色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

彼は爆弾を抱えてる。

決して悟られない様に努めてる爆弾を……。


覆い隠しているお馬鹿さん

 人を辞める宿命。

 

 普通には生きられない運命。

 

 アイツはこの世に生まれ落ちたその瞬間にそう決まっていたも同然だ。

 

 普通の者には決して受け入れられない異常。

 

 そしてオレという宿命。

 

 端から見ればアイツは普通に生まれ、普通にぬくぬくと育った人間の一人だと思われるだろう。

 

 だけど違う。

 

 アイツは肉親にすらも拒絶された。

 

 その力を利用しようと誘惑した悪魔共にも裏切られた。

 

 聞き触りの良いだけの言葉でテメーから近付いておきながら、その当時よりすぐれた存在を知った瞬間掌を返して捨てた龍に見捨てられた。

 女に鼻の下を伸ばして、馬鹿ばかりやっては常にヘラヘラと笑っているアイツこそが未来を恐れている。

 

 また捨てられるのではという、決して拭いきれぬトラウマを……。

 でもアイツは笑う。それでも生き続ける。それでも前に進もうとする。

 

 史上最新最強―――そして最後の赤龍帝として。

 

 

 だからオレはアイツと運命を共にすると決めた。

 アイツが死ねばオレは新たな人間の中に宿る事はなく、オレもまた消え去る。

 

 

『まだ生きて……!?』

 

『俺をゴキブリ呼ばわりしたのはテメー等だろう? だからゴキブリみてーにしぶとく生きる事にしたんだよ。俺達不死身だぜ!!』

 

 

 最後というのは……そういう意味なのだ。

 

 

『本来の俺だとか、本来の人生がどうとか……そんなもんに振り回されるのはゴメンだ!

これが俺だ……! そういう意味ではある意味テメー等には感謝してやるぜ?

――――――お陰で俺達はここまで到達できたんだからなァ!!!』

 

 

 オレはアイツが死ぬその瞬間までの運命を共にする。

 アイツが生きるその未来を見続ける。

 

 

『行くぜ、準備は良いかドライグ!』

 

『最初から万端だ―――派手に捻り潰すぞ一誠!!』

 

 

 それが赤い龍(オレ)の生きる意味なのだ……。

 

 

 そんなアイツがひょんな事から迷い込んだこの妙な世界で果たしてどうなるか……。

 

 

「見たんだな……? 俺の中を土足で……」

 

「わ、私達は……知りたかったから……一誠君を―――」

 

「ふっ……ククククッ! ハハハハハハハハハハハッ! アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーーー!!」

 

 

 それでも笑い続けるのか。それとも―――

 

 

「………………皆殺しだ」

 

「っ!? ヴァーリ!」

 

「わかっている! お前達、今すぐ一誠から離れろ!!」

 

 

 トラウマを乗り越えるという意味での本当の進化をするのか。

 

 

「ガアァァァァァァァッ!!!!!!」

 

「くそっ! 完全に一誠の理性が飛んだ!」

 

「頼むから逃げるんだ! 一誠にお前達を殺させたくはないんだ!!」

 

「い、嫌だ逃げない! 絶対に逃げたりなんてしない!!!」

 

「何時もの一誠の方が余程強いからなっ!」

 

「……だから今度は私達の番」

 

「ここで逃げたら一生後悔する……だから逃げません!」

 

 

 それはまだオレにもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 根っこの部分で他人を疑っているものの、お人好しさが残っているのもまた事実である一誠は、財布を落として文無しな挙げ句腹も減った――らしいパーソナルカラー丸被り敵少女ことクリスとファミレスで飯を食っていた。

 

 

「何で敵っぽいのに飯食わせなきゃならんのだろう」

 

「ブツブツうっせーな、そんなんじゃモテねーぞ」

 

「……………目の前に座ってんのがオメーじゃなかったらこんなブツブツ言わねーわい。

ちくしょう、せっかくの休みで、本当なら綺麗なおねーさんとイチャイチャやってる筈だったのに……」

 

「鞄投げ付けられてたじゃねーか」

 

 

 大変一誠としては不本意であった。

 そもそもこのクリスなる少女――まあ一誠はクリスの名前なんて知らないけど、響にちょっかいをかけてきた敵らしき少女とナンパを返上して飯を奢ってる状況が果しなく時間の無駄な気がしてならない。

 

 

「うんうん……」

 

(金落としたってのは胡散臭かったけど、腹減ってたのはマジだったのか……。

はぁ……空腹の辛さはよく知ってるからなぁ……)

 

 

 とはいえ、頼んだ料理を食べてるクリスを見ていると、空腹で辛かったこともあった過去を経験している一誠としては、共感にも近いものを感じてしまう。

 

 

「……なんだよ?」

 

「別にー……」

 

 

 ま、良いか。

 別にバイトとして妙ちくりんな組織に入った単なる清掃員だしと切り替える事にし、自分も頼んだ料理に手を付けようとして――

 

 

「あ゛!? お前それ俺が頼んだハンバーグセットじゃねーか!? 何で食ってんだよ!?」

 

「目の前にあったから」

 

「あったから……じゃねーぞバッキャロー! 返せコラ!」

 

「ちょ!? お、おい! そ、それあたしの食い掛け……」

 

「思春期のガキじゃねーんだ、そんなことは気にしない。んめーんめー……」

 

「や、やっぱ馬鹿だ……」

 

 

 半分程クリスにちゃっかり食われてしまったハンバーグセットを奪い返し、その言葉通り食い掛けだからなんてまるで気にせずムシャムシャと食うのだった。

 

 

「んめーんめー」

 

「…………」

 

 

 しょっちゅうヴァーリや神牙と飯の事で小競り合いばかりしてきたせいか、すっかり意地汚くなってしまった弊害なのかもしれない。

 

 

「ふぉへへ、ふぉぎがひはまま?」

 

「く、口に物いれてる状態で喋んなよ……」

 

 

 というか、食べるにしても行儀が悪すぎる。

 まるでハムスターみたいに頬に詰めながら喋ろうとまでする一誠に、クリスは再び『こ、こんなのに殺されかけたのか……』という気持ちが沸き上がって仕方ない。

 

 自分も大概だが、一誠の方が余程テーブルマナーが悪かった。

 

 

「んぐ……! ふー……だから、何の目的で俺に話し掛けたんだよ?」

 

 

 オマケに口の周りにはソースまで引っ付けてるし、育ちは確実に悪いだろうとクリスは思った。

 

 

「さっきも言ったろ、財布落としたって気付いた時に偶々アンタが女に鞄投げ付けられてのを見ただけ」

 

「だとしても、一応敵同士的な感じなんだろ? 普通話しかける気にはならねーだろ」

 

「背に腹は変えられないって思ったんだよ」

 

「ふーん……?」

 

 

 とはいえ、そこまで馬鹿ではなかったのか、若干疑ってる顔の一誠にクリスは舌打ちを内心する。

 

 『アタシだってフィーネに命令されなきゃ、一生話し掛けなかったっつーの』と言えるものなら言いたい。

 だがこの命令すら失敗したら後が無い。

 

 だからとことんクリスは――あくまでも偶然だと言い張った。

 

 そんなクリスに一誠は暫くジーッと探るような視線を――

 

 

「おー……メロンレベルか、これで30手前の年だったら天国だったのになぁ」

 

 

 クリス――のメロンの方に向けていた。

 

 

「こ、この変態野郎! 死ねっ!!」

 

 

 心底残念そうな顔をしている一誠の言ってる事が当初わからなかったクリスだが、向いてる視線に気付いた途端、割合的に怒りの方が強いという意味で顔を真っ赤にすると、切り取り用のナイフを一誠の額目掛けて投げつけた。

 そこでイケてるメンズなら、それっぽい台詞と共にそのナイフを指二本でキャッチするのだろうが、クリスのメロンをしげしげと眺めすぎたせいで反応が遅れてしまい、見事にナイフが額にぶっ刺さった。

 

 

「いてっ!? お、お前……眺めてたのは悪いと思ったけど、そんなあぶねーもん投げんなよ? 普通だったら死ぬじゃねーか」

 

「そこは反応して避けるかキャッチしろよ!? え、て、てか大丈夫か?」

 

 

 結構深めにぶっ刺さってるのに平気な顔してるのがかなりシュールだし、幸いにも周囲の一般客や店員さんにはバレてない。

 とはいえ、見事に命中してしまったので思わずクリスも割りの本音に近い感覚で心配になってきた。

 

 いや、これでよしんば死んでくれたらそれはそれで良いのだが、こんな形で勝利しても微妙にしかならないのだ。

 

 

「投げつけておいて急に心配するなんて変な奴だな。

別に大丈夫だよ。そんな柔な鍛え方なんてしちゃいねーし」

 

 

 そう言って刺さったナイフを引っこ抜く一誠の額からギャグ漫画みたいにピューと血が吹き出るが、それも数秒の事であり――

 

 

「き、傷が……」

 

 

 瞬く間に塞がった。

 その光景にクリスは絶句する訳だが、テーブルに備え付けてあったペーパータオルで額の血を拭った一誠はそんなクリスの反応に慣れてる様子でヘラヘラ笑う。

 

 

「凄いよね、人体☆」

 

「ん、んな訳――っ!?」

 

 

 憎たらしい笑顔と共に、意味不明な理論をぶちまける一誠に、クリスは思わずそんな訳があるかと叫び掛けた。

 しかしここはファミレスだったし、冷静に思えば目の前の男は確かに普通の人間ではない。

 

 

(コイツの身体の中にある――確か神器だったか……。

その力なのか……? だとするなら辻褄も合う……ちくしょう、少なくとも並の攻撃じゃくたばらねぇって事かよ……!)

 

 

 完全聖遺物と同等か、下手をすればそれ以上の力を宿しているという話は既にフィーネから聞いているクリスは、目の前で見せられた化け物じみた再生力もまたその力によるものだと思い、歯噛みをしながらゆっくりと席に座り直す。

 

 

(チッ、あの立花響といい……鬱陶しい)

 

 

 自分がなくした物を持っている上に同じものを持つ響といい、何もかもが気に入らないクリスはすっかり不機嫌になってしまった。

 

 

「ドリンクバーってのは不思議だよな。

なんでか知らんが飲み物をミックスさせてみたくなる」

 

「知らねーよ」

 

 

 だが当然クリスは知らない。目の前の馬鹿そうな男を含めた青年達がここまでの領域に到達するに至るまでに通った尋常ではない深い絶望――そしてこうならなければ生きることは出来なかった理由を……。

 

 

「そういや、アンタの名前は確か一誠っていったな?」

 

「そうだけど、それが?」

 

 

 だがここまで来ると命令主ことフィーネではないが、興味は沸いてくる。

 だから無意識の内にクリスはフォークに刺したハンバーグの欠片を口に放り込もうとしている一誠に尋ねてみたのだ。

 

 

「苗字は?」

 

 

 雪音クリスである自分の様に彼にも姓がある筈。

 だがフィーネですら三バカ達の姓はわからなかったというのは聞いていたので、時間稼ぎの話題振りという意味で聞いてみた。

 

 だがその瞬間、一誠はハンバーグを食べようとしていたその手が一瞬だけ止まり――

 

 

「………………」

 

「ぅ、な、なんだよ? 変な事聞いてる訳じゃねーだろ?」

 

 

 見たこともない様な――例えるなら『無』そのものと言わざるを得ない表情と目でクリスを見据えるのだ。

 その不意討ちにも近い切り替わりにクリスも圧倒された。

 あまりにも冷たい……ほんの入口でしかないのだろうけど、触れてはいけない一誠の本質が。

 

 

「姓はない。………いや、姓は捨てた」

 

「捨てたって……なんでだよ?」

 

「嫌いだから」

 

 

 それまで無かった淡々とした声で捨てたと言い切る一誠。

 嫌いという意味はクリスにも当然わからない……わからないけど、容易に他人に喋りたくはないのだろうというのだけはクリスにもわかった気がした。

 

 兵藤一誠という名だけで殺されかけた過去。

 

 その名前というだけで嫌悪された過去。

 

 その姓である肉親に捨てられた――だから一誠は決して兵藤の姓は名乗らない……二度と、永遠に。

 

 

「捨てたって言っても、親がその姓なら――」

 

「そうかもな」

 

 

 突き放す様な冷たい言い方をする一誠は決して過去は語らない。

 語りたくもないし、同情もされたくない。

 

 だからこそ一誠はその馬鹿さ加減によって覆い隠している。

 土足で自分の中に入る者への果てしない殺意と憎悪を。

 

 

「俺なんぞよりそっちの事も教えろよ。

考えてみたら俺はお前の名前すら知らねぇ――聞いた事あったかもだけど、忘れてるんでね」

 

「………………」

 

 

 不自然なくらい話題を変えようとする一誠にクリスはこれ以上の事は引き出せないかと判断する。

 もっとも、姓を嫌悪してる理由を知った所で、神器というものについて知ることなんて出来ないので、下手に切り込んで機嫌を損ねられても困る。

 

 だからクリスは尋ねてきた一誠に自身の名前を教えた。

 別に教える必要はないけど、なんとなくだった。

 

 

「雪音クリス……」

 

「ほほー?」

 

「……なんだよ?」

 

「別に? ご両親のどっちかが外国人なのかと思っただけ。

それならそのメロンさにも納得がいくしよ?」

 

「……変態が」

 

「大丈夫だ。ガキの頃から自覚してる」

 

 

 さっきまでの冷たさが嘘みたいに、再びヘラヘラと笑う一誠の別の面を見た気がした。

 いや、会ったのなんて今を含めても二度か三度しかないけど、きっとあの冷たい面もまた一誠なのだろう……。

 

 

「年は?」

 

「16」

 

「チッ、ほぼ同い年かよ……」

 

「アンタは?」

 

「17になったばっかだな。趣味はお姉さん鑑賞。好みのタイプは――」

 

「はいはい、年上なんだろ?」

 

「なっ、何故わかった!? さ、さては貴様はエスパーか!?」

 

「………。やっぱ馬鹿だろお前」

 

 

 変な気分だ。

 こんな会ったばかりの――敵でもある存在にここまで喋ってる自分もそうだが、無意識に彼の事を聞いている。

 

 

「追加頼むけど良いよな?」

 

「え? ああ、良いけど……お前、仮にも敵っぽい奴に図々しくねーか?」

 

「いーんだよ、今日はそんなんじゃねーんだから」

 

「こ、こんにゃろ、おっぱいはパーフェクトだし、これで二十歳越えてたら文句無かったのに……」

 

「うっせーバーカ」 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 過去を覆い隠そうと、過去を誤魔化そうと笑って……。

 どれだけ身体の傷が瞬く間に塞がっていても、心に刻み付けられた過去(キズ)だけは塞がらない。

 

 歌を聞いても。

 歌を歌っても。

 

 青年の心は永遠に血を流し続けていた。

 

 

「殺るか殺られるかだ。

どんな手使っても、何をしようとも、最後の最後立ってる奴が―――――

 

 

 

 

――――――強ぇんだよ!!」

 

 

 生きる為に到達した執念。

 そして一度でも受け入れてしまった者への果てしなき情。

 それが彼の本質。それが彼の無神臓(インフィニットヒーロー)

 

 だから彼はきっと本当の意味で人を好きになることはできない。

 肩を組んで笑い合える友は居ても、彼は好きになることを諦めている。

 

 

「それがお前の心の内って奴かよ……一誠」

 

「チッ、ライバルっ子によりにもよって知られるとはヤキが回ったぜ。

幻滅したか? 結構だぜ……? でもこれが俺だ」

 

 

 虚勢を張らなきゃいけないと思い込む野良犬。

 そうしなければ生きていけないという固定観念――しかしその実誰よりも青年は寂しがり屋。

 

 

「来いよ。今のお前になら負ける気がしない」

 

「そうか……。じゃあさようならだな」

 

 

 知られてしまった時点で何時かはそうなるという予感はしていた。

 それなりに親しくなった――きっとトモダチと呼べる少女達と『殺し合う敵』として向かい合った青年は、まごうことなき全力の殺意をその身から天を穿つように放出する。

 

 

「ヴァーリと神牙が止められなくなった今、アタシ達が一誠を止める。

勝手に手を差し伸べておきながら、自分は差し伸べた手を拒絶するなんて……許す訳がねーよ!!」

 

「差し伸べた事なんて俺は一度だって無かった。

お前らの勝手な勘違いなんだよ! 失せろ!!」

 

 

 本当に追い付いてきた少女達に向かって叫んだ一誠は、少女達にとっては見慣れたそれを殺意共に両手に集束させる。

 

 

「もう二度と遊ばねぇ……! この地球(ホシ)ごと――――消えてなくなれぇぇぇっ!!!」

 

 

 全てを消し去る殺意の一撃。

 進化という運命を持つ青年が到達してしまった領域は最早惑星を超越した。

 

 

「全員合わせろ!!」

 

 

 だが少女達は迷い込んだ三人の青年の姿を見てきた。

 それぞれ抱える過去も知った。

 

 知ったからこそ止めなければならないという『覚悟』が少女達に立ちはだかる『壁』を越え――

 

 

『絶唱・ドラゴン波ぁぁっーー!!!!』

 

 

 到達する。

 

 それは霞んで見えなかった青年を捉えるに至った。

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

『お前の敗けだ一誠。取るに足らんと言い放ってた小娘達にお前は負けたんだよ』

 

 

 青年の爆弾ともいうべき過去は、追い付いた少女達によって消し飛ばされた。

 

 しかしそれは同時に一誠を支えていた軸を崩壊させるとも言えた。

 

 

「俺が今までやって来た事は通したし通った、誰もが黙った……何でだ? 俺がここまで這い戻ったからだ。

それなのに俺は敗けた……。そうなったもう、誰も俺の言うことなんかに耳を傾けやしない――皆ソッポ向いてしまう……」

 

『一誠……』

 

「い、嫌だ……嫌だっ……! 嫌だァ!!! も、もう独りになりたくない! あんな暗闇に戻りたくない!! あんな思いはしたくないんだっ!!!」

 

 

 ヘラヘラと笑いながらも自信を見せていた男の姿は無かった。

 勝ち続ける。強くなることで自分を保っていた青年は子供の様にただ怯えていた。

 しかしドライグは知っている。

 這い戻るに至ったヴァーリや神牙がそんな奴等ではない事も。

 一誠に追い付いた少女達が奴等とは違うということも。

 

 

「やっぱり馬鹿だな一誠は」

 

「っ……! 何しに来た! 俺は――」

 

「あーうっせーうっせー! 子供かお前は? いや……強がってばっかの子供だったな。

お前が負けたからって、アタシ等が掌を返すとでも思ってんのか? 悪いけど、アタシ等はお前が出会ってきた女達とは違うんだよ」

 

「さ、触んな! 嘘言え! そんな事を言っても俺は――――っ!?」

 

「弱いからなんだってんだよ? 知らねーよそんなの。

少なくとも、アタシはお前が弱いと今でも思っちゃいないし、仮に弱くとも関係ない」

 

「な、なにを……!? 離れろっ……!」

 

「お前が今ここで溜め込んでたもの全部を吐き出したら離してやる。

お前、前に言ったよな? めんどくせーもんは全部吐き出すと結構スッキリするものだって。だから聞いててやるし、見ててやるからお前も吐き出しちまえよ? 誰もそれを見て笑う奴なんて居ないしな。居たとしてもアタシがソイツをぶん殴ってやる」

 

「う……く……!」

 

「年上に変な理想を持ってたのはそういう事なんだろ? ま、年上じゃねーけど、それは勘弁してくれ」

 

「あ……ぅ……! うぅ……! うぁぁ…ぁ……!」

 

「へ、やっとお前を見つけられたよ……一誠」

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

 

 覆い隠し続けた呪いの様なものの全てが吐き出されていく。

 どこか一番似ている……同じイメージカラーの少女によって。

 

 

 そして……。

 

 

「ここ最近、アイツを見てると上手く喋れなくなるッス」

 

「ふむ……」

 

「見てると心臓がぶっ壊れそうな感覚がするッス」

 

「……それで?」

 

「体温が急上昇もする――これって何かの病気なんですかね?」

 

「それは病気というか、ある意味精神的な病ではあるというか……」

 

 

 

 ひとつの可能性……。




補足
色もそうだけど、妙に似た者同士だったりする。


その2
爆弾が爆発したら急激にシリアス化はするでしょうね。

特に土足で心の中に入り込まれたら……。


その3
あくまでひとつの可能性。

そうなったとしたら、多分急にアホみたいに小学生みたいな感じになるかもしれないけど。

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