色々なIF集   作:超人類DX

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まだ続く。

今回は――これ


番外その4

 切欠は本当にくだらない理由での喧嘩が原因だった。

 

 その喧嘩が原因で三馬鹿と呼ばれる少年達はパラレルワールドの過去へと迷い込み、しかも元の時代へと戻れるだけのパワーも大きく落としてしまった。

 

 お陰で三馬鹿は焦ったし、偶々その時出くわした者の下で暫く働かなくてはならなくなった。

 

 働く事に関しては仕方ないと割り切れた三馬鹿なのだけど、問題は大きく落としたパワーを取り戻す事に難航してしまった事と、自分達を雇った者達が、見た目から性別までの全てが真逆の歴史人物達である事。

 

 なにより、難航が過ぎて世話になり続けた結果、三馬鹿達は始めに『決して情は持ってはいけない』という不文律がとてつもなく揺らいでしまったことだった。

 

 

 所詮自分達は未来を生きる外様であるし、必ず元の時代へと帰る。

 だからこそこの時代の人々に情を持ってはいけない。持てば色々と辛いから……と、三人は思っていた。

 

 だけど、大きく落としたパワーは殆ど元に戻らぬまま、四季がそろそろ二週目を迎えるまでの時間を過ごしてしまった事もあるし、三人が其々無自覚でちょこちょことその者達にやらかしてきたせいで、その決意があまり意味を為さないものへと変わっていったのだ。

 

 何より、三馬鹿を迎え入れてくれた者達もまた、其々が三人に対して情を持ったものだから、寧ろ帰してなるものかと妨害までしてくる始末。

 

 だから、同じように未来から来た青年から情報を手に入れられ、馬鹿みたいにハシャイで以降、三人はそれ以上の帰る手立てを見つけられずにいるのであった。

 

 

 曹操の子孫であり、最古の神滅具を宿す青年・神牙

 

 魔と人の血を――そして白き龍を宿す少年・ヴァーリ

 

 永遠の進化の気質を持ち、赤き龍を宿す少年・一誠

 

 

 其々が決して楽ではない過去を抱えながら、集結した三馬鹿は、今日も女だらけの三国世界で四苦八苦するのだ。

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリは基本的に戦闘大好き少年だ。

 強い存在と戦い、更なる領域へと成長するのが大好きな、健全な少年であり――少々天然だった。

 

 それは本来の世界では決してここまでの繋がりとなることの無かった二人の親友ともっと早い時期から共に切磋琢磨をしてきたからなのかもしれない。

 

 だからヴァーリはパラレルワールドの過去世界でも割りとマイペースだったし、親しくなっていく者達とも普通に仲を深めてしまっている……天然だから。

 

 そんなヴァーリの天然さにある意味で救われた者達は決して少なくは無い。

 情なんか持てば後々辛いと散々話し合った癖に、とある者が病を患わせた時は、白龍皇としての自身の生命力のある血を与えて全快させてしまったり。

 

 一人で支えようと抱え込もうとする姿を見て、元気付けようとそこら辺に咲いてた花を渡したり……。

 

 本人は深い意味も無くやってしまうのだけど、そんな彼の――なんというか、天然さにやられてしまった女性達は基本的にヴァーリを可愛がる。

 

 困った事に、本人はそんな女性達からの好意の意図にサッパリと気付いてないのだけど……。

 

 

 

 

 次に、曹操と自称している青年・神牙は……女性に対してどっかのTo loveるをしょっちゅうやらかしてしまう困った青年だった。

 

 本人の性格は至ってポジティブで気の良い好青年である意味のカリスマ性も確かにあるのだけど、呪われてるのかと疑いたくなる程に、女性と際どい接触事故を起こしてしまうのだ。

 

 主に被害者が、自分達を雇ってくれる勢力の現トップの褐色美女で、その本人も最早満更ではなさそうな態度なものだから、神牙にしてみれば頭を抱えたくなる案件でしかない。

 

 お陰でしょっちゅう連れ回されるし、帰る為の計画もニコニコされながら潰されてしまう。

 

 所謂『責任案件』の領域まで神牙はその者にやってしまっているという訳であり、ある意味でヴァーリ以上に言い逃れが出来ない所まで追い込まれてしまっているのだ。

 

 

 

 

 そして最後……。

 色々とあって年上限定の女性が大好きな少年一誠は、それはもう、美女祭りのこの世界を一見すれば一番気に入っている様に見える程度には――基本的にドスケベだった。

 

 しかしながら、どれだけ自分達を雇ってくれてる勢力下の町かなにかで、良い感じの女性をナンパしても失敗するし、神牙やヴァーリがお色気美女と楽しそうにしているのを見てるとムカついて仕方ないという日々だらけだ。

 

 しかも一誠は基本的にその雇い主の妹の護衛的な位置にあるせいで、あまり面白くもない。

 

 いや、勿論その者達も文句無しな美少女達なのだけど、基本的に年上フェチな一誠的にはご遠慮頂きたい子達だし、意外な程に三人の中では彼女達に情を持つべきではないという考えを強く持っていた。

 

 だから当初は寧ろそのしょうもない性格のせいで、彼女達に毛嫌いまでされていたのだけど、護衛の立場をなんとか外して貰おうと画策した結果、一誠の目論見とは真逆の方向へと突き進んでしまった。

 

 お陰で今まで以上にナンパ活動が行えなくなってしまったのは云うまでもないし、当初の毛嫌いの感情を向けていた筈のその少女達が、どんどんと素直になっていくのを見ていると、色々と揺れて仕方ない気持ちになっていく。

 

 

 お陰で最近の一誠は色々と辛いものがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『俺たちは元の時代に帰る。だからキミ達の間で噂されてる天の御使いなんかじゃない』

 

 

 

 何時もそうやって頑なに言い続ける三人に対して、確かに最初はその人間離れした力を利用できると考えていたし、そのつもりで自分達の勢力に引き入れた。

 

 けれど、三人は確かに力こそ人智を越えてはいるけど、どこか三人揃って間が抜けている方が多く、結局力があろうと我等とそう変わらないのだと気付かされた。

 

 だからこそ、我等は三人が何れ未来とやらに帰る事を恐れている。

 戦力としてではなく、三人そのものと永遠の別れをしなければならないことを……。

 

 特に私は、当初は三人の中で一番ふざけている態度ばかりであった一誠との当たり前が無くなることを恐れるようになってしまった。

 

 

「くっそ、この前の戦争後に北郷君とお話しようと思ったのに、結局できなかったぜ……。

もうちょい例の鏡の特徴とか聞きたかったのに」

 

 

 本当に最初はそんなふざけた性格であった一誠が気に入らなかった。

 姉や周囲の女達に鼻の下を伸ばすし、町に行けば民の女にも鼻の下を伸ばすし、その癖私に対しては何時でも馬鹿にする態度。

 

 正直性格からして私とは反りが合うなんて思わなかったから、私も私の傍に居る者も一誠が嫌いだった。

 

 

「それは残念ね。

でもあの呂布との一騎討ちを制したのは素晴らしかったわ」

 

「すっげーやりにくかったけどね……。あの子、結構強かったし」

 

 

 それが今ではこんな風に、離にある屋敷の庭で一緒に並んで座りながら茶を飲むようになるなんて……。

 

 いや、だってしょうがないじゃない……。

 

 

「やはりそれ程の武だったのか?」

 

「武がどうだってのはよく知らないけど、今の俺達でも苦戦するくらいは強いね。

元々の素質が高いからなんだろうぜ」

 

 

 ふざけている癖に、私たちに身を守る術を教える時は絶対にふざけないし、飲み込みが遅い私に対しても決して途中で投げ出さずに親身になってくれる姿を見せたり、鼻の下を伸ばした所で、どこか壁を作っていて、本当にそれ以上は踏み込もうとはしない――なんて姿を見せられたら。

 

 

「お陰でなんとか倒した後はまともに動けなかったしよ」

 

 

 今だって、この前の戦で共闘することになった天の遣いと元の時代に戻る為に必要な道具について話が聞けなかった事を残念がっているし。

 それを聞いてる私達は……もう正直言って辛いのに。

 

 

「私には、お前が呂布に対してかなりの手加減をしていたように見えたが……?」

 

「は? そんなつもりは無かったけど……」

 

 

 話題を逸らそうと、思春が先の戦で一誠が一騎討ちをし、見事に勝利した相手である呂布について質問をする。

 そういえば確かに、呂布は結局動けなくはしたけど殺すまではしなかったわね。

 

 その時は体力の消耗が酷かったのかと思っていたけど……一誠のこの態度を見ると、別の理由もありそうだけど。

 

 

「結局その呂布は例の天の遣いの軍に加わってしまった様だぞ。

お陰でやつらの戦力が増えてしまった事については言うことはないのか?」

 

「もし敵になるってんなら、その時は俺が殺るさ……。

ただ、あの時トドメを刺さなかったについては―――正直俺にもわからないんだよなぁ」

 

「「……………」」

 

 

 そう難しそうな顔をして腕を組んで考え込んでいる一誠の様子からして、多分嘘は言っていない。

 けれど、敵となった者に対しては例えその者が一誠が普段から嘯いている様な好みの女であろうが容赦なんてしない筈が、呂布に対してはトドメを刺さなかったのには絶対に理由がある筈なのは、私も思春も解っている。

 

 だから私は、隣で唸りながら考え込んでいる一誠に気付かれない様に思春と目を合わせてから頷き合うと、そのまま口に出した。

 

 

「そう……きっと一誠は呂布みたいなのが好みなのね」

 

「………………はい?」

 

 

 自分で言っておきながらだけど、私はちょっと……いえ、かなり悲しい気持ちになった。

 すると一誠は、まさか私からそんな事を言われるとは思っていなかったのか、ポカンと口を開けながら私を見る。

 

 

「えーっと、蓮華……? どうした? 具合でも悪いのか?」

 

 

 そうちょっとおどけた様に私の真名を口にしながら訊ねる一誠だけど、何時もみたいに『蓮華ちゃま』とは呼ばないので、少しは動揺しているのはわかった。

 

 つまりそれは、ひょっとしなくても図星だったといい事で……。

 

 

「私は正常よ。

正常に考えた結果、そう思っただけで……」

 

「そんな俺が形振り構わない奴に見え―――――るよな? 考えてみればそう思われる真似しかしてなかったわ」

 

「これまでも自分の間抜けな行いに、今頃気付いたのかお前は……」

 

「返す言葉が無いぜ……。

だけど、別に呂布って子にトドメを刺さなかったのは、そういう理由では無いぜ? 別に好みでもないし。」

 

「本当に?」

 

「ホントホント……………あ、でも確かに落ち着いて思い返すと結構可愛い子だった―――」

 

「…………………」

 

「―――――ぁ、い、いや今のは訂正するぜ。すまん……」

 

 

 呂布を可愛い子だと言い出したのを聞いた瞬間、私はとても寂しい気持ちとなり、思わず一誠の事をずっと見ていた。

 この時の私がどんな表情だったのかは、自分ではわからなかったが、少なくとも一誠は罰が悪そうな顔をしながら私から目を逸らした。

 

 

「さ、最初はあんなにも俺を毛嫌いしてたのに、どうしてこうなったのか……マジで俺にもわかんないんだけど」

 

「一誠がその性格そのものだったら、こんな事は思わなかったわよ……。

いい加減な性格の癖に、そうやって律儀に付き添ってくれるから……」

 

「以前、蓮華様がお前の寝床から出てこられた時は、お前がついにやらかしたと思ったが、本当に何もしなかったのは知っている。

女にだらしないくせに、変な所で弱腰だって知ることが無ければ、私もこうはならんかったさ」 

 

「「「…………」」」

 

 

 

 気まずい空気が私達三人の中に流れる。

 

 そう、一誠は女にだらしない態度ばかりだけど、実際に女に手を出した事は一度も無い。

 以前私が一誠の寝床を尋ねた時も、一誠は結局私に何もせず、朝まで共に寝ただけだった。

 

 それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけど、少なくとも今の私が思うことは――やっぱり寂しい。

 それは口では色々と一誠に厳しい事を言う思春も同じ……。

 

 

「小蓮の事もあるし……」

 

「いやあの子はさ……」

 

「一誠はそうかもしれないが、小蓮様は少なくとも本気だぞ?」

 

「本気言われても……」

 

 

 私達だけじゃない。

 最初から一誠に懐いていた小蓮は間違いなく一誠を諦めない。

 あの積極性には正直私達でも負けると思うくらいだし……。

 

 

「何度も言うけど、俺達は本当ならこの時代に存在しないし、何時かは絶対に帰らないといけないんだ。

何気に人生で最強のモテ期に突入してる気がして惜しいなとは思うけどよ」

 

「そんなに元の時代に帰りたいの?」

 

「…………。一応聞くが、元の時代とやらに仲を深めた女でも居るのか?」

 

「居たら女性をお誘いしまくったりなんてしないっての」

 

「ではどうして……?」

 

「ちょいと『お返し』してやりたい連中が居るってだけさ」

 

 

 頑なに天――いえ、元の時代へと帰りたがる一誠の表情はどこか遠くを見ているようだった。

 

 

「まあでも、モテ期状態だから、この時代からオサラバするのは結構本気で惜しいなぁとは思うけどな! へへへ」

 

「「………」」

 

「だから! ……………早速モテ期パワーを駆使して祭さん辺りとイチャコラ出来ないか頑張ろうかと思うぜ! わっははは―――ギャフン!?」

 

「無理に決まってるだろうが、この馬鹿」

 

「ねぇ、思春……? 私ってそんなに駄目なのかしら?」

 

「コイツの目が完全に節穴なだけです」

 

「いでででで!?!? 人の腕はそんな方向に曲がれないっつーの!?」

 

 

 本当……いい加減な性格そのものだったらこんな事なんて思わなかったのに。

 どうしてくれるのよ……。

 

 

 

 

 

 びっくり三国志的な世界でまさかの誕生日を迎えてしまった三馬鹿達な未だに元の時代へと帰れる手掛かりが掴めない。

 

 散々苦労して掴んだ事といえば、巷で天の御使い呼ばわりされている北郷一刀の言っていた謎の鏡についてなのだけど、この世界にそれらしき鏡は無いし、探しても全く見つからない。

 

 そんな状況のまま月日だけは流れ、つい最近勃発し、史実ならば陽人の戦いと呼ばれた戦いで派手に三馬鹿らしく暴れまわったりもした。

 

 そしてこの戦いを切欠として、四人のイレギュラーの存在がそうさせていったのかは定かでは無いが、大きく史実から遠退いていく事になるとは、この時誰も知らない。

 

 

「一誠~!」

 

 

 そんなイレギュラーによる歴史のズレが静かに始まり出している事に気づいていないまま、結局未だ帰れる気配が無くて肩を落とすことになっている三馬鹿の一人、一誠は、日増しに態度が柔らかくなっていく孫権こと蓮華や、態度こそあまり変わってない様に見えなくもないけど、着実に当初よりは普通になってきている甘寧こと思春にどうしたものかと、頭を抱える訳だけど、こればかりはヴァーリや神牙にも相談はできない。

 

 何せ、ヴァーリも神牙も其々親しくなった孫呉の女性達に四苦八苦しているのだから。

 

 情をもったら後々辛いから――なんて最初こそ三人は固く誓った筈なのに、気づいたら三人して孫呉の者達に対して非情になれなくなっていた。

 

 それもこれも、元の時代の事をうっかり忘れるくらい居心地が良いせいであると三人は口にこそ出さないが思っているらしい。

 

 そんな状況のまま日々を過ごしている三馬鹿の中でも間違いなく突撃役である一誠は、困った事に子供に懐かれている。

 

 それもガチの意味で。

 

 

「小蓮か……どした?」

 

「一誠が一人になる頃を狙ったんだよっ! ふふーん、これで今から一誠はシャオだけのものだね?」

 

「あー……まあ、そうなるのか……?」

 

 

 常に思春と蓮華といった者と行動をしている一誠が一人になる時間を見計らったと普通に言う孫尚香こと小蓮が、一誠の腰辺りに抱きつくので、取り敢えずその頭を撫でてあげる。

 

 

「ほら、シャオとイッセーだけの秘密の所に行こ?」

 

「おーう」

 

 

 主に神牙のやらかしの被害者である孫策こと雪蓮や、最近めっきり女の子らしくなってしまい、一誠が戸惑う相手である孫権こと蓮華の妹で、見たまんまの幼い子供だ。

 だから一誠は普通に小蓮には近所の兄ちゃん的な対応

をしているだけだし、秘密の場所とやらに誘われても、特に何を思う事もなく、暇になったのもあってホイホイと付いていく。

 まあ、その秘密の場所というのも、ちょっと人里離れた場所にある小さな川のある森の中なのだが。

 

 

「ねぇ、蓮華姉様や思春に変な事されてないよね?」

 

 

 小蓮と手を繋ぎながら秘密の場所へとたどり着いた一誠は、素足となって綺麗な水が流れる川に足を入れながら小蓮と涼んでいると、唐突に小蓮から訊ねられた。

 

 

「それって逆じゃないか? 俺があの二人に変な事をしてないかって聞くべきだろ。

いや、何もしてないし、そんな勇気無いけど」

 

「イッセーは二人に気を抜きすぎだもん。だから、いきなり変な事をされちゃうかもしれないじゃん。

この前蓮華姉様がそうだったようにさ?」

 

「アレは俺も驚いたけど、マジで何もやってねーぞ?」

 

「うん、知ってる。

やってたら、シャオ許さなかったもん……」

 

 

 小蓮は殆ど最初から一誠を好いていた。

 小さい自分と同じ目線になって話を聞いてくれたり、悪戯がバレて怒られた時も庇ってくれた。

 

 他にも一誠とは色々な思い出がある……。

 だから基本的に女にだらしない一誠がこのまま皆から嫌われてれば良いんだと小蓮は思っている。

 

 だってそうすれば一誠は自分だけのものになってくれるし、自分だけが一誠ものになれるから。

 

 

「おーおー、じゃあますます蓮華ちゃまには変な真似はできないなぁ」

 

「うん、絶対にしちゃ駄目だからね?」

 

 

 一誠がどんな女が好きなのかは近くで散々見ていたから知っている。

 だから一誠が自分の事をそういう風には見ていないもの、辛いけど理解はしている。

 

 でも、それでも小蓮は一誠が好きだった。

 

 強く……そして弱い一誠が。

 

 

「ねぇ、『元のじだい』って場所に戻れそう?」

 

 

 軽く足を広げながら腰かける一誠の間に入り込み、一誠の胸元に背を預けながら座る小蓮に一誠はポンポンと頭を撫でながら困った様に言う。

 

 

「うーん、今のところは全然だなー

北郷君――ああ、天の御使い君ともう一度詳しく話とかしてみたいけど、あれから何処で何をしてるのかもわかんないし……」

 

「そうなんだ。

見つかると良いね?」

 

「お、おう……。

なんだろ、小蓮だけだぜ、そう言ってくれんの」

 

 

 薄く微笑む小蓮の言葉に、一誠はムニムニと小蓮の頬っぺたに触れる。

 しかし一誠は忘れているが、小蓮は決してただ一誠が元の時代へと戻れることを願っている訳ではないし、寧ろ戻るのは泣いてでも反対したい。

 

 だけど、それでも一誠には戻らないといけない理由があるのだ。

 だから小蓮はそんな一誠達の時代に付いていくつもりだ。

 

 

(どうしても帰りたいのに、無理矢理は可哀想だもんね?)

 

 

 どんな手を使っても、どうなろうと、取り返しのつかないことになっても。

 小蓮は一誠の傍を離れる気はない。永遠に……永遠に……。

 

 

「ねーねー、イッセー? ちょっと目を閉じてよ? シャオが良いものをあげる」

 

「んー? おーう、何くれんだ? 祭さんとかとイチャコラできる権利か?」

 

「そんなんじゃないよ! ほら!」

 

 

 だから少しでも、子供じゃないという事を一誠に伝える為に、小蓮は目を閉じた一誠と向かい合い……その隙だらけの唇を……。

 

 

「ファッ!?」

 

「えへへ、イッセーはシャオのもの、シャオはイッセーのものだって証……♪」

 

「な、なにしてんの!? お、俺実は初めて……!」

 

「そうなのっ!? やった! じゃあ初めて同士だね!!」

 

「や、やったってそんな……」

 

「あとはイッセーの赤ちゃんをシャオだけが産むだけだよ? そうすればずっと一緒だもん……」

 

「お、俺……こ、ここ、殺される……! 思春さんと蓮華ちゃまにぶち殺される……!」

 

 

 小蓮にとって、一誠との時間はもはや後戻りも無かった事にもできないのだ。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、もしかしたら………。

 

 

 

「久しぶり、ね。イッセー……大きくなったのね?」

 

「やっと見つけましたわ……」

 

「先輩、もう私達を騙したあの男は居ません! だから――」

 

 

 

 

 

「? どうしたの一誠?」

 

「その者達は誰だ……?」

 

「ん? ああ、かなり昔に知り合っただけの人達だよ」

 

「ふーん? 女の人ばっかりなんだね?」

 

「偶々だよ偶々。

ああ、そういう訳で、今かなり忙しいのでまた何時かにしてくれます?」

 

「ちょ、だ、誰よその女達は!?」

 

「誰って……えーっと」

 

「一誠の嫁です」

 

「一誠の嫁だ」

 

「イッセーのお嫁さんだけど?」

 

「………………。まあ、そういう事です」

 

『』

 

 

 

 元の時代に戻っても変わらないのかもしれない。

 

 

「あ、焦ったぁー 何であの人達が来たんだよ……?」

 

「彼女達が例の昔の雇い主でしょう?」

 

「お前、まさか先程の連中の下へと戻る訳ない……よな?」

 

「無い無い! それはあり得ないっつーの! わざわざここまで付いてきてくれたお前達の方が大事だし、今更あの人達とする事なんてねーもん」

 

「よかった。そうだって言ってたらシャオ泣いちゃってたかも」

 

「お、おう……。

というか、さっきからヴァーリと神牙の叫び声が聞こえる事についてのツッコミとかは無いのかよ……?」

 

 

 

 

 

 

続かない




補足

三馬鹿物でした。

日増しに困ることだらけだし、デレ度も増すから今までみたいな対応ができないという。


その2
別の世界ならば……と、なってた呂布さんとタイマンして、ギリギリ勝った模様。

ギリギリなのは三馬鹿共々力を半分以下まで失っている為。


その3

一番ガチなお子様に、リアルに初めてを持ってかれてしまった。

 責任案件だー(棒)


その4
戻ったら余計もうどうにもなりませんね……

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