色々なIF集   作:超人類DX

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これも一発ネタです。

ベースはベリーハードです。


ベリーハード……?

 多くは望まない。

 ただ欲しいのは『自由』だけ。

 

 生きる自由が欲しい。

 

 選ぶ自由が欲しい。

 

 代理品ではなく、個としての自由が欲しい。

 

 

 だけど、私にはその力が無かった。

 

 いや、ある事に気付かなかったというべきだったのかもしれない。

 

 だって、彼と出会い、教えてくれた事で私はやっと『私』になることが出来たのだから。

 

 

 

 

 

 復讐を果たした少年が居た。

 

 過去へのケジメを付け、未来へと進む為への試練を乗り越えた少年。

 そんな少年が知った現実は、眩暈すら覚える非情な現実であった。

 

 少年は復讐によって――そして現実を知った事で燃えカスのように残る意思を燻らせながら、その日を唯一心を許せる龍と共に怠惰に過ごした。

 結局目的を果たしたところで、それが単なる氷山の一角でしかなく、同じような存在は数多く存在しているという現実だけが虚しさを少年に与えたのだ。

 

 故にただ怠惰に、死ぬまで無意味に生きる事を選んだ。

 

 しかし、そんな燃えカスのような怠惰な人生は終わりを迎えた。

 

 

 

 自分の人生全てをかけても守り通したいと決意させる程の少女との出会いによって……。

 

 

 

 

 

 悪魔であるリアス・グレモリーのこれまでの人生はといえば、決して良いものではなかった。

 

 常に周囲の顔色を伺いながら、植物のような静けさを強要させられる生活。

 『双子の姉』のスペアとして生かされているだけの存在。

 

 そこにリアス自身の自由は存在しない。

 

 誰も自分をリアスとしては見てくれない。

 

 誰もが双子の姉を称え、自分はどれだけの努力をして結果を示そうとも、誰も見てくれもしない。

 

 

 そんな苦痛な人生を終わらせたくなる事は何度もあった。

 だが、口にこそ出さないものの、落ちこぼれとして見下す双子の姉のスペアとして自分の命の自由すら奪い取られていたリアスにはそれすらも許されなかった。

 

 何の戯れか、人間界の学校に双子の姉とその眷属共々通わされても、持て囃される双子の姉とは反対に、リアスは極力目立たない為に地味な格好をする。

 

 だが、そんな擦りきれそうな毎日をただ漠然と、生かされる様な形で生きていたリアスは出会う。

 同じように、世界に絶望した目を――何かを諦めてしまった目をした龍を宿す少年と。

 

 しかも驚くべきことに、人間達が挙って双子の姉やら眷属達を称えるというのに、彼だけは彼女達には目もくれず、親切にしてくれる。

 

 それまで死んだ目だったのが嘘みたいに。

 

 

 誰かに親切にして貰った事自体が久しく無かったリアスは、勿論始めは警戒した。

 一体何が目的で自分のような者に親切にするのか。

 

 ひょっとしてこの学園のほとんどの生徒みたいに、一応は肉親である自分に親切にして双子の姉に近づこうとしているのではないのかとか……。

 

 だが少年の答えは酷く単純で――

 

 

『えっと……そ、それはその………。

ひ、一目惚れしたんだよ……うん……』

 

 

 酷く純粋だった。

 

 

 そして、燃えカスじみた人生だった少年――一誠が初めてリアスの事を知り、そして見た時は衝撃的だった。

 双子の姉とやからがあんなに無駄にきらびやかなオーラを放ってるのに、その妹であるリアスはどこまでも卑屈だったからだ。

 

 その卑屈な精神は格好にすら顕れており、今時ギャグ漫画にも無さそうな、牛乳瓶の底みたいなぐるぐる巻きのレンズの眼鏡に、ボサボサと手入れをしちゃいない赤い頭髪。

 

 まさに正反対の出で立ちであったが、一誠にとって格好や容姿はどうでも良かった。

 

 似ている――自分に。

 

 それがリアスへの第一印象であったのだ。

 

 現実を知ってしまい、絶望してしまったあの目はまさに今の自分と同じ。

 

 だから興味を抱き、暫くコソコソと他の連中がリアスの姉だか何だかに騒いでる裏で誰からも注目されないリアスを観察し続けた。

 

 それはもう、プチストーカーみたいに。

 

 そして気付く。

 あ、多分自分は彼女に一目惚れしたのだと。

 

 

 それこそ最初は単なる興味本意だったのだが、見ている内に段々とリアスそのものが気になって仕方なくなってしまったのだ。

 そんな一誠の判断を相棒のドライグはといえば『まあ、悪くは無いんじゃないか? あの小娘の双子の姉等よりはな』と言ってくれたので、取り敢えず一誠は孤独に校舎裏でご飯を食べていたリアスに初めて話しかけた。

 

 結果はといえば―――すさまじく警戒された。

 

 どうもリアスはあまりにも卑屈になりすぎて、自分に対する好意をかなり疑うようになってしまっていたらしい。

 

 だから一誠はかなり――それこそ復讐に燃えてギラギラとしていた時代並に精力的にリアスへのアプローチを続けた。

 勘というべきか、どうにもリアスの双子の姉は地雷な気がしてならなかったので、当初から彼女やその取り巻きには何の興味も持たなかった一誠にしてはかなり必死だった。

 

 それほどまでに一誠にとってリアスという悪魔の少女は衝撃的な人物だったのだ。

 

 そんなこんなで警戒を解くまで半年を費やした訳だが、その半年の間にリアスの双子の姉から話し掛けられたりもしたが、余裕のスルーをしたままリアスに根気強くアプローチをした結果、リアスの警戒を解くことになんとか成功した。

 

 まあ、どうしてそこまでというリアスに対して本音をついぶちまけたら、暫く互いに気まずかったりもしたけど。

 そしてそれから更に半年後……。

 

 誰にも知らない才能を燻らせていたリアスは、一誠という先んじて開花させていた者との親身な高め合いにより、その気質を覚醒させていくことになる。

 

 

 自由を掴み取る為の才能を。

 

 

 

 

 

 お察しの通り、彼女は転生者であった。

 ただの人間が不慮の事故とかそんなありきたりな理由で死んで、神を自称を何かに力とか何かを与えられてリアス・グレモリーの双子の姉であるメリーナという名で転生したそんな存在である。

 

 前世が理由で今を自由に生きるとか、好きにやるとか――まあ、おおよそありがちな理由で自由にやり続けた結果、リアスが卑屈になって眷属を誰も持たなくなってしまった訳だが、この転生者にはそこについて思うことは無い。

 

 リアスがこんな事になってしまったのなら、自分がリアスに成り代われば良いと、本来ならばリアスが出会う眷属達をお得意の知識とやらを駆使して自身の眷属にしていく程度には図々しい性格なのだ。

 

 だが、彼女がそんな行動を取った理由はひとつ。

 

 所謂原作主人公である赤龍帝の青年を自身の兵士として手に入れるのが目的だった。

 

 どうやらこの転生者はその赤龍帝――つまり一誠にまだ会った事は無いにせよ前世から好意を抱いていたらしく、リアスの成り代わりの真似事をしたのも、全ては一誠を手に入れる事であった。

 

 だからこそ、転生者……メリーナ・グレモリーはショックだったのだ。

 美少女が大好きで、ハーレム王になると宣う筈の彼が……自分の容姿の手入れすら放棄し始めたリアスと仲良さげに旧校舎裏で会っているのを見てしまった時は。

 

 おおよそ今のリアスでは一誠は反応としないというのに、何故か楽しげに……。

 

 

 無論、当初はリアスも警戒していたが、あの一誠の性格では時間の問題だと焦った彼女は、一誠が独りで居るところを見計らって何度も声を掛けた。

 

 

『ああ、勿論知ってますよ毎日キャーキャー言われてる人ですもん。

リアスちゃんのお姉さんでしょ? そんな人が俺に何の用っすか?』

 

 

 だが一誠の反応は自分の想像していた反応とは正反対の――どこまでも無関心の目であった。

 一誠がこんな目をする事にも驚いたが、何よりも本当に自分達に対して何の興味も抱いていない事がショックだった。

 

 では何故リアスには……しかも、原作よりも相当に落ちぶれているリアスには自分もよく知る兵藤一誠の顔になるのかがわからなかったし、それまで見て見ぬフリをしていた転生者はここで初めてリアスの存在に嫉妬をした。

 

 当然然り気無くながらも彼女は一誠に対してアプローチをした。

 それこそ、一誠の性格を考えた上でのやり方も試した。

 

 けれど一誠はそれを悉く拒絶したばかりか……。

 

 

『あの、あの子のお姉さんだから大目にと思ってたんだけどさ―――いい加減うぜーよテメー?』

 

 

 見たこともない強烈な圧力と、そこら辺の塵でも見るような無機質な目と共に、徹底的な拒絶の言葉をぶつけられてしまった。

 

 そのあまりの返答に転生者の女は放心してしまった。

 

 完全に拒否られた事へのショック。

 それ以上に、一誠に嫌われた現実に……。

 

 何故なら転生者は知らないのだ。

 

 彼が――兵藤一誠が既にメリーナ・グレモリーのような存在と相対し、親を奪われた復讐を果たした事を。

 

 その復讐の為に死んだ方がマシに思える程の修羅場を生き続けてきた事を。

 何より、一誠の中に宿る龍がメリーナ・グレモリーを『地雷だなあの雌は』と――見抜いてしまっている事を。

 

 何より、落ちぶれたリアスが一誠との出会いにより、その在り方を変えていることを。

 

 

 これは少しだけ時期と状況によって出会えたリアス・グレモリーの『自由』への戦い。

 

 

 

 

「あははっ!

ほらやっぱりだよリアスちゃん! キミは俺と同じだ!」

 

「これが……」

 

 

 全てを終わらせ、燃え尽きた一誠を再び立ち上がらせ。

 

 

「眷属か。いいぜ、もう少ししたらきっとリアスちゃんは俺を眷属に出来る。

その時はキミの眷属になって、どんな事からもキミを守るよ」

 

「ど、どうしてそこまで私なんかに……」

 

「言ったろ? キミの双子の姉とやらとか、取り巻き達なんかよりキミ一人の方が俺にとっちゃあ余程魅力的なんだ。

それこそ命をかけても良いと思えるくらいにね」

 

 

 どもまでも傍らに居てくれるという馬鹿な事を平気で約束してくれる本当の繋がりを。

 

 

「なんで、アナタがイッセーを……! なんで……!?」

 

「め、メリーナ……アナタまさかイッセーを……」

 

 

 その繋がりに嫉妬する者に憎悪される事もあるかもしれない。

 

 

「やっぱりお前……マジでうざいよ」

 

「そ、そんな……どうして私を……!? 私はずっとアナタが……!」

 

「知らねーな? どこで俺の事を知ったのかも知る気はねーが、俺はアンタの存在そのものに興味がねぇよ」

 

 

 徹底的にイッセーが拒絶するかもしれない。

 

 

「邪魔だ悪魔共ォ!! 今まで散々この子をそこの女のスペア扱いした分際で、今更掌を返しやがって……! この子は誰にも渡さねぇ、例えアンタ等が肉親であろうが……この子の自由は絶対に縛らせやしねぇ!!」

 

 

 消えかけていた炎を再び灯し、悟られなかった最強最悪の赤龍帝として復活するのかもしれない。

 

 

「私は……私は自由が欲しい! 私はスペアなんかじゃない! リアス・グレモリー――いえ、ただのリアスとして彼と生きる。

だから――アナタ達に抗うわ!!」

 

 

 その炎はリアスの卑屈だった心にも伝わり……。

 

 

「メリーナ……アナタは強いわ。

だけど、私も強くなったわ……!」

 

「な、何よその力は!? そんな力、私の記憶には無かったのに!」

 

 

 対極であった双子の姉と相対し……。

 

 

「久々にマジになろうぜドライグ……!」

 

『休憩時間は終わりということか……。

ふふ、やっと復讐を乗り越えたんだな? 俺はこの時を待っていたぞイッセー!』

 

 

 龍の帝王は宿主の真の意味での進化に歓喜をし……。

 

 

「さようならメリーナ……。アナタが誰だったなんてもう関係ない。

メリーナ・グレモリーとして生きなさい」

 

「ま、負けた……私がリアスに……」

 

 

 リアスは過去を乗り越える事で進化する。

 

 

「ふぅ……取り敢えず下手にリアスちゃんに手出しさせない程度に暴れてやったが、これからどうするからだな」

 

「間違いなく私はグレモリーから外されるわ。

でも、イッセー、本当にいいの? そうなったら私はただの悪魔なのよ?」

 

「元からキミの家なんかに関心なんてなかったよ。

キミと一緒に居れる事こそが俺にとって大事な事なんだしね」

 

 

 ただ自由の為に。

 

 

「イッセー……迎えに来た」

 

「だ、誰この子?」

 

「…………。お前、オーフィスなのか?」

 

「え、オ、オーフィスって……」

 

「…………。我の前から居なくなっている間に、雌の悪魔と楽しそうにしてるから、我慢できずに来た」

 

「何の話だ。元々俺とお前は利害が一致したから組んだに過ぎねぇだろ。

第一お前、今は変な組織を作ってるんだろう?」

 

「うん……でもその事に意味なんて無い」

 

 

 そして自由の先は――

 

 

「あー! やっと見つけたかと思ったら、悪魔と一緒なんて酷いッスー!!」

 

「こ、今度は堕天使……?」

 

「今度はミッテルトか? お前もオーフィスと同じで利害が一致したから一時期組んでただけだろ」

 

「そ、そりゃそうだけど、な、なんで悪魔と……」

 

「一目惚れ」

 

「うわーん!!! イッセーのばかぁ~!」

 

「な、泣いちゃってるじゃない……」

 

 

 リアスの進化を更に進める冒険になるのかもしれない。

 

 

「な、なんでよ!? リアスよりおっぱいも大きいのに、私よりリアスなのが納得できないわ!!」

 

「あ、アナタは確かメリーナの戦車の子の……」

 

「そうよ姉よ! イッセーとは昔組んで戦ってたし、ムラムラしたイッセーに襲われた仲――みぎゃっ!?」

 

「嘘言ってんじゃねぇよ黒歌。

テメーが勝手に盛って俺を使って発散しようとしたから、殴り飛ばしてやったんだろうが」

 

「む、昔組んでいたって……子供の頃からイッセーはこんな生活をしていたのね」

 

「今度ちゃんと話す――」

 

「ぐぬぬ! 私よりちょっと小さいのになんで……? ま、まさか揉み心地が違うのかにゃ!?」

 

「ひゃあ!? い、いきなり何をするのよ!? や、やめてぇ……!」

 

 

 

 対転生組織・チームD×Sの日常――始まらない。

 




補足

ベリーハードにちょい初期設定を混ぜました。

結果、変なカオスが完成しちまった次第。


その2
既に目的を果たしたけど、軽く燃え尽きてた。

が、卑屈化していたリアスさんとの出会いでその炎を再び燃やす。


その3
結果、一気にその気質を完全解放したので、彼の気質を察知できる変態さん達が一斉に集まってしまった模様。


オーフィス――ギラギラしてた時期の一誠と出会い、静寂の邪魔となる輩を排除するという意味で利害が一致したので暫く組んだ。

ミッテルト――漠然と生きてた時に、ギラギラ時期な一誠と知り合い、その素質を開花させ、暫くひっついてた。

黒歌――逃亡生活中一誠の件とは違う転生者にストーカーされた挙げ句迫られてた所、死ぬほどイラついてた一誠がその転生者を八つ裂きにしたことで知り合う。

ここで一誠は転生者は他にも居ると知って暫く絶望するも、猫の恩返しっぽく暫く力を貸すというものだから、暫くは進化の為の修行相手として行動を共にする。

 なので、ギラギラモードに戻った一誠の帰還を快く迎えたし、一目惚れしたという理由でリアスをつれてきた時は全員ぐぬぬ化した。

ちなみに、他にもメンバーが居るとかいないとか。


例えば、一誠と似た境遇から這い戻り、暗黒騎士へと到達した少年と、そんな少年と出会い、中学生みたいなやり取りをしている元先代魔王の血族者だったり。

 この組織を裏で支援する堕天使の長だったり。

 その長の義理の息子らしいハーフ悪魔の白龍皇と英雄の子孫だったり。

 その堕天使の真の意味での同胞である悪人顔の堕天使とその生き方に惹かれて側にいる天使だったり。


 うよついてる輩のお陰で、本来あり得なかったドリームチーム……それが対転生者チーム・D×S


……って、書いてるけど別に続かないですハイ。

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