでも良いと思う程度の脅威にしか見られてないというべきか。

 

 ……それを聞いた私は、ここ一週間取れなかった不愉快さが消え、完全に馬鹿馬鹿しくなってきた。

 

 

「この一週間、私は意味がわからんほど不愉快な気分だった。

これについてどう詫びをするつもりだお前は?」

 

「知らねーな? 勝手に現れて勝手についてきたのかオメーだろうが。

こっちは気持ち悪くなるし、胃に穴は空きまくるで最悪だったんだ。

寧ろオメーが居ない一週間が天国だったぜ」

 

 

 鼻で小馬鹿にするような顔をする日之影イッセー

 餓鬼かコイツはと思った私は正しいと思う。

 だから隙を見て奴の持ってた食い物を強奪して目の前で食ってやった。

 

 

「光栄に思えよ。この飯は私が食ってやる」

 

「テメーはどこぞの魚咥えたどら猫かっ!?返せゴラァ!!」

 

 

 その時の日之影イッセーの表情を見れただけでも私はスッキリした。

 もっとも、一口食ったその瞬間、飛び掛かられて組伏せられてしまったが……。

 

 チッ、やはりパワーは化け物だなコイツめ。

 

 

「しかし、貴様の作る飯はなんなんだ? 食ってしまってから、他の食い物が不味く感じてしまったぞ」

 

「知らねーし、何を言おうがやらねーぞ」

 

「どら猫と私を評したが、お前は誰にでも吠える狂犬だなまるで……」

 

「ふん……!」

 

 

 …………。あ、そういえば会話が成立してるだと?

 記録している最中――つまり今気付いたが、会話が成立していたぞ確かに。

 これは一体どういう事なのだろうか……?

 

 

「おかしくないですか日之影先輩!? この人私のマスターなんですよ!? なのにどうして会話が成立できてるんですかっ!?」

 

「……。これはお前の眷属なのか?」

 

「眷属というか部下だな」

 

「……。だから無駄に鬱陶しかった訳か」

 

「そういう事だ。

それで話は変わるが、私の下僕にならんか? お前なら働きに応じて褒美をくれてやるぞ? 例えば踏んでやったりとかな?」

 

「罰ゲームだろそりゃあ」

 

 

 まあ良いか。

 最近妙に楽しいと思えるし。

 

 

 

 

 

「私の大事な息子を下僕……ですか。

ふふふ♪ やってみなさいな? ―――このヴェネラナ・グレモリーを前にしてやれるものならね?」

 

「っ……」

 

「こ、怖……!? ね、ネメちゃん、この人怖いよ……!」

 

 

 

「本気になったババァは瞬間風速で俺達を越えるからな。

間違っても下手な真似はするな……そうなりゃ俺もテメー等を殺す事になる」

 

「肝には命じておくが、お前達は本当に何者だ? あのヴェネラナ・グレモリーもただの地球人ではないだろう……?」

 

「間違いなく『地球人』だ。……間違いなくな」

 

 

 

 

「うっ!? こ、これがイッセーさんとヴェネラナさんの元の世界の家族の人達……?」

 

「美男美女だらけですわ……。むっ、この無理矢理写り込もうとしてイッセーさんに抱き着こうとしているのが例のレイヴェル・フェニックスですわね……!」

 

「貧乳眼鏡だなんて日之影君は呼んでいたけど、このソーナって人もかなり綺麗だわ……」

 

「それでこれがその姉のセラフォルーさんで、この赤髪の方がヴェネラナさんの実娘のリアスさん……」

 

「なるほどな、こういった者達に囲まれて育てば並の女では顔色ひとつ変わらん訳だ……」

 

 

 

 

 

「なんで写真があんだよ?」

 

「ここに迷い込んでいた時にアナタが持っていた携帯のフォルダーに保管してあったのを思い出して現像したのよ」

 

「本当にこんな環境で育ってたのねアナタは? 無反応なのも頷けるわ……」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

こうはならない予告・終了

 

 

 

 

 




補足

天条院先輩もまあ負けん気が強いですからね。

ちょっとやそっとじゃ引き下がらんよ。


その2
最近そんな調子の執事を見てて面白くない気分の美柑たそ
モモたそは今の所……まあ嵌まる人は嵌まるタイプだしと余裕を貫いてはいます。


その3
嘘なんで気にするな。

可哀想なことに、ヤミたそーよりネメちんの方が会話成立を可能にしてしまったという。

メアさんは逆に八つ裂きにされちゃいましたけど。

主に調子こいてサイコダイブ噛ましてガチギレさせちゃったという意味で。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。