元々イッセーはかなり人懐っこい性格である。
それが色々あった結果、そこそこ擦れてしまい、リアスと出会う事で少しばかり極端な性格になってしまったのだ。
具体的に言うと、リアスかそれ以外かである。
ただ復讐に身を費やし続けた人生だった己を受け入れてくれた。
守りたいという気持ちを教えてくれた。
愛情を教えてくれた。
だからイッセーはリアスが全てにおける優先順位の不動なるトップであり、それ以外がどうなろうが知らんのだ。
だから、別にリアスが絡まなければ沸点は高い方だし、誰にどう言われようが、聞き流してスルー出来る程度の理性もちゃんと持っている。
例え、校庭の草むしり中に中等部と高等部の小競り合いが始まり、ボールの投げ合いに発展し、ちょうど高等部の生徒が中等部の生徒に向かってぶん投げたボールの軌道がそれて、草むしり中のイッセーの後頭部に直撃してしまっても、別に怒らないし、顔も見せないし、声も出さない。
「ば、馬鹿じゃないの!? アンタ等が投げたボールが草むしりしてる人に当たってるじゃないの!?」
「し、知らないわよ!? 私じゃないし!」
当たったボールを拾い、ギョッとした顔になってる中等部の生徒何人かがこっちを見ていても、別に気にしない。
「ぼ、帽子を深めに被ってるせいで顔は見えないけど、絶対に怒ってるよね……?」
「た、多分。
というかあの人は誰なの? 草刈りの業者さん?」
それまで小競り合いしてた高等部と中等部の生徒達が、思わず喧嘩も忘れる程度には、ゆっくりとボールを拾いながら立ち上がり、自分達の方を見ている姿がちょっと怖いらしく、誰しもが動揺して謝りに行こうとはしない。
「ね、ねぇ……あの人ってもしかしてのどかが会ってた人よね?」
「ボール持ったままこっちを見てます」
「ど、どうしよう? ここで話しかけたら迷惑になるかもしれないし……」
そんな中、あの謎過ぎる出で立ちの男性に、中等部側の生徒の一部はどうしようかと悩み……。
「珍しいなぁ……? こんな目立つ時間帯にお仕事しとるなんて」
またある中等部の生徒は、殆ど生徒の前には姿を晒さない筈の彼の事を知っているような口ぶりで、ぽつりと呟き。
「ど、どないしたらええんやろ? ま、まさか師匠がこんな状況の中お仕事しとるとは思わなかったし、かといって今話しかけても迷惑がられるだけやし――で、でも弟子やのに挨拶せんのはよくないし……」
またある生徒は、普段は努めて標準語だったのも吹き飛んで、ボールを片手にこちらを見てる彼の姿にテンパってて……。
「………………」
「あ、あれ? 普通にボールを投げ返してくれた?」
「そればかりか、そのまま草刈りに戻ってるわね……」
「本当に誰かしら……? 先生方が呼んだ業者さん?」
結果、彼は普通にボールを軽く彼女達に向かって投げ返すと、何事も無く草刈りの作業に戻った。
紛いなりにも後頭部にボールを当てられたのだから、一言くらいあっても可笑しくはないと身構えていただけに、肩透かしを食らった気分であり、高等部と中等部の両生徒達は、場所の取り合いも忘れて、せっせと草を刈り続ける謎の業者らしき男性を見つめ続けるのだった。
……まあ、その少し後、騒ぎを聞き付けた子供先生ことネギが張り切って止めに来た事で、高等部の生徒達と中等部の生徒達の小競り合いがリスタートする事になったのだけど、その時には彼も最初から存在していなかったかの如く居なくなっていたし、彼を知らぬ生徒達の記憶からもすっかり消えてしまった。
何時もなら生徒が下校した後の時刻に行う仕事なのだが、学園長からプチボーナスを出すからと言われてホイホイと引き受けてしまったイッセーは、取り敢えず顔を見られることもなく上手い具合に乗り切れてホッとしていた。
顔見知りが何人か自分を見て何か言いたげな様子だったけど、空気を呼んで黙っていてくれたのも大きい。
「よし、この金はリアスちゃんへのプレゼントの資金だぜ」
リアスと共に生きる内に、少々金にがめつい性質を持つようになってしまったイッセーは、学園長から貰った茶封筒に入っていた諭吉さんを数えながらニヤニヤとリアスへのプレゼントは何が良いかと考える。
金にがめつい割には貰った金はほぼ自分の為には使わず、リアスとの将来の為に貯金しているらしい。
酒もタバコもギャンブルも一切せず、ただただリアスとの生活の為に金を稼ごうとする辺りは、実にイッセーらしい。
リアスもリアスで、給料の殆どを貯金していて、使うとしてもイッセーの為に使うので、まさに似た者同士というへきだろう。
「服がいいかな? ふふ、リアスちゃんは何着ても可愛いからなぁ……」
自分だけしか居ない用務員室の机にて、色々なデザインの服を着るリアスの姿を想像して、ニヤニヤしているイッセーのその顔は、ある意味本来の人生を歩んだイッセーが胸の大きな女性を前にした顔であった。
そんな本来の兵藤一誠に、敵に対する徹底的過ぎる攻撃力と、ハーレム願望思考を取っ払い、替わりにリアスへの一筋さを植え付けたのがこのイッセーというべきである。
一筋過ぎて、リアスにおいたする輩には確実にこの世から消すというちょっとしたお茶目さも加えて。
そんな性格になってしまっているからこそ、他の異性に対しては間違いなく靡かないし、心も揺れない。
それこそ、例え全裸の美女が目の前で誘惑してこようとも、イッセーは無反応を貫ける程だ。
実際、そんな真似をした女が過去に、全身をぐちゃぐちゃにされてしまった悲しき悲運に見舞われたらしい。
つまるところ、イッセーは呆れる程のリアス馬鹿であり、そんな性格だからこそある意味で信頼されており、ある意味で慕う者も少ないながらも存在する。
のどか然り――
「あ、いたいた。
ちょっとした縁のある者然り……。
限られた者しかその存在を認識する事ができない『仕掛け』をパスして用務員室に入ってきたという事はつまり、少なくともイッセーとリアスの存在をある程度知っている者である。
といっても、イッセーがというよりは、リアスが教えてしまうだけだったりする訳だが。
とにかくさも当たり前のような顔をして入ってきた学園の女子生徒は、先程校庭で高等部と小競り合いをしていた中等部の者達の中に混ざっていた女子生徒であり、学園長の孫娘だった。
「……げ」
学園長はボーナスもくれるので、そこそこ従う気になれるが、別にその身内にも従うつもりは無かったりするイッセーは、図々しく入ってきた黒髪の少女に対して露骨に嫌そうな顔と声を出してしまう。
「そんな顔するなんて酷いなぁ……? 中学に上がる前はリアス先生と一緒に遊んでくれたのに?」
「あんたのじいさんが金くれるって言うから嫌々遊び相手になってやってただけだ」
「そんなハッキリ言われると、悲しいなぁ……?」
「事実なんだから仕方ない」
「ちぇ、相変わらずガードが固いなー……」
大人気もなく学園長の孫娘に対してハッキリ言い切るイッセーに、少女は軽く拗ねた顔をしながらも、用務員に置いてあるソファーに腰かける。
「いやな? 普段は他の人たちが見てない時にお仕事するのがイッセーくんのワークスタイルって奴やのに、今日は珍しく他の人たちが見てる前でお仕事をしてたから、どんな心境の変化があったんやろうなぁと思ったんよ?」
「すぐに学園内の雑草の草刈りしてくれたら、特別ボーナスを出してくれるっていうからついな。
……まさかガキ共にボールをぶつけられるとは思わなかったけど」
「あはは! 面白いくらい後頭部に直撃しとったもんな?」
普通に入り浸る気満々で、帰る気配が無い孫娘こと近衛木乃香に、イッセーは嫌々ながらも一応お茶と安い駄菓子を与えておく。
「事情はわかったろ? だったらその茶と菓子食ったらとっとと帰んな」
「……。ホンマにリアス先生以外には冷たいなイッセーくんは? 少しは優しくしてくれたってええやん?」
「これでもマリアナ海峡程度の慈悲深さだと思ってるぜ?」
「ウチにはアゾフ海くらいの深さにしか感じないんやけど……?」
「それはお前が贅沢なだけだ」
ジトーっとした目になる木乃香に対しても、イッセーの態度は全く変わらない。
ほんの数年前、まだ用務員と保険医をやる前のイッセーとリアスがやっていた仕事の中に、学園長の孫娘とその友人の遊び相手というものがあり、木乃香とはその頃からの知り合いだ。
その木乃香には、将来そんな仲になるんじゃねーかと当時のイッセーも思った友人が居たのだが、今現在その友人と木乃香は同じクラスなのに中学に上がってからは疎遠気味になっている。
「あの時、せっちゃんも実は居ったんやけど、イッセーくんが居るって気づいた時は、昔のせっちゃんに戻ってたんよ……」
「ああ、うん……」
「ウチがせっちゃんに嫌なことしたんかなぁ?」
「いや、多分違うと思うぞ……」
「でもせっちゃんは全然話し掛けてくれなくなったし……」
「…………。多分お年頃なんだろ」
そのせいで、木乃香は悩む事が多くなった訳だけど、イッセーは決まって適当にも聞こえる返答ばかりだ。
「ウチがせっちゃんの事話すと、何時もイッセーくんはええ加減な返事しよるけど、何か隠しとらんよね?」
「隠す程、俺はお前ともアイツとも親しくはねーだろ?」
「えー……? 少なくともせっちゃんは何時もイッセーくんの事を師匠って呼びながら、子犬さんみたいに引っ付いとったよーな……?」
「全部アイツの自称だよ。師匠なんて柄じゃねぇ」
木乃香の疑うようなジト目から目を逸らし、苦々しげな顔で否定する。
「どいつもこいつも、俺に対して訳のわからない幻想なんぞ抱きやがって。鬱陶しいんだよ……」
「幻想ねー……?」
「あ? 何だそのツラは?」
「別にー? 最近聞いたんやけど、イッセーくんみたいな性格の人をツンデレさんって言うんやと」
「男にそんな属性ついたところで誰が得すんだっつーの」
木乃香や弟子を自称する彼女のクラスメートの……確か宮崎のどかと言ったか。
リアスとドライグ以外の全て――それこそ世界全てから嫌われ続けたまま生きてきたイッセーには、どうして近寄られるのかがわからない。
何か企んでいるのではないか……そんな事を疑ってしまう程に。
その生き方は、まさに理想であった。
自分の事よりも、自分が大切に想う者の為だけに、例えその身が人を辞めた怪物に変貌してしまっても力を高め続け、どんな事をしてでも守ろうとするその姿こそ、半分は人ではない血を宿す少女にとって、人ではなき女性の為だけに人を辞めた青年の姿は、とても輝いて見えた。
奇しくも、ひょっとしたら青年と女性にとっての唯一無二の同志で親友になり得たかもしれない白き龍を宿したハーフ悪魔の青年にちょっとだけ境遇が似ている少女は、その日より青年に出会う少し前に抱いたトラウマを払拭し、この身に宿った人ならざる力を大切な者を守る為に使うことを決意し、そして青年の弟子を自称するようになる。
強くなり、守れるようになるまでは木乃香とはちょっとだけ距離を置くという行動も、決意を半端にしないという覚悟である。
まあ、自分が半分は人ではない事を知られたら、木乃香に拒絶されてしまうのではという恐怖も少なからず残っているからというのもあるにはある。
しかしその時はその時だし、それでも彼女を影ながら守れるようになれば良い。
そんな気持ちを抱く少女――桜咲刹那の行動パターンは基本的にイッセーに似ている。
明け方に起きてトレーニングをし、昼間は学業に専念し、夜は学園の裏のお仕事に参加しつつまたトレーニングをする。
そしてひっそりとイッセーとリアスがトレーニングをしている場面を見て真似をするか、師と呼ぶ彼へと押し掛けて教えを乞う。
表面上では単なる用務員と非常勤保険医と生徒としての立場が其々あるので、絡む事も皆無だが、夜となれば刹那は犬のようにイッセーを師匠と呼んでその後をちょこちょこと着いてくるのだ。
それは本日のお仕事を特にトラブルもなく終わらせた後だって同じだった。
「最近の師匠は宮崎さんによく話しかけられてますが、何故相手にするのですか?」
「……は?」
「……? 急にどうしたのよ刹那?」
しかし、今日の自称弟子こと刹那は少々ご立腹だったらしく、その理由はここ最近のイッセーがよく昼間にのどかといった一般の生徒にしょっちゅう話しかけられ、それに対して相手になっているという事についてだった。
「いえ、別に師匠が誰と話をしてようが私が文句を言う立場ではないのは承知しています。
ですが、微妙に納得ができないのです。
私とこの――失礼、お嬢様がやっとの思いで師匠の高すぎる壁を乗り越えてこうしてお話できるようになったというのに、彼女には簡単に応じるんだなって……」
「何を言いたいんだか知らんが、リアスちゃんが色々と教えるせいだよ」
「いえその……。
敵意も無くイッセーに話しかけてくれる子なんて本当に貴重だからつい嬉しくて……」
「それ、私とお嬢様の時にもリアス先生は言ってましたね……」
誤魔化すように軽く笑ってるリアスに対して、刹那は昼間木乃香がイッセーに向けたのと同じジト目となる。
「確かに、イッセー師匠は龍宮といった他の関係者達からはあまりよく思われてはいないと思います。
特に龍宮からはよく命を狙われてるようですし……」
「? 誰それ?」
「……。やっぱり名前すら覚える気なんて無いんですね?
ほら、顔合わせの時に反射的にリアス先生に銃を向けた女子ですよ。その時師匠が鬼の形相で彼女の銃を腕ごと蹴り潰して、そのままへし折ってしまったじゃないですか?」
「………? そんな事したか俺?」
「私は覚えてるわよ。
それ以降、イッセーにリベンジしようと遠くから狙撃しようとしては失敗する子でしょう?」
「ええ……。
その都度私は宥めているのですけど、彼女にとってはあそこまで徹底的に叩きのめされたのは相当にショックだったようで、聞く耳もたずです。
……って、話は逸れましたけど、つまり敵を作りやすい師匠がなんで一般生徒の宮崎さんと普通に接しているのかが納得できないのです。……苦手な本まで律儀に読んであげてるみたいですし」
ジトーっとした目を止めない刹那の言い分はなんとなく分かったが、言われた所でイッセーとしては、ホイホイとリアスが教えちゃうからとしか言い様がない。
「そんなに普通に接することが出来るなら、少しはお嬢様にも優しくしてほしいんですよ。
あといい加減に私を弟子として認めて欲しいです」
「そんな事言われてもな――つーか、何で俺にそうやって絡もうとするのかが理解できねーよ」
「……。疑い深くなりすぎちゃった弊害ね……」
「本当にリアス先生が羨ましいですよ。ドライグさんもだけど」
「つ、付き合いが長いだけよ?」
『俺はガキの頃から一緒だからな』
ハァと、未だに小娘扱いされたまま進展がゼロの刹那のため息に、リアスとイッセーの中から何となく話を聞いていたドライグは困った声だ。
リアスとドライグか、それ以外。
一々極端に他人への態度が違いすぎるものだから、ある程度親しくなる――いや、ある程度親しくなってしまうからこそその格差に不満を覚えてしまうのは仕方ないのかもしれない。
肩肘を張ろうとも、刹那もまだ中学生の子供なのだから。
「という訳で、今日の鍛練に参加させてくれますよね?」
「何が『という訳』なんだよコラ? お前じゃまだ付いて来れねぇから無理だって言ってんだろ」
「大丈夫です。師匠が以前に言っていた、『自分を知る』の意味を最近理解しました」
「それはただ扉の前に立っただけに過ぎないんだよ。
自分を知った上で、その自分を本当の意味で理解して受け入れない事には始まらないのさ」
「ふむふむなるほど……ふふっ♪」
「あ?」
「いえ、いつもは煙たがる癖に、ちゃんと教えてくれる師匠って、やっぱり師匠だなって思っただけです。
このちゃんも同じことを思っていると思います」
「そうね、ちゃんと師匠してるわよイッセー?」
「………やめてくれよ」
何だかんだ言うが、自分と同じ領域に進む事を目指そうとする者には、意外と親身になって教えようとするイッセーに、ご機嫌斜めだった刹那の機嫌は回復し、嬉しそうにニコニコする。
そう、根底に残るお人好しさを感じ取っているからこそ、刹那も……今はちょっぴり距離を置いている木乃香も懐いているのだ。
「でも、あまり宮崎さんと楽しそうにしないでください。
私の師匠が取られた気がして嫌なので」
「知らねーよ。楽しいと思った事もねーし、何時からオメーの師匠とやらに俺がなったんだっつーの」
そんなイッセーが子供に好かれている光景を、リアスとドライグは妙にほっこりした気持ちで見守るのだった。
終わり
そんな訳で、広いようでやっぱり狭い気もする微妙な繋がりを持つイッセーを軸に、少女達は今を生きている。
「そうね。
刹那と木乃香はもう知っていると思うけど、私とイッセーは魔力や神器といった力とは別の――理解さえすれば誰でも持ってるものがあるわ」
「精神――人格の力ですね?」
「
ウチもせっちゃん程やないけど、少しずつ掴みかけてきたんよ?」
「私はイッセーからその使い方を教えられた事で掴んだの。
参考までにいうと、私は相手の技術と力を見るか体感することで自分の力として扱う事が可能になるスキル」
「つまり、なんでも模倣できるって事なんですか?」
「す、凄いですね……」
「それで兵藤さんは……?」
「あの子はあらゆる力や環境に適応し、秒単位で常に――無限に進化し続けるスキルよ。
だから強さとしての限界があの子には無い、鍛えれば鍛える程強くなり続けるし、どれだけ強力な魔法による攻撃を受けても、慣れる事で克服することも可能なの」
「すご……まさに
リアス先生に色々教えられてしまい、仮契約そっちのけでそっち側を目指し始めたり。
「もう気は済んだか? 俺は忙しいんだ、そんな
「お、玩具……」
軽い因縁があった女子生徒を一蹴したり。
「坊やを鍛えてやってもいい。
私に屈辱を与えたあの男と悪魔の女に仕返しするには、少しでも戦力が欲しい」
以前のゴタゴタの際、徹底的に叩き潰された吸血鬼もリベンジに燃えて暗躍してみたり。
「師匠が出る幕もありません」
「イッセーくんに勝ちたいなら、まずはウチとせっちゃんを倒すんやなぁ?」
「っ!? い、何時ものこのかと桜咲さんじゃない……!?」
「な、なんだか普通に仲良さそうですし……」
「…………。奴とリアス・グレモリーの雰囲気に似ているだと……?」
ちょっとしたチーム戦に何故か勃発し……。
「ひ、ひぃぃっ!? ほ、ほんの出来心だったんだ!? も、もう絶対にしないから命だけは――ぎぇっ!?」
「遺言はそれだけか虫ケラ? 命だけは? リアスちゃんの胸ん中に入り込んだ時点で見逃す訳ねーだろ? 心配しなくても、楽には殺さない。
手足を引きちぎってから、目玉抉り取って、内臓引きずり出しても死なねーように調整してやるよ? ははは」
出来心でやってしまった小動物が、多分きっとこの世界で生きてから初めての『全力の殺意モード』にスイッチが切り替わっている龍の帝王に捕まってしまい、さぁ大変だ………な事になっていたり。
「ちょ、ま、待て!? そいつに関しては私は知らん!? 勝手にやっただけ――」
「禁手化・赤龍帝の鎧」
「ほ、本当に知らん! わ、私たちはあくまでお前に仕返しする為に同盟を――」
「チェンジ硬度10・ダイヤモンドパワー」
「わ、わかった! きょ、今日のところは私たちの負けで良い! だ、だからやめ――」
「完璧零式奥義・千兵殲滅落としィィィィ!!!!!」
「ごげみゃぁぁぁっ!?!?!?」
代表してその吸血鬼さんが、どこかの元神の完璧超人の始祖の奥義食らって大変な事になったり。
「完璧弐式奥義・アロガントスパーク!!」
「ゴヘバァァッ!?」
「完璧・陸式奥義 ジャッジメント・ペナルティ!!」
「も、やめ――でべたぁっ!?」
「チェンジ硬度10#……ロンズデーライトパワー!!」
『……………』
それを見せられた吸血鬼チームは隅っこで震えてたけど……。
「完璧・壱式奥義――地獄の断頭台(改)・神威の断頭台ィィィッ!!」
「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!?!?!?」
それでも一応封印とはいえ不死だから死ねなかったのは幸福……かもしれないし、平和なのかもしれない。
嘘だよ
続き。
基本的にそこまで短気じゃない。
しかし、リアスさん関連だと業務用電子レンジの100倍はチンするのが早いだけです。
その2
目指す目標がひとつ増えてるので、そこまで二人は疎遠でもない。
ただし、犬みたいにイッセーの後をついてくる癖がついちゃったけど。
その3
鎧を纏った状態で鍛えた結果、硬度調節機能なる能力を手に入れた模様。
そして、某完璧超人始祖の奥義の何個かを覚えた模様。
キレた場合、そのフルコースが待ってる模様。