色々なIF集   作:超人類DX

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本当の意味で冗談ですこれは。

マジであとで消します。


※即消しネタ

 少女にとって、彼という存在は自分がこの世に生を受けたその日から絶対的な存在だ。

 

 父を越える事を信条とし、誰よりも命がけの鍛練を続けるその背中も。

 嫌々な顔をしながら燕尾服に袖を通し、母と祖母によって培われた使用人としてのスキルを発揮していく無言の姿も。

 

 その生まれが理由で、他人を信用せず、また余程の事が無ければ喋ろうともしない――そんな人間の青年を、魔王の子である少女はどこまでも敬愛した。

 

 父に負けて独り塞ぎ込む姿も。

 敵を破壊するその冷酷さも。

 そして子供である自分に示す不器用な優しさも。

 

 青年の示す全てが少女にとっての宝物であり、いつの日か、敬愛は間違いない愛情へと変質し、その愛情はやがて青年を独占したいという気持ちへと発展していく。

 

 青年の生き方に惹かれているのが自分一人ならばこうは思わなかった。

 けれど、青年に牽かれていく者は決して少なくはなかった。

 しかも青年にとってはただの子供でしかない自分とは違い、他の者達は青年と歳が近い者ばかり。

 

 だから少女は彼女等に負けじと奮起し続けた。

 

 誰よりも青年の生き方を真似。

 誰よりも青年の傍に居ようと努めてきた。

 

 青年以外の他人は押し並べて平等に『どうでも良い』と真面目な顔をしながら言い放てるほどに……。

 

 

 青年の本来辿る筈の道がある者達によって外された事で生じた繋がり。

 本来は男児として生を受けていた筈の少女の名は――ミリキャスといった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある世界のミリキャス・グレモリーが女児として生を受けたと同じく、ある世界の誰かが男児ではなく女児として存在していた。

 

 その男児である筈であった女児は、年の離れた姉以外に家族が居なかった。

 

 最初こそ何故自分には他の子達のように父と母が居ないのかと疑問で、よく姉を困らせた事もあった。

 けれど結局は姉や姉の友人や幼馴染みとの巡り合わせがある限り少女は心を真っ直ぐに育つことが出来た。

 

 何よりも、少女は出会ってしまったのだ。

 

 

 不思議な雰囲気を持つ、自分や幼馴染みと同い年の赤髪の少女。

 

 そして―――そんな少女が『兄さま』と呼んで常に引っ付く―――姉や幼馴染みの姉と年の近い、無口な青年と……。

 

 偶々公園で出会った外国人の少女と仲良くなり、その流れで知り合った――日本人なのに少女に兄と呼ばれている青年。

 気難しく、殆ど喋らず、姉と幼馴染みの友人と向かい合った時なんか、顔を真っ青にしながら血を吐いて大騒ぎになった変な人……。

 

 

 それでいて―――

 

 

『………………』

 

『え、ど、どうして一誠さんとミリキャスが……?』

 

『キミのお姉ちゃん――うん、千冬さんの代わりに僕と兄さまが助けに来たんだよ』

 

『た、助けに……? で、でも――』

 

『大丈夫だよイチカ……。ほら、見ててご覧? 僕の兄さまは――とっても強いんだ!』

 

 

 とても強い。

 姉が世界最強と呼ばれる前日談。

 その妹である事が恐らく理由で、誘拐された少女は姉に頼まれて助けに来たと言う親友の少女と――何時まで経ってもやっぱり気難しい顔ばっかりで成長するにつれてちょっとずつ苦手に思い始めていた青年の真実を知った日。

 武装した誘拐犯達を音も無く、素早く――そしてちょっとエグめに粉砕していく青年――一誠の見たこともない姿を初めて見た日。

 

 

『終わったぞ』

 

『あはは、やっぱりこんな連中じゃあ一誠兄さまの準備運動にもならなかったみたいだね? 取り敢えずイチカも無事みたいだし、早く千冬お姉さんを安心させてあげようよ?』

 

『………お前が連絡しておいてくれミリキャス』

 

 

 人の何かを突き詰め過ぎて、人を辞めてしまったという例。

 返り血すら浴びること無く君臨するその姿。

 

 そして――

 

 

『………。怪我は無いか?』

 

『え……あ、は、はい……』

 

『……………。そうか、立てるか?』

 

『え、えっと……足に力が入らなくて。ご、ごめんなさい……』

 

『…………………』

 

『ぁ……』

 

 

 恐怖で立てない自分を、何を言うでもなく抱えてくれたその時から少女は思った。

 

 

『あ、あの……』

 

『………』

 

 

 ミリキャスが敬愛――というには少々行き過ぎているほどに懐いている理由がわかったと。 

 少女の名は一夏といった……。

 

 

 

 そして月日はもう少しだけ流れ―――

 

 

 

 少女達は大人へと変わっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 最悪の事故からもう6年近く経ってしまったと、日之影一誠は誰にたいしても無愛想な態度とは裏腹に、内心ではかなり焦っていた。

 

 

「クソが……」

 

 

 自分一人だけならここまで焦る――いや、それでもそれなりには焦るが、苛立つ事も無かった。

 何故なら子供だったミリキャスが既に当時のリアス達と変わらぬ年齢にまで成長してしまっているのだ。

 

 つまり6年もミリキャスは親元から離されてしまっているに他ならない訳であり、一誠としては一刻も早くミリキャスを悪魔の家族達のもとへと返してやりたいのだ。

 

 ……まあ、そのミリキャス本人が『え、別に兄さまと一緒だから全然寂しくないけど?』と、びっくりするほどあっけらかんと宣うし、明らかに別世界であるこの世界で、元の世界では一人たりとも存在しなかったミリキャスにとっての同年代の友人も作ってしまっているので、一誠の焦りはそこまで必要の無いものだったりするのだが……。

 

 しかしこの世界の存在ではない以上、存在してはならないという強迫観念のようなものを抱いている一誠としては何としてでも元の時代に戻らなければならない。

 ミリキャスを親元に返すのもそうだが、何よりも結局は一度もまだ勝てなかったミリキャスの父との決着をつけなければならないのだから。

 

 

「………………」

 

 

 そんな日之影一誠はこの世界においてはミリキャスの保護者として六年間生きていた。

 コネも無ければ、本来の彼ならばありえぬ程に極まったコミュ障が災いし、当初は今日食べる食料の調達やら生活資金を集めるのにすら苦労した。

 

 そんなコミュ障執事が今ではそこそこに立派な一軒家を持ち家としてもって、そこにミリキャスと元の時代へと帰る為に暮らしているのだから、それこそ胃に穴が空く程の苦労をそれなりにしてきた訳で。

 

 ミリキャスが知り合って、今では仲も良くなった人間の友人の姉から『在宅ワーク』と、金にはなるが人には言えないお仕事を回して貰ったのが何よりも大きいだろう。

 

 つまり、グレモリー家やシトリー家程の生活水準は無理にしても、一般階級レベルの生活を遅れている日之影一誠は、ミリキャスの母であるグレイフィアとミリキャスの祖母であるババァことヴェネラナによって幼少期から無理矢理叩き込まれた使用人スキルによって、無駄に水準の高い家事をしている。

 

 

「…………」

 

 

 元は人間である自分とは違い、生粋のエリート悪魔の生まれであるミリキャスも特に躓くこともなく人下愉快の生活に順応していて、その証拠に洗濯物をベランダから取り込み終えたと同時のタイミングで玄関からミリキャスの帰宅の声が聞こえる。

 

 

「…………………」

 

 

 まさかミリキャスがリアス達と同じように――別世界だが人間界の学校に通うことになるとは……。

 と、微妙に良いのか悪いのかよくわからない気分で取り込んだ洗濯物を選択篭に入れ、家の階段を降りてリビングに入ると、手荒いうがいを終わらせてリビングで寛いでいたミリキャスとミリキャスが連れてきた――一応見慣れた友人がそこには居た。

 

 

「兄さま! ただいま!」

 

「ああ」

 

「洗濯物を取り込んでたんだね? 僕も畳むの手伝うよ!」

 

 

 腰くらいの背丈だったのが、今では胸元辺りの背丈に成長した赤髪のショートヘアーの美少女に、それが当たり前だと云わんばかりに飛び付かれても仏頂面を崩さない一誠。

 

 

「あ、こ、こんにちわ。お邪魔してます」

 

「…………ん」

 

 

 そんなやり取りを見ている黒髪の少女と――名を一夏と目が合い、さっと目を逸らされてしまうのも何時も通りである。

 こうして別に自分一人でやるつもりだった洗濯物畳みを、一夏にも手伝って貰う形で三人で始めながら、今日学校であったこと等をミリキャスから聞く。

 

 

「それでね兄さま、今日イチカがクラスの男子に告白されたんだよ?」

 

「や、やめろよミリキャス!」

 

「ふーん……?」

 

 

 実に他愛の無い会話で、今日はどうやら一夏がクラスメートの男子に告白されたらしい。

 反応からして一夏的には聞かれたくはなかったらしく、一誠に挨拶した時とは正反対の、男勝りな口調でミリキャスの口を塞ごうとしている。

 

 

「良いじゃん別に。だって断ったんでしょ?」

 

「お、おう……。そりゃあな……」

 

「………」

 

 

 せっせと洗濯物を畳む一誠をチラチラ見ながら一夏はミリキャスの質問に気恥ずかしそうに頷く。

 

 

「そ、そういうのよくわかんないし、よく知らない相手にいきなり好きだとか言われてもよ……」

 

「確かに」

 

「入学した頃はミリキャスが死ぬほど告白されてたけど、ミリキャスも同じような理由で断ったんだろ?」

 

「いや、僕は普通に一誠兄さま以外の男なんてそこら辺に生えてる苔にも劣る何かだとしか思ってないだけだけど?」

 

「お、オレより――あ、じゃなくてわたしより酷いな!?」

 

「………」

 

 

 そういやリアス達のこのくらいの年からはこんな話もしていたっけか……。

 と、惚れた腫れたをそもそもウザがる一誠は、子供だったミリキャスが着実に大人へとなっていく姿に保護者目線で感慨深いものを感じる。

 

 それに加えて、口調が男っぽいまま成長していった一夏が一人称を訂正しようとする程度には大人になり始めてるのか……と、これまた保護者目線な気分で、次の洗濯物を畳もうと手を伸ばし――

 

 

「? おいミリキャス。

お前、こんな下着持ってたか?」

 

 

 女性物の下着に違和感を感じ、普通にミリキャスに訊ねる。

 成長するつれて妙に背伸びばっかしていたリアスやソーナと違い、ミリキャスの場合は実に無理をしていない年相応のものである――と知っているだけに、偶々手にしたこの下着は妙に違和感だった。

 

 

「あ!! そ、それはオレの……じゃなくてわたしのですっ!」

 

「は?」

 

「ああ、この前ウチに泊まるって時に買ってきた奴だね」

 

 

 どうやら一夏のだったらしく、真っ赤な顔をしながら一誠の手からひったくると、恥ずかしそうに俯いてしまった。

 なるほど、野郎に下着の洗濯をされたことに恥ずかしがる程度には成長したのか――と、真逆なまでにズボラな一夏の姉とは正反対だと驚く。

 

 

「あ、あの! べ、別に普段からこういうタイプじゃないですからっ! た、偶々他にはなかったから適当に買っただけで――」

 

「………おう」

 

「う、うう……!」

 

 

 何だか新鮮だな……と、一誠はある意味女を辞めてるとしか思えないレベルで色々とオープンな女性達に囲まれて育った故か、一夏の反応に新鮮さを感じつつ、再び洗濯物を畳む。

 

 ブツブツと一夏が『は、はしたない奴って思われた……絶対に思われた』と言ってるのは聞こえないフリをしてあげながら……。

 そんな訳で洗濯物も無事に畳み、夕飯の時間になったので、泊まるらしい一夏の分までの夕飯の支度をしていると、家のインターホンが鳴る。

 

 

「悪い、ちょっと手が離せないから出てくれないかミリキャス?」

 

「うん」

 

 

 ちょうど食事の仕上げを仕込んでいる最中だったので、ミリキャスに出て貰う様に頼み、それに応じたミリキャスが玄関へと向かう。

 

 

「……わぁ」

 

「…………」

 

 

 一夏が目をキラキラさせながら一誠が調理している姿を眺めていたりする中、仕上げを済ませると、手早く料理をテーブルに運んでいると、ミリキャスがリビングに戻ってくる。

 

 

「お邪魔します先輩」

 

 

 一夏によく似たスーツを着た女性と共に。

 

 

「ち、千冬姉?」

 

 

 よく似ている通り、彼女は一夏の姉である織斑千冬だ。

 学年換算をすれば一応ひとつ年上である一誠をいつの日からか先輩と呼び、一夏共々家に高頻度で転がり込んでくる者の一人だ。

 

 

「高校入学について話しておくことがあると朝言ったのに、何時まで経ってもお前が帰って来ないからここに居るのではと思ってな」

 

「あ、そ、そういえばそうだったかも……ご、ごめん千冬姉」

 

「まったく……。申し訳ありません先輩」

 

「………別に」

 

 

 まっすぐ家に帰る予定だったのを忘れていたらしい一夏の頭を軽く叩きながら一誠に頭を下げる千冬。

 こう見ればよく出来た姉に見えるのかもしれないが、生憎一誠は一夏よりも遥かに千冬の方が生活態度がだらしないことを知っている。

 

 現にちゃっかりと夕飯の席に入り込んで、ちゃっかり食べ始めてる辺り、図々しさでいった元の世界の女性陣にも負けてないレベルだ。

 

 

「美味い。やはり先輩の食事が一番ですね! ははは!」

 

「ちょ、ち、千冬姉……!」

 

「年々厚かましさだけがパワーアップしてるよね、この人……」

 

「はぁ……」

 

 

 ミリキャスですら呆れる程の図々しさの千冬に、嫌な意味で慣れてしまっている一誠は小さくため息を吐くだけだった。

 何せ、千冬の他にも同等レベルで厚かましいに加えて、そこはかとなくミリキャスの父であるサーゼクスと同等の地位に居る女魔王に似ている者もいるのだから。

 

 

「それで千冬さん? 一夏に話す事ってなんですか?」

 

「ん? おっと、あまりにも先輩の食事が美味すぎて忘れる所だった」

 

「………………」

 

「ふっ、そんな私を今日も先輩は蔑んだ目で見てくれるなんて……ふふふっ♪」

 

「や、やめろよ千冬姉! 出禁にされたらどうするんだよ!」

 

 

 しかも困った事に、その女魔王にそこはかとなく似た千冬の友人に軽く影響されてしまったせいで、千冬も千冬で素がおかしな事になってしまっている始末。

 それを知っているからこそ、一夏の方が結構しっかりしていると一誠は思う訳で……。

 

 

「話というのはだな一夏よ。これから入学するIS学園についての話なんだ」

 

「は、はあ……」

 

「ミリキャスも入学が決まっているIS学園はこの前話した通り全寮制なのは知っているだろう?」

 

「まあ……」

 

 

 妹達が今度入学する高校について話す千冬の目は何故か急に真剣なものになったので、ふざけてないで聞こうとする一夏とミリキャス。

 一誠は知らん顔で黙々と食べている。

 

 

「つまり、休日以外は家には戻れない。それはつまり自動的に先輩とも週一しか会えなくなる訳だ―――これは非常事態だと思わないか?」

 

「た、確かに!? ど、ど、どうしよう千冬姉!?」

 

「僕は別に転移すれば一瞬でここに戻れるから関係ないと思ってますけど……」

 

「だが放課後という限られた時間でしか先輩の傍には居られないのはお前とて不本意だろうミリキャス?」

 

「ま……まあ」

 

 

 意味がわからない会話しやがって……と、やはり知らん顔で黙々と食べている一誠を尻目に、深刻そうな顔を三人揃ってしながら話し合っている。

 

 

「それで私は考えた。

私も学園の教師である以上はどう頑張ってもお前達と同じく週一回しか先輩と遊べない。

じゃあ今頃好き勝手に放浪しまくりな束だけが私たちと居ない間に先輩の所に居座る―――これが許されると思うか?」

 

「「有罪(ギルティ)」」

 

「私も同じ事を思っている。

だから私は考えた―――考えた結果、今年になって学園内である要職をする人材が不足している事に気づいた。

だから私はそれを盾に学園長に掛け合った結果―――

 

 

 

 

 

 

――――――上手く採用されたら先輩と学園内で毎日会える事が可能になる」

 

 

 そして何か勝手に余計な事をこのバカな後輩がやらかしてくれたのだけは理解できた。

 

 

「おい」

 

「な、なんだって!? それは本当か千冬姉!?」

 

「ああ、ちょうど用務員の数が足りないと聞いてな。一応先輩の写真つきの履歴書代筆して学園長に見せたら、是非面接がしたいと――」

 

「おい!!! て、テメェ何を勝手な事をしてくれやがったんだボケがッ!!!」

 

 

 そして想定していた以上にこの大馬鹿な後輩がやらかしまくっていると聞いた一誠は、それまでのクールさが嘘みたいに千冬に怒鳴り散らす。

 

 

「え、でも先輩は束から振られた仕事をしているだけで基本的に暇ですよね?」

 

「な、なにを『私って良いことしたでしょう?』みてーな面してほざいてんだコラァ……!!」

 

「いたたたたた!? か、顔が変形するぅ!?」

 

 

 そしてそのまま千冬の顔を片手で掴んで締め上げる。

 出会う女の殆どが個性的通り越した何かばかりのせいで、一誠は基本的に振り回されてばかりだ。

 

 

「兄さま、僕、面接して欲しいな……?」

 

「冗談じゃねぇ。確かその学校は男は存在しねーんだろう!? 絶対に嫌だ!!」

 

「だ、大丈夫ですよ先輩。基本的に生徒達にはみられない仕事ばかり―――痛い痛い痛い痛い!?」

 

「そういう問題じゃねぇんだよォ……!」

 

「ち、千冬姉の頭がミシミシと聞こえちゃいけない音が聞こえてる……」

 

 

 ミリキャス的にはメリットだらけの話で、既に千冬の肩を持ってしまっているが、一誠は今度ばかりは絶対に拒否する姿勢だ。

 

 まあ……基本的に個性的な女性ばっかりとしか縁がない日之影一誠が、その最強筆頭筋のグレイフィア、ヴェネラナ、セラフォルーといった面子達に徒党を組まれた時の恐ろしさを知っているせいで――おされきってしまうのは仕方ない話なのかもしれない。

 

 なんなら、男性でISを起動したって事にして入学す)ば良いんじゃね? と束まで言い出したせいで、余計味方が居なくなってしまうのは云うまでもなかった。

 

 

 

 こうして日之影一誠は、生徒だけは拒否して用務員としてさりげなく学園で仕事をすることになってしまった。

 

 

「諸君、私が織斑千冬だ」

 

『キャー! 本物の千冬さまよー!』

 

「わー、すげー声援……」

 

「一誠兄さまにアイアンクローされて悦んでる人と言っても信じて貰えそうもないね」

 

 

 本質を知っている妹と友人は微妙な顔だったり。

 

 

「えっと、織斑一夏です。

ISに関しては殆ど今年から勉強するので、頑張ります……」

 

「ミリキャス・グレモリーです。好きな人は一誠兄さまと友達で、それ以外の生物は別にどうでも良いです」

 

『…………』

 

 

 ミリキャスがその容姿もあって目立ちまくったり。

 

 

(な! あんな赤髪の女の子、原作にいたか!? しかも一夏がTSって……!)

 

 

 世界で最初の云々かんぬんで入学してきた男子がギョッとしても特に関係ないし。

 

 

 

「し、師匠がここで働いているだと!?」

 

「しっ! 驚くのはわかるけど、あんまり大きな声は出しちゃ駄目だぜ箒?」

 

「兄さまにかなり無理言ってやっと来てくれたからね」

 

「あ、ああわかった……」

 

 

 リアスにまんま声が似てる幼馴染み少女にも驚かれ……。

 

 

 

「決闘ですわ!」

 

「良いぜ、四の五の~」

 

 

 なんか決闘騒ぎしてるのもスルーし。

 

 

「…………………」

 

「ほ、本当に師匠だ! し、しかし相当嫌だったのでは……?」

 

「………本当、リアスに声が似てるのに中身が違うよなキミは。

今ある意味ホッとしてるよ」

 

「は、はあ……」

 

 

 律儀に働く師と再会する幼馴染みだったり。

 

 

「ぐ、グレイフィア!? ……………あ、違う」

 

「へ? 私? と、というか誰ですか!?」

 

 

 頭上がりません悪魔の一人の声にめっちゃ似てる少女と偶々出会してギョッとしたり。

 

 

「ほ、本当にお母さんの声にそっくり……」

 

「だよな? 箒はリアスに似てるし……なんなんだホント」

 

「あ、あの……何で録音機なんて持ってるんでしょうか?」

 

 

 信じられない事に、その少女に一誠の方から結構絡むようになったり……。

 

 

「へぇ、用務員さん……。てっきり密かに発覚した二番目の起動者かなにかかと」

 

「まあ、色々あって……」

 

「この事はオフレコだぞ? バレて注目されたら先輩の胃がオカリナみたいな事に―――いたたたたたっ!?」

 

「誰のせいでこうなったと思ってんだこのポンコツ女がァ……!」

 

「痛い痛い!? 痛いけど……な、何だか嬉しい……!」

 

「…………お、織斑先生って」

 

 

 ほのぼの学園日和だったり。

 

 

 

「よ、よお、織斑さん、実は話が――」

 

「え……あー、ごめん、ちょっと用事が……」

 

 

 と思ったら一夏がストーカーされ始めたり。

 

 

「ず、ずっと見てくるんですけど……こ、怖くて……」

 

「変な男に好かれやすいよね一夏って……」

 

「や、やめろよ! ほ、本当に怖いんだぞ!?」

 

「………………」

 

 

 その夜、一夏にストーカー気味に接触してきた男性起動者が『謎の事故』で全身の骨が砕かれた状態で発見され、強制的に研究施設行きになったり。

 

 

「先輩がやったんですか? 一夏に迫ってたあの男子を……」

 

「あの子が本気で怖がってたからだが―――まずかったか?」

 

「いえ、私も気になっていましたし、続くようなら私と束で同じような事をしていたつもりですので……」

 

 

 何だかんだと律儀に妹を守ってくれる先輩に好感をもってる後輩だったり。

 

 

「問題はミリキャスが認めるかそうでないかですからね……!」

 

「は?」

 

「一夏はそういう意味では認められています。本当に羨ましい」

 

「???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー! ひっさしぶりだぜ いーちゃん☆」

 

「うざい……」

 

「あれあれ? 照れてる? まあしょーがないよね、天才で発育も天才的な束さんはまたおっぱいが成長したからね! 悪魔連中にも勝てるぜ!☆」

 

「…………………」

 

 

 そこはかとなく魔王少女っぽい天災とかに突撃される辺り、環境だけは微妙に似ている執事はため息ばかりであった。

 

 

「………自分の部屋で寝ろや!? ここは宿泊施設じゃねーんだよっ!!」

 

「だって兄さまと寝たいんだもん……」

 

「だ、だってミリキャスに誘われたから……」

 

「大事な妹が姉として心配なので」

 

「私は弟子ですから……!」

 

「赤信号……皆でわたれば怖くない精神だぜいーちゃん♪」

 

「え、えーっと……とくだねの気配がしたから?」

 

「………………………」

 

 

 執事休業中一誠の明日はどこへ……。

 

 

 

以上・封印




補足

執事なのでミリキャスたんなのです。

成長して絶賛祖母や母や叔母のような戦闘力を胸に…………………………………でも無いらしい実は。


その2
なんか聞いたことある設定で一夏ちゃまになる。

こっちもやはり戦闘力は少な目らしいのと、基本的に口調が男勝りだが、執事の前だと借りてきた猫よろしくになる模様。


その3
後輩達はめでたくポンコツらしい。

ポンコツ過ぎて別の意味で振り回されてしまう模様。







これはマジで続かない。



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