色々なIF集   作:超人類DX

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ふざけて書きました。

内容からすべてがふざけてます。


また三馬鹿
三馬鹿の別例


 三馬鹿が吹っ飛ばされた先の例

 

 

 例の如く、切っ掛けはしょうもない喧嘩が原因だった。

 

 誰が冷凍庫に備蓄していた最期の一個のスーパーカップ(バニラ味)を食べたか食べてないかという口論から、やがて殴り合いの喧嘩に発展し、その内互いの神器と鍛えぬいた性質(アブノーマル)を全開にした――それこそ端から見たら完全な殺し合いにしか見えぬ喧嘩へと移行した矢先の事だった。

 

 同じ時代に生まれしまった災厄(カイブツ)

 

 同じ時代に生まれてしまった異常者。

 

 同じ時代に生まれてしまった神滅具所有者。

 

 ―――通称三馬鹿と呼ばれし青年達は、アイスの取り合いから発展したこの喧嘩に負けたくないという、負けん気によって全力を出した事で、空間をねじ曲げてしまった事で、世界から消えてしまった。

 

 その後三馬鹿達がどうなったのかはわからない。

 

 何故なら三馬鹿達は全く別の世界に飛ばされてしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 アイスの取り合いによる喧嘩を、三馬鹿達は割りと後悔することになった。

 何故なら三馬鹿達は今、全く見知らぬ人間界の町の公園に居るのだから。

 

 

「なあ、これってマズイんじゃないか?」

 

「ああ、非常にマズイ」

 

「ここがどこかという話云々よりも、今の俺達の状況が非常にマズイぞ」

 

 

 先程まで殺し合いにすら近い喧嘩を行っていたのが嘘みたいに、三人仲良くベンチに腰掛けながら、皮肉な程に雲ひとつない青空を仰いでいる。

 

 喧嘩をしていたら見知らぬ場所に飛ばされた――のはどうでも良い。

 問題なのは、自分達の今の姿なのだ。

 

 

「………。なんで俺達、こんなちっさくなってんの?」

 

「「……」」

 

 

 そう、三人の青年は何故か、幼少期の姿にまで退行していたのだ。

 しかもそれに加えて、三人を絶望させている大きな理由は……。

 

 

「力も相応に落ちてしまっている。

これでは同じ方法で強引に戻る方法が使えない」

 

「「…………」」

 

 

 そう、災厄とまで敵に恐れられた年若き青年三人の力そものまでもが、見た目相応に落とされてしまったのだ。

 

 

「ち、ちくしょう、全力で殴って木一本をやっとぶち折れる程度にまで力がなくなってやがる」

 

「お前達はまだ良いだろ、俺なんて槍が重くてまともに扱えなくなってしまった……」

 

「まさかアイスひとつでこんな事になってしまうなんて……」

 

 

 ここが完全に知らない場所どころか、聞いたこともない地名だったので、ひょっとしたら別の世界に飛ばされてしまったのではという推察を終えている子供化の三馬鹿が焦っているのは、身体が縮んだ云々よりも力の殆どを失ってしまっているという点である。

 

 何故なら、同じ事をして元の場所に強引に戻る方法が使えないのだから。

 そして何より……。

 

 

「腹へった……お前らいくら持ってる?」

 

「財布なんて身に付けてなかったから無いぞ」

 

「俺も……。ただ、ここが俺達の世界の日本に近い文化だというのは良いが、通貨がそのまま使用できるかまではわからんから、持っていても無意味なのかもしれないぞ」

 

 

 とにかく三馬鹿は空腹だった。

 しかもお金も無かった。

 

 割りと詰みに近い状況に殆どただの自業自得で陥ってしまった三馬鹿は、取り敢えず場所を移動しようと、慣れない小さなナリで公園を出ると、取り敢えず食い物がありそうなお店を探す。

 

 

「ラーメン屋だ……」

 

「あっちにはパン屋かな……? 焼きたてのいい匂いが……」

 

「ドクロナルドハンバーガー? マ◯ドナルドに似ているが、どちらにせよ美味そうなバーガーの匂いがする……」

 

 

 しかし探した所でお金なんて持ち合わせていない子供化三馬鹿は、鳴りまくる腹の虫を飼いながら涎まで垂らして其々見つけた店の中をガン見していた。

 

 しかしこの現代社会は、お金が無ければそういった物を食べられないので、結局三馬鹿は肩を落としながら先程の公園へと戻るのだった。

 

 

「…………。土掘り起こして虫でも焼いて食うしかねぇよな?」

 

「……。またあの貧乏生活に戻らないとならないのか……」

 

「俺は構わんが……」

 

 

 お金も何も無い三馬鹿は、最終手段である自給自足に頼ろうと話し合うが、三人とも過去の嫌な思い出もあるので、出来れば避けたい。

 なので、限界まで食料を手に入れられる手段を手分けして探す事になった。

 

 

「今の時間が14時だ」

 

「だから18時まで別れて食料を探そう」

 

「見つけても見つからなくても18時になったらこの場所に戻る。

もし見つけられなくても、絶対に責めてはならない―――それでいいな?」

 

 

 既にアイスの件の事なんて忘れて、食料探しをする事になった三馬鹿は、時間を決めてからそれぞれ別れた。

 

 これは、色んな意味でチビ時代までリセットさせられてしまった三馬鹿達のお話。

 

 

 年上おっぱい馬鹿赤龍帝・一誠

 

 

「ちくしょう……喧嘩なんてするんじゃなかったぜ」

 

『だから俺も白いのも止せと言ったんだ。

どうする気だこれから?』

 

「わかんねーけど、なるようになれと今は思うしかないぜ。

とにかく飯を探さないと……」

 

 

 戦闘大好き天然馬鹿白龍皇・ヴァーリ

 

 

「条件は二人も一緒だというのに安心したよ。

俺だけもし縮んでしまっていたら、絶対にあの二人のことだからからかうに決まっている」

 

『呆れてものも言えんよ』

 

 

 無自覚ポジティブ英雄馬鹿・曹操(神牙)

 

 

「まいったぞ、この姿ではアルバイトすら門前払いをくらうし、帰るまでの期間をどう凌ぐか。

―――けど、何とかなるかなっ! それよりまずは自販機の下に落ちてる小銭を拾って回ろう!」

 

 

 小さくなっても大人気ない――通称・三馬鹿は発進するのだ。

 そして……。

 

 

「や、やばい……腹が減って力も出せない」

 

 

 歩き疲れると感じるほど体力が落ちて、ついに動けなくなってしまった一誠は……。

 

 

「あの……どないしたん?」

 

「は、腹が減って力がでない……」

 

「え、それじゃあ家に帰れば……?」

 

「その家が無いから非常に困った事に……」

 

「い、家が無い? そんな――」

 

「は、腹減って喋るのも億劫だ……うへぇ……」

 

「わわっ! た、大変や!」

 

 

 

 行き倒れ寸前で車イスに乗った少女と遭遇したり。

 

 

「復活、俺っ! 助かったぜお嬢さん!」

 

「お、お嬢さん? 同い年くらいの子供に言われたの初めてや……」

 

「…………。それより図々しいのを承知でお願いしたいんだけど、もう少しご飯分けてくれないかな?」

 

「えっと、それって家が無いから?」

 

「それもあるけど、俺と同じく家がない友達二人にも食わせてやりたいんだよ。

その分の金は絶対に後で払うから、お願いっ!!」

 

「は、はあ……?」

 

『……この小娘、肉体から感じる気配が普通の人間と少し違う……?』

 

 

 その頃ヴァーリは……。

 

 

「見たこともない石だが、これを売ればそこそこの金になるかな……?」

 

『そうかもしれんが、その石から妙な力の波動を感じるぞ』

 

 

 偶々道端で拾った売れそうな石を手に入れていて……。

 

 

「それをこっちに渡してください」

 

「大人しく渡した方が身の為だよ」

 

「なに?」

 

『なんだこの小娘共は? ………普通じゃない』

 

 

 強盗(?)に遭遇したり。

 

 

「な、なにあの背中の……? で、デバイスじゃないの?」

 

「多分石を狙う別の輩だ! 油断しちゃだめだよ!」

 

「くっ……! 空腹だからなのもあるが、全力でこの程度のパワーしか出せないなんて……! しかし楽しくなってきたぞ!」

 

『今のお前では充分に苦戦する相手だ、油断するなよ!』

 

 

 なんかバトルに発展したり。

 

 

「っ!? 見たことない力だ! 良いぞ、乗ってきた!」

 

「な、なんなのこの子!? つ、強い……!」

 

「あの背中の奴でこっちの魔法の威力が減らされてるばかりか、あいつの力になってるんだよ!」

 

 

 

 

 そして曹操こと神牙は――

 

 

「この金は俺が自販機の下を探って集めたんだ!

渡さんぞ!」

 

「そ、そういう事はしちゃダメってお父さんとお母さんが言ってたの!」

 

「そんなものはわかっている! しかしこうしなければ俺は――いや、俺達は今日の飯すらも食えんのだ!」

 

 

 子供と大人気ない言い合いをしていた。

 

 

「後生だ! 俺をこのまま見逃してくれ!」

 

「娘から聞いたけど、キミは家が本当にないのかい?」

 

「お父さんとお母さんは?」

 

「父と母? ああ、小さい頃に俺を金で売った後、その金が原因で自殺したが……」

 

「「「………………」」」

 

「え、なんだ?」

 

 

 そして言い合いしていた子供の親に捕まり、そのまま家まで連行されてしまった神牙は、あまりにも平気な顔して言ってしまうものだから、このまま見逃すわけにはいかないと思われて動けなくなってしまったり……。

 

 

 三馬鹿が其々出会った事で、一体どうなのるのか……。

 

 

「あ、ヴァーリ!?」

 

「神牙か! お前、今まで何をしていた!?」

 

「それはこっちの台詞だよ。

……一誠は居ないみたいだが、会わなかったが?」

 

「あの時別れて以降、近くにはいるみたいだが会ってはない」

 

「そうか……まあ、生きてはいるんだろう。

それよりヴァーリ、衣食住の確保ができたのだが……」

 

「なに? 実は俺もだぞ」

 

「む、なるほど、どうやらお互いに上手く見つけられたのだな? となれば、一誠の奴もおそらくは……」

 

「ああ、どうもこの町の人間は警戒心が薄いのか、得体の知れん相手にも親切だ」

 

 

 まず神牙とヴァーリが後日再会し、互いに無事であることを確認できてホッとしたり。

 

 

「え、あの子がヴァーリのお友だちかい!?」

 

「そ、そうだったんだ……」

 

「ああ、だが神牙がまさか同じ素質の子供と居たとはな……。

しかも石集めをしているときた」

 

 

 

「あ、あの子が神牙君のお友だちなの?」

 

「ああ、まさか子供魔導師と一緒に居るとは思わなかったが……」

 

「あ、あの子も石を集めていて、何度か戦ったの……」

 

「なるほど、つまり……俺とヴァーリは現状石集め勝負の敵ということになるわけだな?」

 

 

 でも互いに世話になっている相手同士が現状敵対状態なので、そのまま喧嘩バトルとなる。

 

 そして――

 

 

「ヴァーリと神牙の奴、喧嘩する程度の余裕があるみたいだし、ほっといても大丈夫そうみたいだぜ」

 

「ほんまに? 私はええし、二人も家に連れて来てもええよ?」

 

「一応聞いてみるよ。

それより今日も歩く練習しようぜ?」

 

「うん……! もう治らないと思ってたのに、一誠君がリハビリを手伝ってくれるようになってから、足が動かせるようになれた……!」

 

「頑張ればまた歩けるぜ……!」

 

 

 一誠は助けてくれた歩けない少女に恩返し中だった。

 

 そして一誠が神牙とヴァーリと再会するのは少し後になるのだが、その直前に少女を主と宣う者達の出現でそこそこ賑やかになっていた。

 

 

「いいねぇ、うひひ! なんて素晴らしきおっぱいをお持ちなんだ……!」

 

「一誠くん、すけべな顔してる……」

 

「ふっ、覚えておきな、男って生物は皆こんなものだぜ……!」

 

(おっぱいかぁ。……うう、私全然ない)

 

 

 ただ、その者達の内の約二名が、一誠にとってドストライクで、アホみたいに鼻の下を伸ばすものだから、家の中でならほぼ自力で歩けるまでに回復――いや、『進化』した少女がムッとなったりするし、約一名はあまりにもちんまくて一誠の対応が雑なことに不満爆発だった。

 

 

「えーっと、その闇の本だかなんだかの影響であの子が歩けなかったと?」

 

「ああ、だから魔導師から魔力を貰い、これに注げば主は―――いやまあ、まさか主が自力であそこまで回復なさっている事には驚かされたがな」

 

「普通ならありえねぇんだがな。

お前、一体何者なんだよ?」

 

「俺か? 俺は年上のお姉さん大好きなそこら辺の小僧だよ。

心配しなくてもお前みたいなチビッ子には興味――ねぶっ!? な、なにすんだ!? いで!? いてーよ!?」

 

「うるせー! その顔で言われるとムカつくんだよっ!」

 

 

 しかし皮肉にも、そんなちんまいタイプとの方が相性がよかったりする訳で……。

 

 

「よお、久しぶりだな?

突然で悪いけど、そこのお嬢ちゃん達の魔力をちとくれや?」

 

「いきなりだな一誠」

 

「理由があるのはわかるが、この前の連中と行動しているのだろう? ならば断る」

 

 

 それはやがて、衝突を生み……。

 

 

「勝った奴が正しい! それでいいな!?」

 

「「意義なし!!」」

 

 

 三馬鹿は喧嘩を再開するのだ。

 

 

 そしてこの物語の果ては……。

 

 

「お嬢さん、こんなドローンより俺とお股の――」

 

「一誠くん?」

 

「げげっ!? や、ち、違う! ちょっとしたお茶目だから! 良いスタイルしたお姉さんだなぁとか思ってないし、ナンパしようとかも思ってないから!」

 

「……。全部自白しとるやん。

あーあ、悲しいなぁ? ご飯食べさせてあげたのに、住む家も無いって言うから住まわせてあげたのに。

いつも知らん女の人ばっかりに鼻の下伸ばして……」

 

「わ、悪かったって……なっ?」

 

「それだけなん?」

 

「わ、わかったわかった。ほら、仲直りのハグを……」

 

 

 普通に尻に敷かれてる赤龍帝がそこに居た。

 三馬鹿の中で一番色々とだらしなかった男は、自力で足の不自由を克服し、少女から女性へと成長した彼女に思いきり頭が上がらなくなってしまうのだった。

 

 

 それと同時に、ヴァーリはやっぱり世話になった少女に天然だし、神牙は世話になった少女にどこかのリト神様ばりの事故を発生させまくったせいで、同じように尻に敷かれていたり……。

 

 

「も、もう神牙くんったら! 皆の前で恥ずかしかったよ!」

 

「だ、だってバランスを崩した先に居たから……」

 

「だ、だからって、あ、あんな所に顔を突っ込むことなんて無いの! む、昔から何回もあったけど………」

 

「わ、悪い……」

 

 

 

「どっちも馬鹿だな。俺を見習えと言いたいぐらいだ」

 

「………。ヴァーリも大概だと思うけど?」

 

「何を言う。俺は一誠みたいに脈の無いナンパはしないし、神牙みたいなアホな事故をお前に起こしたか? 無いだろう?」

 

「それは無いけど……無自覚過ぎるから色々と大変なんだよ私も?」

 

 

 終わり。

 

そして続けない




補足

敢えてぼかしてるつもりだけど……まあ、あの世界です。


その2

別の三馬鹿話みたいに、受け入れた場合の一誠は確実に大事にするタイプです。
それまでは死ぬほどだらしないけど。

ヴァーリは……まあ、普通にラーメンをこよなく愛する天然。

曹操(神牙)は……主人公気質のリト神様トラブル持ちなだぜ。


その3
続かんよ

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